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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 「私たちは何のために戦っているのか」って、それは視聴者が一番知りたい気がする第7話。いや、そもそもあなたたち今戦ってないじゃん。

 しかし、前回までののんべんだらりとした展開が、今回のエピソードで一気に引き締まり、なおかついくつかの疑問が解決し、さらなる疑問が山積された。この物語の「行く末」が見えないのは相変わらずなのだが、「来し方」は見えてきた。バックグラウンドが曖昧な形でも提示されれば、そこにはぐっと奥行きが出来るものだ。

 まず、今回分かったことをおさらいしよう。今回の主人公はフィリシアだったわけだが、彼女の過去の体験を通じて、この国に戦禍の爪痕を残した「戦争」とは何だったのかが描かれた。これまであるのかないのかもよく分からなかった「戦争」だが、実に濃密な描写でもって、それが「あった」ことを示してくれたわけだ。フィリシアは公式の情報では現在18歳らしいので、彼女の出陣したなんちゃら聖戦(征戦?)は、せいぜい5〜7年前と考えるべきだろう。これは一応、教会に戦災孤児がいることと帳尻があう。そして、その中で彼女はタケミカヅチ(と同型の戦車?)に乗っており、装填手として参戦している。これも公式ページからの情報だが、このときの相手は「隣国」である。

 しかし、これとは別のもう1つの「戦争」がこの世界にはあった。それが、フィリシアが落下した穴の中にいた兵士の亡骸が体験した「敗戦」である。彼のイメージは、タケミカヅチの様な多脚戦車がビル街に大挙して攻め入り、現代社会をも凌駕する兵器で焼け野原を生み出す様子がフラッシュバックしている。フィリシアの参加した戦争も火力などは現代のそれに近いが、彼の経験した「戦争」はそれ以上のもの。そして、みたところその相手は「隣国」とは言い切れない、もっと何か他のものであるようだ。そして、そんな兵士は、「この世界は滅び行く過程の残滓でしかない」と告げる。フィリシアが過去の戦友と眺めた「生命のない海」、そして砦を囲む不毛の大地(ノーマンズランド)など、この世界は明らかに何かが失われており、どうやらそれは、亡骸兵士の味わった「敗戦」の結果であるようだ。宇宙人の侵略、大自然の復讐、高度に成長しすぎた文明どうしの無益なつぶし合い。様々な可能性が考えられるが、とにかくこの世界は、どこかで一度「終わって」いたわけだ。

 そしてこの「終わっていた」ことは、はるか昔のことなのでカナタたちのように認識していない者も多い。「旧時代」という言葉やイデア文字の存在など、過去の文明を示唆する設定は多いのだが、それはあくまで「過去」であって、それなりに生活が送れている現代の文明とのリンクは薄い。「旧時代」と「現代」の繋がりは、カナタやクレハの中ではあくまで「過去」と「その後」だろう。しかし、フィリシアが見てきた風景の中では、それは「終わり」と「残滓」である。この差は決定的であり、絶望的だ。フィリシアは「聖戦」において隣国と争い、戦友を失ったわけだが、それは、「残滓」にしがみついた矮小な人間達の、無益な小競り合いの意味しかないのだから。

 カナタたちに見える世界と、フィリシアに見える世界。この2つの像の差が、後半の花火から精霊流しのシーンにかけて、じわりじわりと影を落とす。フィリシアはカナタに「誰を流すのか」と問われ、「自分に大切なことを教えてくれた人」といいながらあの亡骸の兵士を思い出す。彼女にとっての「大切なこと」とは、兵士の伝えた絶望的な世界の真実である。リオがいくらすがってみても、フィリシアは彼女の心配をのらりくらりとかわしてみせるし、カナタのまっすぐな懇願にも、彼女は肩を抱き、「あなたはそのままでいて」と諭して自分の胸の内は吐露していない。当たり前だ。「世界は終わっている」など、カナタを目の前にして言えるわけがないのだから。「この世界に意味なんかない」という結論を得てしまったフィリシアと、「この世界は素敵に満ちている」という希望を持つカナタ。見いる先は全く異なっている。フィリシアは「未来の意味を自分で見つける」と思い直してカナタや子供達に「未来」を見いだした。それはカナタたちにとって、希望となるのか、過ぎたる荷となるのか。

 今回は、「世界の真実」と、戦友を失った戦争体験という2つの重荷を他人と分け合うことなく一身に背負ったフィリシアの様子を見るだけで本当に辛い話であったが、その陰で他の隊員についてもいくつか新たな切り口が。クレハは、お気楽な顔で暮らしながらも、やはり両親を失っている孤児であることが分かる。彼女も戦災孤児なのだろうか。ノエルは、ただ1人フィリシアと同じ戦場を体験していたとのこと。フィリシアよりも3歳も若い彼女のこと、兵として体験したのではなく、被災者としてそこにいたということだろうか。彼女のタケミカヅチへのこだわりは、過去の体験に根ざしたものだろうか。そしてリオは、最後に教会の司祭から驚かれていたのが気になる。あ、でもひょっとしたらカナタの方かな。リオはフィリシアを救助しにきた皇女殿下とイメージが被るのが気になるところである。

 人が生きることには、意味があると言えばあるだろうし、無いといえばこれっぽちもない。あの砦に5人が集まっていることの意味は、これからの物語で決定づけていく部分だ。今回のフィリシアは、表面上は他の隊員達に気を遣う優秀な「指揮官」であり続けているが、カナタたちとは決定的にかみ合わないことが台詞のやりとりから伝わってくる。最終回までに、この世界が救われることはあるのだろうか。 

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