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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 モス饅頭が一番気になる、第13話。真っ黒だったんだけど、一体何を原料に使ってるんでしょうかね。

 建国祭編の後編。前回の時点で「失敗するに決まってるんだけど、果たしてどんな風に失敗するんだろう」とヤキモキしていたわけだが、その結果はいかにもこのアニメらしい、何ともモヤッとする「失敗」である。まず、イベント自体を単発で捉えれば「失敗」はしていない。集客もきっちりあったのだし、お客を巡るトラブルなども最小限。テレビ局の尽力もあり、慣れない大量の観光客を捌くのにも大きな失策は出なかった。「ライブに客を取られてクイズ大会がしょっぱくなる」という展開は予想通りだが、成立しないほどの客が削られたというわけでもないし、最後がグダグダになったのはお客さんのせいじゃなくてサンダルさんのせいである。あれ、どう見てもサクラを使って優勝賞品を回収する反則技にしか見えないと思うんだけど、そのあたりでの批判はなかったんですかね(そしてサンダルさんからはやっぱり没収したんですかね)。

 観光客はちゃんと呼び込めた。そして一時的なカンフル剤とはいえ、出店の稼ぎでしっかり商店街にも恩義を返した。1日限りのイベントとしては大成功の建国祭だったが、それでもお通夜みたいなムードが漂うというのが、今作の、つまりは町興しという目標の難しいところ。改めて「何故失敗ムードなのか」を確認すると、「テレビ番組が何か変な風に改変された」とかいう問題もあるが、まとめてしまえばただ1点、「再帰性が無かったから」である。一過性のバンド人気にあやかって人を呼んだところで、それはあからさまなドーピング行為でしかなく、強烈なバンド人気に目をやられた人にとって、商店街のクーポンなど文字通り紙くず同然。午前中には「間野山も面白い町じゃないか」と思っていた人たちも、強烈なライブの洗礼を受けてしまえば、些末な記憶として間野山のことなど忘れ去ってしまう。残されたのは、ただの「遠くのライブ会場」としての田舎町である。

 凛々子のところのババアもそうだが、およそ視聴者だってこういう結末になることは分かっていたのだ。しかし、失敗するなら失敗するで、アニメ的にはもう少し分かりやすい「惨敗」が出てくるのかと思いきや、「表面的には上手くいってるように見えて、結局目標には近づけなかった」という、嫌にリアルで、どうしようもない現実を叩きつけてくるのが今作なのである。「上手くいった。でも、それじゃ何の意味も無い」と、世の多くの「町興し」が経験してきた失敗を、そのままダイレクトに伝えてくれるのである。由乃もこれまで散々失敗を繰り返してきたが、それが「目に見える分かりやすい失敗」だったからこそ、トライアル&エラーで立ち直り、戦うことが出来た。しかし、今回のように「最善を尽くせたと思ったが無意味」というカウンターパンチをもらってしまうと、そこから立ち上がるのは難しい。完全に倒したと思った相手に実は一切攻撃が通用していなかった、という方が絶望感が大きいのだ。

 だが、冷静に考えれば、今回のイベントは「やらないよりやった方が良かった」のは間違いない。テレビを通じて名前を知ってもらったことは事実なのだし、広報の第一歩はとにかく認知してもらうこと。今は実利を伴わずとも、どこかで必ずやっておかなければいけない「導入」が行われたのだから、このことは確実にプラスである。そして、千人規模でのリピーターなど望むべくもないが、ひょっとしたら何人かのお客さんは興味を持ってくれたかもしれない。「一度来た場所」というのは実質的にも心理的にも再訪しやすくなる傾向があるので、とにかく来てもらえたというのも大きな効果である。今回の建国祭のイベントは、本来ならば町興しの一過程として大きな意味を持っていたのだ。

 しかし、持ち上げてから落とされたせいもあり、由乃はおそらくそのことに気付いていない。自分は浮かれていたのだと、ネガティブな部分ばかりが見えてしまっている。このまま国王は町を去ってしまうのだろうか? 1クール終了のタイミングでの転換点としてはなかなか衝撃的だが、ここで突然の逃走は流石にメインヒロインとしての責任感がなさ過ぎるように見えてしまう。まぁ、まだ「駅に向かった」だけで本当に何を考えているかは分からないが……。

 「奮闘し、結果を出した」。その結果が当初望んでいたものではなかったかもしれないが、事実は事実として受け止められた方が良い。国王は、この先の重たい一歩を踏み出すことが出来るかどうか。さぁ、後半戦のスタートだ。

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 海星ィィィ!!! 最終話! これだけたっぷり引っ張った結論が「海星可愛い」なのは最高ですね。何度でも繰り返すが、本作のヒロイン勢は本当に美狸揃いでこまってしまいます。

 全ての決着。それは狸の争いであり、天狗の争いであり、京都を巡る天狗・人間・狸のごった煮の戦いでもある。幕開け一発目から、寿老人の電車で二代目の邸宅にぶっ込みかますという大事件。そんなに動きの多くないはずのこのアニメにおいて、おそらく史上もっともスペクタクルなシーンである。流石の二代目も電車アタックに対する備えまでは出来なかったようで、この厳しい一発で邸宅はおしゃかになってしまった。

 ドタバタの中で正体を現す早雲。この期に及んでまだ上から目線で因縁の相手である矢三郎に対峙するが、彼が連れてきた海星を見て動転。聞けば天満屋に撃たれたという。天満屋は本来、早雲が金曜倶楽部に入るときに手引きをしたり、今回だって空気銃を手配して糸を引くように依頼したはずの人物なのだが、その天満屋がすでに裏切っていたことは先週明らかになっている。彼も何を狙っているのかはよく分からなかったのだが、結局、目先の一番儲かりそうな話に飛びついてただけなんだろうなぁ。人と狸が手を組んでの悪だくみなんてなかなか上手くいかないもんで。恨み骨髄で天満屋に飛びかかる早雲だったが、そこに飛び出したのは忌まわしき巨大な腕。弁天が面倒を片付けるためにあの地獄絵を開いたようだ。憐れ天満屋は再び地獄へ。そしてついでに早雲も連れて行かれてしまった。まぁ、以前は矢三郎を蹴り落としたこともあるのだから、まさに人を呪わば、といったところか。

