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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 馬鹿王子の一発でそれと分かる馬鹿王子感、第3話。ちょっと油断すると銀河で美少年な感じだ。そりゃぁ国も傾くわなぁ。

 相変わらず、本当に静かで静かなアニメ。ひょっとして、このままのテンションで最後まで走り抜けるのだろうか。まぁ、過去のオノナツメ作品を見ていればそれでも驚かないけども。今週はただひたすらにお城のパーティ。そこら中に火種が燻っているように見えるのでどこかでドンパチでも起こるのかと期待していたら、マジでパーティーだけ開いて終わったっていう。逆にすごいよな。これで30分をきっちり消化出来る作風ってのもな。

 国の上層部、5長官を中心に色々な思惑が渦巻き続けている。一番の懸念材料は、国の安定が揺らぐ即位のタイミングを見計らってのクーデター。先週明かされた通り、この国は一見すると平和なのだが、実はいざこざが片付いたのは案外最近のこと。たくさんの国が寄せ集めで1つの大国を形作っている状態なので、ちょっとでも問題が起こればまた空中分解してしまう可能性はあり、今の王の御代が終わってしまえば、きっかけとしては丁度良い。問題は、誰がそんな物騒なことを望んでいるのかということだ。これまでACCA内部でも怪しまれていたのはジーンだったわけだが、これはあくまで「いつでも各地方を飛び回っているために国中に散っていると思われるクーデター派の連絡役をやっているのではないか」という実利的な側面からの疑惑だった。そして、それを下支えしていたのが諏訪部ボイスの5長官の1人、グロッシュラー。彼は1話で監察課の廃止を目論んだ男だったのだが、簡単にその提案を翻した背景には、もっとでかい野望が息づいているという。「王権ではなくACCAによる中央集権」というのが狙いのようで、そのためには王室が邪魔。あと、多分組織の内部で自浄作用を司る監察課も邪魔。そりゃ「平和の象徴」であるACCAが率先してクーデターを狙ってました、なんてのは査察が入ればどっかでバレるおそれはあるわけでね。そこでグロッシュラーは、ジーンに濡れ衣を着せることで、監察課の追い出しと自分からの容疑の目を逸らすことの一石二鳥の作戦に出た。

 と、もう1人の5長官である遊佐ボイスのリーリウムが言っています。ぶっちゃけ、前回のニーノのこともあるせいで、現時点で誰が味方で誰が敵なのかも定かじゃないんだよな……。まぁ、描写の感じからしてこの男は味方っぽいのだが……。「ACCA内部にクーデター派が紛れ込んで根を張っている」というのはおそらく本当のことだろうが、現時点でそれをグロッシュラーだと断定するだけの材料はない。ジーンの扱いも、今のところどこまでが本心でどこまでが打算なのかも見えてきていない。予想外の変なとこから裏切り者が出てきてもおかしくない状況であり、当のジーンが全く緊張感のない様子なので、全然その辺の調査が進んでいないのだ。多分、現時点で味方だと確信できるのはエロい本部長くらいのものではなかろうか。あれで本部長が実は悪い奴だったらジーンもチョロすぎるしな。

 結局「何も分かってない」という状態で、淡々と進行する「何か」の探り合い。この空気に果たしてどこまで耐えられるものか……。

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 やっぱり変なアニメだな、第2話。一切の熱も圧も感じないのに、気付けば30分経っている不思議。「さらいや五葉」の時とはまた違った感覚だなぁ。

 一応今回「熱」があったとしたら、不良支部局員の子との諍いのシーンくらいだろうか。彼は今作では珍しく激情も表に出してくれる子なので、淡々と進むお話の中で唯一語気を荒げるシーンになっている。ただ、色々と悪さをするライバルポジションにでもなるのかと思いきや、あっという間にニーノに調べ上げられて太刀打ち出来ず。うむ、やっぱりツダケンボイスのキャラは有能だし強いな。まー、あれだけあからさまにあくどいことやってりゃ、別に探偵じゃなくてもその内誰かが気付きそうなもんだけど。ジーンはあっさりとライターを取り返し、放火魔の汚名を着せられずに済んだのです。

 だがしかし、だがしかし、そんなジーンにかけられた疑いはちんけな放火魔などではなく、なんと、平和なこの国ではあまり聞き慣れない言葉、クーデターを企てるような悪い奴だ。いや、実際には「現在の国王のお父さんの世代」にクーデターが起こっていたとのことなので、この国の民からすればクーデターも割と現実的なお話なのかもしれないのだが、少なくとも平和そうな世界を見ていると、とてもじゃないけどそんな物騒な話がおきそうには見えない。今のところジーンが見つけてる不正もそこまで悪辣なものではなかったしなぁ。あー、でも放火とか強盗は日常茶飯事で起こってるのか。世情がどうなっているのかが見えてこないので、「あるんだか無いんだか良く分からない緊張感」はどこか不気味。

 さらに不気味なのは、現実的なのかファンタジックなのかもよく分からない世界設定全体だ。ジーンが出張する地区の名前はいちいち日本語のおふざけになっており、今回は農作物がでっかくなるからジュモーク(樹木?)地区。そして、そこで採れる作物は全部どでかくなるという。ハンバーガー屋での光景は、まるで星新一のSSを読んでいるかのような光景だ。このへんの「変な」世界観がどこまでこの世界の「常識」なのかもまだ見えてこず、そもそも同じ国の中、同じような風土になるはずの「地区」が、それぞれに全く別な役割を果たしているという設定自体が謎なのである。これで食べ物だけの話ならまだギリギリ理解出来るのだが、なんとジュモーク地区の人間は身長がとんでもなくでかくなるという……。人間の生態系にまで影響を及ぼしはじめたら、もうクーデターとかそういう以前の問題で戦争になるのでは……。

 うーむ、やっぱり変な世界で変なアニメだ。そして、そんな変な世界なのに、ツダケンキャラのニーノは至極まっとうにスパイ任務を実行しているという。すげぇよな、「30年間気付かれてない」だからな。お前ら、一体いくつなんだよ。ひょっとしたらこの世界では身長同様に寿命も一般的な認識からはみ出たような連中がたくさんいるのでしょうか。もしそうだとしたら「国王のお父さんの時代」が数百年前とかいう可能性もあり得るので、クーデターが過去のものになっている理由も説明はつくのだが……。

