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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 大・団・円! 最終話! 終始笑顔! 誰も悲しまない晴れがましすぎる幕引き。みんな脳天気だが、それでこその世界なのかも。ちなみに最終話の延べ話数は97話であり、1期が全51話だったので2期は46話とかなり少なめ。もう2〜3話多かったら何が出来たかなぁ、なんて考えるとちょっと勿体ないな。

 まー、鉄板の最終回。これまでの鬱憤を晴らすかのような見事な作画に彩られ、期待していた通りにグッと来る良いものにしあがった。予想外だったのは、思った以上にサターン様の物わかりが良くて肉体言語が通用したことと、ぶったおすんじゃなくて説得だけで勝負がついたこと。あと、昴が戻って来なかったのもちょっと意外だったかも。まぁ、サターン様も今更人間体になって日常生活を送る気にはならないかなぁ。完全に「サターンが変化した仮の姿」だったので、ポセイドンに憑依されただけのジュリアンとはちょっと話が違うのよね。

 さて、最終決戦はこれまでの2年間を総決算するように、ひたすら拳と拳、とにかく殴り合い宇宙の間もずっと笑顔という恐ろしい対決になった。Ωの力を集めて作られたアルティメット聖衣が開始5分で粉砕されるというのはギャグにしか見えないのだが、どうやら光牙もサターンも外側を守るだけの殻にはあまり興味が無い。というか、それをぶっ壊すことの方に生き甲斐を感じてしまったようで、「そんなんだから部下にミラーさんとか置きたくなるねん」と意外な接点が見えたり見えなかったり。「やっぱり男の決着は河原での殴り合いだよな」とは思いながらも、実は聖闘士星矢シリーズでここまでステゴロな決着ってかなり珍しいんだよな。普通はもっと観念的な不思議必殺技対決とか、サジタリウスアローとかになるわけで。今回の対決は昴という「兄弟」との対決だったために、そうした殺伐とした兵器を使うのではなく、光牙と昴が出会ったあの頃に原点回帰しての腕力勝負に持ち込むことになったのだろう。今回はオープニングも昴&光牙のこれまでの交流を振り返るスペシャルエディションになっており、1年という短い期間ではあったが、2人がともに過ごし、Ωへと至る道をともに歩んできたことが回想されている。まぁ、その結果がダイナミック腹パン祭りってんだから容赦無いけども。最後の最後まで腹パンアニメだったー。でも、最後の腹パンは痛々しくなくてさわやかな腹パン。

 聖衣を粉砕され、互いに「どっちが早く脱げるか」みたいな競争をしながらも、光牙は流星拳、彗星拳、ローリングクラッシュと全ての技を披露して見せ場を作る。ローリングクラッシュの使い方だけちょっと謎だったけど、あの青い固まりは実体を持つ物質だったのがなんか笑える。時の神のくせに何を操っていたのだろう(土星的には氷の固まりだったのかしら)。結局、直接の殴り合いだけでは単に楽しいだけで、「いくらでも自然治癒出来る時の神」VS「無限に仲間からエネルギー供給され続けるΩの権化」では体力勝負は終わらない。そこで、六人全員の力を結集して昴説得作戦へとシフトし、かつてない殴り合いで盛り上がっていたサターンの中から「人間ってオモシロ!」気分を引きずり出すことに成功する。1人1人が昴に向けてメッセージを送るくだりになり、ちゃんと栄斗がたった一晩だけ2人で過ごしたあの日のことを振り返ってるのは良かったね。そういやあったな、そんなイベント。エデンも直近の友情確認イベントを回想するが、その場に氷漬けの時貞さんが飾ってあったのがちょっと怖い。

 1年かけてじっくり旅をした割に「人間は強い、だが、神はもっと強い!」なんてひでぇ結論に達していたはずのサターン様だったが、無尽蔵にわき上がる光牙のΩパワーを見て、「なんだ、人間も強いな!」ってんで宗旨替え。まだまだ人間に地球を任せても大丈夫っぽい、という監査結果を計上し、今回は地球人類を不問に処すことに決定した。元々「人間は醜く争うから駄目」っていう理屈で地球を攻めた割に「手を組むと人間強い」っていう理由で解放するのもどうかと思うが、まぁ、光牙の心根にあるのが「地球を守る」という人類の共通意識だったということなのだろう。「また地球が怪しくなったらすぐにでも滅ぼしにくるから」とありがたい別れの言葉を残し、「熱き血潮の兄弟」昴は、また悠久の時の彼方へと去っていった。ちょっともの悲しい別れのシーンではあるのだが、サターンと昴の意識が共有され、きちんと「昴がそこに存在している」ことが確認出来たし、その昴が自分の意志でサターンとして一回り大きくなって旅立つのだから、晴れやかな顔で見送るのが正しいのだろう。エクレウス聖衣もちゃんと復元して返してくれて、新たな神がアテナの聖闘士を認めたというこれ以上無い証となった。これで光牙は、戦いの神アテナ、時の神サターン、(あと闇の神アプス)と、随分神様とのコネクションが広がったのである。将来的には星矢をも上回る大物聖闘士としてアテナの守護に邁進する日が来るのかもしれない。

 男と男の拳の語らいが終わり、残ったのはエピローグ。まずはことの発端、パラス・タイタン夫妻。自分の過去の過ちに心を痛めるパラス様だったが、まぁ、幼女の気まぐれだったのだからしょうがない(?)。今後は「愛の女神」としてアテナを影から支える力となってくれることだろう。流石にタイタンと小さな所帯を持って静かに暮らすってわけにもいかないだろうが、彼女もアテナ同様に博愛を持つ神なのだから、行き先さえ間違わなければ善政を布くことが出来るはずだ。心痛めるパラスに希望を与えるために登場してくれたのはなんと懐かしのセレーネちゃん。よかった、ちゃんと生きてたんだね。おじさんの肩身である聖衣はちゃんと戻ってきたし、彼女も思い出を大切にしながら再びパラスベルタの再建に勤しんでくれることだろう(そう言えば、あれだけ大量に湧いてたパラサイト兵とかサターン兵ってどこに消えるんだろうね)。

 そして、多分今週一番のサプライズ、黄金聖闘士たちの井戸端会議ではまさかの教皇選挙が勃発。何故か紫龍がいないのが気になるが、貴鬼・フドウ・インテグラ・星矢という残り全員の他薦で選ばれたのはまさかのハービンジャーさん。なるほど、これは面白い。タイタン戦で一気に男を上げ、名実ともに「アテナの聖闘士」の模範となったハーさん。この荒れ果てた世の中を統べるには当然サンクチュアリの統治者として教皇が必要。考えてみたらマルスがいなくなった後はずっとその辺が宙ぶらりんだったのね。当然ハーさんはそんな栄職に就くことはいやがるに決まっている。スラム出身のゴロツキが宗教色の強い首長なんてちゃんちゃらおかしいからだ。しかし、外野から見たらこれほど美味しい話はない。もうハーさんがどれだけ悪態をついても悪人じゃないことは分かっているわけだし、ポジションを固めてしまえば勝手に暴れて面倒を起こすこともあるまいて。要約すると、「みんな教皇とか面倒だから上手いこと言って一番頭が悪そうな奴に押しつけた」図にも見えるのだが……かつては教皇になりたくて先代教皇をぶっ殺した奴とかもいたのになぁ。貴鬼が「聖衣直さなきゃいけないから無理だわー」って適当な理由で断ってるのが笑えた。お前、こないだ5つの聖衣まとめて一瞬で直してたやないか。聖衣なんて全部あわせても100無いんだから、1日あれば終わるやろ。まぁ、新たに就任したハービンジャー教皇だって面倒は分かってて受けてくれたのは優しさなんだろうね。そのうち嫌気がさしてサンクチュアリ放り出して遊び歩きそうな気もするけども……「また教皇様が飲みに出ておられる!」みたいな未来が見えるね。まぁ、人間くさい教皇が出てきても良い時代じゃないかな。ラキとじゃれてるハーさんを見てるとすげぇほっこりします。