 狸の喧嘩はひとまずこれで収束。いよいよぶつかる天狗の意地と意地。しかし、二代目は邸宅を失ったことで茫然自失。別に彼がそこまで家屋敷を大事にしていたというわけでもないのだろうが、全能を自負する二代目にとって、自分の予想がひっくり返り、願わぬ展開になっているという時点で受け入れがたいのだろう。京都へ戻ってきてからのフラストレーションがついにあふれ出してしまう。何が天狗だ、何が狸だ。結局、彼が引きずっていたのは過去に認められなかった女性との思い出だったようだ。父に認められなかった苦い思い出。そして、そんな悔しい記憶を嫌でも思い出させる弁天の容姿。全てが嫌になった二代目は燃え盛る炎となる。対する弁天は、触れたものを凍てつかせる氷の女として対峙。万能を得ながらも不器用な生き方しか出来ない、男と女の大喧嘩。

 その戦いには天狗らしい気位も品位もない。麗しい容姿もボロボロにし、仕立てた衣裳も無残に散らす。時に髪を引っ張り、時に噛み付き、ただ生の感情だけがぶつかる、実にみっともない争い。一応、戦いという意味では勝者は二代目の方。焼け付く炎で弁天を追い落とし、満身創痍で父との対峙を迎える。別に赤玉先生が勝ったわけじゃない。それでも、「思い通りにならぬ」という世の無常をこうまで叩きつけられた二代目は、すでに父を見下す天狗ではなくなっていた。父は知っているのだろう、息子が何故、弁天をあそこまで気にしているのかを。父はすでに天狗の矜恃とヒトの傲慢を並べて生きる道を選んでいる。しかし、若い息子にはまだそれが出来ていなかった。「強くなれ」と一言を残し、はた迷惑な親子げんかは、ここで終戦を迎えるのである。

 狸の喧嘩の結果は、矢一郎の祝言で幕を引く。綺麗な花嫁に尻尾も出てしまいますが、早雲がいなくなったことにより、夷川も下鴨も、また一から始められるだろう。本物の呉一郎は適度に阿呆なようだし、檻に入った反省のスペシャリストたちと、これからもはた迷惑な生活を続けていくのだろう。

 天狗の喧嘩の結果は、事実上の痛み分けである。激情に任せてみっともない姿を見せてしまった二代目だったが、矢三郎に対しては虚勢を張っても仕方ないと思ったのだろうか、思いの外柔和な態度で、今後も狸との関係性を維持してくれそうなことを臭わせていた。「私は天狗にはならない」。この言葉の2つの意味を、改めて噛みしめたいところである。そして弁天。あの日焼け落ちた髪は無残に、傷跡を残してただ一人ふさぎ込む。本当に面倒で、どうにも厄介なこの「天狗」を、救ってくれるヒトは現れるのだろうか。ヒトの世を抜け出したはみ出し者は、まだまだ孤独と戦わねばならぬ。

 2つの結末の果てに、京都の阿呆な日常は戻ってくる。つちのこ探検隊にやってくるツンデレ海星。変身を解かないように背中合わせで対話する時点でもうヤバいが、転がり込んできたお婆ちゃん狸は、そんな2人を縛り付ける真っ赤な糸が見えている様子。矢三郎の得意な化けの皮。それを少しでも抑えつけられるくらいが、女房役にはちょうどいいのかもしれない。「ふわふわするのが一番良いの」「狸なんだから柔らかいのだけが取り柄でしょ」と、お婆ちゃんは相変わらずいい事しか言わない。

 ズンズン立てた波風の果てに、相変わらずの騒動が待ち構えていようとも、矢三郎はこれからも変わらずに成るがままに。海星も、ちょっと距離をおきながら、それでもしっかりと、尻尾を握りながら。

 すべては、阿呆の血の然らしむるところでございます。

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 すごく良い話っぽかったのに、後編の展開に嫌な予感しかないのは何故だろうな……第12話。当方、一時話題になった共感性羞恥が強いので、この後で由乃達がひどい目にあう展開は極力見たくないですが……はてさて。

 とりあえず今週分だけを見れば確実な成長が見て取れるお話。町興し企画の第N弾(もう数えられないや)には、チュパカブラ王国の建国祭という謎のイベントが発生した。ホントにどうでもいいイベントだし、商店街の人たちの言によれば、依然やった時もショボかったとのこと。普通に考えたらあんまり希望が持てるような内容じゃない。商店街の協賛がはっきりしていた分、お祭りと連携できた地元グルメイベントの方が客を呼びやすかった可能性すらある。それでも、一応は「国王」としての職務を任された由乃。建国祭に気合いを入れなければ嘘だ、ってんで何とか盛り上げるプランを模索する。その結果がクイズ大会ってのがどうにもありきたりではあるんだけども……学園祭のイベントとか、声優イベントの余興とか、そういうのって大体クイズ大会とかで落ち着くよね。

 単体ではパッとしない気がするイベントだったが、ここにまたもやマスコミの力が絡んできたことで情勢は一変する。町興しテーマのアニメだから当然といえば当然だが、映画撮影にゆるキャラグランプリと、とにかくマスコミとの接点の多いアニメである。今回は地元キー局が以前の由乃の活躍を覚えており、間野山出身のディレクターが「町興しガールズ」を情熱大陸(放熱山脈)のテーマに設定。これで一発地元愛を爆発させようという魂胆だ。今回登場した地元出身の雨宮さんは、地元愛こそ本物らしく、もしかしたら余所者の由乃たちなんかよりもよっぽど「間野山を何とかしたい」と思っている人物。そんな有力なコネクションが由乃達を中心に回り出し、良い言い方をすれば「盛り上がっている」。そして、悪い言い方をすれば「暴走を始めている」。とんとん拍子で企画が大きくなり、気付けば外部から前乗りしにくるような熱心なお客さんまで。「人をいっぱい呼ぶ」というのはとても良いことには違いないのだが、急激なドーピングは身体がびっくりして受け付けない可能性がある。具体的には、人が多すぎるとイベントがコントロール出来なくなる可能性があるし、何よりも「人気ロックバンド」はあくまで借り物の集客力でしかなく、どれだけ間野山が気合いを入れようとも、来客たちはそれらを全てスルーして自分たちの見たいものだけを享受してさっさと居なくなる可能性も高い。なんか、急に作品人気が爆発して御しきれなくなってしまった同人誌のオンリーイベントとか、そういうのを思い出すな。

