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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 完璧かッ!! 最終話ッ!! 格好良すぎか! 最高か!

 このエンディングはなー、すげぇなー、期待してたこと全部やってくれたなー。全部の要素回収しきった上で、小憎らしい余韻まで残して終わったもんなー。

 クライマックスに引き起こされるべきはクーデター。ここまでのエピソードの全てがこの一点に集約し、ことは滞りなく成される。リーリウムの計画は完璧だったはずだ。ただ1点、ジーン・オータスが王になろうとは思っていない事を除けば。会議室に全員が招集され、粛々と進められるクーデターの準備。熱も惑いもなく、まるで式典の一部であるかのように「クーデター」は積み上げられていく。流石にその場で王子を亡き者にするってわけではないが、いよいよもって、この平和なドーワーに荒事が起こるのだ。知らぬは王子ばかりなり。フラワウの大望は、いまここに結実する。

 かに思われた。しかし、ここで飛び出でたるは我らがモーヴ本部長。取り囲んだ兵に狼狽する王子を凜とした気構えと堂々たる弁舌で説き伏せ、あっという間に自分の土俵へ。そうなのだ、「ACCAのあがり」は、決して王子を亡き者にすることではなかった。あくまで狙いはACCAの存続。そして、国民が望むのは13区の独立の維持と、これまでの生活の保証。それならば、国民全員の前でACCAの存在感を示し、王子からその存続の言質を取ってしまえばいい。クーデターによって亡き者にされるよりはよほど穏当な示談だ。いや、周りに銃を突きつけた兵がわんさかいる状態なのだから、流石の馬鹿王子だってそれが「提案」ではなく「強迫」であることは分かっているはず。国民全員の見守る中で、堂々と行われた公開恫喝。王子に選択肢などあるはずがない。しかし、こんな非礼を成立させたのはそれを不法に見せないモーヴ本部長の堂々たる振る舞いがあってこそ。あの状況で王子を丸め込むためには、ACCAの威信と、彼女の威厳が必要不可欠だった。もちろん、その影で暗躍してくれた「4」長官の存在、特にACCAの清廉なる存在を信じ続けたグロッシュラーという男の存在も。そして、各区を飛び回って下地を整えたジーン・オータスの存在も。こうして、新たな王族の血筋を一切取り出さぬままに、クーデターは「成った」のである。

 野望を阻止され、唯一煮え湯を飲まされたリーリウム。あの場でジーンの身の上を暴き、強引に国民を先導する流れも不可能ではなかったかもしれない。王子を煽って非礼を糾弾することだって出来ただろう。しかし、ジーンもモーヴも分かっているのだ。彼には、そうまでして今回のクーデターを成立させるほどの意志は無いと。フラワウはあくまでも「クーデターという絵図の上で自分たちが最大利益を得る」ことを目的としていたのであって、リスクなど負うつもりは最初から無い。元々フラワウは恵まれた土地であり、「その上」を狙おうと思ったからこその暗躍。ここで自分の身を危険にさらしてまでチャレンジする意味もないのだ。結局、リーリウムはステージを降り、そのままドーワーという国を去ることになった。静かな戦いで静かに敗れた悪党は、そのまま静かに去るだけである。

 良いアニメはエピローグもたっぷりと取ってくれるもの。「クーデター」の顛末であるから、流石にドーワー国内にも色々と変化は起こるもの。一番の騒動はやはりフラワウの独立か。これがあっさりと承認されたあたり、やはり「クーデター」という意識は各区にも歴然と在ったのだろうが、元々「各区の独自性の維持」がクーデターへと至った動機であるから、他の区もフラワウの独立を妨げたりはしない。ここで一度距離をおくことが、ACCAと、リーリウムと、双方にとって益のあることなのだ。まぁ、お隣のプラネッタで資源が出ちゃったあたりはいささかご都合主義が過ぎるが……元々別な国として存在していた歴史もあるのだし、もし国内でまかなえなかったとしても、おそらくドーワー全体でフラワウと交易して何とかなった部分なのではなかろうか。元長官たちは各地へと戻りそれぞれの区の発展に寄与。もちろん、ACCAの力は未だ健在で、それを支える監察課のお仕事の重要性も変わらない。今後もドーワーは、12の力を多少不器用に合わせながら、前へと進んでいくことになるのだろう。

 残された謎は、王族に連なる過去とのリンク。結局、今回の図面を最初に引いたのは一体誰だったのか。荒事を起こさずに王子の意識を正し、王族の血脈を守ったのは誰だったのか。ジーンの性格、そしてリーリウムの陰謀、全てを知っていたのは誰だったのか。誰も手は挙げないが、王子に統治者としての責任感が多少なりとも芽生えたことで、枢機医院長はこっそりと笑みをこぼす。王族内部でもオータス家の存在は認められることになり、ロッタは屈託無く王宮で「親族」との交流を深める。オータス家と王族の間に壁が無くなったことで、ニーノはその用をなさなくなり、その直属の上司だった「アーベント」も肩の荷が下りた。かつて一度だけ登場した時にはキャストロールに名前が無かったんですよねー。そうかー、燿司さんだったかー。そうだよな。ニーノがあれだけ近くでオータス家を見張っていたのだから、より責任重大なアーベントさんが、彼らを見守っていないはずはないよね。お疲れ様です、課長。

 多少の変化を伴いながら、生活は少しずつ元の状態へと戻っていく。異動届を無視された副課長は、今日も監察課で仕事を続ける。残念ながら彼が「もらい煙草」をする機会も減ってしまっただろうか。本作第1話のサブタイトル、「もらい煙草のジーン」はもういないかもしれない。それでもね、2話目のサブタイトルは、そのままだと思いますよ。

 「悪友の名はニーノ」。

 

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 ニーノさんのウィスパーがマジで色っぽい、第11話。いや、本人としては死にかけた結果のウィスパーなんだからそれどころじゃないんだろうけども。