 気になるのは他の黄金ポジションなんだよな。星矢は上手いこと面倒なポジションをハーさんに押しつけたから、多分今後も沙織さんとイチャイチャし続ける所存。責任感があることは分かったので、サポートポジションとしてハーさんを支えるのには適してるんだろう。っつうか、他の黄金が堅物ばっかりだから、案外飲み屋でハーさんとくだを巻くやんちゃ小僧としては星矢が一番仲良しっぽい。あとは外付け倫理装置として機能しそうなフドウ、貴鬼、紫龍が固定面子で、インテグラさんもどっちかっていうとお堅そうなイメージかな。さて、残った黄金はどうやって埋めていくのか。教皇職とタウラスは兼任するのかしら。流石にまだ今回の青銅連中に任せるわけにはいかないのかなぁ。でも「サターン大乱」への貢献度を考えれば蒼摩たちにも充分権利はあると思うんだけどね。氷河とか瞬を見てると、みんなして黄金にはなりたくなさそうなんだよなぁ。5年後くらいにはフレッシュな顔ぶれの新生黄金が見られるかもしれませんね。その時にはちゃんと反省を活かして素性のしっかりした連中を選んで欲しいものです。いっそ新獅子座あたりにタイタンさんを推挙出来ないもんだろうかね。

 そして、全てを解決した立役者である光牙は、見慣れた聖衣背負い姿での全国行脚へ出発。元々流れ者だった光牙には相応しいエンディングだろう。ラストシーンではいちゃつこうとする星矢・沙織に割ってはいってさりげなく邪魔したり、一応沙織さんとの関係性も思い出させつつ、そこは星矢に任せて後は根無し草。仲間達4人はそれぞれに守るものがあることは分かっている(2期スタート時の仕事に戻るだろう)ので大人しくお見送りに。きっと光牙が日本を訪れた時には、どこかのライブ会場で陶酔しきった顔の元忍者を拝むことが出来るだろうさ。そして、意外なことに光牙とともに旅をすることになったのは「神の子」エデンであった。この2人の凸凹珍道中は多分色々ともめ事も多いんだろうけど、最も神に近い2人の旅路は、まだまだドラマに溢れているに違いない。ゆっくり世界を回って、2人なりの「正義」を見つけ出して欲しいものだ。

 終わってみれば本当に全員笑顔。あとの世界に憂いは無く、輝かしい希望だけが残っている。2年間の旅路の結末としては、やっぱりこれが一番なのではなかろうか。長旅、本当にお疲れ様でした。全「聖闘士星矢Ω」97話。書き続けた感想は総計22万文字になりました。お疲れ光牙、お疲れ俺。来週から日曜日が暇になるのか、それとも相撲取りについての感想を書いていくことになるのか……いや、寝よう。

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 ヲイ、紫龍、オイ、第96話。いや、そりゃまぁ誰も死んだとは思ってなかったけどさ。せめて一輝みたいにちゃんと「どっかに行ってた」アピールくらいはしろよ。単に瓦礫の中で気絶してただけなのかよ。黄金聖闘士ほぼ全員生存やないか。

 なるべく簡単にまとめるなら、「元気玉展開」。青銅軍団が星矢の遺志を受け継いで戦いを挑むも圧倒的な力の差によって敗れ去り、地球は一時、サターンの手に落ちる。しかし、最後の希望は若い聖闘士に託されることになり、アテナの計らいで全世界の残された小宇宙が全て光牙の下へ。悲喜こもごもの全てを肩に背負い、残されたペガサスが、単身最後の戦いに挑む。まぁ、予定調和的な展開なのだが、「全ての小宇宙を一手に引き受ける」=「人と人を繋ぐΩの究極形」っていう図式は綺麗な流れだと思う。前回の星矢との問答の末、「昴のために覚醒したΩを昴に向けて使うことは出来ない」っていう結論になっていたわけだが、その矛先をこっそりすり替えて、「とにかく人がみんなで手を繋げば強いんだ」っていう理屈にしてしまえば、後は勢い任せで昴をぶん殴る事も可能になるだろう。ま、実際はサターンの中の残された昴を説得し、鉄拳制裁で目覚めさせるっていう展開になるのだろうが、そのあたりの下準備もエデンがやってくれたので、次回は綺麗に最終回を迎えることが出来るのではなかろうか。……最終回なんだなぁ。やっぱり考えたくないのだが……次の朝に待ち構えてる力士がドヤ顔でアピールしてくるから嫌でも認識してしまうよなぁ。

 さておき、そんな分かりやすい展開だったのだから本来ならあんまり語るべきことも無さそうなのだが、色々とネタ要素も多いのが不思議なところ。冒頭、星矢が最後の一撃を見舞いながらも倒れ、「君たちにアテナを託す」というアイオロスの至言を残して散っていったところは素直にグッと来るシーン。ほぼ生身の状態で打ち果てたはずなのにその後に射手座聖衣がオブジェモードで残されたのはかなり違和感があるのだが、やっぱり「聖闘士が散った後に聖衣だけが残される」っていうシチュエーションはいつ見ても切ないし恰好いいものである。しかし、そんなことはサターン様の知ったことではないようで、「残された黄金聖衣を飴細工のようにたたき割る」という前代未聞の暴挙に出ている。酷い。聖闘士の高みであるはずの黄金聖衣がここまでぞんざいに扱われた例は過去に無い。元々ボロボロになっていたとはいえ、あまりに脆すぎてなんか悲しくなった。それだけサターンが強いってことなのだろうが……聖衣くらいそっとしておいてもいいじゃないのよ。

 もちろん、そんなサターンの暴挙に若い世代が黙っているはずがない。前回のワンサイドゲームを忘れたわけじゃなかろうが、再び立ち上がって最後の晴れ舞台に挑むことになる。これまでなかなか出番が無かった6人、最後に何か「サブ主人公」らしい活躍を見せてくれるかと思ったら、何と全員が最大必殺技を突然開眼させてたたき込むという流れに。「ライオネットバーストフレイムボンバー」とか「廬山千龍覇」とか、なんかよく分からないけど多分強いんだろう。けど、この場で一回限りの必殺技として炸裂させちゃうのはどうなんだよ。もっといい見せ場あったろうに。それに龍峰、千龍覇ってなんだ。お前の親父さんでさえフィニッシュホールドが百なのに、勢いでそれを越えるな。あとロックシンガー、お前なんなんだ。そこで歌うな。そこでマイク持つな。せっかく良いシーンだったはずなのに、完全にネタ画像になってしまったやないか。ちなみに栄斗さんは、この後の「全員の小宇宙を届ける」シーンでも妙にイキったジャケット姿(普段着)になってて妙に浮いてる感じがたまらなかった。次週、平和になった地球で彼は音楽活動を続けることになるのでしょうかね。

 結局、6人中4人は「壁役」というあまり扱いの良くないポジションだけでおしまい。残り2人こそが今回の主役。光牙はもちろんだが、エデンはこれまで時間をかけて昴との関係性を築いてきた苦労があるので、ここで多少なりとも報われないと可哀想だろう。仲間4人によって道を繋ぎ、最後に2人がコンビネーションをたたき込むという配置だったが、その作戦自体は「お前らのやり口は知っている!」と意気込むサターンに粉砕されてしまう。しょうがない、戦いがワンパターンなのは事実だからな。でもそれは光牙たちが悪いんじゃなくて原作者に文句を言ってくれよな。しかし、4人が倒れたあともエデンたちだけはなんとか奮戦し、結果的にはサターンに最終奥義を使わせるまでにはなったのである。エデンさんは光牙に全てを委ねる前に「神の孤独」について一言コメントを残しており、彼の思いの下には、かつて「神の力」に振り回され、自分を見失って滅んでいった父親の姿が確認出来る。昴の中に不可解な神の力を感じながらも黙って見守ってきたのは、新たなマルスを産みださないよう、神だと分かっていても極力「友人として」接しようと努めた結果だったのだろう。エデンは1期のころの頼りないお坊ちゃんからちゃんと成長していたのだなぁ。

