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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 お腹の毛まではわかったがその下はどうなってるのだろう、第3話。いや、その先は絶対見せない作品なのだろうけども……モノまでそれぞれの動物がそのまま再現されてるなら、異種間での関係を持つのはますます難しい気がするな(エロ漫画のせいで無駄に人外のペニス知識蓄えることになるオタク特有の傾向)。

 相変わらずヘビー級の密度。お話自体はじっとりと着実に進めているだけなので格別性急な印象はないのだが、気づけば30分が過ぎていて「もう終わるのか」とドギマギしてしまうような作品である。今回はまさにサブタイトル通りのお話ではあるが、中心に据えられていたのはむしろルイの方だろうか。彼に巣食う煩悶の根源には「自分が草食だから」という如何しようも無い生まれの呪いが込められているのが本作で一番厄介なところだ。

 普通、(ほんとの意味での)ヒューマンドラマの場合、まずキャラクターを規定するために用いられる生得的条件といえば性別であろう。男か女か、相手はどっちか。それだけのことで無限にドラマが作られているのが人類の歴史。互いに決して理解し合うことがないだけに、性差というのは無限の迷宮を生み出す人類最古の「キャラ付け」である。そして、それ以外の要素で「生得的」であると思われる要素というのはほとんどない。一応今作に寄せて考えるなら「人種」は生得的なキャラクター性と捉えられなくはないが、残念ながらそれをテーマに落とし込むには現代社会は色々と制限が多すぎる。ことに閉鎖国家日本においてはなかなか人種がテーマの作品は生まれないだろう。

 そこで登場したのが、「それなら人種以外の種ならいいのでは?」という今作である。生まれながらに与えられた「生物種」という束縛。「男」と「女」だけでも無限のドラマが生み出されるというのに、狼とウサギと鹿とキリンと象とマングースとトラとアリクイとネズミでは、突き詰めていったら収拾がつかない事態になるのは必然である。本作は間違いなくそうしたカオスな側面も持っているが(やっぱり同じ廊下をレゴシたちとネズミのお嬢さんが同時に歩いてるのはおっかなすぎるが)、それでも飛んで散ってしまうような作劇にせず、あくまで「肉食と草食」という二分法にまとめられている。そして、「男女」と違って「肉食と草食」という二分は、間違いなく「加害者と被害者」の関係性なのである。生まれながらに絶対的「上下」が確定しているというあまりに残酷な設定。強いて現実世界で比較するなら生まれた家の貧富のような「階級差」はこれに近いものがあるかもしれないが、本人の志次第で後から覆す可能性がある社会的な要因と違い、彼らの持つ「種」はどう頑張っても抗えない。そのことを最も強く意識し、唾棄しているのが、本作ではルイだったわけだ。彼の悲壮な決意と壮絶なその顛末は、今作における「種」の意識の1つの縮図と言えるのではなかろうか。

 対して、現時点ではそこまで切迫感のないレゴシ。もちろんあんなことをされてしまったのでこれまで以上に意識することになるし、「オスオオカミ・出生」とされている通り、新たな自分の側面を見つけたのは間違い無いのだろうが、それでもまだそうした「運命」に抗おうという意思は無いし、困惑こそすれ、自己嫌悪にまでは至っていない様子。何より端的にそのことが現れたのは生態時間の後の1コマで、自分の感情がどうなっているのかを確認するために尻尾を見て「あぁ、自分は喜んでいたのか」と認識するという。理性ではまとまらないような複雑な感情も、自分の身体(本能)に聞けばその答えは出ている。レゴシは今のところそうした自分の「身体」に従うことを忌避しようとはしていないのだ。まぁ、そうして「自分」を受け入れる肉食獣は、周りから見てどんな風に映るのかはまだわからないのだが……。「自己と他者の線引き」という観点からすると、ルイがレゴシの爪を食い入るように見つめるシーンが印象的。今作は画面を分割しての演出が多いように見受けられるが、分かたれた画面にどうしようもない「種の相違」が現れている。ルイの焼け焦がすような視線を受けて、レゴシがその熱の意味に気がつくのはいつのことになるだろう。

 

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 まさかのストップモーションワロタ、第2話。なるほど、確かに1話目の感想で「流石に毛のもふもふ具合とかはズートピアには勝てないけど」って書いたが、「だったら実際の毛糸で作ってやんよ」というダイレクト対策があるとは思わなんだ。これ、全編ストップモーションアニメだったらそれはそれで面白そうだけど(発狂するわ)。