 一応、ライブイベントの方はテレビ局が全て手はずを整えてくれているらしいので、そっちの制御はプロに任せるとして、残る問題はクイズ大会の方だ。考えられる「駄目な」パターンは以下の2種。1つは「ライブに客を取られ、しみったれたクイズ大会は閑古鳥」というパターン。商店街に頭を下げて色々と用意してもらった手前、この「鳴かず飛ばず」パターンが一番心にくる。そしてもう1つは「あまりにも多くの客が来すぎて、パンクしてしまったり、やっかいな客に面倒ごとをおこされる」というパターン。これはまぁ、由乃達が悪いわけではないので事故みたいなものだが、由乃達が身の程を思い知らされる結果になるかも。有力なのは前者だが……雨宮さんはそういう事態になったときに番組をどのように構成するのだろう。

 結果は全て次週明らかになるが、とりあえず今週だけで区切ると、改めて第3者が5人全員にスポットを当ててくれたので、現時点でのチームのスタンスが分かりやすかったのは収穫。いまいち個性を活かしにくかった真希だが、今回は「カメラに慣れている」という特性を活かし、浮ついてしまう一同を落ち着かせる大切な役割を果たしたし、彼女を起点にテレビとの関係性を構築することが出来た。凛々子はテレビ側からすると「地元の協力者代表」みたいなところがあるだろうか。ババアを通じて商店街との橋渡しもスムーズに進められるようになり、実は王国と間野山を接続するキーパーソンになるのかもしれない。早苗は……まぁ、いつも通りだけども。そして、「さらっとひどいこと言う」という新たな属性を獲得したしおりさん。大器晩成か……由乃さん、いつになったら晩成するかな……。

 そして、もっとも興味深いのは由乃の存在である。これまで散々言われてきたことだが、やっぱり彼女は主人公として認められるような結果を残せていない。そのことはテレビ局にも伝わったようで、「普通」の一言で処理されてしまう。実際、企画を進めるにあたって明確な成果を出せていなかったのは由乃くらいだろう。だが、そんな由乃について仲間達にインタビューをした結果、「突飛だし、馬鹿だけど、動く力はある」と認められている部分があることが分かり、最終的には商店街や青年会といった地元勢力への直談判へと挑み、熱量だけで強引に解決へ結びつけるという手腕を見せた。まぁ、周りの色んな人の手助けありきではあるのだが、一応は「由乃は由乃でちゃんと考えてるんだよ」という部分が認められてのことでもある。今回のイベントが無事に成功すれば、そろそろ「国王」も認められていい頃だとは思うが……どうだろう、成功するかなぁ……。

 結論:今週のエリカちゃんも可愛かったカブラ。

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 なんともはや、第11話。煮詰まって参りました。すでに色々と枠を飛び越えたスペクタクルフィルムになっております。

 全ては何者かによって仕組まれたシナリオ。逃亡中の矢三郎は海星とともに天満屋に狙撃、捕獲されてしまった。蚊帳の外かと思われた矢四郎は、あらぬ嫌疑を掛けられ母親と共に夷川に軟禁された。そして、それら嫌疑を全て結集したことで、ついに矢一郎の偽右衛門の座までもが脅かされた。下鴨家を取り巻く壮大な罠は、今、形を成したのだ。金閣銀閣が一枚噛んでいるせいで何だかマヌケに見えるプランだが、いくつかの綻びさえ無ければ嫌疑をかけられた方は言い逃れが難しい状態まで追い込まれており、なかなか侮れない策謀であった。実際、家族5人のうち3人は檻の中。矢一郎は事実上偽右衛門の座を蹴ることになってしまったのだ。のんきものたちが多い狸界隈の中で、何ともずる賢い、見事な策を打ったものである。

 しかし、やはり浅知恵は浅知恵か。下鴨家にとっては追い風となる綻びが2つ残されていた。1つ、空気銃の行方。普通に考えて矢四郎のところに空気銃が行き着くいわれもないのだが(もし本当に矢一郎が早雲殺しの実行犯なら、凶器となった空気銃をご丁寧に兄弟のところに保管しているはずがない)、それが矢四郎のところから見つかった時点でちょいと怪しい。そして、この空気銃が実は事件とは全然関係無いものだったのはうっかりさん。しかしこれもまぁ、企んだ側からすれば不幸な事故みたいなもので。誤算の1つは、天満屋という曲者の性格を読み違えたこと。彼の「金回りの良さ」からすると空気銃の手配には相当な報酬を手渡したのだろうが、天満屋はせっかく手に入れた天狗のおもちゃをそう簡単に手放すような人間ではなかった。まぁ、当初の計画であれば空気銃は偽物でも問題無かったのだが……誤算の2つ目は、偽右衛門選挙の立会人が赤玉先生から(弁天様を経て)二代目に変更されてしまっていたこと。あそこで見ていたのが先生や弁天だったら、計画は完遂していた可能性もあるのだ。結果的には、矢三郎の機転が思わぬところで実を結んだということである。

 そして2つ目にして最大の綻びは、夷川呉一郎を騙って紛れ込んだ割に、当の本人を放っておいたことである。まぁ、どうやら本物の呉一郎はかなりの放蕩もののようなので、無視しても問題にならないと思っていたのだろう(多分、連絡とろうにも方法が無かっただろうし)。しかし、たまたま矢二郎が四国で本人に出会ってしまったのが運の尽き。事態を察した矢二郎は一路京都へ駆け戻る。まさか叡山電車が瀬戸大橋線に乗り入れようとは……。実は兄弟の中でもっとも機動力が高いのって矢二郎なんだよなぁ。