 しかし、そんな努力も水の泡。結局全ての人間の時間は停止し、光牙はもちろん、アテナやパラス、元パラサイトのタイタンさん、平気で復活してきちゃった紫龍・フドウ・貴鬼の3人組や、前々回颯爽と登場した邪武さんに至るまで、あらゆる人間が時間を止めた。訪れた静寂の中で悦に入るサターン様は、満足げではあるがどこか寂しそうにも見える。ちゃんと「胸の痛み」と独り言で言ってしまっているあたり、既に昴復活のフラグはびしびし立てられているのである。完全に沈黙した人類であるが、やはり最後はアテナの力。神による抑圧に辛うじて抗えたのはやはり神だったのだろうか。沙織さんの呼びかけに応じて、世界中の聖闘士が残った力を最後の希望として光牙に送り込む。よく見るとどさくさに紛れて行方不明だったインテグラさんもいる。パラドクスの亡骸からは小宇宙は出ていなかったので、多分彼女は本当に死んじゃったんだろうなぁ。あと、ついでに聖闘士じゃないのにタイタンさんやラキまで小宇宙を送っているのも気になる部分。ラキでもいいんだったら聖闘士じゃなくて世界中の全人類から力をもらえばいいと思うんだけど、残りの人類には沙織さんの言葉は届かなかったのかな。かてて加えて、「全人類の時は止めたわー」とサターン様が満足している中、平気で帰還する一輝兄さん。どうやらアイガイオンさんが最後の情けで異次元転移から守ってくれたらしい。やっぱり彼はいい人だった。一輝も彼の気持ちをちゃんと分かっているようで、「お前が興味を持った人間って奴の力を見せてやるよ」とまんざらでもない様子。まぁ、一輝だけだったらΩなんかなくても単体でサターンくらい倒せる気もするけども。時間停止効かない時点で完全に一輝の方が上やん。サターンの奥義発動のタイミングで地球上にいなかったから時間停止の影響を受けなかったのかな。もしこれで永遠に時間が止まりっぱなしだと、この後の一輝はすげぇ寂しい人生を送ることに。怖い。

 とにかく、そんなフェニックスな小宇宙も含めた全ての力を受け止め、ついに光牙が最終Ω聖衣に進化。最後の戦いが始まるわけである。光牙のところにたくさんの小宇宙が駆けつけ(?)たわけだが、最初に飛び込んできたのが檄先生だったのがちょっと微笑ましかった(更にイチさんが続いたのも笑った)。さぁ、後はこの作品の2年間の集大成を黙って見守るだけである。多分、すげぇ普通の最終回だと思うぞ!

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 作画ァ! 第95話。しっかりしてくれよ! このクライマックスであの画はないやろ! 最初の方で殴られてるシーンだけアヘ顔なのかと思ったら、けっこう全部のシーンがアヘ顔になってたやないか! もう次の相撲アニメにリソース割かれてるんじゃあるまいな……。

 というわけで、顔の造形ばかりが気になってなかなか本編に集中できなかった今回。やってることもなにげに酷いんだけどね。特に地上。「サターンの側近」という重要なポジションを任されたエウロパ・ミラーコンビ。もちろん最終的に負けることは織り込み済みではあるのだが、まさかの一週間決着、しかもミラーさんに至ってはダイヤモンドダスト一発でKOと、いいとこ無しで終わってしまったのが本当に勿体ない。そりゃ氷河だって伝説の聖闘士なんだから強いのは分かってるけどさ、もうちょっと追い詰める描写があってもよかったんじゃないかな。大技ぶち込んでも相手が氷河だとポーカーフェイスだからいまいち伝わってこないんだよね。あげく最後に送られた言葉が「拍子抜け」だよ。こうなってしまうと、結局側近コンビって四天王よりも圧倒的に格下ってことになってしまう……あ、でも一応タイタンは星矢1人とほぼイコールだと考えれば、氷河1人とイコールで結ばれるミラーさんはタイタンクラスと考えることも出来るのか。タイタン=星矢、アイガイオン=一輝、ハイペリオン>紫龍+フドウ+貴鬼。ハイペリオンさん最強過ぎるわ。なお、ガリアさんは(略)。

 あまりに可哀想だったミラーさんに比べると、まだ見せ場があったのはエウロパさん。まぁ、これまでの引き延ばしに引き延ばしまくって悪態をついてきた「曲者」像の割にはあっけない最期だったのは間違いないが、悪役の晴れ舞台である「みっともなさ」を存分に見せてくれたので、キャラが立つ分だけまだ美味しい退場シーンだった気はする。ネビュラストームに一応勝った(?)という実績は残したわけだし、マッチメイク次第ではもう少し活躍も出来てたのかもしれないしね。ボロボロになり、四天王以外のパラサイト兵としては初めて(だと思う)「クロノテクター無しで立って歩く」という姿を披露。なんか変な衣装だし、基本的になよなよした体型なのでちょっと笑ってしまったが、顔面が歪んでボロ雑巾のようになりながらも任務遂行のために立ち上がった気概は評価出来るだろう。まぁ、その結果、瞬たちの戦いを黙ってみてたおかげで体力温存してたタイタンさんの憂さ晴らしの標的になってしまったわけだけども。「うちのパラスちゃんに手ぇ出したらただじゃおかん!」とお父さん檄おこ。完全にオーバーキルですがな。そりゃエウロパさんだって命乞いしたくなるくらいにはおっかない。「世界の半分」って、どういう基準でプレゼントされるんだろうなぁ。地球を2つに分けて南半球もらってもしょうがないしなぁ……ま、サターン様に進言したところで「はあ?」って言われて終わりだと思うけどさ。

 結局、地上の方はそんなタイタンのすっきり顔で幕引き。本戦試合会場はサターン城である。到着まで一週間かかってしまったためにサターン様も「ようやく来たか」と一安心。開戦早々に青銅軍団が各個出撃して一撃を見舞おうとするも、全員がアヘ顔になりながらぶっ飛ばされるという醜態をさらしてしまう。いや、今更神相手になんで単体攻撃仕掛けるんだよ。せっかくみんなできたんだから、少しはチームワークを大事にしろよ。いいとこ無しでぶっ飛ばされた光牙たちは、惨めに這いつくばってうめき声を上げるだけ。こうなったら頼りになる大先輩、星矢に任せるしかない。ただ、その星矢も単体で突進していくだけなので「お前もかい!」と突っ込まざるをえないのだが、星矢が一人で全て背負い込んだのには理由があった。それは、「サターン戦では光牙たちのΩが使えない」ということを理解していたから。なるほど、確かに目覚めのきっかけが昴の存在だったわけで、「友を思うことで得られる強さ」をかつての友に向けて使うことは出来ない。星矢はそのあたりを全て分かっており、「愛するものを討つ」辛さを光牙たちに味わわせないため、単身サターンに攻撃を繰り返したのである。言われてみれば納得の行く話ではある。

 もちろん、星矢だって馬鹿ではない(いや、馬鹿ではあるけど、割と成長はしている)。Ωは得られずとも、かつてパラスを討ちもらしてしまった後悔から、彼はちゃんと学び、乗り越えていた。もう2度と同じ過ちは犯さない。たとえ相手が昴だと分かっていても、彼は「正義」を貫くために全力でぶつかることを決意している。大恩あるアイオロスから受け継いだ射手座聖衣をボロボロにしながらも、土壇場でサターンの懐まで潜り込んだ星矢。その手に握られていたのは、あの日パラスを討つために使えなかった黄金の短剣。「神をも殺す」と言われる最終兵器を、この時のために必死で取っておいたのだ。なるほど、無策で突っ込んでいたわけではないのである。こんなに頼りになる先輩もなかなかおるまい。見事に星矢の狙いは成就し、短剣はサターンの胸元に深々と突き刺さる。どうなる星矢? どうなるサターン! で、以下次回。

 まぁ、当然致命傷にはなってないわけなんですけども……どうなるだろう。サターンの聖剣くらいは封じられるのかなぁ。それか、短剣の力で内に眠る昴の心をいくらか呼び覚ますとか、そういう展開だと美しいのだけど。最後の最後になって、星矢が全ての聖衣を失い、トレードマークである赤シャツとジーパンになってたあたりは気が利いてて良い。まぁ、一体歳いくつなんだ、って気もする恰好だけど、星矢は多分死ぬまであの恰好だろうしね。そういや1期もずっとあの恰好だったんだよな。

 ところで、今回すげぇ気になったんだけど、今回栄斗ってまともな台詞あった? 全員がぶっ倒れてるところで、1人ずつ悔しそうにコメントしていくっていうお約束のシーンがあったんだけど、栄斗だけ無言だったんだよね。「ウッ」とか「グッ」とか呻いていたとは思うけども……この期に及んで扱いが悪い忍者。次回こそはちゃんと6人で活躍して欲しいもんです。どさくさに紛れてエマたちまで石化してたみたいだけど、地球大丈夫か。

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エギ「ふぁんとむあーむおぶはいぺりおん!!」

ハイペ「勝手に人の名前使ってんじゃねぇよ」

 第94話。この期に及んでまさかの場外戦! 今更下級兵士の戦い! でも! 嫌いじゃない!