 ゴールへ向けて、ホップステップジャンプの「ステップ」の部分。最後の1区であるフラワウでも当然のようにたばこを渡されたジーン。この手のマップで最後に行く場所にラスボスがいるのは当たり前のことなので、この区が最後になったことは偶然なのか、はたまた上層部からの圧力で決定づけられていたことなのかはよく分からない。まぁ、どう考えても査察のルート取りは効率とか無視した選択になっていたような気がするし、フラワウには最後に行く理由(もしくは最後まで行かなくてもいい理由)が何かあったんだろう。

 お出迎えしてくれたのは本当に似ているリーリウム三兄弟の1番目と3番目。常にお花にまみれているからフラワー区なわけだが、どうやら単に花が大好きな区民ってわけではないらしく、この区はオイルマネーでめっちゃ潤ってるかららしい。なるほどどんな区なのかは現実世界に当てはめるとすこぶるイメージしやすいな。しかし、毎度の疑問だが、なんでこうも1つの国の中で特性が違ってるものなんだろうなぁ。前回訪れた資源不足のプラネッタはなんとお隣だというではないか。やっぱり、「区」って言われて想像するよりも遥かにでかいくくりで考えた方がいいのよね。ドーワーってユーラシア大陸くらいのサイズだと思えば、サウジとインドくらいのズレでも産油量も生活スタイルも全然違うしな(宗教の影響もあるだろうが)。とにかく、フラワウはハッピーで区民全体が笑顔という、逆になんか嘘くさいくらいの国である。

 こんだけハッピーなら区民も何の不満もないだろうし、クーデターなんて物騒なことは起こらないだろうなぁ、と思わせておいて、実は一番乗り気なのがこの区(の長)ってのが面倒なところ。プラネッタ区長さんのお話では、石油利権も「国」という大きなくくりの「区」という下位区分になった時点で他の国に提供する必要性が生じ、恵まれた資源を自分のものだと思っていたフラワウからすると不満もある、とのこと。そんなもんなのかね。別に社会主義でもねぇんだし、ちゃんと金もらって良い暮らしが出来てるなら今の体制に文句を言う筋合いもないと思うんだけど。ただ、リーリウム一家の場合はそうした「区民の意志」云々以前の問題として、単に「ACCAを影でコントロールして利権をフラワウに集約させるやで」という野望があったらしく、いの一番にたばこを差し出す所存。っつうか、クーデターそのものがリーリウムの描いた絵だからな。まぁ、自分で選んだ人物が王になるのだったら、それだけで魅力的な図式なのは間違いないだろう。

 こうして13の区を全て回り、総決算を求められるジーン。集まった煙草は13本。スイツだけはちょっと例外だし、ドーワーの場合もどのように受け取っていいのか難しいところだが、ひとまずは「区長連中の相違」と見て良いと思われる状況で、区長らの意志ならそれは区民の意志(そうか?)、それはつまり「国民の総意」である。うーむ、ここまで一方的なクーデターがあっていいものか……。すっかりクーデターが起こることは既定路線になっているようで、記念式典のために中央に集まってきた各区の区長連中も庁舎内でクーデターという言葉を平気で口に出しちゃうくらいのユルさ。この人らの考えてるクーデターってどういうものなんでしょうね。まぁ、国民の総意なのだったら余計な諍いも起こらずにすんなり体制が入れ替わる可能性はあるが、それでも流石にあの馬鹿王子は放っておけない。普通に考えたら亡き者にするのがクーデター(実際にジーンは命を狙われてるしね)。そうすると、こいつらは人殺しの相談を和気藹々とやってるってことになる。スイツの区長さんだけは「こんなの絶対おかしいよ」と冷静な異議を唱えたが、すでに出来上がっちゃってる空気の前ではのれんに腕押し。直接ジーンに突っかかってみるも、ジーンはジーンで色々と考えているようで、いつも通りにのらりくらりとかわされただけだ。

 はたして、自分を御輿の上に乗せるクーデター作戦を、ジーン本人はどのように考えているのか。あらゆる区をその目で見てきた男は、ACCAの重要性をもっとも理解しているはず。廃止を唱える馬鹿王子を止めたいというのは理解出来る。ただ、スイツの人が言っていた通り、ACCA廃止などただ1人が言っているだけであって、ここまで深く国民生活に根付いている組織が、あんな若僧の思いつき1つで無くなってしまうとも思えない。「ACCAの存続」だけがモチベーションなら、クーデターは必ずしも必要な過程ではないのだ。もしジーンが気にするとしたら、王族の血筋が云々で自分が巻き込まれた醜い諍いに終止符を打つ、という部分だろう。これまでは対岸の火事で済んでいた事態も、ニーノが狙撃されたことで流石に無視出来なくなっている。自分の生活が犠牲になるだけならまだ許せるが、親友の命が危険にさらされるのは許せない。何よりも友のために怒る、ジーンはそんなヤツな気がしますけどね。

 そして、それ以外にもクーデターを単純に良しとしない人間もちらほら見受けられる。というか、リーリウム主導で動くことに危険を感じてる面々だな。1人はモーヴ本部長。ジーンがいいって言うならクーデターを邪魔することもないが、ジーンがリーリウムに操られていいように食い物にされているなら、止めた方がいいかもしれない。何よりもACCAを大切に思っている人なだけに、ここは軽々に易きに流れるわけにもいくまい。そして、内心忸怩たるものがあるのは間違いないのがグロッシュラーさんである。彼は元々清廉さでここまで登ってきた男。ロックスの列車事故では、自らの区を犠牲にしても国全体の繁栄を願ったのだ。そんなグロッシュラーにとって、自分の区のことばかりを考えて国全体を混乱させようとしている目の前の男は、どんな風に映っているのか。ここまでは諾々と従ってきただけのようだが、最後に統治者としての意地をみせることが出来るだろうか。

 来週が最終回なのかな、サブタイトルは「鳥の行方」。果たしてどこに飛んでいくのやら。

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 プラネッタ区のおねーちゃんが可愛い、第10話。CVは佐武宇綺、この子、油断するとアニメに出てくるよな。