 順当にお話が進んでいる第2話。やっぱり原作読んだことある作品なのであんまりシナリオ部分について語るべき部分はないんだけど、改めて見るとほんとひでぇ世界設定の作品だ。世界設定の時点で色々無理があるのは完全に「ズートピア」と一緒なんだよね。あっちは「小さいネズミ系生物のための街があるよ」っていう展開のおかげでドーナツゴロゴロシーンとかが面白おかしく描かれ、マフィアのボスの登場シーンなんかも印象的になったわけだが、冷静に考えて「小さい生き物」たちが他の生物にほど近い場所で同様に生活空間を分け合って生きていくのって不可能だろうし、基本的にメリットがないんだよな。「いや、無茶だろ」って思うけど、この世界における動物種ってのはおそらく現実世界における国籍や人種に該当するもの。つまり、そこの違いには目をつぶって、みんなが「平等」に生きていける社会を作ることこそが正義なのである。ちょいと肌の色が違うくらいなら問題はないが、そもそもの生物種が違うと幾ら何でも共存共栄は……なぁ。もしもうっかり食堂でネズミを踏んづけたらそれだけで殺人罪になるんだよね。どうしようもねぇよ。あと、ネズミ用の食器や料理が併設されてる食堂ってのもイメージがわかないよな。この世界には何万種類の日用品が存在していることだろう。

 まぁ、そんなわけで世界設計の時点で相当無茶をしている作品だが、コンセプトがその上を行く頭がイかれてるとしか思えないものになっている上、原作だと絵が濃いのが功を奏して(?)強引に丸め込まれる事態になっている。「どうやってこんなにも違う動物たちが共存しているんだ?!」とマジレスしようとも、「うるせぇ、とりあえずSEXさせんぞ」と言われたら、もう黙ってしまうしかない。しかし、絵として立ち現れる違和感はそんなコンセプトで強引にごまかせるようなものではなく、ことにアニメとして「動き」を伴えばこの無茶なデザインはさらに浮き彫りになってしまう…………。

 はずなのだが、何故かこれが成立する。1話目の感想にも書いたが、やっぱりこの「なんとなく成立しちゃってる感」は恐ろしい。ラストシーンはネットなんかでもよく見かけるおかげで今作を代表する「頭のおかしいケモナー漫画」の一コマとして象徴的なシーンなのだが、このシーンを見ていろんなものがどうでもよくなってくる。様々なサイズ・デザインの動物たちがどれもこれもヒトをベースにしたモーションで動きまくるこの世界はなんとも珍妙な印象になるのだが、ついにウサギが脱ぎ、下着姿でちょいとしなをつくってやることで、「もう、この世界のケモノはこれでいいんだろうな」という諦観にも似た絶対的相互理解が得られる。この世界における「種」は、すべてがこの悪ふざけのようなワンシーンのために用意された、圧倒的アニマル地獄なのだ。まさに理性より本能に訴えかける局面なのだ。原作を書いている板垣娘も大概だが、これを十全にアニメ化してしまったスタッフも、本当にどうかしている。

 日本語には、こういう状況を表現する最適な言葉がある。「いいぞ、もっとやれ」だ。

 

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 頬を赤らめるシンシャ! 最終話! どういうことなんだろうな! 宝石は血液流れてないから頬が紅潮する理由なんてないんだけどな! 細けぇことはいいんだよ!

 何も解決せず、何もわからない最終話。しかしそんなこともどうでもいい。どうせ原作が未完だってのは分かってるのだし、問題は「最後に示される可能性はなんなのか」という部分だけだ。前回パパラチアの復活が知らされ、そこから一体何が起こるものかと思われたが、なんと彼女はほとんど動かぬまま再びの眠りについてしまった。眠りながらとはいえ、長い年月を生き続けるじい様扱いのパパラチア。彼女は最も若いフォスの悩みをわずかな時間で察知したようで、彼女の質問に対しても、なんだか思わせぶりな、けれども多分正しい答えで応じてくれた。焦らず慎重に。それほどに、月人と先生を結ぶ謎というのは深くて繊細だ。過去に様々な宝石たちが、その謎を胸に抱き、解決せぬままになっていたのだろう。悠久とも思われる時間の中で、フォスはそんな深淵を探ることができるのだろうか。

 こうしてパパラチアが眠りにつき、残りはいわばエピローグのようなパート。ほぼ全ての宝石たちが登場し、それぞれに生きる目的を示しながら、フォスの周りでは変わらぬ日常が続いていく。アレキ先生は覚醒状態のフォスが優秀な成績でテストをパスしたことを喜ばしく思っただろうか。彼女の怨念にも似た月人へのこだわりは、フォスに新たな可能性を感じさせる。先ごろの騒動で少し柔らかくなった(物理的にではなくて)ボルツは、新たにジルコンとコンビを組んでいる。自信なさげなジルコンだったが、パートナーのイエローダイヤモンドのサポートも受け、なんとかボルツとの関係性を深めている。年寄りと揶揄されているイエローダイヤモンドも、そんなパートナーの変化に色々と感慨深げだ。彼女らと同様に年季を重ねているルチルは、壮絶なまでのパパラチアへの愛情をその身で示すが、年を重ねるごとに難度を増す無慈悲なパズルを前に、ただひたすら研鑽を積む他ない。