 どうやらサターン城とやらはかなり遠方にあるようなので、光牙たち御一行が到着するまでには一週間じゃ足りなかったらしい。サターン様とミラー・エウロパは一瞬で地上と行き来してたはずなので、機動力だけを考えるとサターン軍の圧勝なのだけれど、まぁ、数の上ではアテナ軍有利ですから。エウロパ・ミラー組はちゃんと待っててくれる礼儀正しさもあるしね。2人のクロノテクターは翼の部分が左右対称になっていて、いかにもサターン直属の侍従であることが分かってちょっと恰好いい。2人とも2級パラサイトとしてのクロノテクター(正確にはミラーさんは階級不明だけど)も持ってたが、タイタンたちは自分より格上の存在だって知らずにクロノテクターを貸与してたんだろうなぁ。

 そして、武器の貸与先と言えばなんと言ってもエーギルさんである。史上唯一、神・四天王以外で聖剣を操った男。「黄金聖闘士を打ち破った二級パラサイト」の登場で、下々の戦場は一大事だ。あれ、でも前回のサターン様の時間停止技で地上は静かになったはずでは……一応アテナ軍がまだ活動してたから対決構図にはなったけども、本来なら今更「サターン兵」とやらが出撃したってやること無いんとちゃうか。それにしても、鋼鉄聖闘士ごときでもまだ活動可能ってんだから、サターン様の時間停止も大したもんではなかった。「小宇宙さえろくに使えない」連中があれだけ平気で動いてたってことは、普通の人間でも、それなりに身体能力が高い人間は動けたってことなんだろうか。それとも、鋼鉄聖衣に特殊な防護機能があるとかかな。出来ればそっちの設定の方がイメージしやすいな。

 多分、鋼鉄聖闘士たちも今世界で何が起こっているのかは理解出来ているのだろう。天へと駆け上がる光牙たちの小宇宙を感じて「光牙たちも戦ってるし」と思ったということは、「次なる戦場がサターン城だ」っていうのは全員の共通認識なんだよね。なんで知ってるんだろ。普通に考えたら、突然飛び出した光牙たちを見たら「あいつらどこいくねん! パラスはまだそこにおるやん!」ってなるはずなんだけど。まぁ、あれだけド派手なサターン城が出てきたし、わざわざ「パラサイト兵じゃなくてサターン兵だよ!」と叫びながら出てきた雑魚もいたので、鋼鉄聖闘士たちも何となく空気が読めたんだ。それにしても、パラスもサターンも、あれだけ大量の雑魚兵士をどこにストックしてるんだろうな。あいつらくらいの実力なら別に兵卒の数なんていらんだろうに。

 さておきエーギルさんだ。一度はやられたと思われていた2級パラサイトだが、なんと砕けた聖剣の欠片を握り締めていたおかげで辛くも一命を取り留め、なおかつ劇的なパワーアップまで達成。武器に上司の名前をつけちゃうあたりが何かキモいが、ハイペリオンさんは人格者だったので、それくらいの厚い忠誠心があるってことなんだろう。普通の鋼鉄聖闘士は3級パラサイトにも勝てないレベルなので、当然エーギルさんは「強くてニューゲーム」みたいな状態。数多の「普通の人間」をいびり倒して悦に入っている。何故かその中に那智さんと蛮も混じってたけどね。あいつら、もう少し活躍しても良かった気がするんだけど、何故か必殺技も繰り出さずに鋼鉄聖闘士と一緒に拳からぴゅんぴゅんビーム飛ばすだけだったんだよね。やっぱり聖衣が無いとかつて聖闘士だった人間も辛いのかしらね。だったら檄先生とイチがなんとかしろ、とは思うが。

 そこで力を貸してくれるのが、オリジナル鋼鉄聖闘士3人衆。颯爽と後輩たちの前に現れ、一度はエーギルさんを葬りかけるところまで行ったが、「オリジナル鋼鉄は実はすげぇ負担がかかるんだよ!」という今更ながらの設定が影響してギリギリ力及ばず。エーギルさん、すごくホッとする。スチールハリケーンで負けてしまっていたら、流石に2級パラサイトの面汚しになるところだった。相手の切り札も無くなったと思って再び強気になるエーギルに、今度は「数の暴力」、通称「Ω」が襲い掛かる。小宇宙など使えずとも、とにかく信頼し合う人間が集まり義憤に燃えれば、それはΩとなるようだ。割と節操ない。せっかくハイペリオンさんや「天地崩滅」の名を頂いたファントムアームを炸裂させるも、まさかエマさんに破られてしまうことになるとは。メインヒロインクラスの扱いで奮い立ったエマさんは単体でエーギルの懐に飛び込むと、ゼロ距離からのスチールボルトアロー連打というかなりエグい攻撃に。流石、天下一の腹パンアニメと名高い本作だけに、腹への執拗な攻撃は容赦無い。エーギルさんのみぞおちはぼろぼろだ。

 しかし、なんとかこれすらも耐えることが出来たタフガイ・エーギル。ついに鋼鉄聖衣が限界を迎えたことを確認すると、そのでっかいファントムアームで女の子を鷲づかみにし、「一人一人握りつぶしてやる!」とわざわざ面倒臭い殺害方法を宣告。完全に悪役に酔っている状態になってしまったおかげで、最後には正義の使者の登場を許してしまうことになった。最終回間近でようやくの見せ場、男一匹ユニコーンの邪武の登場だ。たしか先週の顔見せ時点では聖衣を着ていたはずなのに、今回改めてテンガロンハットを被ったカウボーイスタイルに戻って登場。恰好よく変身を決めると、満身創痍のエーギルさんと正面からぶつかって堂々の立ち回り。しっかりと相手の技を打ち破り、シメは伝家の宝刀ユニコーン・ギャロップである(当然のように全弾を腹にぶち込んでいる)。もう、実はこの人が主人公だったんだよ、って言われても信じてしまうくらいに贅沢な活躍である。「邪武、お前今までボーッとしてただけやないか!」という視聴者の突っ込みも当然予想しており、「実は世界中でパラサイト兵を叩いて回っていたのさ!」という「パラサイト狩り」の隠し設定を披露。なるほど、じゃあ仕方ないな! でも、必死に一般人を守っていたはずなのに、周りの人間が突然時を止められて石になっちゃった件はどうしたらいいんでしょうね! すげぇびっくりしたろうな!

 邪武の登場、活躍という見事な「番外編なのによく分からないままテンションが上がる」劇場の締めは、邪武がかつて馬になっていたという黒歴史を思い出させてくれる、「アテナのことが心配か」という回りの気遣い。邪武さん、今でもまだ沙織お嬢さんのことを想っているのね……一途だわぁ。「遠くからでもアテナを感じられるから大丈夫」ってのはちょっとストーカー気質な気もするけど、多分彼は男女の仲とかでなく、最も純粋にアテナを崇拝できている模範的な聖闘士なんだろうね。かつて反目し合っていた星矢がすっかりアテナのパートナーとして定着してしまった現在も、アテナの幸せを思えば、きっと彼の中では満足出来る現状なのだろう。かつては馬、現在はカウボーイ、奇妙な邪武の人生に幸あれ。次回はそんな星矢が一人でサターンにぶつかるらしいぞ。邪武さんも応援してくれよな。……ところで↓

イチ「あれ? シャイナさん、結婚してくれるザンス?」

 サンダークローオチ。

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 ハービンジャーさん、ちゃっかりお留守番に回ったもんだから生き残っちゃいそうだよ、第93話。散々囁かれた牛さん死亡フラグとは一体なんだったのか。

 1話まるまる使って、ついに目覚めたサターン様との人間問答。約1年に渡って昴として人間と行動を共にした蓄積があるのだから、サターン様はもう少し共存関係について悩んでもいいはずなのだが、結論は最初から決まっていたように「否」である。どうせその結論が揺るがないんだったら、わざわざ記憶を消して人間と一緒に旅するなんて面倒な観察旅行しなくても良かったんじゃないですかね。光牙たちは旅の道行きで何をしたら合格出来たんだよ、っていう。そもそも、光牙が「人間の素晴らしさを学んだじゃないか!」って訴えたら「人間は愚かだから争いごとが絶えない」って反論してたけど、昴が地上に顕現してから起こってる争いごとって、全部お前(サターン)が原因じゃないか。そりゃ戦争してない時代なんて人類の歴史には無いのだろうが、サターンがパラスに余計なこと吹き込まなければ、もう少し平和な世界も観察出来たはずだぞ。ひでぇマッチポンプを見た。