 なんかもう、こういう「変」を淡々と描き続けており、そこに特別さを感じさせないようになっているので、「そういうもんなのか」と思ってただ諾々と流れに従うばかりになっているのであった。この先、どうなっていくんでしょうか。

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 ビシッと決めたよ、最終話。いい落としどころだったのではないでしょうか。やっぱり見終わってすっきり出来るのが良いアニメなのです。

 最終的には、「あんま変わってないよ」というエンディングではある。結局智幸は他の多くの死者と同様に次の生へと旅立っていったわけだし、ノーナさんとオクルスの絡みについても、オクルスが不穏なことを言った時にはどうなるものかと不安になったが、結局「オクルスが思ってたのとは違う方向」に進み、この部分だけを見ればノーナさんに一本。とはいえ、彼女が狙った「裁定者の革新」はまだまだ始まったばかりのところであり、裁定者世界に多大な影響を残したということもない。オクルスはこれまで通りに不気味なにやけ面でこの世界を統べていくのだろうし、ノーナさんは不平を漏らしながら今まで通りの管理職を続けていくだろう。世界は何も変わっちゃいない。ただ1点、デキムの笑顔を除いては。

 いわば「最後の審判」となった今回の「スーサイド・ツアー」。自死を経験した智幸が生前の世界へと旅をするのだから名前はそのまんまである。そしてそこでは、これまで以上にえげつない、趣味の悪い「死のゲーム」が行われる。これまでは「2人の死者が対決して、勝った方が生き残れますよ」という売り文句で裁定を行ってきたわけだが、今回はよりダイレクトに、「このボタンを押せば生き返れますよ」である。もちろん、普段の裁定のときと同様に「その分、誰かの命は犠牲になるが」という注釈付き。冷静に考えれば、この取引がいつも通りのクイーンデキムのゲームと同じものであることには気づけるのかもしれないが、「ツアー」に連れ出された智幸にも、我々視聴者にも、そんなことを考える余裕は無い。「押すか、押さないか」という究極の2択を迫られ、智幸は危うく転落しかけるところだった。オクルスの言う、「人間というもの」はそこに弱さがある。

 しかし、智幸はこれまでのクイーンデキムの生活で、様々な「生」と様々な「死」を見てきた。その経験を思い出すことで彼女はギリギリ転落せずにすみ、「最後の審判」によって感覚レベルで繋がっていたデキムを破壊することに成功する。ついにデキムは、智幸の記憶、体験、選択を通じて、「感情」の一端に触れる事に成功したのだ。これまでも、島田・辰巳の時などには激しい反応を見せていたデキムだったが、長い間裁定者に禁じられてきた「感情」に辿り付くには、最後に大きな一押しが必要だったのだろう。このたびの「最後の審判」の結果によって、彼はその重くて固い扉をついに開け放ったのである。これまで人形の象徴とされてきた瞳の中の十字はついに解放され、デキムが流す滂沱の涙は彼の感情の発露をこれ以上無い形で示している。ついに、人形は一歩人間に近づくことが出来たのだ。

 もちろん、だからといってすぐに裁定者の世界は変わらない。しかし、ノーナさんが求めていたのはあくまでもこの「第一歩」であろう。蟻の穴から堤も崩れる。彼女のいう「人間に寄り添った裁定」を目指すために、デキムがそのきっかけとなる日が、悠久の時を過ごすあの世界でいつか訪れるのかもしれない。人間に接することで、人形が変われることを示したのが、最大の功績なのである。

 今回は問答無用の演出でもってぐいぐいみせる今作の魅力がふんだんにつまった文句無しの最終回。静かで物寂しい智幸の実家パートから、熱の籠もった悲哀の嗚咽パート、「ひょっとして押してしまうのでは?!」と思わせる緊張感からの、世界が崩壊しデキムが「壊れる」シーン。世界が変わるカタルシスが味わえてこその最終回。これだけのサイズ感で見せてくれれば文句無しです。ラストシーンのデキムの笑顔も素敵だったし、これなら文句無しでハッピーエンドなのだから、そりゃぁかかる楽曲は「Flyers」に決まっている。今日もきっとクイーンデキムでは凄惨なゲームが繰り返されているに違いないが、きっとその中にも、「楽しかった人生」「次の人生」が見える人間の「生」の物語が息づいているに違いない。

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 クるなぁ……第11話。いよいよもって核心に迫るお話。当然それはとても残酷で、とても苦しいお話である。

 ようやく蘇る智幸の記憶。彼女が失った死の記憶は、大体予想された通りのものになっている。スケートに人生を捧げた彼女は、若い身空でその人生を捨てることとなり、現実を許容出来ずに自ら幕を下ろすことを選んだ。正直、私自身が死を選ぼうなどと考えたこともないし、彼女のように全てを失ったと感じたことなんて人生で一度たりとも無いので、彼女が何故そのような心理になってしまったのかは理解できない。「スケートを失ったことに絶望した」人生であるというならば単純ではあるが理解も出来ようが、どうも彼女のモノローグはそういう描かれ方になっていない。生き甲斐を奪われたそのことは当然ショックだっただろうが、その後に自分の人生を考え、そこに何も「得られる」実感が無かったことで、彼女は「死にたくなった」のではなく、「分からなくなった」のではなかろうか。家族とはなんだったのか、友人とはなんだったのか。彼女の人生において、それらは全てスケートを介して存在するものであり、全てにおける基点となったスケートを失うことは、彼女の回りの世界を全て「分からないもの」に変貌させてしまった。人生とは何か、生きるとは何か、そして死とは何か。分からくなったから、彼女は散歩に出かけるのと同じように、死出の旅路への道のりを選択した。そこには希望も絶望もなく、ただの「喪失」だけが残されている。

