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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 シャバダドゥってんじゃねぇよ、第9話。コイン式双眼鏡もあるくつろぎの空間、それが断絶の壁。セクシーは名前からしてもエロキャラであって構わないわけだが、あそこまで素直に「この世界で唯一の男性性」を発揮してくれたのは希有な例だよな。シャバダドゥ。

 前回が8.5話だったので2週間ぶりの衝撃展開。1週間休みだったことは非常に苦痛だったわけだが、まぁ、特番は特番で面白い部分もあったのでまた良し。個人的には仕切りを担当してる美穂姉ぇってのが割と貴重だったのでそれを見てるだけでも楽しかったし、生田善子は地声でもるるっぽいうわずり方が特徴的に出てて、上手く行けば面白い声優になってくれそうで期待感が増した。冒頭にやった生ゴリゴリが凄く好き。あと監督はまぁ……変わらんよね。いや、あんまり昔のイクニを知ってるわけじゃないんだけど、大体あのイメージであってるわ。監督の台詞で気になったのは「スタッフも全ての人間が具体的に中身を把握してるわけではない」みたいな話(ディティールはうろ覚えだけど)。やっぱり監督の中にある「お話」を全て解題してスタッフに伝えてるわけではないのだよね。それでこんだけまとまった構成が作れるんだから、やっぱり周辺スタッフも含めてのイクニ作品なのだろうなぁ。

 まぁ前回のことはさておくとして、既にお話は9話目、もう、多分先週あたりからラストまではずっとクライマックスのまま突き進むのだろう。全12話って尋常じゃない密度にしないといけないのだものなあ。追いかける方もしんどすぎて嬉しい悲鳴である。今回は「ユリーカ編」の終幕といった趣のお話で、前回あれだけ密に絡みがあった銀子と紅羽の間に一切やりとりがなされないお話になっている。ここまでのお話では「どのように運命の2人を繋げるか」というお話を続けてきたのに、今回はまさに断絶の壁に遮られたかのように、2人の運命が二元中継で進んでいく。この「収束から再びの分離」っていう流れが起承転結における「転」の役割を果たしているのだろうね。そのために必要だった道具立てがユリーカ先生であり、彼女は今回見事に職務をまっとうして退場していくことになったわけである。井上喜久子ボイスによるギャルルルのテンションが楽しくて仕方ない。

 前回、るるからの告発によって紅羽に「破壊」されてしまった銀子。前回の引きからは撃たれるか撃たれないかは分からなかったのだが、そこは割とすんなり紅羽が引き金を引いてしまった。彼女の心情を考えれば致し方ないところではあるのだが、最終的に2人が本当の好きを見つけるのだろう、ということを半ば確信している視聴者目線からだと割と意外な展開である。それだけ銀子の犯した「罪」は重く、それを告発したるるの気持ちも重いということ。銀子はそのまま屋上から落下し、死を迎えるはずだったが、そこは軽めの奇跡、例の花壇がマジカルなトランスフォームを果たし、そこに開いたのは「ともだちの扉」。人と熊の狭間に位置するその空間で、銀子は再び自己を問われることになる。前回の次回予告で分かっていたことではあるが、まさかの蜜子さん再登場でテンションは上がる。ただ、彼女が「死んだ」のは事実であるようで、あくまでも審判の場としての「ともだちの扉」の中で銀子が自問自答するために、彼女の「罪」を代表する存在として蜜子が具現化したようである。

 銀子の中に潜む罪は、「好き」のなれの果てでありながら、ある意味では「好き」とは真逆の感情である。銀子ははっきりと「純花には死んでほしいと思った」と発言しており、隠し立てできない殺意がそこにはあった。もちろん、そこで自ら手をあげて殺すことなど出来はしないのだが、折良く(折悪しく)蜜子が純花を襲うことになったため、彼女はそれを見殺しにすることで実質的に純花を殺したのである。今回表れた蜜子はそうした彼女の「殺意」の体現であり、人ではなく、「熊」性の体現でもある。狭間の世界で「熊」が一時的に分離した銀子は自問自答の末に罪を認めたが、そこから先の行動はまだ決まっていない。紅羽に撃たれてしまったことにより、彼女はあまりに重い罪を改めて認識せざるを得ない状態になり、その罪が残っている限り、紅羽に本当の好きを望むことはできない。だとすれば残された道はただ一つ、「紅羽の好き」ではなく「自分の好き」をまっとうするために、彼女は自分の「熊」性を受け入れるしかない。クマダークへと推し進められた彼女の自我は、再び人の世界に戻って紅羽を食べることになるのだろうか(まぁ、ならないだろうけども)。