 「昴がラスボス」という、我々からしたら周知の事実も、光牙たちにとっては寝耳に水。ショックを受けながらもあの手この手で昴に必死に呼びかけを続けるのだが、サターン様はいちいち反応が薄くて、「Ωに目覚められたよ!」→「Ωなんてお前らに早すぎるわ」など、これまでの積み重ねをことごとく全否定。「地上には害悪でしかないからやっぱ人間滅ぼすわー」と、ポセイドンさんなどと同じ結論をいとも簡単に決定。こういう時の「神」の立ち位置ってのもよく分からないよね。彼らは何を守りたくて人間を滅ぼそうとしてるんだろう。地上から音が消えた結果「ようやく静かな世界が出来た」って喜んでいたけど、人間以外の生物が暮らす地球がお望みなのだろうか。人間がいない状態で神が存在する意味ってなんなんだろう。今更そんな哲学的思索に陥ってしまいそうな、サターン様の酷い決めつけ。「争いが絶えないから人間とか滅べばいいよ」って言ってるのに、自分はどさくさに紛れてアテナとパラスを亡き者にしようとしているという行動矛盾。あかん、このラスボス、駄目な子や。まだ純粋悪だったアプスさんの方が分かりやすかった。さっさと昴に情で訴えて倒すしかない。現時点では、「真・永劫輪廻」というどう見ても剣じゃない剣を一振りするだけで(疲弊状態とはいえ)タイタンさんを吹き飛ばすくらいの実力はあるので、「Ωに目覚めた」といって強さのレベルが頭打ち状態の光牙たちがどうやって勝つのかは謎。1期目では実現しなかったので、いっそのこと6人の合体技みたいな青銅魂を見せつける「友情パワー」をフィニッシュホールドに用意してほしいところだが、聖闘士星矢っていう世界は最終的に個人の意志に託されることが多いからなぁ。今後栄斗に「クッ」とか「ウッ」以外の決め台詞が回ってくるチャンスはあるのだろうか。

 現時点では、「サターン城」とやらにいるのはサターン様1人だけ。尺の都合を考えると、今から光牙たち6人のために新しい敵を用意する余裕はないだろうから(そして、そんなことやられても面白くもないから)、多分残ってるマッチは星矢も含めた7人が延々サターンに向かっていって、飛ばされては立ち上がり、倒されては起き上がることを延々繰り返す展開になると思われる。……うーむ、盛り上がるかな……いや、だからといってアモールさんが双魚宮で呼び出したみたいな「誰やねんお前」レベルの追加戦力を出されても困るのだけど。

 その点、地上のバトルは刺激が多いので安心だ。まずは、何故か先週必要以上にボロボロになっていたハービンジャーさんと、今回マジで神の強さを見せつけるためだけにぶっ飛ばされたタイタンさん。タイタンはせっかく過去の主君に立ち向かうために一人で立ち上がったのに、ものすごく素っ気なく「邪魔だ、どけ」と言われてぶっ飛ばされたのがちょっと可哀想。大人しくパラスの保護者をやってるしかない状況は不本意かもしれないが、多分となりでアテナのお守りを任されたハーさんだって釈然としてないだろう。隣にはずっと打倒を願っていた男がいるわけだし。そんな不思議なコンビをいじめにきたのは、ミラーとエウロパの仲良しコンビ。この2人はだいぶ前から仲の良さそうなところを見せていたので、サターンの両脇に控えていてもあんまり違和感がないね。ただ、今更知ってちょっと気になるのは、「エウロパ」とかその他のパラサイトの名前って基本的に太陽系惑星(多くはもちろん土星)の衛星からつけられてるんだけど、ミラーさんだけ違うらしいんだよね(Wikiを見るとくじら座のミラ、って書いてある)。変幻自在のスタンスのおかげでちょっとイレギュラーな名付けになってるんだと思うのだが、彼の正体にもうひとネタ仕込んだりしてないもんだろうか。流石に無理かなぁ。

 そして、そんなミラーさんにまたまた追いついた瞬と氷河。ミラーさんは駆けつけた瞬たちを見てちょっと驚いていたが、そりゃ追いつくだろ。っつうか、よく逃げられたよな。「地の果てまででも追い詰める」はずのネビュラチェーンからいとも簡単に抜けてしまうミラーさんマジ最強。パラサイト時代は跳ねっ返りの「はぐれもの」だったわけだが、あのキャラ作りは「パラス軍に属しながらも、四天王の命令なんかはシカトして好きに動けるように」っていうアイディアだったのだろうか。自由奔放な顔を見せずにごく自然にサターンに付き従っているミラーさんを見るとちょっと寂しい。また昔みたいに傲岸不遜なダーティープレイを見せてほしいもんだけど。エウロパさんは良くも悪くも今まで通りか。エラく待たされたけど、ようやく彼の本気を見ることが出来るのかしらね(なお、所持武器はやっぱりチャクラムの模様)。

 そして、何故か知らないけどパラス城の外ではこれまでやっつけたはずのパラサイト(エーギルさん!!)が復活して、残りわずかになったアテナ軍に攻め入るという謎イベントが発生する。てっきりパラス城にいた精鋭以外はサターンの時止めで完全にやられたと思っていたが、鋼鉄聖闘士クラスでも割と平気で動けたようだ。そのあたりの「取りこぼし」を回収するためにサターンが改めてパラサイトを差し向けたってことなのか。意外と大したことないぞ、サターン様の力。そして、何故か全く分からないが、ここに来て邪武さんにスポットが。前回の予告で出てきたので期待されていたが、今回は「ただ立っている」だけだった。次回が本番か。確かに、檄、那智、蛮、市さんあたりがあれだけ活躍してたのに邪武だけ今期一切出てきてなかったからね。ここいらでラストチャンスを与えておかないと。

 これで大体全員出そろったかな……あれ? インテグラさんは?

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 真のクライマックスはAパートだからな! 第92話。もうね、これが見たかったんだな、ってのがびしびし来る感動の展開。長かった1年、いや2年。我々の見たかった永遠のヒーロー・ペガサス星矢がそこにいた。

 サブタイトルにある「星矢の本心」。含みを持たせて言っても、その答えは単純明快。「星矢は星矢」だった。アテナとパラスの対決は決着し、残るのはその配下「パラサイト」タイタンと、「射手座黄金聖闘士」の星矢かと思われた。しかし、向き合った2人の男の目はそんな義務的なものじゃなかった。ここ最近はずっと「アテナ」としか呼んでいなかった女性を「沙織さん」と呼んだ星矢。彼はもう、上っ面だけの「アテナの守護者」ではなく、幼い頃から城戸沙織と一緒に過ごしてきた1人の男。跳ねっ返りのわがまま娘に反感を抱きながらも、少しずつ惹かれ合っていった幼なじみの星矢。使命も立場もしったこっちゃない。目の前の女性を守りたいから守るだけの存在。

 結局、「人間」だの「神」だのと小難しいことをこねくり回してはいたが、戦いの目的なんてものはもっと単純なものだ。「戦う行動原理」を巡るタイタンとの対話は、もう、しびれるほどの名言のオンパレード。「愛の女神」と「戦いの女神」の対決では、「戦いの女神」に従わなければならない人間の方が「犠牲者」なのだと説くタイタンに、星矢は「人を勝手に犠牲者にするなよ」と立ち上がる。「沙織さんを泣かせるな」。それだけが星矢の行動原理。女神アテナではなく、城戸沙織という女性のことを一番よく知っているのは星矢なのだ。「聖闘士はアテナの命令に従うものだろう」と問われても、したり顔で「俺は黙って命令に従うほど素直じゃない」と答える。戦う理由は常に自分の意志、「守りたい人がアテナだった、ただそれだけだ」。ただの腕白小僧だったあの頃から、星矢は何も変わっちゃいない。「模範であるべき黄金聖闘士が私情で戦っていると?」と問われ、素直に認める星矢を見て笑顔が隠せないタイタン。「アテナアテナと吠えるただの犬だと思っていたが」と問い詰められ、「アテナアテナと吠えていないと、他の聖闘士に示しがつかないだろうが!!」。

 こんな星矢が見たかった! 僕らの星矢はやっぱりこれ! 黄金聖闘士なんて要職で大人しくしているよりも、やりたいようにやってこそ、それが男らしさに繋がるのである。吹っ切れた星矢を見て喜んだのは、何も視聴者だけではない。ようやく見せたその本心に、タイタンさんもご満悦。何しろ、敵だと思っていた目の前の男が、自分と全く同じ境遇にあることが分かったのだ。「自分と全く同じなもんだから、思わず笑ってしまったわ!」と昂ぶるタイタンを見て、星矢も「お前も思ったより無鉄砲で熱い奴なんだな」と笑顔の対応。もう、この時点でマブダチ確定。お互い面倒な女に惚れてしまったがために、使命にかこつけて暴れ回るだけの馬鹿な生き方である。こうなってしまえば、もうお互いに含むところは何も無い。本音と思いを拳に乗せて、ただひたすらに語らえばいい。晴れ晴れとしてすげぇ綺麗な目をしたタイタンとの、「男と男の決着」だ。最終決着は意外なほどにあっさりと、最大必殺技どうしのぶつかりあいだけであったが、このあっぱれな幕引きに、誰が文句のあろうものか。