 その他にもレッドベリル、アメシストなどなど、変わらぬ日々の中で宝石たちはいつも通りに暮らしていく。そんな日常を壊すことになりかねないフォスの疑問。それを唯一ぶつけることができたのが、夜の住人であるシンシャだった。自分の目的のために無茶も辞さぬフォスは、なんとか月人の一体を捉えて意思疎通を試みるが、残念ながらこれは未遂に終わる。しかし、そこにわずかな可能性を見出し、そのためのパートナーとしてシンシャを選んだ。冷静さと賢さ、それに、ただ1人で戦いを始めようというフォスと同じなんらかの孤独。それらを抱えたシンシャに、フォスはなんとか自分と共に戦ってほしいと願う。「君が必要だ」という事実上のプロポーズを受けて、シンシャは見たこともない表情を見せるのだ。夜のはみ出し者。誰からも疎まれる毒物。そんな彼女が初めて面と向かって「必要だ」と言われた。その相手があの厄介なフォスだからとて、シンシャは動揺を隠しきれない。与えられた仕事は楽しくない。楽しくないにもほどがある。しかし、それでも誰かと目的を共有し、一緒に戦うことができるかもしれない。それだけで、長い長いシンシャの孤独は終りを告げるのだ。

 ついに見つけたパートナー、ついに見出した突破口。フォスはこれから、いよいよこの世界の真理へと切り込むことになるのだろう。そしてその時、シンシャは彼女を支えることができるのだろうか。気になって仕方ないこの続き、果たしてアニメの2期はあるのか? 生殺しってのはこういうことだ。はてさてどうなる、どうしてくれる!?

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 モフモフなのだからしょうがない、第11話。いや、さすがに完全にだらけきった状態の金剛先生は笑うわ。「いや、モフモフだったから……」って申し訳なさそうに謝る金剛先生の可愛らしさは、もう完全に中田譲治であった。

 前回の激闘は一体なんだったんだ、という超展開でまたも度肝を抜かれてしまう本作。ただ、前回や前々回の呼吸すらままならないようなひりつく展開とは打って変わって、今回は「どないやねん!」というちゃぶ台の返し方で度肝を抜くのである。なんだあれ。なんだあのモフモフ……。いや、冷静に見たら目の形が変だったりするし、我々の判断基準からすればあんまり「可愛い」生物ではない気もするのだが、何しろそこはカチンカチンの鉱物しかいない宝石の国である。あんなモフモフが現れてしまったら、問答無用でモフるしかなくなってしまうのだろう(アレキを除く)。しかし、あんな明王みたいな化け物が一体何故モフモフになるのか……。

 鍵を握るのは当然金剛先生であった。彼は何かを明らかに意図して「隠している」ことが今回明らかになり、モフモフがモフモフになったのもその秘密に関係している。まぁ、どう考えてもモフモフの正体は「金剛先生の飼い犬」でしかないわけで、それが月人の世界から「飛び出して」来たというのは一体どんな経緯があったのか。改めて確認しておくと、もともと地球上に生息していた人類はすでに滅亡し、「魂・肉・骨」がそれぞれ「月人・ナメクジ・宝石」に分化したと考えられている。つまり、月人が司っているのは人間の「魂」の部分。しかし、そんな有象無象の魂の中に、明らかに金剛先生が過去に飼っていたと思われる「犬」もまじっていた。まぁ、「人類」というのはあくまで地球上にかつて反映していた文明を表す言葉であるので、その中に犬が混じっていても構わないのだが、そこに明らかに「記憶」が付随していたのが問題であり、かてて加えて、それを金剛先生が「知っていた」というのも問題である。月人たちはあんな風に「虚ろな集合体」を形成しているように見えて、その奥にはなんらかの「意思」が介在しているということなのだろうか。記憶を残した個体が存在するというのは、つまりそういうことになる。そして、犬の方はそうして魂が虚ろな状態になって地上にさまよい出て来たというのに、「飼い主」だった金剛先生は、未だ健在でこうして宝石たちの監督の任を務めている。宝石たちの寿命の感覚は何百年、何千年とあるらしいので金剛先生が現在いくつくらいなのかはよくわからないが、どうやら彼は「魂・肉・骨」の分化以前から、確固たる存在として地上にあったということらしい。つまり、彼は分化以前の魂・月人のオリジンを知っているということになる。それなら何故、彼は月人と対話するでもなく、ただ宝石たちに過酷な試練を与え続けているのだろうか。謎は深まるばかり、そして、フォスの不信感も深まるばかり。

 しかし、そうして「何かの真実」を掴んだフォスに、シンシャがさらりと大胆発言。「みんな知ってるけど先生を信頼してるからスルーしてる」。まぁ、フォスが半端者として今までどれだけないがしろにされて来たかがよくわかるお話ではあるが……フォスがその夜に見た白昼夢のアンタークのことを考えれば、アンタークも含めて全員が「何かあるんだろうけど聞かない」ことを徹底している様子。なるほど、そこにコンセンサスがあるならば、これまでフォス以外の宝石がとってきた何だか煮え切らない行動についても説明ができるような気がする。不都合なことが起こって宝石たちが苦しむことになっても、それを金剛先生が黙認しているなら、それは何が何でも「正しいこと」だと認識すべし。それが宝石たちの暗黙のルール。フォスさん、ようやくそこにたどり着いたということなんでしょう。