 彼女がそうした記憶を失った状態であるにも関わらず「死んだ」という事実のみを覚えていたのは、ひょっとしたらそうした「死のとらえ方」が一般的な人間とは違っていたからかもしれない。普通の人間は、どれだけ急な死に様であっても、「自分が死んだこと」を理解する。そして、「死にたくない」と思ったり受け入れたり、とにかく自分の中で「死」に対して向き合う。ギンティの言っていた「死に直面した時に初めて考えること」というのがそれであろう。しかし、智幸の場合にはそうした「死と向き合うこと」すら存在しなかったのではなかろうか。彼女は死のうと思って死んだだろうが、そこには元々「分からない世界」「分からない生」があり、そこに「分からない死」が平等に与えられただけ。彼女にとってその行動は何か2つの世界を分かつ選択ではなかったのであろう。おかげで、彼女は記憶を失うことにはなるが、「死を選んだ」という記憶だけは残されたままでクイーンデキムにやってきたのかもしれない。

 こうして失われた彼女の人生が、今回はスケートのプログラムと共にゆっくりと立ち現れる。これまでの10話ではずっと黒塗りだった彼女の人生。同じように薄暗くモノトーンのスケートリンクでしなやかに動き出した彼女の人生が、スケーティングの速度と一緒に加速し始める。黒衣、黒髪、ずっとモノトーンだった彼女の回りに、少しずつ色がつき始める。フラッシュバックする様々な記憶と共に、彼女の人生が一気に画面に花開いていく過程は圧巻で、ただ無言で、1人の女性の記憶がなだれ込んでくるのを受け入れるのみ。ひょっとしたらこれが裁定者の受ける「記憶の奔流」なのだろうか。明るく楽しかった彼女の人生。活き活きと躍動するスケーティング。それらが素晴らしければ素晴らしいほどに、観ているこちらは締め付けられるような思いになる。それらは全て、失われた過去のものであることを知っているからだ。

 全ての記憶を取り戻し、彼女の演技は終わる。デキムとの一時で、彼女は自分が「失った」ことを語り、代わりにそれをデキムに与えることになった。死んでから分かることもあるし、生きているからといって全てが分かるわけではない。「死んでいないし、まして生きてすらいない」と漏らすデキムに対し、智幸は何か「生きた印」を与えることが出来たのだろうか。今回は、スケートシーンを含む全てのシーンが非常に緊迫感のある高質な映像で構成されているが、キーとなるシーンがいくつか、オープニング映像から採られているのがまた印象的だ。具体的には、メメントモリと名付けられた酒を飲む智幸のカット、エレベーターに向かうノーナのカット、そしてCパートの智幸を抱きかかえるデキムのカット。ここまで全て構成済みの状態で作品が提供されているのだなぁ、ということが実感出来ると嬉しくなる。

 そして、今回は智幸の物語と並行して、ウィーギンティではマユを巡る物語も展開されており、こちらも恐ろしいほどに重たいものになっている。いなくなったと思っていた原田のボディがどこからともなく現れ、マユには「原田を虚無から救うか、全く知らない人間を救うか」という選択を迫られる。原田が虚無堕ちしていたというのも驚きであるが、ひょっとしたらそれをとっておいてここで切り出してきたのは、本当に底意地の悪いギンティの悪辣な手口の1つなのかもしれない。他人の行く末を決めるという手に余る難行を押しつけられたマユ。彼女は結局、そんな無理難題を受けて原田を救う道を選んだのだろう。ギンティはそれを観て、「やはり人間とはどこまでも勝手な存在だ」というので、2人をまとめて虚無送りにすることを決める。これこそが既存の裁定。デキムが疑問を持った、人の血を必要としない裁定の形だ。マユは望まぬ形で結論を叩きつけられ、そのまま絶望と共に虚無へ堕ちる。最後に原田に意識が戻り、2人の魂が溶け合いながら消えていったことは、最後の救いを意味するのか、救われない2人の末路を描いただけなのか。

 ギンティの行った非情な裁定は、どう考えたってやるせないものだ。たとえマユでなくとも、あの場面で正解など出せるわけがない。そもそも正解がない。だからこそ彼女は、最後の最後まで自分を貫くことでせめてもの抵抗とした。原田がいなければ自分の人生など意味が無い。だから原田を救うことにどんな代償でも払うことが出来た。既に出来上がった彼女の人生に「原田がいなければどうするのだ」と問うことは、まったく意味が無いのである。彼女は自分の生と向き合う中で、それが自分の世界であると定めたのである。そして、ギンティの「職務」もまた同様である。彼は自分で何も決めない。ただ仕事として与えられたからこそ、裁定者の職務をどこまでも忠実にまっとうする。マユが自分で決めた「何も無い」死だったとするならば、ギンティは自分で決めない「何も無い」生である。

 他方、そうした「決める」という選択が出来なかったのが、智幸とデキムの側である。智幸は自分の生きる目的を決めたつもりであったが、いざそれを剥奪されると、全ての人生が意味を失ってしまった。彼女は「決める」ことが出来ずに終わった人生だ。デキムの方も、裁定者の仕事を与えられながら、それが正しいのかどうかは未だに迷っている状態で、決められない状態にある。マユの人生が正しかったと思う人間は少ないかもしれないが、少なくとも彼女は「考えて答えを出す」過程を辿った。そこにはきちんと「メメント・モリ」のメッセージが息づいている。今度は智幸の、そしてデキムの番だ。最終回で、ノーナさんはどんな幕引きを求めているのか。オクルスはどこまで介入するのか。緊迫の最終回である。

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 前回との温度差、第10話。まぁ、今回もシナリオ的には大事な1話ではあるのだが。おばあちゃんのおかげで終始ゆったりまったりね。今回コンテが笹木信作氏なのね。