 こうして、空気銃の件から下鴨の疑念は晴らされ、更に呉一郎の登場で黒幕の仮面は剥がされる。これだけ手の込んだ方法で下鴨の一族を蹴落とそうとし、更に自身が偽右衛門の座に上りつめることを求めた人物……そんな人間が残っていたかと首を捻ったが、なんと! 嗚呼! 生きていたのか! 早雲!! 息子に看破されているのだからおそらく間違いなかろうが……あの寂寥の別れは一体なんだったというのか! え〜、海星が看取ったのではなかったんかい……何が何だかさっぱり分からんぞ。しまった、そう言えば俺、先週自分で書いてるじゃん。狸なんだから、そりゃ得意技は狸寝入りだって……。

 全貌は明かされた。後は何とかして、この仕組まれた蜘蛛の網から抜け出さなければならぬ。矢三郎が繋ぎ、矢二郎が切り開いたこの道。そこに乗らぬなら兄弟ではない。漢、下鴨矢一郎。偽右衛門など尻尾をまくって突っ返し、大切な家族の下へとただ駆ける。颯爽と京都の街中を駆ける虎に、またがる玉瀾がまた凛々しくて良い。夫婦虎の活躍(あと淀川先生の活躍)ですんでのところで檻から逃れた矢三郎。対峙するのはもう一人の黒幕である天満屋、そして、最大の牙城にして父の仇、金曜倶楽部の寿老人。三段列車は京都の制空権を主張するも、そこは長年天狗が治めていた場所。どれだけ老獪であろうと、人間の手出しのならぬ場所。

 一度は父と同じ末路に覚悟を固めたかに見えた矢三郎だったが、夢の中に現れたのは、あの日と変わらぬ様子の父の面影。そう言えば末期には同じく朱硝子を舞台に彼は赤玉先生に笑って別れを告げていたのだった。「狸なのだから、笑っていない時などありはしない」。それが偽右衛門の生き方。逃げの矢三郎はそんな阿呆の血をもっとも受け継ぐ阿呆の子。鍋の底なんてまだまだ早い。飛び出した彼はいよいよ寿老人との直接対決を迎えるのである。長男、次男、三男、(あと四男)、全ての血で繋いだこの道行きで、見事その血を示してみせよ。

 それにしても、海星の書き置きの便せん可愛かったですね。

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 もう、全部サンダルさんに任せておけばいいんじゃないかな、第11話。ついに村の伝説分野でまでヒーローになりよったぞ。もう、どこにも付け入る隙が無いじゃないか。

 凛々子編、そして婚活パーティ編の後編。まぁ、相変わらず落としどころは「そんなもんかな」っていう作品なので、全体的に何かでかい収穫があったというわけでもないのだが……それにしてもさ、間野山って実はすごい町なんじゃないかっていう思いがどんどん高まってるよね。これまでも割と「そんな便利な伝統芸能とかあるんかい」っていう展開が多かったのだが、今回、何の前触れもなく町外れに展望台&ボルダリングウォールが出現。「ちょっと前に作った」って、意外と面白い売り出し方もしてるんじゃないの。もっとそこを押し出していけば、少なくとも持ち腐れにはならずにすんだはずなのに、何故かずっと死蔵してて初めて登場したのが婚活回っていう。まー、わざわざバス移動していかなきゃいけない屋外のウォールにどの程度の価値があるのかは分からないけども……普通ならそんじょそこらにあるもんじゃなかろうし、近隣の都道府県程度なら客も呼び込めそうな気がするんだけどなぁ。

 さておき、そんな秘密兵器の甲斐もあって、婚活イベントはそこそこの盛り上がりで無事に閉幕。途中、予定調和で元カレ襲撃によるご破算なんて展開もあったけど、これだって「間野山に愛想を尽かされて失敗したんじゃなくて、予想外のトラブルでイベントが失敗したんだよ」っていう大義名分を作るための措置だろうし、「駆け落ちの里」のアイディアはカップルにも案外受け入れられそうなので、今回の2人は最終回間際で間野山に駆け込んできたりするかもしれない。確かに世の中にそんな施設無いもんな。「全国の駆け落ちしたい不幸なカップルの皆さんは、間野山に来ていただければ当面の住居、仕事、福利厚生諸々を優遇します」っていう触れ込みなら、案外今の御時世は変なものが流行って流入住民が増えるかもしれませんよ。まぁ、そんな訳ありの余所者ばかり増えられても後が困るけど……でも、若い夫婦ばっかり引っ越してくるわけで、人口回復政策としては安定感あるよな。

 そうして「余所者を入れるか入れないか」っていうお話と絡めて展開されたのが、今回の凛々子話。今作は「町興し」の方の要素は「そうなればそうなるやろ」みたいな良いあんばいのところに落としてくれるのだが、メインキャラの人物を掘り下げようとするお話はなんか微妙な印象なんだよなぁ。以前の真希の話も結局落としどころがモヤッとしたし、今回の凛々子の話も、彼女の悩みがこんな簡単に解決していいものか、ってんでちょっとしこりが残る。色々と唐突なんだよなぁ。

 今回の話の組成としては、「龍」と「婚活パーティ参加者」と「凛々子」(と「サンダルさん」)が、全て「異物」というテーマで関連づけられており、凛々子自身は過去の「追い出された龍」の物語を探し歩き、最終的に「龍は追い出されたのではなく迎えられようとしていた」という別案を見つけることで保身を行う。他にも「サンダルさんのひい爺さんひい婆さんも異文化交流の成功例だよ」なんてところからも決して間野山が閉ざされた場所でないことをアピールするし、上述の通り、婚活女性達とも決して喧嘩別れしたわけではなく、「間野山はいいところだからまたおいで」という穏当な終わり方。「異物を受け入れる」という全体テーマでまとまっている。ただ、サンダルさんや婚活女性はこの程度でもいいのかもしれないが、凛々子の場合、「実際に母親が間野山に耐えられなかった」というどうしようもない現実があるわけで、そんなに簡単に「異物扱い」の闇を乗り越えられるものではない。また、凛々子自身も「誰も私を認めてくれない」と厨二じみた訴えをしていたものの、ぶっちゃけ、視聴者からすると「お前別に努力してないのでは」という印象が先に立ち、「生きる悩み」というよりも「箱入り娘のわがまま」みたいに見えてしまう。まぁ、わがままの受け入れ先がこれまた適当な由乃なので、バランスとしては丁度良い気もするけども。「なんか分からないけど私を認めろ」という凛々子の雑な訴えに、「何か分からないけど私よりすごいし認める」という由乃のキャッチ。うーむ、これでいいものか……。そもそも「普通であることにコンプレックスを感じる由乃」って言われてたけど、絶対普通じゃないし……。