 まぁ、先生だって宝石たちに対して害意があるようには見えないし、いうことを聞いていれば大体はうまくいっているという実績があればこその関係性なのだろうが、残念ながらフォスは「アンタークの喪失」という事件があまりにもでかい。不信感をそのまま飲み込むことなどできず、思いついた解決法は「月人に直接聞こう」という、いかにもフォスらしいぶっ飛んだアイディアである。さて、この無茶が吉と出るか凶と出るか……まぁ、吉になる未来はほとんど見えないんですけども。

 そんなフォスの悪戦苦闘とは別に、他の宝石たちもへんてこ月人の襲来を含めて色々な刺激が。特に今回スポットが当たったアレキサンドライトは、やっぱり変なやつだった(宝石は大体変なやつだ)。これもアレキサンドライトが「2種類の見え方で輝く」っていう性質から来てるらしいんですが、どうも、今期釘宮キャラは極まってるやつが多いですね(「妖怪アパート」の方はよりヤバい奴である)。他にも何故か知らんが「物語終盤で小さくて白い変な生き物を飼育した」っていうのが「少女終末旅行」とかぶり、「身体がボコボコの蓮コラ状態」は「ゆゆゆ」と被った。いや、完全にこじつけだけども。友奈ちゃんのボディはボロボロで救いがなかったが、今回登場した新キャラ・パパラチアのボディはルチル(中の人が風先輩)によって修復可能。他人の身体がパズルになっちゃうあたり、やっぱり宝石は自由である。なお、パパラチアの存在が明らかになったおかげで、ルチルさんが単なるマッドドクターでないことが判明して一安心。ちゃんと大事な人のためにメスをふるうんだね。まぁ、小動物は切り刻むけどな(駄目じゃん)。

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 もう、ホント何なのこのアニメ?! 第10話! 毎度毎度想像を上回る超絶なものを叩きつけてくるよ。こんなもん見せられたら、もう笑うしかないじゃない。

 前回、前々回とエモい部分での存在感が尋常じゃなかったわけですが(多分に個人的な嗜好も含むが)、今回は一転、アクション作品としてとんでもないものが飛び出してきました。そしてその上できっちりエモい部分もあるってんだから、だんだん満漢全席みたいな時間帯になってきたぞ? 今回の映像を完成させる手間暇ってどれくらいなんだろう。オレンジ製のCGアニメーションは他の作品と比べてどれくらいの労力なのか想像がつかんなぁ。いや、でもやっぱり大変なんじゃないの? 簡単にできるならみんなやってるだろうしさ。

 今回は徹底的に月人との試合がフィーチャーされていたわけだが、そのお膳立てとしてスポットが当たったのは、戦闘狂として名をはせるボルツであった。ハイパー進化を遂げたフォスにハァハァしてしまったバトルマニアのボルツは、強い同胞をさらに強く鍛え上げようってんで「一緒に高みを目指そうぜ!(意訳)」とテンション高めにフォスに迫る。以前の関係性もあって結構な抵抗を見せるフォスだが、どれだけ強キャラっぽくなってもフォスはフォス。ボルツの凄みにはやっぱり腰が引ける様子。まぁ、ゆーても身体の大部分は相変わらず「フォスフォフィライト」なわけで、硬度トップのボルツにぶつかったら勝てないだろうしね。ただ、一連のボルツとの問答の中にも気になる内容は含まれており、何と言っても彼女が判断に迷う時に脳裏をよぎるアンタークの存在が気になる。フォスは「身体のパーツが換装されたから性格や容姿が変わった」という部分ももちろんあるのだろうが、「アンタークのことを思えばこそ成長しなければいけないとあせっている」部分はどれくらいあるんでしょう。前と同じ無責任で腑抜けなフォスだったら、そんなことは微塵も考えなかっただろうに。

 そして、ボルツとフォスが組むことでもう1人関わってくるのがダイヤさん。考えてみりゃ今期は「ダイヤさん」って名前のキャラが2人同時に活躍するっていうわけの分からないシーズンなんだな。まぁ、とにかくこっちのダイヤさんも実に心優しいお姉さん(お兄さん)で、妹(弟)のことは本当に大切に思っている様子。一緒にパトロールに出られなくなったのは残念だったが、それがボルツの望みなのだから、と甘んじて受け入れてお留守番。甲斐甲斐しいのである。しかし、不幸にもそんな新たな座組になった日に襲撃してきたのは、これまで見たこともないようなトンデモ月人兵器である。サブタイトルからするとあれが「しろ」なんでしょうか。いつもと違う出口から登場し、いつもと違う形状を持ち、いつもと違う攻め方で最強コンビとなったボルツ・フォス組を圧倒。何でここにきて月人たちまで急にパワーアップしたのかは本当に謎だが、強いんだからしょうがない。さすがのボルツはすぐさま逃げる戦術に切り替え、こうなってしまっては頼みの綱は金剛先生だけ。何とか屋敷を無人のままで戦場にしようとしていたのだが、不幸にも座組が変わったことでダイヤさんだけは外出せずにお家でお花を愛でていたのである。