 物語もいよいよ締めに向かっている。今作最大の焦点となるのは瀬戸ちゃん改め智幸ちゃんの行く末である。彼女が「全ての記憶を失った死者」であったことは既に語られていたが、それがクイーンデキムに居座っているのは自然の摂理に反すること。「死者の魂が長居すると人形になってしまう」とのことで、智幸の身体もそろそろ限界が近いようである。あれ、それってつまり「モウタベラレナイヨ〜」なマユちゃんもそのうち壊れ始めるってことで……うん、まぁ彼女の場合はなんでギンティんとこに居座ってるかさっぱり分からないからな。意外とホームステイ感覚で滞在できるもんなんですかね。デキムとかギンティなんて超人的な能力を持ち合わせてるんだから、ギンティは邪魔だと思うならさっさとマユちゃんをエレベーター送りにできるとおもうのだが、それでも放っておいてるってことは、案外あの野郎もマユちゃんのこと気に入ってるのかもしれません。意外と気さくな裁定施設である。

 さておき、前回の辰巳・島田騒動は智幸の心を揺さぶり、その揺さぶりはノーナの狙い通りにデキムへと派生。あまりに凄惨な結末だったために、流石の鉄面皮デキムも自分の仕事に自信を無くしてしまった(まぁ、ああ見えてデキムって案外神経細いんだけども)。ノーナさんのところに相談、というか直談判に行き、「もう今の裁定システムやめません?」と提案する。もちろん管理職にあるノーナさんはしれっとそんな部下を追い払ってはいるものの、狙い通りにことが進んで内心ほくそ笑んでいる。続けて、クイーンのところに手土産持参で出張し、わざわざ智幸の記憶を全発掘・再構成する仕事を依頼した。どうやら、智幸はデキムの信条を揺さぶるお仕事をこなすのと同時に、彼女自身の人生においても、デキムを揺さぶることになる何らかの仕掛けが隠されているようだ。でもなぁ、おっかないおっちゃんに目ぇつけられちゃったからなぁ。オクルスさんの髪だか髭だか触手だかよく分かんない謎の器官により、エレベーター係の彼からノーナの企みはすっかりばれてしまった。「裁定者に人間の感情を植え付ける」というノーナ流イノベーションはここでオクルスに潰されてしまうのだろうか。大前提になる裁定者三箇条の「感情を持てない」にばっちり反してるからなぁ……。いや、でもノーナさんも含めて裁定者もみんな感情豊かなんだけどね……オクルスがどの程度「良くないこと」と認識しているのかが現時点ではよく分からないな。

 今回のゲームはババ抜き。おばあちゃんがやってきたのでそれにかこつけてなのかどうかはよく分からない。デキムの口ぶりからすると、ルーレットで決めると言っても今までの裁定は全部事前に競技種目は決まってたみたいだが、今回は誰か別な人間の意志(まぁ、ノーナ)が介在したのか、それとも本当にランダムだったのか。考えてみりゃ、死者の裁定なんてものは普通は老人を大量に扱わなきゃいけない部門なわけで、毎回ランダムでボーリングだのエアホッケーだのが出てたら、全国の死んでしまったおじいちゃんおばあちゃんが大変だよな。アーケードゲームなんて論外だし。そう考えると、ババ抜きはおばあちゃんに優しいナイスゲームだ。そして、そんなババ抜きの特殊ルールも、おばあちゃんに合わせて安心設計。これまでの流れから考えると「トランプの絵柄が各自の身体の部位になってます」になるかと思っていたのだが、なんと今回は思い出博物館である。漫画家をやっていたというおばあちゃんのレトロな絵柄がなかなかにハートフル。今回は初の3人プレイということで、どさくさに紛れて絵柄の中にデキムに関する品々も混ざっているのはどうかと思うけども。

 そして当然、そこには智幸に関する品物も混ざっていたのだろう。我々視聴者からは智幸関係とお婆ちゃん関係を見分ける方法が無いのでどれがどれだかは分からないが、ジョーカーに描かれたスケート靴だけは、間違いなく彼女ゆかりの品だろう。おばあちゃんは「ジョーカーは最後まで持っておくもの」との遺言を残していったわけだが、あのカードに描かれたスケート靴は、おそらく智幸の死の原因にも関わってくるのだろうし、今後デキムがノーナさんの企みに関わった事で突き上げをくらったときにも、ひょっとしたら何か重要な役割を果たすことになるのかもしれない。……スケートと「死の記憶」が繋がるっていうと……あかん、なんかひでぇ現場しかイメージ出来ないわ。その他に智幸の人生の手がかりとなるのは、チャボットという絵本のお話。優しそうなお母さん(CV伊藤美紀)に読み聞かせてもらっている幼い日の智幸ちゃん。そこにはとても幸せそうな家族の姿が映っており、こんな輪廻の狭間でくすぶるような女性には見えてこないのだが……あ、でも彼女の格好が無駄にエロ格好良いのは気になるな。あの姿は彼女の生前の何かに由来してるんでしょうか。それとも単にデキムの人形の趣味なんでしょうか。だとしたらデキムさんグッジョブであるが。

 真相に迫りながらも大事な部分には触れないエピソードだったので今回はそこまで盛り上がるという話でもないのだが、これまで散々酷かったりおかしかったりする「死」の姿を見せられてきたので、こうして普通の「往生」が見られると、「本来死ぬってのはこういうことなんだろうなぁ」ということを考えさせられる。もしデキムが今まで通りの裁定方法を維持し続けていたら、あのおばあちゃんにもなんか悪逆非道なゲームをやらせて、のたうち回る姿を見なきゃいけなかったんだよな。そりゃあかんわ。デキムは今回の一件ではっきりと決意を定めたみたいだ。ただ、そんなデキムと対極にいるギンティのいうことも真理だとは思うんだよなぁ。「人間は死ぬことを忘れていて、死んだ途端に生きる意味を探し始める。だが生きる意味なんか無い。いつか死ぬから生きるだけだ」。むー、そう言われればそうなんだけどなぁ。やっぱり、生きるために生きたいよなぁ(無駄に生きる日々を貪りながら)。

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 久しぶりに強烈な回がきました、第9話。元々「地獄少女」ファンからの流れで(?)この作品を気にしていた身としては、こういうヘヴィなお話が一番のストライクゾーン。いやはや参った。