 そしてもう一方の極、人側でも、いびつな熊の妄念は実を結ぶ。ユリーカによる紅羽の醸成計画は最終段階にいたり、るるを操って銀子を排除した後には、長年待ち望んだ箱の花嫁、紅羽を食べるだけである。彼女が断絶の壁からのコールを偽装して呼び出しした時にはちょっと驚いたが、考えてみりゃ彼女は一度ユリ裁判を受けているので、壁とのつながりはあるんだった。「黒幕」としてのユリーカの行動原理はひどく分かりやすく、澪愛から受けた裏切りへの恨みを晴らすため、その娘を喰らいにいって返り討ちにあった哀れな悪役である。ただ、今回の彼女の独白を聞いていると、彼女の生まれの不幸には同情を禁じ得ない。「人に拾われた熊」という立場こそ銀子に似ている部分はあるのだが、彼女はそれ以前に「熊の社会」にいた形跡がなく、最初から「人の世界」で(とりわけ変な)人に育てられたはみ出し者。人として育ち、人を愛することを義務づけられた彼女が初めて熊として人を食べたのは、愛するユリーカに裏切られたそのときが最初であり、人でありたい、人になりたいという想いが強すぎたからこそ、彼女は自分の熊である部分を見せつけられ、意識せざるを得ない状態になってしまった。彼女の歪んだ狂気は「純然たる人」である澪愛を、紅羽を食べて「箱」にしまうことで代替されるものではないはずなのだが、「自分が熊である」ことを突きつけられた彼女には、もうそれ以外の選択肢がなかったのである。「熊が作った檻」としての嵐が丘学園があり、人をこれ以上ないほどに「人として」育てながらも、その中では自分の「熊」に追い詰められていく。何とも理不尽な人生である。

 彼女が紅羽を襲おうとしたときに(おそらく無意識に)とった行動は「かかとを鳴らす」という、あの男の残した負の遺産だった。熊の姿になるに際し、彼女がどう足掻いてもぬぐい去れない歪んだ「人」を見せるその姿が実に痛々しくて、泣きそうになってしまった。そして、彼女の最期は、自分で育て上げた「人らしい人」である学園のシステム、排除の儀に狙撃されてしまうという結末なのである。何とも皮肉な話ではないか。澪愛の写真を折って彼女が作ったのは百合の花。最初に作る手順から鶴を折っているのかと思いきや、実はユリ。「鳥→ユリ」という変化は彼女の部屋のレリーフに刻まれたモチーフであり、前回も登場したが動から静への端的なシンボルでもある。結局、彼女は「澪愛」というただ1つのゴールに落ち着き、そこで留まるしかない存在だったのだ。もっと早くに気付いていれば、彼女にも救いはあったかもしれないのだが。

 こうして、ユリーカの物語は幕を閉じる。それでも彼女の作ったシステムは回り続け、学園では新たにサーチイビルからサーチベアへと矛先を変えた排除が行われる。透明な嵐は、ただ紅羽を迫害するだけのシステムではない。彼女の意志とは関係無しに、ただ不協和を排除していく。紅羽がそのシステムに救われたという現在の状態は、透明な嵐が紅羽に歩み寄った結果ではなく、おそらく紅羽の「好き」が揺れ、彼女が透明になりかけていることの表れであろう。はたして紅羽はここから再び「好き」へと立ち戻れるのだろうか。残されたキーパーソンは、何と言ってもるるだろう。彼女の想いについて、今回ユリーカは「銀子は知っていたのに無視をした」という風に解釈していたが、るるは以前「銀子が自分の方を振り向いてくれなくても構わない」と断罪のコートで発言していたはず。彼女の気持ちがどこに向かうのかによって、銀子の行動も変わってくる。そして、銀子が「森の熊」であるか、「森の娘」であるかによって、紅羽にも変化があるはずだ。残されたのは3者の関係。オープニング映像のように綺麗な世界が待っているのかどうか……。

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