 ……いや、まぁ、アテナとパラスの和平という決着は、色々と突っ込みどころもあるんだけどね。今回に限った流れで言えば別にいいと思うよ。ちゃんと一度は剣を交えた上での決着であるし、星矢とタイタンという合わせ鏡の存在のおかげで、「アテナの愛」と「パラスの愛」が結局は根っこを同じにしており、2人ともまだやり直せるのだ、ということが分かるから。アテナが星矢を産みだし、それと同じようにパラスにはタイタンがいる。それこそが、パラスという存在が悪ではないという証明になるのだ。でもさ、流石に円満解決すぎやしませんかね。それで片付くならもう少し早く、先に示談を検討しろよ、って気がするじゃん。星矢も「いいさ、別に命令されて戦ってたわけじゃないんだ」って言ってたけど、それを言われたら聖剣一本折るために燃え尽きた紫龍たちの立場がないじゃん。パラスがこれまでの行いを償うのって、すげぇ大変だと思うぞ。……まぁ、去年のマルスさんだって同じことが言えたわけだけども。なかなか迷惑な姉妹喧嘩でしたとさ。

 そして、「イイ最終回ダッタナー」と余韻を楽しんでいるところに、相変わらずのおじゃま虫っぷりを発揮する見事なエウロパさんの登場。2人の女神のエネルギーを奪い、星矢とタイタンの共同攻撃をはじき飛ばす余裕。窮屈な2級パラサイトの殻を脱ぎ捨て、なんかすごいっぽい新たなクロノテクターに身を包んだエウロパさんは「永劫輪舞」を回収して神パワーを展開。その餌にフラフラと呼び寄せられるのはもちろん昴だ。「神になりたがった男」は、長い長い旅の果てに「人間の強さ」を知ったはずなのだが、そんな蓄積を全てぶっ飛ばす身も蓋もない言動に走る。「人間は強いけど、それは一時の強さ。神は、もっと強い!!」だそうです。今まで何を見てきたんだ、昴。ケレリスさんたちも泣いているぞ。まぁ、多分今のところは完全に操られている状態だとは思うから、無茶するのはしょうがないんだろうけど。

 改めてwikiなんかでお勉強しておくと、今回昴の中から覚醒した「刻の神」はエウロパに「サターン様」と呼ばれた。これは「マルス」が火星であり、戦争の神であったのと同じような存在で、「土星」を意味するローマ神話の神。そして、「土星」を表すサターンはギリシャ神話ではクロノスと同一視される。クロノスといえば当然「時の神」なので同じって理屈。ただ、正確には「時の神クロノス」はサターンと同一視される「大地の神クロノス」とは別人なんて話しもあるからややこしい。まぁ、その辺の混同が重なって「刻の神サターン」っていう存在が生まれてしまったのだろう。1期目が「マルス」で2期目が「サターン」っていうのはアニメシリーズとして座りがいいからね。

 そんな目覚めてしまったサターン様との最終決戦が次週から幕を開けるわけだが、もう、タイタン・星矢を含めた全員でタコ殴りにしてなんとかならないもんだろうか。相手陣営は昴・エウロパ・ミラーだけのはずだが……氷河と瞬はどこで何をしてるやら。次回予告ではどさくさに紛れて邪武さんが映ってたんですけど、なんで出てきたのん? 「沙織さんが星矢に取られた!」って思って慌てて聖衣掘り出してきたのかしら。

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 長きに渡る姉妹喧嘩の決着、第91話。今回のお話を一言でまとめると「お姉ちゃんの方が強い」で片付くっていう。今まで1年もかけてじわじわ奪ってきたアテナの命とはなんだったのか。

 前回、漢一匹ハービンジャーさんが見せつけてくれたあっぱれな活躍でアテナの聖衣を死守。今回ついにアテナがそれを身にまとい、同様にクロノテクターを装着したパラスとの直接対決である。文字通り「直接」「対決して」おり、長かった聖闘士星矢史上でも初(だと思う)の「女神対女神」のガチ殴り合いである。流石に本職の聖闘士たちに比べると動きはややもっさりしているものの、鬼気迫る表情で斬りつけてくるパラスの覚悟は、流石に1年かけて鬱憤溜めてきただけはあるなぁ、とは思えるものに(作画は所々アレだったけども)。一番驚いたのは、パラスの時衣装着シーンでのパイオツカイデー感でした。普段の姿見てもそんなに巨乳になったとは思わないのだが、単にクロノテクターの胸部装甲が厚かっただけなのだろうか。だとしたら、あれを授けたどこかの誰かもちゃんと採寸くらいしておけよ、とは思う。おそらくタイタンさんと同じ過保護な性格で、「あの幼いパラスさんも、成長したらぼいんぼいんの立派なレディになるに違いない」と思って大きめにデザインしたんだろうな。

 女同士の殴り合いとは言っても、一応神と神がぶつかる一種の聖戦である。配下の連中は基本的に邪魔立て禁止。2人の殴り合いに他の面子が乱入したらどうなっていたかは定かじゃないが、きっとあまりの神格に吹き飛ばされていたに違いない。何しろ、十二宮編を解決した伝説級の神器であるアテナの盾が軽々と吹き飛ぶくらいなのだから。まぁ、そうでなくとも、かつて星矢が(満身創痍とはいえ)あれだけ重そうに担ぎあげたシールドを軽々と片手で扱ってたんだから、アテナの筋力も相当なもんだよな。「聖衣になったから軽くなったのかな」とも思ったのだが、はじき飛ばされて地面に落ちるときにおもいっきり突き刺さってたしな。多分見た目通りの重量があるし、アテナの杖も同じような重さがあるんだろう。それに対抗するのは、パラスが持った最強の聖剣、「永劫輪舞」。英語に直すと「エターナルロンド」である。他の4本の聖剣に負けない、なかなかの厨二ネーミング。ただ、その実力は結局未知数のままであり、アテナに直撃することは一度もなく、あっさりと制圧されてしまった。これまで必死に溜めてきた試合の決着としては非常にあっけない終わり方になってしまったが、あくまでも今回の試合は「最終戦3本勝負」の初戦。どうせ見た目にも派手にはなりにくいし、この辺りで片付けておくのが賢明な判断かもしれない。一応、アテナの決めの台詞が「私は残酷でした」っていうのが、アテナらしいといえばらしいのかもしれない。

 結局、「アテナ単体に向けられた偏執的な愛など、アテナの持つ博愛に比べたら些末なこと」というのが姉妹喧嘩の結論。「その愛をもっとちゃんと運用して下さい」というお姉さんのお叱りによって妹は沈黙し、アテナも過去の反省を活かして、苦渋の決断ながらもパラスにとどめを刺そうとする。しかし、そうは保護者が卸さない。ここで我慢の限界、タイタンさんの乱入だ。星矢はアテナの試合を見守るために拳を握り過ぎて流血していたわけだが、多分タイタンさんは奥歯をかみしめすぎて2,3本折れてるレベルの我慢だっただろう。あそこまで耐えただけでも頑張った方だ。パラスが育んできた「愛」は、少なくともタイタンさんの中ではしっかりと結実していた。さぁ、ここからは本気の野郎の喧嘩だ。姉妹喧嘩が終わった今、この2人で揉める理由はあるのか、とは思うが、これだけはゆずれない戦いだ。かつて邂逅したあの日の思い出話を振り返り、「覚悟もない奴に負けるはずはない」と豪語するタイタン。てっきり星矢は「幼い子に手をあげるようでは聖闘士ではいられない」と正道を解くのかと思われたが、なんと「あのときの俺だと思うなよ」と開き直ってみせたのが驚き。星矢、どれだけ大きくなっても挑発されたら真正面から返すヤンキー気質は変わらないのか。いや、来週は「星矢の真実」が明かされるらしいので、ひょっとしたら何か隠された真意があるのかもしれない。