 今回はいくつかの「うおぅ」が入り交じっているので、1つずつ見ていくことにしよう。まずは脚本、前回の引きの時点で「この2人が完全に無関係ってことはないよね」と言っていたわけだが、ここまで濃い絡みになっているというのは流石に予想の斜め上。どっちかがどっちかを殺した、っていうのも当たりではあったが……こんな展開になっているとは。辰巳(刑事の方)が殺された理由は、そこだけを切り取ればなかなか理不尽である。はっきり言って「誤認殺人」なわけで、本当にとばっちり、島田(青年の方)がちゃんと相手を確認しないうっかりっぷりにも困ったものだ。一応「彼は殺人現場を見られたと思って、目撃者を全員殺すつもりだったのか?」とも考えたが、彼の性根を見る限りではそういう意図ではなさそう。あくまで「ストーカー男の家に上がり込んできたってことは、きっとこいつが共犯に違いない」というすげぇ適当な予断で辰巳を殺してしまったことになる。ちょっと軽率過ぎる気はするが、まぁ、いざ人を殺めてしまった後となると、そのあたりの判断力は鈍っていたのかもしれないからしょうがないか。

 ただ、その1点がやや理不尽だったように見えた以外は、今回のシナリオはかなり「面白い」。「復讐心」という共通する動機を持って人を殺めた2人の男たちが出会い、互いに励まし合い、奮い立たせながら次の行動に移るように手を取り合っていたところを、少しずつ記憶が戻ることによってその構図が歪んでいく。本作の最大の特徴はこの「失われた記憶が少しずつ戻っていく」部分にあり、その超常現象による理不尽な展開がたっぷりと楽しめる。島田君の方は、「実際には手を下した後だった」ということを思い出してショックを受けた。「殺したい」と願うほどの復讐心だったはずなのだが、いざ「殺してしまったこと」を思い出すとやっぱり手が震えるし、そんな事実を目の前にいる刑事に話してしまったことも絶望的であった。彼の復讐心は、この時点では「人並み」の域を出ない。しかし、話した相手が悪かった。なんと、目の前にいる頼れる刑事は、実はネジの外れたサイコパス。復讐心が募りに募って、最終的にはぶっ壊れてしまったシリアルキラーなのである。結果的にはその殺人鬼を「殺して」しまった島田だったが、元々仲間だと思っていた「復讐者」というカテゴリのあまりの落差に感情が追いつかない。そして明かされる妹の真実。味方から仇へと180°振り切れてしまった相手を前に、青年の心は揺れに揺れまくるのである。

 このセッティングは、明らかにノーナさんが意図してデキムの元に送り届けたものであろう。「心無き裁定者」という、今回瀬戸ちゃんが必死に抗った忌むべき存在を問い直すためには、一番手っ取り早いのはデキムの前に別な「裁定者」を引きずり出すことである。今回のペアリングのおかげで明るみに出たのは、辰巳のあまりに悪辣で、偏った正義感である。独善的で暴力的なその信念は、殺された妻の声を免罪符にしながら暴れ回る単なる殺人者のものであり、裁定者でもなんでもない。しかし、辰巳の中でその信念は揺らぐことはなく、瀬戸ちゃんの言葉によって、「デキムたち裁定者も同じ穴の狢である」ことが晒される。彼女の涙ながらの訴えも色々と考えさせられるものがあり、これまでなんだかんだと仲良く過ごしてきたデキムに対し、今までに無いキツイ言葉を色々浴びせかけた。「生きたこともないくせに」っていうのはけだし名言である。最初はいつも通りの鉄面皮だったデキムも、瀬戸ちゃんの涙に明らかに狼狽する。彼が暴き出した「人間のどす黒い部分」というのは、そのまま自分たちの中にも横たわっていることを指摘されてしまったのである。相手の中に見るべきものを自己の内部に認識してしまった時点で、デキムはもはや「心無い裁定者」ではいられなくなってしまう。今後、彼がどのように形を変えていくことになるかは、本作最大のテーマといえる。

 そして、こうした怜悧なシナリオラインを盛り上げた今回の作画・演出面が手放しで面白い。前回はエアホッケーの部分がやや淡泊な描写になっており、「せっかくのデスゲームアニメ(仮)なのになんだか勿体ない」と思っていたものだが、今週はまるで何かに取り憑かれたかのような鬼気迫るコンテ・作劇になっている。ゲームシーンだけでもこれだけの温度差を設けているということは、前後編という2話またぎになった構成を最大限に活かし、後半の盛り上がりを印象づけるための方策だったのだろう。そして、いざゲームが終わったあとが今回の山場であり、仮面を脱いだ辰巳の大上段に構えた演説、それを聞きながらもがき苦しむ島田、必死に自己の正義を訴え続ける瀬戸ちゃんと、3者3様の心理描写はまさに迫真。1話の監督コンテ回に勝るとも劣らない、見事な「切実さ」でもって、この大舞台を演出してみせた。今回のコンテを担当した小林寛氏という名前は恥ずかしながらこれまで認識してこなかったが、今後は注意して観なければいけない名前になった気がする。ラスト、エンディングテーマをはさみながら島田が包丁を振り下ろすシーンなんかは本当に圧巻だ。辰巳の立ち居振る舞いも、瀬戸ちゃんの涙ながらの訴えも、全ては最後の島田の「笑顔」の為に用意された道具立て。こういう怖気の走るアニメがもっと見たいです。

 そしてもちろん、今回の立役者として、忘れちゃならない中の人たち。なるほど、ここに藤原啓治なわけだね……。ほんと、彼が実際に役作りのために2,3人殺してるって言われても驚かない自信がある。今回の辰巳役は、新たなけーじくんヒストリーの1ページに加えてしまって問題無いでしょう。そして、そんな辰巳の迫力に押されがちではあるものの、あれだけの圧力を受け止めきれるのが櫻井孝宏という男なわけで。最後の「笑み」をすとんと落としてくれるあたり、ぐうの音も出ないですわ。こんなおっさんたちに戦いを挑まなければならなかった瀬戸ちゃんもものすげぇプレッシャーだったろうが、負けじと押し返せてたのが流石だなぁ。