 そうそう、これまで正論だけを吐き続けてきたババアに関しても、やっぱり凛々子が絡むとちょっと駄目な大人になっちゃうのが困りものだね。どうしても孫に甘くなってしまうのは祖父母の性であるが、ババアが甘やかしすぎてるせいで凛々子が引きこもってる部分もあるし、彼女が何か変化を試みた時に「凛々子は凛々子なんだから無理しなくても良いんだ」と言ってしまうのは、本当に駄目なパターンだ。今回の一件から、ババアも少し凛々子の見方を変えてくれればいいのだが。まぁ、次の凛々子回があるかどうかも分かりませんけどね。

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 なんでこの世界の雌狸はみんなして可愛いんだろう、第10話。四国の穴掘りだぬき、訳分からないキャラなのにとりあえず「こいつ可愛いな」だけは印象として残るんだよなぁ。

 一触即発、偽右衛門会議の六角寺でぶつかり合う弁天様と二代目。間に挟まった矢三郎は一体どうなるのかと危ぶまれたが、2人が直接対峙してしまったら、弁天は一旦引くしかない。たとえこれまで2度も煮え湯を飲まされた相手にでも尻尾を巻いて逃げるような女ではないのだろうが、ここで突っかかっても女が下がるということだろうか、鷹揚とした態度の二代目を前に、弁天は何か気になる捨て台詞を残して再び京の空へと消えた。彼女は、狸たちを一体どんな存在として見ているのだろうか。「本当に優しい天狗」とは、一体誰なのだろうか。

 まぁ、何とかその場は収まり、矢一郎が天狗の後見を得たという既成事実は残せたのだろう。偽右衛門会議は片が付き、残った狸はきたる記念日(総一郎の命日なのか……)を待つばかり。そして、そんな時間をのうのうと過ごしていては命が危ないってんで逃げるのは矢三郎ばかり。「逃げの矢三郎」の二つ名は伊達ではなく、なんかもう、色んなところで逃げてるな、こいつ。こんなに逃げることに特化した主人公なんてジョジョ第二部くらいでしか見たことないわ。彼が逃走した先は、あのヘンテコな画家の菖蒲池先生のところ。どうやら彼は滋賀県在住らしいのだが、逃げるときの行動範囲の広さは流石の矢三郎。今期は滋賀だの有馬温泉だの(あと地獄だの)、色んなところに逃げたり隠れたり。先生のところには偶然淀川先生が居合わせたりもしたが、そんな折に2人で相談するのは年末恒例、金曜倶楽部の狸鍋のこと。何しろ総一郎の死因がそれだからね。今年は淀川先生が暴れて狸鍋は断固阻止するらしいが、あの寿老人がそう大人しく引っ込んでくれるかどうか。

 そう、やはりこの狸鍋こそが、この物語の中心にある料理なのだ。下鴨の阿呆の血が注目されたのも、総一郎という偉大な狸の死がきっかけであり、思えば弁天とのいざこざだって、彼女が狸鍋を食っていなければこんなことにはならなかったかもしれない。物語も佳境にさしかかり、その焦点は狸鍋である。

 不穏の1つ目、それは四国に出向いた矢二郎がたまたま目撃してしまった衝撃の事実。四国には下鴨を代表とする京都の狸とも懇ろの狸の一派がいるらしいが(四国は狸王国である)、そちらの居宅で矢二郎が目撃したのは、信じられない男の姿。いや、まだはっきり分かってないんだけど……その声、そのCV中村悠一、どっかで聞いたことありませんかね?!

 不穏の2つ目。それはよりダイレクトに迫る命の危機。矢三郎の隠遁場所は家族には知られているようで、玉瀾も心配になって様子を見に来たりしていたわけだが、続いてちゃんとやってくるのがツンデレマスターの我らが海星。前回のいざこざのおかげで、もう矢三郎の前に姿を現すことにも抵抗はなくなったんですかね。何の因果か彼女の姿を見て変身が解けてしまう矢三郎も災難だが、まぁ、今回は誰にも見られるような場所でもないから大丈夫。片っぽだけ狸で片っぽが人間(可愛い)だと気にくわないってんで、矢三郎はわざわざ藪に潜り込んで海星にも変身を解かせるあたりが何だか初々しい関係を臭わせてニヤニヤしてしまう。まぁ、海星は狸フォームでも充分可愛いんだけどさ。ちなみに、今回一番可愛い狸モードは、海星に「ついてこい」って言って先に行っちゃった矢三郎のお尻です。モフモフしてるなぁ。

 狸の姿に戻って二匹で雑談する中で、海星が「気持ち悪いこと」について切り出してくる。彼女がここ最近ずっと抱えている違和感は、実兄である呉一郎についてのもの。父の死という大事件のために放蕩息子が帰還し、心を入れ替えて矢一郎の支援に回った、というのが建前だったはずなのだが、そんな呉一郎はどこかおかしいという。賢明な海星でも分からない程度の違和感かもしれないが、行動もちぐはぐだし釈然としない。あの兄は、本当に呉一郎なのか……。

 鳴り響く銃声。撃ったのは天満屋、得物はあの、早雲の命を奪った空気銃。あの時実際に早雲を撃ったのは寿老人だったが、その手先となった天満屋が海星を襲った。その意味は、時期を考えれば明らかである。目の前に海星がいるせいで緊急時にも変身が出来ない矢三郎。そして、必死の彼に次なる銃弾が。

