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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 お久しぶりです、第17話。オリンピック期間中はまさかの1ヶ月お休みという異例の措置になっていたため、シリーズアニメのくせに余裕で休憩時間があったという不思議な作品。これなら多少気合を入れてもスケジュール的に余裕が持てるのかもしれない(勝手な想像)。一応シャフトはこれと「Fate」の二本体制だけどね。

 さておき、1ヶ月空いてしまったから流石に前回までの流れはうろ覚え。これで話題が完全に山場を挟んでいたりしたら興ざめだが、その辺りは制作側も当然気をつけているので、前回のエピソードで処理するべき諸々は片付いており、今回は心機一転、新しい物語が始まっている。そして、その主人公はなんと島田さんと、その対戦相手である柳原さんだった。以前も宗谷が登場する名人戦に比べて棋匠戦は地味だのなんだのと文句を言われていたが、そんな「地味な」試合がまさかここまでドラマティックな展開になろうとは。いやが上にも盛り上がるこのドラマづくりは本当にお見事。本作は「零以外のキャラクターもみんなみんな主人公」みたいなキャラクターの掘り下げが本当に丁寧で、どこを掘っても必ずその労力に見合った量のドラマが繰り広げられる。原作の語り口の巧みさが最大の要因なのだろうが、作品の売りを理解してそこからハードなデザインも活用して画面を作り上げているシャフト製作陣の手腕もお見事だ。

 まずドラマ部分から見ていくと、我々は島田さんのドラマについては1シーズン目でたっぷりと堪能させてもらった。地元の期待を一身に受け、ひたすら努力だけでここまで勝ち上がってきた作中最大の苦労人にして、作中最大の善人でもある島田さん。地味なところはどうしようもないが、胸に秘めた闘志は本物であるし、もちろん将棋の実力だって本物だ。普通に考えたら、視聴者目線では島田さんを応援し、島田さんが勝ってくれることが最善の展開であるように思える。

 しかしそれだけでは終わらない。地味だと言われる棋匠戦だが、対戦相手の柳原さんだって、島田さんと同様のもの、もしくはそれ以上のものを背負っているのだ。これまで登場したシーンはほとんどが会長とのコミカルなシーンだったのでギャグメイカーの印象が強かった柳原さんだが、一度盤に向き合えば「現役最高齢」の看板は伊達ではない。戦い続け生き残り続けている裏には、当然それだけの血と汗と涙が隠れているのである。柳原さんが抱えているテーマは単純に「年齢」であろうか。才能にも恵まれ、ここまで勝ち続けてきた柳原さんが抱え込んでいるものは、どうやら自分の「加齢」だけではないようである。周りを取り囲む「同窓会」の面々も等しく歳をとり、すでに周りを去ってしまった人間だって数多く存在する。そんな良き友たちが柳原に託していった大量のタスキ。渡した人々はそこに大きな意味を持たせたわけではないかもしれないが、託された柳原にとってはそうもいかない。今回登場した新聞記者を引退したおっちゃんのように、様々な状況で「リタイア」していった男たちは、未だ現役で戦い続ける柳原に憧れ、そして託してしまう。「自分は良くも悪くも歳を経て変わってしまったが、変わらずにあり続けるものがあると嬉しい」と、悪意も他意もなく、人々は考えてしまうものである。そして、それを託された側は、そんな思いを無下にはできないのだ。

 島田と柳原。2人の背負ったものに大小も貴賎もない。それぞれの人生の目標は、別々に存在し、本人にとっては何よりも大切なものだ。島田さんが背負い、手放さずに進んできた三十数年、そして柳原が背負い、受け止めてきた五十数年。それぞれの「理由」を胸に秘めて、「地味な」2人は盤上でド派手な戦いを繰り広げるのである。ただ積み重ねることだけで自分の人生を示し続けてきた男たちの対局が、今まで誰も見たことがなかったような次の地平に渡るというのもなんとも皮肉で、柳原の信念がこもった試合であることが伝わってくる。どちらにも頑張って欲しいし、どちらにも勝って欲しい。しかし勝負は二つに一つ。来週には決着もつくのだろう。果たして、「焼け野原」でその身を焦がしながらも進み続けるのは、どちらになるのであろうか。

 今回も情感たっぷりに作り込まれた数々のシーン構成がお見事。特に見入ってしまうのは、やはり他人の人生までもを背負い込み、それでも表では豪快に笑い飛ばして戦い続ける柳原さんの壮絶な生き様を描いたカットだろうか。「焼け野原」のイメージ、「タスキ」に絡め取られるイメージ、そして、静かな朝の床でただひたすら生きるためのルーチンをこなす「老人」のイメージ。あまりに生々しく、鮮烈な映像で描かれた彼の生き様は、ほんの数十分で柳原という人間を描くのに充分な情報量を持っている。彼がくゆらす紫煙が「焼け野原」のイメージと重なり、道半ばで夢を絶たれた多くの人々の人生を燃やしていく様子が残酷で、切ない。それでも、柳原はいざ決戦の場に臨めば眉一つ動かさずに戦い続けるのである。島田さんは本当に大変な相手とばかり戦っている印象があるが……この世界のトップなんて、誰も彼もがこんな化け物じみた人間なのだろうなぁ。

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