 いやぁ、本当に恵まれたアニメになってますよ。

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 「啓治さんと一緒で助かった」「啓治さんはやめてくれ」って、あんた啓治ですやん、第8話。デカチョーデカチョー、テーヘンデス!(CVアスミス)

 ここにきての2話またぎ(だよね?)。まぁ、今まで全部バシッと1話で終わっていた方が特別だった気もするので、これくらいの密度でも特に違和感は無い。1,2話だって2話またぎみたいなもんだったわけだし。普通に「人の生き死にのドラマ」を描いてたら、30分の尺では足りないことの方が多いよね。僅か30分であれだけ密度の濃い2人分の人生を描いてゲームまで面白かった6話はやっぱり神がかってると思う。今回は「人殺しの人生」ということで、なんだか色々と問題を抱えている2人の男性が登場。現時点ではその先のネタについては全く何も分かっていない状態なので、「待て次週」というしかない。っつうか関東圏は2週近く先行してるから既に結末が放送されているはず。うーむ、地域格差のもやもやが止まらないぞ。ネットでネタバレ見ないように気をつけないと。

 一応今回のお話のどんでん返しとしては、「人殺しが来るよ」→「どっちが人殺しか分からないよ」ってんで瀬戸ちゃんと一緒に我々視聴者も考えてみよう、っていう展開だったのに、「どっちもかーい!」っていう。ただ、ぶっちゃけあんまりその部分をサプライズに使おうと思ってる演出にはなってないので、むしろここから先でどのようにこの2人が接続していくのかの方が興味がある。普通に考えるなら「何の関係もない人殺し2人がたまたまクイーンデキムに同時に通された」ってことはないだろう。単純な予想では、どっちかがどっちかを殺してるっていう関係性だけども……でも、今回のエピソードだけを見ると、別に2人とも悪人ではないんだよなぁ。けーじさんの奥さんを殺したのが若者の方、っていうのもなさそうだし、若者の妹をストーキングしてたのが啓治さん、ってのも無理がある。だとするとこの2人にあまり深い因縁はなさそうなのだがね。そのあたりでどんでん返しがあるのか、それとも単に「俺の復讐心の方がでかいんだよ!」ってアピールして2人とも寂しく死んでいくのか。どうにも予想が付きません。この状態で一週間生殺しはちょっとキツイが……考えて分かるもんじゃないしなぁ。

 既にだいぶ前からそうではあるのだが、ここ最近はゲーム自体にはそこまで魅力はない。いや、元々のビリヤードだってそんなご大層なゲームじゃなかったのだが、今回のエアホッケーは命のやりとりのゲームとしてはなんだか緊迫感に欠けるし、実際のゲームシーンもそこまで手をかけて描いている印象もない。実際のゴールシーンはあまり描かれていないし、具体的な描写を避けて「なんだか怪しげなものを押しつけたり、ぶつけ合ったりしている大の男2人」というイメージだけを伝えようとしているようにも見える。まぁ、厳つい顔したおっさんが本気でエアホッケーやってる図はなかなかシュールで面白いといえば面白いのかもしれんが。もう少しこのゲームの内容と芯となるストーリーの関係性が深ければシナリオの味わいも増すと思うのだが……なかなか難しいかねぇ。結局「デス」要素もあんまりバリエーションがなくて、今回もダーツの時と同じ趣向になっちゃったしね。ダーツだったら一応狙って攻撃出来たけど、今回はどの部位のパックが出てくるかは完全にランダムだからプレイヤー側はどうしようもないやん。

 その他、今回はノーナさんが「他が埋まっているから」といってクイーンデキムに急遽予定外の客を回した様子が描かれているが、裁定者側ってどんだけ人手不足なんだろう。いや、多分今回の件はノーナさんが狙ってやってることなので、デキムに影響を与えるために上層部にばれないよう、無理して変な案件を持ち込んでいるだけだとは思うのだが、そんなあっさりと「埋まって」しまうような運営体制では、そのうちパンクしちゃうんじゃないかって心配になるな。そして、デキムたち「人形」サイドは普通にやっている「お客の記憶データの編集・ダウンロード」は、なんと瀬戸ちゃんの脳内にも送り込めるフォーマットになっているらしい。便利ではあるが、そんな簡単に部外者に漏らしていい情報なのだろうか。瀬戸ちゃんも瀬戸ちゃんですっかり現状になれてしまい、「データちょうだいよ」ってすげぇ気軽に言ってる。脳内に記憶のダウンロードなんてなかなか簡単にお願い出来ることじゃないだろうに。まぁ、一気に人間2人分の記憶が流れ込んできても壊れなかったんだから、割と瀬戸ちゃんは強い子なのだろう。

 さて、次週は「後半戦」ってことになるわけだが……どういうオチが待ってるかは割と楽しみ。櫻井・藤原というあり得ないくらい犯罪係数の高そうなコンビの事件なので、穏やかに終わるとはとても思えません。シビュラに判断を委ねると、かたや免罪体質、かたや犯罪係数史上最高値のコンビだ。うーむ、けーじくんに勝てる未来が見えない。

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 ひょっとしたらデキムさんって萌えキャラなのん? 第7話。2話のやらかしのせいですげぇ印象悪かったんだけど、こうしてみてるとちゃんと作品の中心人物(主人公といえるかどうかは微妙)として機能してるんだよね。もぐもぐしてるデキムさんの口元、ちょっと笑っているように見せるカットとか小憎らしくて大変よろしい。

 5話に引き続いて、裁定者サイドのメインストーリーが進む。結局まともにゲームに興じた回って1,3,4,6話で、そのうち胸くそ悪くなる回って2回だけだったし、案外ハートフルなアニメといえる。いや、裁定者側のドロドロはお世辞にもハートフルとは言えないのだけども。今回のやりとりで大体各キャラがどういうポジションにいるのかは分かりましたな。あと、明確に「作られた」存在ということを言明したのもとても大切な部分。おそらく目の描写にペケが付いてる人は「作られた」存在なのだろうね。