 今年の鍋はどうなってしまうのか。もちろん、狸の得意技は「狸寝入り」なのだから、そう簡単にくたばるような矢三郎ではないと信じたいところだが……。

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 肩に素麺が付くってどんな食い方だよ、第10話。ひょっとして、今回やってきた3人のおなごたちはとんでもない才能の塊だったりしないだろうか(しないやろなぁ)。

 町興しプロジェクトの新たなテーマは「お見合いイベント」。なるほど、これもまたどんどん若者が流出してしまう田舎では定番のお話で、最近は色々と「田舎で暮らそう」的な趣旨のイベントも増えているらしい。まぁ、もちろんこういうイベントの成功率がどれくらいのものなのかはさっぱり知らないけども。わたしゃ個人的に人の色恋とか、結婚云々とかいう話に欠片も興味がないので、テレビでそういう企画やってても真っ先にチャンネル変えるしなぁ。単に自分を差し置いて人がイチャイチャしてる様子なんてみたくねぇよ、ってのもあるし、引きこもり体質で初対面の人間の相手なんかしようものなら動悸息切れで30分と保たないので、他人が「初対面」やってるのを見るだけでもしんどいんですよ。マジで病気だと思うんだけど、これはもう(結婚なんて)無理やろなぁ。

 いや、ごめんなさい、私の性質はどうでもいいんですよ。間野山の若者達はやる気があるみたいだし。今回は国王たちの立案というわけではなく、間野山の青年会が打ち出した企画を、女性ばかりの国王チームがサポートするという形。まぁ、警官の人も言ってたように、まず王国の連中が所帯持つことを考える方が手っ取り早いんじゃないかという気もするが、よく考えたら外部から来た人間って5人中2人だけなんだよな。周りの連中は、しおりや真希については放っておいてもその内間野山で落ち着くと思ってるんだろうか(あと、由乃を嫁に欲しいとは思わんのかもしれん)。

 まぁ、お馬鹿チームのことは置いといて、企画を立てたら幸運にも何も知らないOL3人組をひっかけることには成功した。この手のイベントって、女性の参加者を引きずり込む段階が最大のハードルだからな。0人もザラだと思うのだが、間野山なんて何にもなさそうなところの企画に、よくもまぁ3人も応募があったものだ。メンバーのうち1人は最近大失恋をしたと言っていたので、ひょっとしたら勢い余っての参加(残り2人はとばっちり)なのかもしれませんわね。とりあえず、この3人を絶対逃がすまいってんで、青年会の猛烈な熱意と、何とか役に立ちたい国王チームのアイディア出しのおかげで、イベント自体は割とつつがなく進行した。由乃にありがちなイカれたプランなんかも特になく、せいぜい乱入したサンダルさんが引っかき回したくらいで、割と普通の進行である。絶対にしらけるだろうと思っていた参加者の皆さんも、男探しには割と乗り気だったようで、そこまでネガティブな印象を与えることもなく、ほどよいムードであわせてくれている。ちゃんと男を見つけるつもりで来てくれてるなら、まぁラッキーだ。どの程度選択肢が希望に沿えてるかは分からないけども。

 お見合いの方は、とりあえず穏当な進行。そして、今回のもう1つのテーマ(というかメインテーマ)は、ようやくやってきた凛々子回ということらしい。これまで、5人の中ではもっとも目立たず、パーソナリティもいまいちはっきりしていなかった凛々子。その彼女が10話目にして初めて中心に据えられ、彼女が幼少期から抱えてきた疎外感みたいなものを掘り下げる内容になっている……のかどうかはよく分からない。ぶっちゃけ、今回凛々子の何を描きたいのかはまだはっきりしていない。一応お見合いイベントとあわせたのは「間野山踊り」という謎の盆踊りβみたいなヤツと絡めて彼女の幼少期からの疎外感を膨らませる狙いなのだろうが、元々感情が表に出にくい上に奇行に走ってもそこまで違和感が無い凛々子なので、雨に打たれて一人別行動を取っていても、何が彼女に影響を与えたのかが分かりにくいのだ。別に今回のイベントで彼女の傷をえぐるような行動を取った人間はいないのだし、お見合いイベント自体は全く関係無いと言ってもいいくらい。むしろしおりが昔からずっとしおりのままで優しかったことが分かってほっこりする内容だ。凛々子のエピソードが盛り上がる要素は今のところ無いのだが……。

 一応、「ホラー」「伝承」という要素が最後に登場したので、多分そのあたりが凛々子の活躍の場になるのだと思われる。彼女のコトだからおそらく龍を巡る間野山の伝承なんかにも詳しいだろうし、像を破壊して怯えてしまった女性客をなだめるため、何か説得力のある儀式でも施してくれるかもしれない。ただ、問題はそうした伝承による「たたり」以外にも、池から顔を出した謎の男の存在があってなぁ。あいつ、多分話の流れからすると女性客が最近別れたっていう男なんだろうけども(それか、すごく飢えている間野山の独身貴族)。そんな奴が登場して、凛々子に何か活躍のチャンスが与えられるかな。うーむ、相変わらず落としどころが見えてこないアニメである。

 ま、とりあえず凛々子以外の4人はお当番回もボチボチこなしているおかげでチームワークは向上してることが分かったのでそれはそれで良しとしましょう。あとアンジェリカさんとこの娘さんが可愛い。間野山の中でちゃんと相手を見つけて骨を埋めてくれそうな若者、素晴らしいですね。まぁ、真希の弟が今後どういう人生を送るかは分からんけども。

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 アニメにもっとも登場する駅舎、京都駅、第9話。日々記録を更新し続ける京都駅ですが、流石のP.A.Works、描写の精密さが段違いですわね。何がすごいって、メインキャラが会話してる後ろで駅の背景に溶け込みながら動き続けるモブが、全部違うキャラで違うモーションなんだよ。おそらくCGを何らかのアルゴリズムで動かしてるんだろうけども、細かく伸びをしたり、時計を確認したり、全員が同じ動きになってない。今期P.A.は2作品同時並行で大変な気がするのだが、やっぱり念が入ってるのは相変わらずである。