 着々と色々なものごとが進行していく。1つは5長官によるクーデターのお膳立て、1つは各区の集大成としてのジーン包囲網、あとジーンの強行日程の主張。まぁ、全部似たような目的でつながってるからやってることは1つなのだが、ジーンの歩が進めば進むほど、各区でのクーデターに対する言及があからさまになってってるのが、そろそろ佳境に近いな、という雰囲気を醸し出している。振り返れば最初に訪れたファーマスなんて、クーデターのクの字も出てこなかったのだよな(まぁ、煙草はもらってたからなんとなく匂いはあったのだろうが)。ここ最近は立ち寄る区で必ずクーデターの打診をされるようになってしまったのだが、これも偶然ではないんだろう。おそらく、時間が経つにつれて少しずつ各区の中枢にジーンの噂が浸透している(おそらくグロッシュラーの仕掛け)、そしてジーン自身も自分の身の上を知って「相手がそういう話題を振ってくる」という身構えが出来ているので、双方からなんとなく切り出しやすいってのはあるのかも。ヤッカラでは直球で「王家の血」って言われるし、プラネッタでも「王族につながるもの」って出会い頭に言われてるし。もう、ここまで来ると公然の秘密だな。もしジーンが何も知らない状態でプラネッタに辿り付いてたらどんな顔したんだろう。

 ドーワーの、というか今作の面白いところは、13の区があり、それぞれが個性を大切にしているその体制にある。今回登場したプラネッタなんて随分極端な区になっており、砂漠と開発地帯しかない貧困の区だという。国全体でのロケーションは真ん中あたりのはずなのだが、どうにも自然環境が劣悪なようで、他の区に勝る点がほとんど無い。以前もビッラという厳しい区があったが、こちらはまた別な顔を見せているのが興味深い。なんで地続きの1つの王国の中にこんな個性が強い区が13も揃い踏みしているのかは本当に謎なのだが(一体どんな気候区分を持つ世界なんだろう)、でもまぁ、そういう設定なのだからしょうがない。こうして好き勝手に13の「個性」が並べられると、その中に一体どんなドラマが溢れているのだろうかと勝手に想像してしまう。なんか、RPGを始める時に地図が見られて砂漠や雪国が見えるとワクワクする、あの感覚に似ている。プラネッタは「大した実績もないのに区民全体が地下資源採掘に夢を追う区」という設定が自然環境や生活スタイルだけでなく区民全体の性格設定まで与えており、それだけでこの区を舞台にした冒険譚なんかが作れそうだし、それぞれの区の出身者が肩を並べる珍道中なんかも面白そう。ファンタジー世界なら確実にドワーフが出てくるところだろうな。

 まぁ、残念ながら今作は1クールで終わってしまうので(原作も全6巻らしいし)、こうして適当に与えられた個性は、あくまで「こんなにバラバラだけど、まとめて国として運営してるACCAって偉いよね」という話に集約される要素。ジーンはこれだけ様々な区を見て回っているのに、どの区でもクーデターには割と積極的なことは共通している。つまり、元から国民の総意みたいなもんであり、各々の区は、自分たちの個性的な生活を守るために、ACCA廃止と国の統合を目論む王室を打倒したいのである。これだけのものを見せられると、いかに穏健派のジーンとて、御輿として担ぎあげられるしかないような気になってくるもんである。しかし、彼が王族なのに王族らしからぬ生活をしているのは、亡き母の意志によるもの。数奇な運命の結果とはいえ、平和に暮らすことが出来たこれまでの人生を壊していいものかどうか。この話はジーンだけのものではなく、今となってはロッタも巻き込んでいるし、お目付役のニーノの立ち位置だって同じというわけにはいかない。ジーンは、愛すべき13の区のことを見守りながら、自分の周りにある「家族」のことも考えなければいけないのだ。したたかそうなヤッカラの区長、そして木訥としたプラネッタの区長。そうした人々の意志を、たった1人の監察課局員が、どう受け止めればいいというのだろう。

 そして、そんなジーンの懊悩とは無関係に、国王亡き後の政権を巡って黒い策謀は渦巻いている。グロッシュラーと与してACCA上層部からの支援を狙うリーリウム。彼の狙いは(当たり前だが)出身区であるフラワウをどさくさで盛り立ててうまい汁を吸うこと。なんかすげぇ平凡な野望ではあるが、ここに来てようやくガッツリ悪そうな本性が垣間見えたのでちょっとホッとする。ここまで、腹の中が分からない連中が多すぎたんだよぉ。リーリウムも未だに底が見えない男だが、少なくとも行動する動機は割とシンプルそうだったので余計なこと考えなくていいや。フラワウを盛り立てるため、彼の親族(兄と弟)も、フラワウにやってきたジーンを手厚く歓迎する……んだろうか。どうなるんだろう。

 モーヴ本部長はグロッシュラーに従う意を示したが、彼女は国全体のことよりも、ジーン個人の心情を考えてくれる人だろう。今のところ、ジーンが矢面に立つことはそこまでリスクがあることとも思われないのだが、それでも今の生活がぶっ壊れるのは間違いないわけで、本人の意志を考慮しない性急なクーデター計画を良しとするかどうか。そして、「従うよ」と言われたグロッシュラーさんも本当に動けるのかどうか。彼、前回のお話で完全にリーリウムに手綱を握られていることが判明したわけだが、どうもただでは終わらないような含みを持たせてるんだよね。ACCA存続は彼の望みだろうが、はたしてジーンの望まない行動に出るのかどうか。

 そして、国王の体調不良で直接的な行動を余儀なくされた第一王女は、いよいよジーンの方にも刃を向けることになるのか。馬鹿王子は一体どうなってしまうのか。次回はフラワウでリーリウム一族の歓待を受けるジーンということになるが……大量の煙草押しつけられたりしないかなぁ。

 追伸・ロリロッテちゃんの求婚をマジレスで断るニーノさんは格好良いけどひどいヤツだと思いました。まる。

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 まだまだひっくり返るんかい! 第9話! もー、何が本当で何が嘘やら、「黒蛇」が本命ってことでファイナルアンサーですかねぇ。

 ジーンの血筋を巡る真実が明らかになり、世界は急速に動き始める。いや、正確に言えば、「明らかになったことが明らかになり」かな。だってジーンの血筋については、グロッシュラーさんを筆頭に割と色んな関係者が知ってたわけですからね。加えて彼の流した「噂」の中には「ジーンが王族関係者だよ」っていう部分も含まれてたわけで、各区の区長らがそれを信じていたかどうかは別として、一応「その可能性」を知覚していたってことは紛れもない事実。知らぬのは我々視聴者ばかり……いや、本人と妹も知らなかったわけだが。あとモーヴ本部長もその事実に到達するまでは割と時間かかってたかな?