 まず、中心となっているのは間違いなくノーナさんである。「ビル」の90階を担当するノーナさんはいわば雇われ大家みたいな存在であり、偉いことは偉いんだけどもその上には神に最も近い玄田声のおっさん、オクルスが控えている。単に太陽系ビリヤードの相手をさせられるだけだったらいいのだけど、どうやらノーナさんとオクルスはイデオロギーに相違があるようだ。今回最も大切なファクターとして、オクルスの言っていた「裁定者三箇条」がある。「1つ、裁定者は裁定者をやめられない」「2つ、裁定者は死を経験できない」「3つ、裁定者は感情を知ることができない」。1つ目は問題無いだろう、以前から言われていたことだし、少なくともこのビルの中には「裁定者とか辞めたいわー」って言ってるようなヤツもいない。職業選択の自由は必要とされていないだろう。まー、情報局に移転を命じられたクイーンさんは激務に文句言ってましたけどね。「裁定者」サイドと一括りに言ってみても、実際はいくつかの部署があるらしく、立会人業務と情報局では全然仕事が違う。そして、そのどちらも(おそらくオクルスらによって)作られた「裁定者」という存在が務めるのだ。情報局に配属されるためにはおそらく一度「立会人」業務を経る必要があるんでしょうね。のんびりした立会人の仕事と違って、情報局は1秒間に2人の死者のデータをまとめて、エクセルで表にして、営業の人たちに提出しなきゃいけないらしい。うむ、ブラック企業だ。こんなスピードで仕事をこなさなきゃいけないとなると、デキムたちだってのんびりゲームなんか楽しんでる余裕は無いよな(1秒間に2人死ぬってことは、仮に死者全員を裁定しなきゃいけない場合、1秒間に1階、ビルのどこかの階でエレベーターのドアが開けられることになる。つまりわずか一分で60フロア埋まる。……とてもじゃないが90階が一番上のビル1つじゃ処理しきれないだろ。まぁ、他にもたくさん裁定者ビルがあるんだろうけども)。

 三箇条2つ目についても、まぁ、そりゃそうだろ、という感じのお話。「作られた」存在だと明言された時点で、裁定者たちは「現世」とはまったく違うルールで生きる存在ということになる。目の前をあまりに多くの死者が過ぎ去っていくが、それと「死ねない」ことはあまり関係無く、ただ黙々と、永遠に仕事を重ねるだけの道具になればいいということ。どうせ過去の仕事の記憶が消えるなら、マンネリに辟易するようなこともないだろう。普通のサラリーマンが40年続けることを、それ以上やるかどうかの違いだけだ。ただし、「死を知らない」つまり「死の恐怖が理解できない」というのは構造的な矛盾の1つであり、1話でデキムが間違えた事例のように、裁定者が人間と異なる感情体系を持っているからこそ起こってしまうミスジャッジも必ず存在している。そのあたりの不都合は、効率化の観点から目をつぶるしかないのだろうか。

 そして問題となる3つ目。裁定者は感情を持つことができない……うそぉ。どう考えたってみんな感情豊かすぎるやないか。デキムだけは確かにそんな感じかもしれないが、ノーナも、ギンティも、クイーンも、みんなかなり感情豊かだし、好き嫌いをすぐに顔に出す。ギンティに至っては「愚かな人間を弄ぶのが楽しい」とまで言っている。それでもみんな本当は感情がないのか? まー、ギンティみたいな存在は「神の側から与えられた、効率的に裁定を行うプログラム」とも考えられるが……。よく分かりませんね。

 しかし、どうやら本作の焦点はこの「感情」の側面に今後は絞られていきそうである。ノーナさんは既存の裁定者の存在に疑問を持っているようで、オクルスの目を盗んで、「感情のある裁定者」を試験運用しようとしている。それが最も平板なように見えるデキムってのが面白いところであるが、彼はイニシエーションとなる「ビリヤードのスイッチ押しちゃうよ任務」でいきなり異端の感性を発揮し、他の3人を唖然とさせた。別にそこまでおかしな反応でもなかった気がするのだが、ノーナやクイーンが驚いたということは、デキムがやったことは「裁定者としてはおかしい」ことだったのだろう(ギンティの方が普通であり、かなり対比的な描かれ方になっている)。そこでノーナさんはデキムの成長に期待し、色々と手をかけて彼に「感情」を呼び覚まそうとしている。その結果なのか、それとも元々の才能なのか、デキムは忘れてしまうはずの過去の客の人形に「執着」を見せるし、瀬戸ちゃんとの付き合い方にも多少の変化が生まれている。

 こうして「ノーナさんによるデキム育成日記」だと思って見ると、瀬戸ちゃんのポジションも大体予想が付く。元々イレギュラーとして転がり込んできたのは事実なのだろうが、そうしたイレギュラーに目を付けたノーナさんが、デキムを変化させるための良い呼び水になると考え、彼女を置いておくことにしたのだろう。人間をあの空間に置いておくことはおそらくルール違反である。「作られたもの」だけが存在出来る空間では、瀬戸ちゃんは異端であり、ひょっとしたら害悪であるかもしれない。オクルスは彼女の存在に気付いているのだろうか。どうやら瀬戸ちゃんの記憶も少しずつ戻ってきているようで、これからも人間関係は大きく動いていきそう。まぁ、もう1人もっと分かりやすいイレギュラーのマユちゃんも居候してるわけだけども……彼女は今後どうなるんだろうね。単なるにゃんこマスターとしてギンティのところに居座るつもりなのかな。

 それにしてもクイーンさん、どんだけバルメに似てるのやら。強そうだけど、完全にデスクワーク専門なんだよなぁ。ワイングラス抱えたまま寝オチするのって、すげぇ危ない気がするよ。気をつけて。

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 うひゃぁ、面白いやつだ、第6話。今回、ひょっとしたらいままでで一番好きかも。本当に画作りの良い作品なので、シナリオラインの細かいトコ気にしないで楽しめるとすごく良いアニメになる。