 そしてしばらくは絶対にこの作品ではお目にかかることはなかろうと思われていた「屋敷内でのチェイス&サスペンス」という意外すぎる展開。ドッタンバッタン大騒ぎだが、めまぐるしく動く「動」のシーンと張り詰める「静」のシーンの緩急が尋常じゃないので、いちいち緊張感が極まるシーンばかりである。最後の最後にはダイヤが一念発起して単身で月人兵器へと突っ込む展開。最強硬度を持つものの割れやすいという不幸な体質のダイヤさんはパリパリと簡単に割れてしまったが、弟の見ている前ではみっともない姿は見せられない。意地と根性で文字通り当たって砕ける。何とか年上の威厳を見せることができただろうか。

 結局、今回の月人は一体何なのか。あまりにもこれまでの存在と違いすぎるので今後も何が起こるのかさっぱり予想できない。登場シーンだけでもかなり異質だったのに、その後「気化」という謎能力に加えて、ラストシーンでは2体に分裂していたし、ダイヤとのチェイスシーンではどうやら気体の量で身体のサイズもある程度調整できるように見える。これが月人の送り込んできた最新鋭の宝石ゲット装置だとすると、もう宝石たちも逃れる術がない気がするが……もしかして単品ものなのかしら。2号機3号機が登場したら確実に詰みですな。

 それにしても、毎回のことで申し訳ないが今回も中の人のことに触れさせて。今回大暴走してくれたボルツさんの中の人、佐倉綾音。佐倉さんはこの数年ですっかり一枚看板になり、演技の幅も大きく広げているのだが、過去の記憶を振り返ってもここまで低音域を維持しなきゃいけないキャラっていなかったように思う。ショタはいたけど、その場合ってむしろ地声に近い音域でも良かったわけだし。そんな低音域でもかなり安定して声が出せるようになっていて、ボルツがしっかりと基盤を得ているのはお見事。本当に見ていて(聞いていて)楽しいです。あと個人的にはルチルとジェードが並ぶと彩陽&ゆーみんっていう最高の並びになって本当に最高(語彙喪失)。この2人ってかなり音域と声質が近いからなかなか共演が実現してこなかったんだけど、今作はその縛りを破って並べてくれるので本当の本当に俺得なのである。他にもルチルとフォスの会話が中の人で見ると実は犬吠埼姉妹だとか、信じられない事実も色々と。もう、この国に住みたいです。

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 フォス! フォス!! フォス!!! 第9話!! なんてこった! もう、なんでこんな話が!!

 今期は個人的な性癖にドストライクな作品が多くて嬉しい限りなんですが、今作においても、私の嗜好をピンポイントで刺激してくる展開となりました。どういうカテゴリにしたらいいのかちょっと悩むが、無理やりまとめてしまうと「容姿を含めた性質が様変わりする主人公(ないしヒロイン)」というのがすげぇ好きなんですね。バトルもののパワーアップでもいいし、恋愛がらみで髪を切ってしまうヒロインでもいい。「ヘアスタイルが変わる」ことについては、確認したら「すかすか」の感想の時に「髪型が変わるヒロインが好き」って書いたけど、正確にはそうじゃないってことを今回のフォスで痛感した。なんらかの変化(成長)が、外面に現れるほどの「意志」が好きなんだ。だから今期だったら「ネト充」のモリモリちゃんも好きなんだ。変化前と変化後の容姿のどちらが好きかはまた別な話ね(モリモリちゃんはロングの方が好きだったし、顔つきが変わったフォスはおっかない)。振り返ってみると、多分こうした「大きな外面的変化」嗜好の原体験は「まじかるタルるートくん」の主人公・本丸だった気がする。彼は最初はドラえもんにおけるのび太ポジションだったにもかかわらず、途中で意を決して父親と山籠りし、しばらく代理主人公を立て、戻ってきた時には身体も大きくなって立派にバトルものの主人公になっていたという変わり種。幼少期に体験したあのシナリオのおかげで、「見た目にも分かる外的変化」になんらかのヒロイズムを強く感じるようになってしまったのだろう。

 相変わらず自分語りが長くなってしまったが、今回のフォスはまさにこの本丸と同じ展開。自分の弱さを突きつけられ、失ったものを取り戻すために劇的な変化を遂げ、圧倒的な強さを手にして戻ってきた(作中では単に時間が経過しただけだが)。金とプラチナによる合金の腕はおよそ金属とは思えぬ柔軟性・利便性を見せ、月人相手にもまさに片手でひねる程度の戦い方。おそらく描写されていない冬の間に、合金の腕を制御する訓練を繰り返していたのだと思われるが、新たな武器を巧みに操り、先生の力を借りずに一人で月人に対峙する姿には、もう以前のへなちょこフォスの面影はない。合金の影響で体の大きさも変わったというが、顔つきまで変わってしまったのは彼女のアンタークへの自責の念によるものだろうか。どこかアンタークに似たような、より中性的なものへと変化している。モノトーンストライプの足、そして黄金に輝く腕。気づけばフォスは、様々な物質を体内に取り込み、メンバー随一の派手な存在になってしまった。そして、得たものが大きかった分、失ったものもまた大きい。アンタークを守れなかったという後悔は自堕落だった彼女を仕事の鬼に変えたが、それはもしかしたら、たくさんの記憶とともに以前の「フォスフォフィライト」までもが抜け落ちてしまった結果なのかもしれない。シンシャとの関係性は、今後どうなってしまうのだろうか。