 事実の伝播はいよいよ遠くドーワーの王室にまで届いてしまう。どうやら王室は、王様だけでなく全体で「第2王女の残したもの」の存在を把握していたようだが、ジーンたちが積極的に王室に関わることがない限りはそっとしてく算段だったはず。しかし、幸か不幸かジーンは出自を知らされ、それと同時に、王位継承権が直接関わる馬鹿王子にもその事実が伝わる。彼はおそらく自分の地位が揺らぐなんて心配はこれっぽっちもしていないだろうが、むしろ、事実を知った「第一王女」様が、娘の栄華のために「余計な問題」を切り落とすことの方が不安。第一王女様とやらは今まで全然話題に上らなかったくせに、あわよくば馬鹿王子も消して自分の血筋を正当王家まで格上げすることを狙っているようだ。

 何にせよ、王室にとってジーンたちが「余計なもの」なのは間違いない。即断即決即実行の第一王女様は、今作始まって以来の最大の物騒軍団である「暗殺者」を差し向ける……のだが、流石だ、今作は命のやりとりがかかっているのに、絶対に騒いだりしない。一応は緊迫の逃走劇なんだが、画面転換を刻むとか、動きに速度をつけるとか、そういう演出には絶対向かわない。どこまでものんびり屋なロッタちゃんの影響もあるが、あくまでマイペース、あくまで楽しげに逃走劇を演じている。追っ手が部屋のすぐそこまできてるのにガラスの心配をしたり、のんびりエレベーターを待ってみたり、世界中のサスペンス映画に謝れ、ってレベルののんきな逃走劇。まぁ、ロッタちゃんは事情がさっぱり分かってないし、手を引くレイル君も単に隣のロッテちゃんが見たいだけだし、気合いが入らないのもしょうがないのかも。

 しかし、どうにも抜けてるのは追っ手サイドも同じこと。棚ぼたでロッテ確保に成功するも、処分するといっておきながらのんびり車で搬送。まぁ、あんまり街中で殺すわけにもいかないが……せめて自由を奪うくらいの方策はとってもよかったんじゃないですかね。更にたまたまなだれ込んできた課長さんにあっさり丸め込まれ、「拉致した」というマズい事実だけ残して人質解放という体たらく。第一王女の配下、割とアホばっかりなのでは。まぁ、今回の一件は流石に課長の察しが良すぎた部分もあるが……あの人、多分何か知った上でそらっとぼけてやってるとこあるよね。はたしてどこまで知ってる人間が、どの辺に潜んでいるやら。

 荒事の波は無事に乗り越え、あとは「ジーンたちを使うか否か」という部分での上層部の判断待ち。5長官会議では、情報開示を迫られたグロッシュラーが「まぁ、クーデター派を支持するんだけどね」と爆弾をぶっ込むも、割とあっさりとこれが受け入れられる。どうやら、ACCAの廃止を望む馬鹿王子とACCA中枢部の関係性は、思いの外悪い状態だった様子。傍から見てる分にはあんな阿呆に大それた改革なんて出来るはずが無いと思ってしまうのだが、やっぱり国民からしたら「次期王の意向」は馬鹿にならないということか。グロッシュラーさんがクーデター促進派。そしてジーンの真実を知って燃料に利用したい旨を残りの仲間に伝えると、犬猿の仲だったはずのリーリウムさんがコレに同意。その流れを見て残りの3長官も乗り出した。史上もっとも穏当で波風の立たないクーデター決起会議である。もう、どうなってんだこの国の連中は。

 しかし、こうしてとんとん拍子に話が進む裏には、当然「黒幕」が。ジーンたちの意志など全く意に介さず、「出来るクーデターならやっちゃおう」ってんでここまでの青写真を書いていたのはなんとリーリウム。そりゃま、曲者だろうっていう雰囲気は醸し出していたものの、なんとあの強面のグロッシュラーすら実は彼の手駒。いきなりロン毛をひっ捕まえて恫喝するシーンは、これまた番組史上初の、いくらか動きが大きくて迫力のあるシーンだ。それくらいに、今回のリーリウムの「本心」は今作の転換点だったということなのだろう。そりゃなぁ、俺はすっかりだまされていたからなぁ……。

 クーデター促進派の頭目、リーリウム。そしてその手駒のグロッシュラー。5長官はすんなりクーデターへの道のりを歩み始めるわけだが、ここで一番ジーンたちに近づいていたモーヴ本部長がどう反応するかだ。ジーンさんははるか遠くの地で母親の巨大彫像を見て、釣りして、カジノに引きずられて……。遊んでるわけじゃないねん。仕事やねん。ジーンの旗印の下、クーデター派がぞろぞろと集まって……来るかなぁ……。

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 ヤベェ話の破壊力がどんどん増してきてるんだけど、第8話。なんでこの作品はこんなとんでもないシチュエーションを淡々と語ることが出来るんだ。一瞬ハートフルな話と勘違いするけど、そんなことねぇからな、やってることはかなりサイコだからな。

 「全部話すよ」という言葉の通り、本当に全部話しちゃう系男子、ニーノ。彼が抱えていた秘密は、表面をなぞるだけなら確かに前回判明した「ジーンが王室の家系」という事実にまとめられるのかもしれないが、それを取り巻く登場人物の全てが相当なクレイジー。人は忠義のみ、親愛のみでここまで人生を捧げられるものなのだろうか。