 今回の面白さの中心にいるのは、当然のことながらゲームの招待客、マユちゃんである。もー、俺らみたいなクソオタクはリアルの生活で絶対接点を持ちたくない脳みそ空っぽギャル。趣味はアイドルの追っかけだし、恥じらいは欠片も無いから萌えキャラからはほど遠い。「こんなヤツの生死なんてどうでもええやんけ、せいぜいみっともなく足掻いて情けない姿をさらすんだろな」と思っていると……そうなんだよなぁ。ギャルだろうがオタクだろうが、信念があれば関係無いんだよなぁ。徹頭徹尾自分を維持し続け、どんな嫌がらせにも、ドッキリまがいのアホゲームにも、生死を賭けた修羅場でも、一切ぶれない見事な馬鹿の生き様。素晴らしい。途中までは死の記憶が無かったとはいえ、あんなトンデモな状況下でもろくに疑問を抱かず、頭を支配するのは憧れのアイドルとのツーショットのことだけ。それ以外のことは全て些事であり、願いが叶っている間は何が起こっても平気。強い、このギャル強い。そして、最終的には当然「お前が死ぬか、憧れの人が死ぬか」という極限状態に陥れられ、これまでの参加者の例を紐解かずとも「どす黒い人間性」を暴かれてしまうという状態にも関わらず、この娘は何一つ変わらない。いやまぁ、汚いっちゃぁ汚かったけどね……そうかぁ、死人でもトイレにいく必要はあるかぁ……。

 相変わらず、お話だけを切り出してしまえばなんてこと無いシナリオなのだ。いつも通りのパターンで、最後の最後に「死」を思い出して絶望する。ただ、今回はマユのKYパワーが炸裂したおかげで「死」自体はほとんど問題になっていない。3話のカップルの時と似たような状態。そして、あちらは「くっつきそうだったカップルが何となくくっつく」お話だったが、こちらは「根性を見せた女の子のブレない生き様が、性根の悪いすけこましアイドルを改心させる」というお話。とても良いお話。何がすごいって、普通に考えれば人気アイドル原田とやらだってクソみたいなヤツなのだから最初から最後まで悪人として描かれているはずなのに、今回のお話は不思議と嫌悪感がわかないのである。まぁ、中の人のインパクトって話もあるが、それ以上に、この原田がマユちゃんのワールドに飲み込まれてしまい、彼女を引き立てるため、単なる悪人で終わることが出来なかったためであろう。いくらアホみたいな関係性だとしても、やっぱり「マユが憧れる男なんだからそれなりの魅力はほしい」という要請があり、原田は「マユが一直線に突っ走るための動機」として不足無い程度のキャラには仕上がっているのである。クライマックス前のアーマーキャストオフのシーンは無駄にイカしてて笑ってしまうし、最後の改心にいたるまでの流れも、(どう考えてもこいつが悪いのに)感情移入してしまう部分がある。なんか、最終的に3話のカップルよりもこっちを応援したくなりません? まー、実際付き合い始めたらすぐにボロが出て別れそうな組み合わせではあるのだが……。

 今回、僅か30分の尺の中、ゲストキャラでしかなかったはずのマユちゃんがここまでの存在に膨れあがったのには、大きく2つの要因がある。1つは何と言っても今作最大の売りである丁寧で美麗な画面の効果。本当にね、「狭い空間でちょこちょこゲームやってるだけ」っていうすごく画にしにくい設定を、あの手この手で「魅せる」作劇が上手い。ツイスターゲームでドッキドキ! ってのはつい最近だと「クロスアンジュ」でもやってたんだけど、まるでアカギの時の無駄に盛り上がる麻雀のごとく、こんなどうでもいいゲームでここまで盛り上がる画面が作れるとは。細かい表情の作り方も最高で、マユの魅力は美人とか、素直とか、そういう普通の「可愛い」じゃない。イラッと来るようなふてぶてしさ、何も考えてない頭空っぽな勢い、そのくせ一途で信念のある生き様(死に様?)、そうしたものをガンガン表に出してアピールするのって、かなり難しい課題だったんじゃなかろうか。開けっぴろげなパンツとか、顔面に風を受けてぐっちゃぐちゃになるご面相とか、そういう笑わせる画面の勢いもあるし、末期には涙を一筋流し、原田と重なりあうちょっとセンチな演出まで、非常にメリハリがある。こういうところで力を発揮するアニメが大好きです。

 そして、もう1つの要因はここで力強く主張しておこう。中の人である種﨑敦美の熱演である。やっぱりこの子すげぇ上手いよなぁ。エレベーター出た直後から、ほんの一言二言であっという間にマユワールドを作り、どんな非常識で、どんなに馬鹿馬鹿しい状況でも「マユイズム」がきっちり出て、見事にキャラクターを引き立てている。彼女の仕事がなければ、どれだけ良い画面だったとしてもマユがここまで化けることはなかったはずだ。いやー、すげぇ良いものを見せてもらった。相方に宮野があてがわれたこともあって破壊力が2倍3倍に膨れあがってたよなぁ。ありがたい話です。

 こうして跳ねっ返りで悲壮感の無いマユがメインだったためなのか、今回はクイーンデキムではなく、ギンティが担当するバー「ウィーギンティ」が舞台となっている。やってることは大して変わらないのだが、ルール説明が雑だったり、明らかに参加者を不必要に苛立たせ、いじめて黒さを引きだそうとするなど、裁定者の中でもやっぱり違いがあることが伝わってくる(あと謎のこけしね。デキムの人形と同じように、ギンティはこけし製作が趣味なのだろうか)。今回のお話はデキムと瀬戸ちゃんではここまでの勢いは出なかっただろうから、アニメシリーズ的には、ギンティは「ギャグ大盛り上がり回」の担当なのかも。いや、多分ギンティが絡んでもっと悲壮なエピソードだっていくらでも作れるとは思うけども。ギンティさん、いくら面倒だからって仕事全部ネコに任せるのはどうなのさ。

 結局、今回はメインシナリオ(?)は特に進むこともなく、瀬戸ちゃんに関わる謎などは一切進展しなかったわけだが、オープニング映像を見る限り、マユってこれからもあのフィールドに居座ることになるんだよな。……それでいいのか裁定者たち。そんなん許してたらどんどん死人が溜まるぞ。彼女のヘアゴム、どこに売ってるか知りたいです。

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