 強さと派手さ、そして何より物珍しさを手に入れたフォスに対し、寝起きの宝石たちはいたって元気。そりゃみんなだってアンタークの喪失は悲しい事件ではあるのだろうが、すでに宝石たちは何人もの同胞を月人に拉致されており、だいぶその辺りの感覚は鈍くなっているのかもしれない(そもそも仲間意識ってどれくらいあるんだろう)。見たこともないフォスの変質を目の前に、ただ触りたいやつ、解剖したいやつ、改造したいやつ、採寸したいやつ、斬りかかりたいやつ。……さすがに色々問題のある奴が多くないか? いや、レッドベリルが追い回してるのは仕事が理由なんだからしょうがない気もするけども。

 個人的にもフォスが一体どんな能力を手に入れたかは気になるところ。これこそまさにバトル漫画でいう「パワーアップ」なわけだが。そのパワーアップが仲間の悲しみを背負ったもので、どこかに能力制限があったり、工夫次第でもっと強くなる可能性があったりと、とにかく少年漫画的にもたまらない設定。また、本当に今作はオレンジによる映像形成のおかげで種々の説得力が増しており、彼女の合金細工の「どんな体積やねん!」という無茶な展開も不思議と気にならず、「とにかく強そう」という印象が優先して伝わってくる。また、月人戦で足場を作る際に自然と植物のような形状を作り出しているのが興味深い。おそらくフォス自身は意識していないと思うのだが、なんらかの「安定する形状」を生み出そうとした時、それが自然に植物のような形状になるというのは興味深い話だ(これは月人側の兵器にも同じことが言える)。あらゆる動物が死に絶えたこの世界において、植物の形こそが「生きる」ことの象徴となっているのかもしれない。

 そしてほんと毎度のことで申し訳ないのだが、今回も際立つ黒沢ともよの仕事ぶり! これまでのフォスの気だるげな「ダメ人間ボイス」も徹底していたのに、今回はガラリと変わった新生フォス。こちらはさらに硬質さが増し、もうすっかり戦闘マシーンになるかと思いきや、その後の日常パートではしっかりと「あ、これフォスじゃん」という「らしさ」が残っているのである。このバランス感が信頼されてこんな面倒極まりない主人公を任されたのだとしたら、納得のキャスティングである。

 さて、何やらボルツさんが悪そうな顔をしていたのが気になるのですが……今後の展開はどこへ向かうのでしょうかね。さすがにアンターク奪還は無理だよなぁ……。

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 種々の喪失、第8話。フォスは主人公レベルを上げるために、一体どれだけのものを失わなければならないというのか。

 足に続き、腕のパワーアップイベントが行われる。しかし、足の時にはナメクジ女王のお目こぼしという手軽な材料を手に入れることができたが、今回は謎の「流氷の声」に引き寄せられた結果の不慮の事故。失われた両腕は戻ってこない。両腕とも見事にポッキリ行ってしまったので自分で取り戻すのは不可能だったろうし、俊敏なアンタークの力を持ってしても、ひしめく流氷の隙間をぬって探し出すことは叶わなかった。まるで、流氷達が意志を持ち、フォスの一部を引きずり込んだかのようである。

 どう考えてもフォスの危機管理能力の欠如によってもたらされた事故であるにも関わらず、慣れない人付き合いを経ての結果だったもんだから責任を感じてしまうアンターク。躍起になってパーツを取り戻そうとするも、さすがにそこは金剛先生に止められた。この冬場、動ける人間がいないのにアンタークに万一のことがあったら大惨事である。彼女に無茶な探索行を任せるわけにはいかない。そこで先生が提案したのが、宝石たちの生まれ出ずる海岸へ行ってみたら、何かあるかもよ、っていう割と投げやりなアイディア。これまで数えるほどしか宝石たちが命を持つことはなかったわけで、そこから新しい仲間が加わる可能性はほとんどなかろうが、ひょっとしたらフォスの代理パーツくらいなら拾えるかも、という考えだろうか。

 いざ海岸へ向かってみると、転がっているのは「金や白金ばかり」だそうで。人間からしたら目の覚めるような光景だろうが、宝石たちからすると「使えない」素材しか転がっていないという、あんまり嬉しくない状況のようだ。宝石たちが動けるかどうかはインクルージョンのご機嫌次第だそうだが、おそらく金や白金は非常に安定性の高い金属元素なので、なかなか微生物も入り込めないってことなんだろうか。少なくともこれまで「ゴールド」とか「プラチナ」と行ったキャラが登場している様子はない。でもまぁ、あるものでなんとかしないとフォスは鼻の頭も掻けやしない。ダメ元で金の両腕(?)をぺたりと貼って、毎度のことながらその重量に辟易していると、なんと金の方からフォスをお出迎え。突然その持ち前の展性を活かし、びろーんと伸びて、伸びて、伸びまくってフォスを捕縛してしまった。