 33年前に不幸な事故で亡くなったとされていた王室第二王女のシュネー様(CVあおちゃん)。彼女がその事故で亡くなっていなかったことはすでに先週の時点で判明していたわけだが、そこにあったのは偶然の事故などではなく、王室ぐるみでの大々的な「王女出奔作戦」だった。どんな世界にも割とよくある、王室の旧態依然とした生活に嫌気がさす積極的な王女様。彼女が政治信条を学び、民草の生活に興味をもたれるのは決して悪いことではないのだが、枢機院長が言う通り、そうした「紛れ」が王室の血統にほころびを生じさせる可能性があるのもまた事実。必要以上に民に寄り添い、改革を求める王室の血筋ってのは、大体の物語においては崩壊の序曲か救国の英雄のどちらかになるものだ。シュネー王女の場合はそのどちらになるとも言えなかったわけだが、体制の安定を求める「国」サイド、そして個人の自由を優先させたい「家族」サイドの議論の結果、王女は秘密裏に「殺害」され、野に下ることが決定する。プランの立案は枢機院長だが、かれとて別に王女が嫌いだったわけでもなく、あくまで「国のため」の決定。その証拠に、出奔後の王女の生活を全力でフォローするため、めっちゃ有能な近衛兵を1人、同時に出奔させてアフターケアを手厚く行う方針だった。

 王女付き近衛の男、名をアーベントというが、不思議なことに彼のデータはこの作品のどこにもない。エンディングのキャストテロップにいなかったのである。まるで歴史の闇に紛れた彼の人生そのもののように。王女の出奔後、彼はずっと街の影に潜みながら王女をサポートし続けた。と言っても、王女が「別な人生を歩もう」と提案してくれたのであまり直接的な関与はせず、唯一手を出したのは旦那になったうだつの上がらない男に破格の職をぶん投げたぐらい。まぁ、その財だけで息子の代まで何不自由なく暮らしてるし、ジーンの様子を見てる限りでは相当なコネを生むマンションらしいのでかなり甘やかしてるのは間違いないのだけども。結局、王室からの離縁は成し得たわけだが、生活の根本は王室(アーベント家)からのサポートで成り立ち、その後もシュネー様ラブラブ過ぎるアーベントさんや、娘のことが気になってしょうがない親馬鹿国王のために逐一生活レポートが送信される仕組みを完備。もう、王族全体がシュネー様ストーカー集団みたいになっているわけだ。そんなに好きなんだったらもうちょっとやりようあるだろ。

 そんなストーカー業務を一手に請け負ったのが、これまた執念の固まりのようになったニーノの一家である。彼は王室の忠臣であるアーベントの忠臣という2段目に位置する人物なのだが、出奔のさいに息子を連れてくることを認めてもらった恩義もあるのだろう、その人生すべてをまるきりストーカー業務に捧げることに何ら疑問も不満も持っていない。というか、ニーノ父も熱心なシュネー様ファンクラブ会員なので、ストーカー業務が趣味と実益を兼ねてる状態に。シュネー様が好きだから業務を続けられたのか、それとも業務を続けるうちに愛着が湧いたのか。因果関係は分からないが、とにかく「なんてことはない単なる町民の一家族」を死ぬ気で追いかける謎のカメラマンの数奇な人生は充実していた様子。

 そして、そんな狂った人生は息子にも引き継がれる。あの日りんごのケーキを食べた時点で生涯が決まってしまったニーノ父子。普通に考えたら、幼い日に「お前はストーカーすることに人生を捧げることになるんだよ」なんて言われたらたまったもんじゃないと思うのだが、父親思いのよく出来たニーノ少年は、そんな激務(?)に文句も言わず、楽しげにストーカーを続ける父を親身にサポート。他所のご家庭の事情に一喜一憂する父親を温かく見守った。まぁ、それだけだったら単に「変な趣味(仕事)の父親」に理解のある息子というだけで済んだのだが……なんと、監視対象の息子さん(王子!)が進学なされたのを契機に、「お前、カメラ持って突撃しろよ」というとんでもない命令が下される。いや、おかしいだろ。25歳だってさ! (日本と同じ教育制度と仮定すれば)10歳年下の連中と高校生からやり直せってさ! どんなReLifeやねん!

 まともな感性なら「いや、それはちょっと……」と辞退するところだろうが、なんとニーノさん、カメラとメガネを身につけて全力パパラッチを敢行。10歳年下のガキとお友達になり、日々カメラを向けるあまりに堂々としたストーカー生活。周りから見たら「あいつらホモじゃね?」って疑われるレベルだと思うのだが、ニーノの長い長いストーカー人生から考えれば、そんな問題は些細なことだ。気付けばニーノさんもストーカー業務が血肉になっていたようで、可愛い妹さんも懐柔し、家族ぐるみで監視対象とのお付き合い。一介の従者の息子さんが、王族に連なるご家庭と仲良くなっちゃっていいのかしらね。

 そして、かの列車事故でついに監視対象は退場。同時に熱烈ストーカーだったニーノの父も退場。あまりに残酷な結末だが……まだ終わらない。アーベントさんは素早くニーノにコンタクトをとり、「監視対象はまだ残ってるんや」と変わらぬ様子。そして新たなストーカースピリットが、世代を超えて受け継がれていくのである。

 グロッシュラーさんがニーノを雇ったのって、たまたまなのか、それとも彼の出生を知っていたのか。ニーノからするとアーベントさんの方が上位の「上司」だった気もするので多分たまたまなんだろうが、同時に2つのストーカー業務をこなしていたニーノさんもなかなかのタマ。かつて「30年前からお前を見てる」と言っていたあの台詞は何の冗談かと思っていたが、なんとマジだったという強烈なオチである。「生まれる前から」監視してたわけで、現在のジーンが30くらいだとすれば辻褄が合うのよね。あれ、でもそうなると10歳年の差のニーノは40なのかよ……若いなぁ……。

 一歩間違えば狂気でしかない多数のストーカー集団を描いた今回のお話。ニーノの人生はどう考えても普通じゃないし、見方によっては「不幸」なはずなのに、何故かそう見えず、なんだかハートフルな絆の物語に見えてくるのが恐ろしい。しれっとこういう狂気めいたお話が流せるあたり、今作の豪腕をまざまざと見せつけられた気分だ。そして、この世界の人間はパンが好きすぎるということもよく分かった。小麦を焼けば世界が平和になる。もう、今作のタイトルが「パンでPeace!」でもいいんじゃないかな? 青春は食べ物やぞ。