 今回はクライマックスにしてはかなり地味な展開だったのだが、唯一にして最大の見せ場が、パラスの守護に入ったタイタンさんの名乗りシーンであろう。天神創世剣を投げ捨て「もはや不要」と断じ、「真のパラサイト」を自負する男。既に「あのお方」との関係性は切れ、純粋にパラスを守るだけの愛の戦士である。恰好いい。恰好いいけど、それなら同じく「あのお方」からもらったジェネシステクターも投げ捨てないとフェアじゃない気がするんだけどな。ちなみにジェネシステクターは残る黄金聖衣ってことで、当然双子座・乙女座・射手座の3つの組み合わせ。明らかにチート過ぎる三位一体である。噛ませ以外の何ものでもなかったフォトンテクターに謝れ。同じモチーフを用意された星矢は、本気を出す合図として何故かスカーフを外して臨戦態勢に入り、いっぺん聖衣を脱ぎ去って改めて神聖衣(?)としてのサジタリウスをまとった。聖衣を脱いでから着るまでの最短記録更新。ついに見られる星矢の本気。黄金3人分の実力を持つタイタンとタイマン張れるのかどうか、主人公の活躍が見ものだ。

 ちなみに、本当の主人公であるはずの光牙たちは、未だに必死に廊下を走っている。次回予告を見ると来週はようやく現場につけそうだが、なかなか長い道のりであった。今回は昴が突然弱気になって足止めされるシーンがあったが、「神になる男」だったはずの昴の突然の弱気には、仲間達だけでなくて視聴者も一瞬困惑。「お前がそれをいうのかよ」と思ったものだが、昴は既に自分の中にある異物を見てしまっており、「神に抗う」ことに対しての不安を抱えてしまっているのだろう。既に「神になる」ことではなくて「人の力で神を凌ぐ」ことを理想に抱いているわけで、昴にとって神との関係性は非常にデリケートな問題だ。ここでも昴をフォローしてあげるのは「神の子」エデンの役割だった。もう、このままの関係性でいくと、最終的に「あのお方」が目覚めた昴を説得して押さえ込めるのってエデンなんじゃないかって気がするんだけど、光牙の出番、大丈夫かな。

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 ハーさんの男一匹晴れ舞台、第90話。冒頭からしばらくは色々と茶化そうと思ってたんだけど、どんどん恰好良くなってきてしまい、最終的にはいじるのが申し訳なくなった。これまでために溜めてきた大舞台への挑戦権、見事に実ったあっぱれな花道である。

 思えば、黄金聖闘士というのも不思議なスタンスである。88(+α)ある聖衣の中でも最強の12の聖衣。それを着られるものはアテナに選ばれた真の聖闘士のみであり、この世界では最大の名誉である。しかし、この「聖闘士星矢」の世界も時を重ねて、いつしか黄金聖衣の価値も下落をはじめる。バトル漫画の常であるインフレの影響がもちろん大きいわけだが、それ以外にも、「なんでお前が黄金聖衣着られるの?」みたいな間違った連中が現れてしまったためだ。古くはあじゃぱーデスマスク。ただし、彼は「聖衣に見放される」という結末を迎えたために、なんとか黄金聖衣の矜恃は守っている。他にも変な奴らはちらほら見受けられたが、まぁ、それなりの理由があったり、なかったり。そして世界は「Ω」に入り、黄金聖闘士が完全なる逆賊として現れてしまった時点でその価値は底値を更新する。変態としか思えない蟹座、どう背伸びしても白銀レベルがいいところの蠍座、確実に「悪」以外の要素が見あたらない魚座、そしてついに呪いの聖衣とまで言われるようになってしまった水瓶座。黄金聖衣業界もさんざんな風評被害に悩まされる。

 そんなΩの時流の中で、何とも微妙な立ち位置だったのが、牡牛座だった。確かに彼は矜恃を守っていた。元々タウラスの聖闘士の持つ特性は豪放磊落。分かりやすい獅子座のような気高さとはちょっと毛色が違うが、そこには正面から戦闘を楽しむ器の大きさと、その中に見え隠れする気高さを併せ持つ。過去の牡牛座は誰もが「牡牛」の名を頂くのに充分な人物だったといえるだろう。しかして、この世界の牡牛座であるハービンジャーはどうだったか。正直、今までの彼は合格水準に達してたとは言い難かった。唯一のまともなバトルは昨年の光牙戦のみだが、ただひたすら「骨が折りたい、心が折りたい」と叫び続ける壊し屋は、迫力こそあったものの、そこに気高さは欠けていた。正面から戦って若者の強さを認めるおおらかさこそあったものの、大望を抱くだけの器の大きさを見せることはなく、気まぐれな喧嘩屋のイメージは払拭していなかっただろう。そんな彼が、突如アテナの聖衣を任されることになり、その守護のせいでこれまでガリア・ハイペリオンといった強豪との戦闘にすら参加させてもらえない始末。残された敵はタイタンのみとなってしまい、世間ではいつしか、こんなハービンジャーを「噛ませ牛」と揶揄することさえも。しかしそれもしょうがない。何しろ、タイタンはパラス軍最強の男なのだ。黄金聖闘士3人がかりでも聖剣しか折れなかったハイペリオンすら凌駕する(とおぼしき)男に、単なる喧嘩屋が挑んで勝てる道理などない。誰もがそう考えるのは仕方ないことだ。「ハービンジャーは負ける」。これが世間の当然の認識だった。

 そして今回、Aパートでは実際に予想通りの展開が続いた。猪突猛進、「闘牛の牛のよう」とタイタンに馬鹿にされたハービンジャーは、いつものように悪ぶった様子で突っ込むだけ。今更タイタンが黄金聖闘士たった1人に臆するはずもなく、黄金聖衣は容易く砕かれ、天神創世剣で紙のように切り裂かれた。「ゴミための虫けら」では、神にも並び立つタイタンに一人で挑むなど無謀過ぎたのである。しかし、ハービンジャーはそれだけで終わる男ではなかった。圧倒的な実力差を見せつけられてなお、彼は立ち上がる。タイタンの持った疑念は、実は視聴者サイドと同じものだ。「何故立ち上がる?」と。「守るものもない、戦士たる誇りもないお前が、何故そうまでして戦う」と。

 その答えは、「怒り」であったという。「何故奪う」と問いかけるハービンジャー。彼は、パラスの非道を、最も当たり前の視座から問いただしていた。事ここに及んで、神と神の対決、愛のあり方など、ややこしい事態が紛糾する中で、彼の胸中にあるのは実にシンプルな反感、「何故奪う」。彼を奮い立たせていたのは、「怒り」を発端とした義侠心。罪もない人々を苦しめ、守るために生きた仲間達を亡き者としてきた暴虐に対するものである。神の意志も、神の愛も関係無く、ただ人が虐げられることに対するものである。ただの荒くれ者だと思われていたハービンジャーだったが、その目で見てきた仲間達の戦いの中で、彼も様々なものを受け取っていたのである。そんな彼の訴えに、誰が異論を挟むことが出来るだろう。純粋な怒りは力となり、たった1人で天神創世剣をへし折るまでに至った。「アテナ・エクスクラメーションでようやく天地崩滅斬を折れたのに、1人で聖剣壊せるのか!」と驚く部分はあるが、彼の激情を目にした後ならば、その信念にもなんだか納得出来る気がする。この長い戦いの中で、彼は黄金聖闘士として、立派に成長していたのである。その猛々しい勇姿には涙を禁じ得ない。

 最大の見せ場で、片角の折れたメットを取り出したハービンジャー。今までどこに持っていたのか、なんて疑問はあるものの、最大最強の一撃を放つための「牡牛座」としての見せ方はけれん味たっぷり。問答無用のグレートホーンを放ち、相手の武器をへし折り、ギリギリで踏みとどまってアテナの聖衣を守りきった。彼の生き様の全てがあの一瞬に凝縮され、それが見られただけでも今週はなんの文句も無い。黄金聖闘士という立場が危うかった本作の中で、最後の最後に、立派に「黄金聖闘士らしさ」を見せつけてくれた彼の大活躍に感謝したい。そして、彼が実にシンプルな「正義」の姿勢を打ち出し、それをアテナと共有出来たことにより、次週に続く「女神の戦い」の動機付けも補強されることになった。冒頭、1人テラスに立つパラスに忍び寄るエウロパ。彼の陽動によって、パラスはアテナを殺すことを決意する。一見するとこのシーンはエウロパが「我が神」の陰謀によってパラスを焚き付けたように見えるが、別にエウロパがおらずとも、パラスはどこかで彼女の抱える自己矛盾と向き合う必要はあった。「愛しているが故に殺す」という結論も、おそらくは不可避のものだったのだろう。この「殺すほどの愛」という純粋なエゴイズムを、ハービンジャーは真っ向から否定し、タイタンをたじろがせたのである。ハービンジャーを形成するに至った「真の愛」であるアテナと、「悩める愛」を抱え続けるパラスという対決図式をはっきりさせた上で、次週の女神対決がすんなりとはじめられる。何ともそつのない脚本ではないか。