 そこに折悪しく訪れるのが月人たちの嫌らしさ。いや、あまりにもタイミングよく現れたところをみると、ひょっとしたら待ち伏せていたのだろうか。ご丁寧に最高戦力の金剛先生のところには時間稼ぎ用の兵隊を送り込み、なんとか限られた時間でアンタークを襲撃しようという腹。冬場のアンタークはそんな月人の思惑をものともしないくらいには強かったはずなのだが、月人も新型とやらを出してこれに対抗する。月人って外から見ると仏様なんだけど、今回出てきたやつは切断面が蓮根(ハスの花)になっていたので、どうやらやつらが乗っているあのロールシャッハテストみたいな謎空間も蓮をイメージして作られたものようだ。全体的に我々の思い描く仏教要素が多いのは、偶然なのか、それとも仏道こそが残された人間らしさの名残なのか。考えてみると、金剛先生はどうみても「仏教関係者っぽい」のだが……なんか関係あるんでしょうかね。

 激戦の末、片腕をもぎ取られながらも「金剛先生の記憶は奪わせない!」という乙女チックな動機で頑張りぬいたアンターク。満身創痍ながらも辛勝を勝ち取った……かに思われたが、安心したところでの不意打ち。フォスの様子を見ていたせいで隙が生じてしまったのだろうか。結局一発の矢を受けただけで、宝石は月人の手に落ちてしまうのである。友人の窮地に、ギリギリのところで新たな腕の運用法に目覚めるフォス。腕以外にも黄金は身体全体へと行き渡っており、どうやら融合は成功したようである。しかし、戦い慣れていないフォスがいくら頑張ったところで多勢に無勢。金剛先生も駆けつけたものの、すんでのところで月人たちを取り逃がし、犠牲者リストには新たにアンタークの名前が刻まれてしまった。基本的にこの戦い、「敗北」はあっても「勝利」はないんだよなぁ。

 またしても大切なものを失ってしまったフォス。せっかく腕が戻ったというのに、唯一無二の存在だったアンタークはもう戻らない。自分のせいで前回はアメシストが傷つき、今回はついに戻らぬ被害者まで出してしまった。さすがの彼女も大きく責任を感じていることだろう。果たして、現在のフォスの状態で冬を越すことが可能なのだろうか。少なくとも流氷掃除は全部一人でできるとは思えないのだが……。

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 本当に迷惑しかかけない主人公、第7話。これまでのお話で、「フォスがいたおかげで助かった!」ってことがほとんどないんだよな……こんだけへなちょこでクズ思考のくせに、どこか憎めない不思議主人公・フォスフォフィライトさんはマジ可愛い。

 さて、未だよくわからぬ宝石たちの生態。今度はなんと「冬眠」である。もう、人なんだか虫なんだか石なんだか。よく分からん性質には違いないが、確かに「冬は日照時間が短いからキツい」っていう理屈はわかる。食物を必要とせずに日光だけをエネルギーにする宝石たちは、どっちかっていうと生態は植物に近い。だとすると越冬せずに一旦地に潜って冬をやり過ごすのも当たり前の話なのかもしれない。およそ全ての宝石たちが揃って冬眠するので、冬眠中はでっかい蚊帳のようなテントを邸宅内に張り渡し、何故かその中でおめかしして眠るという謎儀式も確立している。ひらひらがいっぱい付いたガーリーな衣装はどうやらレッドベリルの趣味全開らしいが、そもそもこの文化を定着させたのが誰だったんだ、って話になると、宝石たちの習慣を決定づけてるのは大体金剛先生のはずなのである。ってことは、やっぱり冬眠中のフリフリ衣装も先生のご趣味なのでは……。ダイヤモンドはとっても可愛らしくて似合うのだけど、ボルツなんて普段の言動がアレなのでフリフリはさすがにどうなの。あと布被せると寝るのもどうなの。なんで宝石たちって勇ましかったりクールだったりするくせして要所要所で可愛いんだろうな。

 で、さすがに全員で寝ちゃうといくら襲来頻度が下がるといっても警備の危険は残ってしまうってんで、冬場のみの秘密兵器として駆り出されるのが、今回の新キャラ・アンタークチサイト(アンターク)である。「常温では液状で、冬にならないと固化しない鉱物」ってなんやねん、と思って確認したら、「南極石」っていう鉱物が実在するんですね。融点が25℃とのことなので、確かにちょっと気温が上がったら溶け出してしまう。まぁ、この世界の地球の気温がどれくらいかは定かでないが、冬場にあれだけの流氷ができたことを考えると、現在の日本よりちょっと寒いくらいですかね。夏場の活動はちょっと厳しそう。冬場も気温が本格的に下がらないと本領発揮できないそうです。普段はバスタブみたいなところに収納されているようだが、マジで1年間誰とも対話しないんでしょうか。それとも、みんなして液状化してるアンタークに挨拶したりはするんでしょうかね。