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 割ととんでもない真実だった、第7話。いや、言われてみれば確かにそういう話になって然るべきだったのか? しかし、全くその可能性は考えてなかったわ……。

 クーデターを巡るあれこれに、「王室」というファクターが大きく関わっていることは分かっていたはずなのだが、「まぁ、今の王様が死んだら馬鹿王子に譲位されるから嫌がる人もいるし、国が荒れるよね」程度にしか考えてなかったのだが、まさかの「王位継承問題」だった。今まで王室組のシーンは基本的にネタっぽかったし、そんな憂いが発生することになるとは思わんかった。いや、誰が憂いてるのかもよく分からないんだけどね。

 今回訪れたのは王様のお住まいになるドーワー区、そしてなんだか女性が強いことで有名らしいコロレー区(あとチョコが美味しい)。掲示物を見た感じだとモーヴ本部長の出身もこのコロレー区。今まで旅したヘンテコな地区と違い、どちらもバードンと大差無い都会っぽい地区で、暑かったり寒かったり、クーデターが起こったりなんて問題も特に無く、ジーンの査察も滞りなく終わる予定の区だったのだが……

 まずはドーワー。ニーノに連れられて適当に食べ歩いてたら、なんとまぁ王様とばったり。クーデター云々が囁かれている割にはずいぶんガードが甘い王様だが、まぁ、彼が崩御した後のことが問題になってるだけで、生きてるうちは政治不安は無いってことなのかな。たまたまスイーツ食べ歩きしてたらジーンたちの店にぶつかっちゃって、同じ店で飯を食うどころか、なんと王様の気紛れで相席までしちゃうという。なんだかニーノの態度が思わせぶりだったのだが、まさか彼が今回の件を仕組んだってことはないよね? 彼が一番居心地悪そうにしてたし、「店の主人と仲が悪い」というのが彼の言い分だった割りにそういう問題も無さそうだったし、王様との面会で必死に顔を隠そうとしていたし……なんだか、鷹揚に構えているジーンに比べて、ニーノの方が王族との関係性に面倒を抱えていそうな雰囲気。ジーンのことも全部知った上で動いてたみたいだし、来週彼が話す「長い話」が、この物語の全てということになりそうだな。

 そして「クーデター」を調べていたら意外な事実に辿り付いたのはモーヴ本部長の側近部隊のお手柄。王族云々の話も、掘り出したら意外と簡単に出てくるもんやな。なんと、33年前に事故(?)で無くなった王族の1人に、落とし種があったという。しかも第2王女のご子息2人。なるほどねぇ、あの立派な金髪は、確かに言われてみれば王族の血筋なのか……。でも、かたや顕示欲まみれの馬鹿王子、かたや昼行灯じみた有能公務員とその妹じゃぁ、なかなか同じ血を感じるのは難しいわ。しかし、これでまた「クーデターの片棒を担がされた」ことの理由が分かりやすくなったわけだ。……いや、でももしそれがジーンの現在の立ち位置の原因なのだとしたら、当然仕組んだ人間もジーンの真実を知ってたってことになるわけだよね。どうやら、ニーノの仕事の「上司」ってのはグロッシュラー以外にも誰かいるみたいなんだけど……誰だろね。すでに登場してる人間で、王族に近くて、何か腹に抱えてて、次期体制に不安を持ってる人……誰かなー、誰かなー。

 真実に辿り付いたモーヴさんは、意外にも「ジーンは関係してるけど悪い奴ではなさそうやな」ってんで和解に訪れた(パン屋ではなかったけど)。彼女は本人すら知らないジーンの真実を告げ、そのバックグラウンドに潜む何者かに洞察を巡らせる。部下の調査ではグロッシュラーの名も上がっているわけだが、ジーン本人が「彼は違う気がする」と言っており、これは信用するみたいだ。グロッシュラーが本当にただ「ジーンがクーデター派の一味だ」という情報だけを訝しんでニーノを送り込んでいたのだとすれば、確かに彼はシロだ。モーヴさんも、ジーンのその直観に近い印象を持っていたのかもしれない。

 さて、今までのらりくらりと煙草ばかり吸っていたジーンだが……こんな状況になってしまっては……別にあんまり変わらない気がするな。

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 もう近所に食パン配って歩けよ、第6話。パン屋以外で局長と待ち合わせることが出来ず、パン屋に行ったら必ず食パンを買うっていう……毎朝1枚追加って地味にキツくない?

 世間的には食パン1枚分ほども動きは無く、相変わらず「何も起こらない」ことの妙を描き続けている本作。今回も表立って何か事件が起こるなんてことは一切無く、ジリジリと「何か」に近づいているような、そうでもないような。何とも珍妙な話なのだが、本作はとにかく「クーデターはあるの? 無いの?」というただ1つのトピックだけで物語が牽引されている。一応スイツでは小規模な「クーデターみたいなもの」が起こったことはあるが、あれは本筋で求められているクーデターとは全く別な案件で、メイントピックとなる「クーデター」を巡っては、いくつかの勢力が「あるって聞いてるんだけど、誰が企ててるんだ?」ってのを探っているという、本当に「監察」するだけのお話。こんなモヤッとした構成で大きな山もなくここまで引っ張れてるんだからすごい話だよ。