 そんな京都駅での別れのシーンを演じるのは四国へ旅発つという矢二郎。すっかり人間フォームも板について、旅立ちにも不安は無い。いや、でも旅行って電車使うのかよ。まぁ、そりゃ歩いて四国まで行くのは大変だろうし、矢三郎だってしょっちゅう電車で大阪くんだりまで出かけてたんだから、電車移動は普通なのだろうが……それだと四国くらいならあっという間に着くぞ。まぁ、いいんだけどさ。叡山電車に化けるのが得意な矢二郎がJRで移動するのもなーんか変な感じ。ちなみに、玉瀾はお見送りに来てくれたが、お母さんは別れの席に参加していない。曰く「いたら絶対に引き止めてしまうから」。玉瀾が「本当に別れの席が苦手なのね」って言ってたから昔からそういう性格なのだろう。強い母ではあるが、こういうときはちょっと弱い。でも、しょうがないよね、母親だものね。もちろん、旅立ちを祝福していないわけじゃないんだ。これもまた、1つの母子の形だ。

 矢二郎が去り、残されたのは矢一郎と矢三郎。当面の問題は偽右衛門選挙のことで、またもや赤玉先生がわがまま言い始めたらしい。天狗の後見が無いことには偽右衛門という称号も単なる飾り。なんとしても先生には立会人になってもらわなければ困るというのに、今回ばかりは今までのようにちょっとおだてて引っ張り出すということもままならぬ様子。矢三郎が言っていた「弁天に公務を担当させてなし崩し的に二代目にしちまおう」という計略はどうやら本当のようだ。うーむ、弁天様本人はどう考えてるのかしらねぇ。矢三郎はいくらか自宅で膝を突き合わせて粘ってみたものの、頑固ジジイはテコでも動かぬ。そこで一計を案じた悪い毛玉は、「波風立てる」方向へと話を持っていくことになる。河川敷でOPを(ジャスラックに配慮した感じで)歌っていたが、この世界におけるmilktubの存在ってどういう風に定義されるんでしょうね?

 先生が会議に出てこない。弁天は倫理的に立会人には不向き。だったらも1人の天狗を引っ張り出そう、というのが矢三郎の良からぬ考え。二代目に関しては、矢三郎はいつも通りに飄々とした態度で接している割に特に敵視されている様子もなし、家財道具捜索の任務のおかげでむしろ貸しがある状態。それをうまいこと利用し、いつものように白々しい会話で二代目を抱き込む矢三郎。二代目の方も狸の浅知恵などすっかり承知しているのだろうが、それを蹴らずに甘んじて受け入れるあたりが英国紳士の器の大きさだろう。何事も泰然と、統べる者の任を果たす。それが、腑抜けた父親を反面教師とする二代目の行動原理なのだろう。結局は毛玉の思い通りになるのである。ただ、この時の交渉で、二代目が父親に憧れる矢一郎を見てどこか物憂げだったのは気になるところだ。片や父に憧れ、必死にその重責を継ごうと奮闘する「二代目」。かたや、見る影もない父の老醜にあきれ果て、同じ天狗であることすら忌避する「二代目」。互いの人生を重ねあわせ、彼は一体何を思ったのだろうか。

 とにかく段取りはついた。偽右衛門会議の本番は、「京都の中心」とも言われるへそ石のある名所、六角寺で行われる。この六角寺のロケーションも非常に京都らしいところで、市街地のど真ん中に異物のように紛れ込んだ奇妙な光景。実は私もこの度のスタンプラリーのために初めて施設内に入って様子を見たのだが、古色蒼然とした寺社の佇まいから、少し視線を移すだけでガラス張りで先鋭的な高層ビルが立ちはだかるのである。この不可思議な背景もアニメの中できちんと再現されており、狸たちが頭を寄せ合って沸き立っている図式と相まって何とも奇妙な構図になっている。会議の最中は「へいもーん」ってんで寺門を閉めてたんだけど、本来なら観光客とか周りにいっぱいいる場所だからね。あんなところに大量の毛玉が集まって昼間っから談合をやってるとか……夢があってよいなぁ。

 そして更に、そんな真っ昼間のビルの間から、ふわりと降り立つ弁天の影。一応和装で登場したのは、狸たちの催しにTPOをあわせてきた結果なのだろうか。それとも、全てを承知の上で、キセルでぴゅうと一吹きするための準備だったのだろうか。先生からの指名を反故にされ、ちょいとおかんむりのようすの弁天。自分が狸を食う女だから駄目なんだ、っていう理由は重々承知してるはずなのに、それで断られるのでなく、自分の知らぬところで勝手に事を進められているのが何より気にくわないのだろう。敢えてこの場で自分が天狗ではなく「人間だ」と言ってしまうあたりも、どこか捻れた彼女の矜恃が窺えるようである。

 たくさんの毛玉が転がる境内(可愛いなオイ)、そんな中、弁天の一吹きにも耐えて平身低頭の矢三郎だけが残る。弁天が矢三郎にだけ手加減した可能性もあるが、まぁ、あれはおそらく矢三郎があの中で一番人間に化ける練度が高かったということなのだろう。怯える弟や母を小脇に、ただただ小言が頭の上を抜けるのを待つごとく。もちろん、弁天もそんな矢三郎の困った性分は充分理解しているので、そう簡単に彼の軽口で逃げ道を作らせない。「アイツと私、どっちが好きなのよ」という史上もっとも面倒臭い女の質問を、こんなところで狸にぶち込む冷酷な人。さて、どちらで答えてもDead or Dieな矢三郎だったが……。

 ラウンド……3ですかね? 二代目居宅では長椅子から転がされ、納涼船の時には鴨川に沈められた弁天の屈辱。清水寺ではそんないざこざを一時忘れたようににこやかに(??)対話していたものだが……さぁ、改めての因縁試合。そういえば、二代目は過去にイギリスでも弁天に会ったと言っていたし、その様子がぼんやりと回想で描かれていたが……二人の間には、一体どんな火花が散っているのだろう。波風立ちました。平和を乱しました。なるがままに、騒ぐままに。