 非常に気骨のある、よいエピソードだったわけだが、最終的に水入りの形でハービンジャーとタイタンが双方生き残ったのは意外であった。ハーさんは深傷を負っているが、まだ戦えないという状態でもなさそうだし、ひょっとしたらここからもう1段階の活躍があるのかもしれない。となると、割とアテナ側にも戦力は残されてるんだよな。星矢がパラス・タイタン戦である程度消耗する流れになれば、後は「あのお方」との最終決戦が青銅勢のお仕事ということになるのか。……今の流れだとタイタンと共闘する流れもなくはないけど……それだとちょっと強すぎるかなぁ。

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 めくるめくハイペリオンさん劇場、第89話。今作がこれからどのように終わるのか定かじゃないが、最強のラスボスはハイペリオンさんだった、ってことで終わる可能性もあるよな。当ブログは「Ω」関係で検索して来る人がダントツで多いって話は前に書いたんだけど、昨日「一輝とハイペリオンが戦えばよかった」で検索して来たの誰だ。そうかもしれんけども。

 予定通りの進行。今週は起こった出来事はほとんど無く、「みんな頑張る」→「ハイペリオンもっと頑張る」→「Ω覚醒」と3行で事足りる程度の内容である。おかげでオープニングのキャストクレジットは青銅組以外はアテナとハイペリオンさんだけという状態。ここに来てタイタンにすら出番が無いという珍しい回である。その分、もう嫌と言うほどに時間を取ってハイペリオンフェスタが開催された。メインディッシュがハイペリオンさん、福菜に昴と「あのお方」の盛り合わせ、付け合わせに少しだけエデンもどうぞ。今週の「2秒で分かるハイペリオンさん」。

 なんかもう、色んな顔してて大変だった。最初は、持ち前の圧倒的な強さに更に拍車がかかった。「ショックオブデストラクション」なんて適当な技名ながら、ようやく聖剣以外の必殺技を見せてくれたし、青銅組を1体1体丁寧に処理しながら、最終的には聖衣大破壊にまでこぎ着ける。ガリアを一瞬で屠るほどの強さをみせた「Ωの片鱗ちょい見せ聖衣」を6人まとめてぶち壊すというのは、マジで桁違いの強さだったはず。多分、ガリアが6人来ても勝てたんじゃなかろうか。まぁ、そうなってしまったのには青銅側にも責任はあると思うのだけども。何しろ、「絆のパワー」であるΩに目覚めたはずなのに、何故か殴りに行くときは1人ずつ行くんだよね。冒頭、みんなしてそれぞれのカラーリングの光をまとって虫みたいにぶんぶん飛んでるとこで笑ってしまった。はよ殴れ。ハイペリオンさんはその辺をきちんと心得ていて、単なるパンチでもちゃんと相手の頭蓋骨や顔面を狙って的確にたたき込んでくれる。今週は1枚絵での作画のインパクトがあり、いちいちぶん殴られるシーンの止め絵が恰好良かったし、青銅組が1人1人殴っては投げられ、殴っては投げられしてるカットなんかは、十把一絡げで処理されているわりにはなかなか様になっていて良かった。思いっきり顔面ぶん殴られて全員が白目剥いてるとこなんかは、いかにも絶望的なシーンなはず。

 どれもこれも全てハイペリオンの格好良さ・強さを引き立てる役にしか立ってないやん、と思っていたのだが、青銅組があまりにも「昴! 昴!」とうるさく立ち上がってくるせいで、だんだん精神的に追いやられていくハイペリオンさんが本当に可哀想に。戦局だけを見れば圧倒し続けていたはずなのに、自分の攻撃がだんだん信用出来なくなってきたハイペリオンは困り顔、というか、焦り顔を通り越してアヘ顔みたいになっていく。思わず「ハイペリオンさん! あんたが間違ってるわけじゃないんだから頑張って!」と応援したくなるのだが、最終的には「これが人間の……」とか圧倒され、恐れまで抱きはじめてしまい、「人間に興味を持つ」アイガイオン、「人間を虫けらと思う」ガリアよりも更にあかん「人間が怖い」という可哀想なトラウマ持ちまで進行。冷や汗流しながら怖がる姿を見ていると、これが多勢に無勢ってやつなんだなぁ、と同情を禁じ得ない。強いはずなのに。無敵のはずなのに!

 結局、「昴!パワー」を結集させた青銅組は、そのまま「Ωの真髄」に覚醒。見事にゴッド聖衣なみの神々しい聖衣を手に入れることになる。まぁ、その聖衣で直接攻撃したのはエデンだけなんだけどさ。今回、「昴!」パワーを全員が高めていく中で、唯一ピックアップされていたのがエデンであった。いち早く昴の中の存在に気付き、ずっと監視を続けていた男。彼の中には昴に対する警戒心が先にあったわけだが、逆にその警戒心が高まっていたが故に、友情パワーも大きく膨れあがっていた。「何かあったら自分が昴を倒す」という覚悟があってなお結ばれた友情なのだから、確かに強い絆には違いない。ハイペリオンの聖衣破壊攻撃を喰らって真っ先に立ち上がったのはエデンであったし、返礼としてデストラクションテクターを破壊したのもエデン。複合技の勝利とはいえ、今回のバトルはエデンの1勝とカウントしてしまってもいいのかもしれない。まぁ、実際に人間花火になったハイペリオンをぶっ飛ばしたのは昴だったわけだけども。一応、ハイペリオンさんも人間に興味は無かったけど神には興味があったようで、エデンのことは「神の血を引き、神になる道もあった男」として認識していた。いや、だから前から気になってるけど、別にマルス自体は生まれながらの神じゃないだろ。エデンが生まれた時にはまだマルスじゃなくてルードヴィグだったわけで。それで神の血を引くっていうのはおかしくないか? あ、ひょっとしてメディア様の方が神だった可能性が?

 まぁ、とにかくそんなエデンの友情も借りつつ、一応名目上は6人の力を合わせて最強の敵であるハイペリオンを心身共に完膚無きまでに叩きのめすことに成功した。副産物として昴の復活、そしてΩ聖衣を手に入れ、青銅軍団は誰1人欠くことなく、ほぼ完全な状態で最終決戦の場に臨むことになるわけだ。流石にΩ聖衣はショックを受けたこれまでの変な聖衣に比べると造形がまとまっているので見栄えはよい。全員がボロボロでおまけみたいになっていたマルス戦に比べると随分充実している。ただ、ラスボス戦でやらなきゃいけないこと(全員力を合わせるとか、聖衣を破壊されても立ち上がって友情を強く訴えるとか)は全部今回やってしまった気がするのだが、最終決戦の場では蒼摩とか栄斗は何してればいいんだろう。オープニングを参考にするなら、最後はやっぱり光牙と昴(の中身)の戦いになるはずなんだけど。

 そう、今回のもう1つのメインは昴の内面存在のあの人なんだ。ようやく昴との対話に成功した「あのお方」。どうやらこれまでの経緯も昴の中からちゃんと見ていたようで、昴に「まだ思い出せないの? 早くしてよ」とアプローチをかけ始めている。昴は今回の件も含めて、「神になる男」路線を変更し、「人間は神をも凌駕する」という結論に達してしまったため、眠っていた神様もあまり良い気分ではなさそう。「友情だと?」とあからさまに馬鹿にした態度で、依り代であるところの昴とは完全に決裂しそうだ。展開の要請上、一度は昴の身体は乗っ取られなければならないはずなのだが、最終決戦でこの「昴VSあのお方」の戦いがどうなるのかも見どころだ。今週のお話だけを見ると、完全に昴が主人公だったからなぁ。

 次週、ついにパラスの間に到着したアテナ軍。そして魅せる男は、これまでず〜〜〜っと戦えずにフラストレーションたまりまくりだったハービンジャーさんである。次回は牡牛座の独壇場っぽい。久しぶりに骨の砕ける音を響かせてくれるのか、期待大だ。パラスの後ろからこっそり現れたエウロパさんの怪しげな行動も気になるところだけど、そういや今週はミラーさんたちは何してたんだろうな。

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趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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↑越えられない壁
沢城みゆき 斎藤千和 
中原麻衣  田中理恵  
渡辺明乃 能登麻美子
佐藤利奈  佐藤聡美
高垣彩陽   悠木碧
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