 改めて確認しておくと、クーデターに関与していると考えられているキャラは主に2人。1人は主人公のジーン、そしてもう1人がそのジーンを疑っていたグロッシュラー。面白いのは、このどちらについても、今まで視聴者目線からは「本当に関与してる? してない?」ってのがグレーだったこと。正直、「実はジーンはそういうヤツだったんだよ!」というどんでん返しがあるかもしれない、と思っていた時期もあったのだが、どうやら今回のグロッシュラーとの対談を見る限り、ジーンは本当にシロのようだ。まぁ、当たり前といえば当たり前なんだけど。立場上疑われるのはしょうがないことだったが、その疑念を晴らすために、今回はわざわざ地元に帰省中のグロッシュラーに会いに行ったわけだ。もちろん直接話したからって疑念が晴れるわけでもないのだろうが、今回ジーンがグロッシュラーに語って聞かせたのは、過去の列車事故にまつわる2人の奇妙な関係性。ジーンの両親は列車事故の被害者として亡くなり、当時責任を問われる立場(の一部)だったグロッシュラーは、自らの権限でもって責任をおっかぶる形で遺族に誠意を示した。加えてそこからACCAのあるべき姿をとなえ、有言実行で改革を成し遂げている。つまり、2人に直接利害の一致があるというわけではないが、偶然にも2人は同じような目的意識を持ちうる繋がりがあったということである。これを理由に、ジーンは自分の無実とグロッシュラーの非関与を主張。一応は二者の間に和解が生じた形である。まぁ、グロッシュラーさんは簡単に折れてくれなかったが、反応を見る限り、彼も愛国者であることに間違いはないだろう。あとはその気持ちがどういう形で表れようとしているかだ。

 そんな2人について、更に別な角度から調査を進めているのがモーヴ局長。彼女の場合も愛国心は本物であろうし、ACCAを有るべき姿に導こうという姿勢も一緒。そして、そんな彼女の私兵の働きで、今回ついに「グロッシュラーが疑われてますぜ」という情報が彼女の耳に。更に、スイツでのプチクーデターをもみ消したことでジーンへの信頼値はやや低下気味で、残念ながら仲良く食パンを分け合うような関係からはランクダウンしてしまった様子。まぁ、スイツの件を報告しなかった理由は全く別なところにあるし、ジーン本人も「あれはまずかったかも」と内心冷や冷やしているようなので、機会があればジーン自身の汚名を返上するのはそこまで難しいことじゃないだろうが。問題はやっぱりグロッシュラーか。

 ただ、グロッシュラーもやっぱりクロには見えないんだよね。ジーンの直観がそう言ってるってのが一番大きな理由だが、今回珍しく直接ぶつかったリーリウムとの対話でも、単なる行き違いこそあれ、別に対立したいって風でもなかったし。ひょっとしたら、単に口下手なツンデレさんなのかもしれません。これでリーリウムが黒幕とかいう逆転ホームランがあれば分からないが、流石にそれはちょっと穿った見方だろうし。今回、やや棘のある振る舞いに一瞬「モーヴ局長黒幕説」とかも脳内をよぎったのだが、彼女も純粋にクーデター案件を調べているだけらしいので、やっぱり彼女を疑うのも筋違いだろう。彼女の部隊が「誰が企ててるかは分からないけど、やっぱりクーデター的な何かはある」みたいなことを言っていたので、作中人物全員がありもしないクーデターの噂に振り回されてるだけ、というコントみたいな展開はなさそうだけども。

 今回ジーンが飛んだハレ区は、地図でみるとドーワーの中では一箇所だけ飛び地みたいになっている南国の島。沖縄とかハワイみたいなイメージの場所で、ピリピリしていたスイツや厳しい気候のビッラとはエラい違い。しかし、そんな御陽気な地区でも何となくクーデターの噂は流れているようで、区長もそわそわとジーンの動向を気にしている。やはり、ジーン・オータスがクーデターの橋渡し役になっている、という噂はどこか真実味があるということなのだろう。初めてそのことを自覚したジーンは立場を逆用して一応何かを手に入れたようだが……モーヴ局長には嫌われちゃったからまだ情報が渡せてないんだ(ニーノはいるからグロッシュラーには渡ったんだろうか)。今後、どんな情報が、誰のために、どのように飛び交うことになるのだろうか。

 なんだか「ゴドーを待ちながら」みたいな理不尽さが感じられる不思議な味わい。誰もがクーデターの噂を聞き、気にしながらも実体が掴めていない。今回の描写だと怪しかったのは王室の枢機院長あたりなんだけど、それも別に理由はないんだよなぁ……。単に馬鹿王子にイラッとしてるだけかもしれんしなぁ。13区のうち、ジーンが8区を回り終えたらしい。残りの5区、残りの話数で、何がどうなるやら。

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 あっさりバレんのかよ、第5話。どうもこの国の人たちは秘密を守ったり、隠密行動をとるのが苦手なようである。いや、ジーンの勘が尋常じゃないってのもあるんだろうけども。でも、なんだかんだでこのサブタイトル、いいですね。

 相変わらずバタバタと忙しく動き回るジーン。いや、彼の表情に全く忙しなさは感じられないのだが、2日と実家に落ち着いてられない多忙っぷりは、世が世ならブラック企業の誹りを受けてもしょうがないような業務内容である。まー、他の監察課の連中が普段何をやってるかはよく分からないし、どうにも副課長にばっかり負担がかかっているように見えるのだけども。それだけジーンが優秀な人間なのだから仕方ないだろう。今回は1話で訪問したファーマス地区からあやっぺボイスのリーダーがわざわざバードンまで出張してきたが、どうもジーンとの面会を楽しみにしていた様子で、色んな区の色んな人たちからの人望が厚いのは間違いないらしい。普通に考えたら査察に来る中央のお役人なんて邪魔もん以外のなにものでもないはずなのだが、ジーンはどこの地区に言っても割と快く受け入れられているのだ。その上できちんと仕事がこなせてるんだから、やっぱりジーンはエラいのだ。

 で、今回向かった先は雪深きビッラ区というところ。クリスマスシーズンだからってのもあるんだろうが、どうやらドーワーの中でも北の方に位置した寒冷な土地なのは間違いないようだ。南に行けば割と農業のさかんな国も多いし、ドーワーって結構南北にも東西にもでかいんだろうな。いや、この世界の緯度と温度に相関があるのかは知らんけども。中国くらいのサイズなのかな。それとも、やっぱり最初の見立て通り、EUが1つの大国になっているっていうくらいのサイズ感が自然か。