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 俺だって能登麻美子に「美味しい」って褒められたらフランスに飛ぶわ、第9話。ナチュラル男殺しな感じが素晴らしいですね、さゆりさん。

 今回のお話は回し方も分かりやすくストンと落ちるし、そこそこハッピーエンドですっきり出来る良いお話だったのではないでしょうか。今作にありがちなもやもや成分が少ないのは、今回ネガティブな感情を抱えた人間がほとんどおらず、身の丈にあった結果に落ち着いたおかげだと思われる。まぁ、さゆりさんのラブ話は割とどうでもいい扱いだったけども……結局今回直接絡まなかった料理人、今後の展開で何らかの切り札として機能することを祈ろう。というか、そうならないと出てきた意味ないからな。

 前回抱えた悩みは大きく2つ。2つは「商店街のイベントと日程を被せちゃってババアが大激怒した問題をどうすればいいか」。そしてもう1つは「間野山の名物料理をどうやって開発するか」。前者の問題は、これまで商店街と観光協会が長い年月をかけて積み重ねてきた軋轢の限界として吹き上がった問題だったのだが、ここで我が身を挺して矢面に立ったのがしおりさんだったのが大きな意味を持った。厳しいと思われていたババアであるが、例えば身内の凛々子に対しては抜群に甘かったり、実は「単にジジイのことがマジで嫌いなだけ」であり、その理由も「間野山を害するような行為はゆるさん」という地元愛から生まれたものである。そのために「どうせ余所者はろくなことしねぇ」ってんで由乃に対してはハードルが高いのだが(そして実際に由乃もろくなことしないのだが)、それがしおりだってんなら話は変わってくる。おそらく幼い頃から見知っているのでしおりがとても良い子だということは分かっているし、普通だったらこんな状況で前に出てこない子だということも知っているはず。意を決して飛び出したしおりの覚悟を見て、何か特別なものを感じ取ってくれたのだろう。また、しおりが本気で事に当たれば何らかの解決策が出せるかもしれない、というレベルの信頼もあったのかもしれない。基本的に身内に寛容な姿勢もあり、しおりの勇気でその場は収まる。そして実際、彼女は「何を名物料理にしたらいいか」という問題に対しても、「素麺を使う」というブレイクスルーを思いついたのである。

 ぶっちゃけ、「素麺を使う」というのは地域振興のアイディアとしてはイマイチであろう。すでに日本の都道府県には素麺を名産にしているところがいくつもあり、長年培ったブランドに立ち向かえるほどの決定力を持つ企画ではない。しかし、その「ありきたり」な感じがかえってほどよいバランスになっていたのかもしれない。ちなみに、一応確認したら都道府県別で素麺の生産量を見ると、富山県は2009年時点で一応第7位だが、6位の岡山には5倍もの差をつけられているので、ぶっちゃけ全国シェアでも1%にも満たない「雑魚」である。あんまり地産地消のイメージではない。念のために小麦の生産量も確認したが、まあ、こちらも大したことはない。つまり、「富山ならコレ!」という産品ではないのだ。しかし、もしそういう「コレ!」という名物があるなら、おそらくそれは都道府県の規模ですでに使用しているだろうし、今更間野山が取り扱えるものでもないだろう。今回の企画で重要なのは「オリジナルのメニューを作る」という点であり、例えば焼きそばの産地ではないけど富士宮焼きそばが有名になったり、そういった「目新しさ」があり、「地元ではよく食べてますよ」という売りがあれば、それは立派な名物になる。しおりは、そんな「隠れた目新しさ」を素麺という定番で家庭から引っ張り出そうとしたわけだ。

 企画は使いやすさも功を奏して商店街にも認可され、実際のイベントもそこそこの盛況。商店街の企画と合同で開催出来たことで、集客の面でもカバーしあうことが出来たのだろう。きちんと地元参加型だし、将来性も最低限は期待出来る。何より、地元の人に参加を募っているだけなので、企画がこけても財政的に大した痛手にならないのは大きい。イベントで結果を出したという事実さえ作ってしまえば、あとは全国レベルのB級グルメ大会とか、そういう方向にも展望が開けそうだし、最悪一切外部に広がらなくても、「間野山のみんなで新しい素麺の食べ方をシェア出来た」っていうだけでもなんか楽しいからいいじゃない。いかにもしおりさんらしい、良い企画だったのである。

 今回の企画は、別に劇的な成功を収めたという結果を伴わずとも、「しおりさんが人間的に成長した」という事実、「チームの結束力が更に高まった」という事実、そして「商店街とのすり合わせに成功した」という事実が確認出来ただけでも進歩なので、作品全体で見れば充分なハッピーエンド。これまでのように「今後どうなるか分からない」という不安が残っていないので、ようやくすっきりと見ることが出来た良いお話である。また、そんな綺麗な起承転結の中で、由乃だけが勝手に暴れて自爆しているのもポイントが高い。由乃はベースとしては頑張り系の主人公のポジションにいるのだが、きちんと「お祈り30社」キャラを忘れずに駄目なところを見せてくれている。最初は遠慮がちだった町興しとんでもプランも、少しずつ地元との接点が生まれ始めたことで良い具合にコワレ始めた。誰だ、このアホをドクと引きあわせたヤツは。いや、まぁ、子供さんには人気だったっぽいから成功と言えなくもないのだが……食べ物で遊ぶんじゃねぇよ。「これだから東京もんは……」とか思われてそう。別に東京都民でもないのに。まぁ、由乃はまだまだ「成長」という文脈にのっていないキャラなので、今回のコックと同様、少しずつ駒を配置して、ラストのカタルシスに備えている状況でしょうよ。どこかで、彼女のアホパワーが爆裂して間野山を救う日が……来るといいね。

 追伸:アンジェリカの娘、エリカちゃんはまだ若いのにすでに自分のボディのことを気にしている様子ですが……いいやん、四ノ宮の姉妹がちょっと規格外なだけで、多分年齢を考えたら相応のサイズでしょ。しおりさん、何でよりによってバストアップを強調するセールスちらしを用意してたんや。もしかして、実際は自分の武器をフル活用するしたたかな女なのかも……。薄い本が捗るなぁ。

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