 ビッラの人たちの生き方は前回のスイツに比べたら随分穏当なもので、寒冷地で食糧事情がそこまで恵まれているわけではないだろうが、その割には支部の人たちもピリピリしてるわけでもなく、他の区との関係性も悪くない。最後に面会したおっちゃんは一応「他の区が暴れたら承知せぇへんで」と釘を刺していたが、あくまでクーデターの噂なんかが飛び交っている不穏な状況を鑑みてのものだろう。これまで通りに国が、そしてACCAが運営されているならば、この地区に大きな問題はなさそうだ。寒いながらもジーンは無事に査察を終え、チクリとビールに文句を言われながらも美味しい食事もあったかい布団も、そして煙草ももらっているのである。

 で、そんな雪の中での気づきが1つ。それはあまりにも慣れすぎた「視線」のお話だった。査察する側が「見られる」という何とも皮肉なお話を事前にリーリウム長官に聞いていたから、ってのはあるだろうが、これまで特に意識していなかったニーノの監視に、ジーンはあっさり気付いてしまった。ニーノだって馬鹿じゃないんだからきっちり気配を消せる距離をとっていたはずなのだが、たまたまなのか、狙ってなのか、ビシッと方向も定めた上でニーノを見つけちゃった。この辺がジーンのよく分からない強みである。ニーノの方もまさかばれるとは思っていなかったので大慌て。元々一方的に騙しているという負い目もあったのだろうが、ジーン側から詰め寄られたらあっさりと負けを認めてくれた。まぁ、特にジーンは悪友との関係性を荒立てようとも思ってないし、そもそもニーノの行動で迷惑を被ったこともないし。自分がよく知らないとこで動いてる分には、とりあえず好きにして、っていうスタンス。一応、次の出張の時には妹を理由に実家に拘束してましたけどね。次に向かったロックス区ではニーノを挟まずにグロッシュラーと直接対峙してるし、2人の間にはどれくらいの相互理解があるもんなのか。

 他の5長官はグロッシュラーとクーデター派の関係性を訝しんでいたが、ジーンはその直観でもって「グロッシュラーとクーデターは繋がらない」と読んでいる。だからこそ、こうして平気で1対1の対面が実現してしまったのだろう。グロッシュラーが何を思ってジーンと直接向かい合うのかはまだ分からないが、ようやく、大きな刺激が飛び出してきそうなセッティングが整ったぞ。

 なお、馬鹿王子サイドは食パンのおいしさを理解したところで終わった模様。「これは食パンっていうんですか」とか「焼いたらトーストっていうんですか」とか、この国の言語体系がさっぱり分からんな。やっぱりあのトースターは出張先から買って帰ったんでしょうかね(どう考えても食パン用だし)。美味しいパンで朝を始められるのは良いことですよ、王子。

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 番組前の「幼女戦記」のCMから妹ちゃんにナチュラルに繋ぐのやめて、第4話。同じ金髪の可愛い子なのに、ギャップのひどさに胸焼けするわ。

 ようやくこの世界、ドーワー王国ってのがどういう国なのかが見えてきた気がするよ。今までその全体像がイメージしづらかったのだが、今回登場したスイツ区の存在からして、多分「国」というほど確固たる集合体にはなってないんだな。ちょっと程度の差は大きいが、現実世界だとEUみたいな一つの連合体だと考えればいいのかな。大きな違いは、それらを統べるためのACCAとう「上層組織」が存在していること。ACCAがあるおかげで、13の区はつかず離れずの関係性で何とか「国」の体裁を保っているわけだ。

 これまでジーンが訪れた区は基本的に平和なところばかりで、問題が見つかったとしてもせいぜいACCA局員の使い込み程度だったが、今回訪れたスイツはちょっと違う。内部に火種を抱えているのだ。ただ、普通「独立した国っぽい地区」だったら「ドーワーなんて1つの国に編成されたくない!」ってんで独立気運が高まって暴れそうなところだが、むしろこちらは逆。区として編成されたはずなのになかなか外部との門戸を開かない区の上層部に対して民草の不満が募っており、「もっと自由に周りと交流させろ」というのが「クーデター」のモチベーションになっていた。これで更に関税の問題とかも絡んでくると今のイギリスの問題なんかにも近づいてきそうだが、まぁ、この世界はもうちょっと古風な、近代レベルでのやりとりなので今のところは人的な移動や流入の問題に留まっているようだ。

 こうして観ていると、結局ジーンが訪れる各区の問題ってのは1つにまとまっておらず、「この区ならでは」の揉め方になっている。ジーンがそうした芽を見つけて摘んだり守ったりする様子は、なんだか「キノの旅」みたいなロードムービーのイメージである。今回のお話なんかはまさに「クーデターの国」という小編だということが出来るだろう。オチも穏当だったし、ドーワー全体の風土を少しずつ対比しながら、13の地区の個性がここから見えてこようというものだ。

 そして重要だったのは、ジーンが「クーデター」という言葉にしっかりと反応し、その真相を突き止めるためにのんびりと反乱軍に拉致られたところ。これまでは彼自身が(国レベルの)クーデター関与者だと思われており、実際、視聴者目線からではその真偽は計れないでいたが、今回の反応を見る限り、どうやらジーンはクーデターに関連していないと見て間違いないようだ。だからこそ、不当な濡れ衣を着せられたクーデター関係の情報には耳ざとくなっており、今回は渡りに船とばかりに組織の内情を探ってやろうとしていたのだろう。まぁ、残念ながら実際にはもっと小規模な「区レベル」のクーデターでしかなかったが……。

 一応、ジーンは主人公補正も含めてシロってことでいいんでしょうね。いや、今までの展開でも何となくそういう雰囲気だったけども。自分から余計なこと話さないから分からないのよね。そして、そんなジーンを追うグロッシュラーさんと、彼の手駒となって動いているはずのニーノ。ただ、今回スイツの暴動に巻き込まれかけたジーンを救ってくれた「クーデターの一味っぽい人」、明らかにニーノなんだよな……(声だけだから兼ね役の可能性はゼロじゃないが……)。ニーノってジーンの敵なのか、味方なのか。あの態度からじゃそれも見えてこないなぁ。まぁ、妹ちゃんを馬鹿王子の魔の手から守りたい、っていう意図くらいはあるかもしれないけどさ。まだまだ謎は多いお話でした。

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