 冬場の見張りはアンタークと金剛先生のみ(先生が冬眠しないのは普段寝すぎだからでしょうかね?)。しかし、今年はちょっと間抜けな新入りさんとしてフォスが名乗りを上げた。普段なら人一倍寝まくるはずのフォスが寝付けないといっているのは、体の一部が生物由来のパーツになってしまったことの副作用だろうか。とにかく、お日様が足りない冬場でも起きているという。そして、せっかく起きていられるのだから少しでも自分磨きを……と考えるところまでは成長した部分なのだろうが、多分彼女の中でもアメシストの惨劇はそこまで長続きする記憶ではなかったようで、割とあっさり心は折れた。折れる速さは天下一品である。なんだかんだで面倒見がいい超絶性能のアンタークに振り回され、そのぶん振り回し返したりもして、ドタバタと冬場の非日常を楽しむ2人。これで多少なりともレベルアップできればよかったのだが、結局キーキーうるさい流氷相手に砕氷作業を繰り返すだけでは大した修行にもならんね。というか、大体の業務は結局アンタークがやっちゃってるね。フォスの志なんてそんなもんですよ。

 しかし、そんな普段と違うシチュエーションの中で、フォスに話しかけてきたのはなんと流氷。氷も鉱物だからたまに声が聞こえるよ、とは先生の弁。どうやら先生もそんな声を聞くことができるらしいのだが、、曰く「それは自分の不安定な心の声だよ」とのこと。心の不安定さでもフォスさんたら天下一品。色々聞こえてしょうがない。そして、最終的には氷の声に飲まれるかのようにして水没。慌てたアンタークに救難されるも、今度は海の中に両腕を置いてきちゃうっていう。もう、これだから硬度3.5はよう。足の次は腕。これでまた別パーツに換装したらどんどんフォスがフォスじゃなくなっていく。もう、元々あった記憶の1/3くらいは失われているんじゃなかろうか。そして、名医であるルチル先生がいない状態でどうやって治療したらよいものか……アンタークさんは色々と一人でできて偉いよね。

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 うむ、最悪の初陣、第6話。基本的にフォスって単なるカスだからこういう展開だとマジでどうしようもないんだよな……。

 今週もいろんな宝石たちが賑わせてくれました。最初に現れたのは「最年長のシワシワ」ことイエローダイヤモンド。三千なんちゃら歳とのことだったので、軽くフォスの10倍程度の年齢ということになる。もう、感覚がさっぱり想像できなくなってるな。フォスだって我々の10倍程度は生きてるわけだからなぁ。まぁ、宝石たちにとって「生きる」ってのがどの程度の意味を持つものかもわからないけども。

 そう、今回見えてきたのは、宝石たちがどのように日々を過ごしているか、という世界全体の風景である。これまでは視点人物であるフォスがあまりにも特殊な立ち位置にいたせいで他の宝石たちがどうやって生活しているのかが見えにくかったのだが、フォスがようやく「戦場」に立つことを許されたおかげで、他の連中と同じサイクルでの生活に突入。毎日お日様が昇ってから沈むまで、ひたすら無益な哨戒任務を続けているということが確認されたのだ。ほんと、宝石たちって何を楽しみに生きているのだろうか……毎日毎日こんなことばかりを続けて、その先に月人がいなくなる未来があるわけでなし、生活を続けていくことで環境が変化して良くなっていく希望があるわけでなし、娯楽らしい娯楽も当然のようになし……。人間だったら軽い拷問レベルの生活である。しかし、そこは人間と宝石を同じ尺度に当てはめて考えてはいけないということなのだろう。変化を強く望まぬ宝石たちにとって、この終わらない日常をただ無事に過ごすことだけが、日々の目標なのかもしれない。そう考えると、月人たちって宝石に刺激を与えてくれるという意味では結構なエンタティナーなのかもしれない。

 そうそう、目的ならちゃんとありましたね。フォスが今回口にしたはっきりした「感情」の発露、それは「金剛先生のことが好きだから」という一言。他の面々もあまりのことにあっけにとられていたが、「何故宝石たちは必死に月人に抗うのか」ということを突き詰めていくと、確かにそこには何らかのモチベーションが必要なのだ。不変に慣れきっている宝石たちではあるが、だからと言って変化を疎ましく思っているわけでもないだろう。それなら、多少の荒事とはいえ「月に連れて行かれる」というイベントが悪いことがどうかも定かでないのだ。その上で何故月人に抗うかといえば、それはただ「先生がそうおっしゃったから」に他ならないのだろう。彼女たち(彼ら?)の目的は、あくまでも先生の言いつけを守ること。ただそれだけ。そして、その先生はこの世界の核心に近い何かを当然知っている。フォスが必死にナメクジ女王とのやりとりを思い出そうとして「人間」という言葉を漏らした時、先生は明らかに動揺を見せた。この世界の成り立ちには間違いなく「人間」が関わっているはずなのだが、それは何か忌まわしき過去に接続する記憶なのだろうか。先生の立ち位置も、未だ謎が多い部分である。

 そうしてウダウダと先生のところで管を巻いたフォスは、最終的に博物誌編纂の次の仕事としてめでたくみんなと同じ見張り任務につくことができた。パートナーとなるのは謎の分裂技をもつアメシスト。「双晶」って何じゃいな、と思って調べてみたけど専門用語が多すぎてよくわからんかった。どうやら結晶構造が「2つの結晶の結合」と定義されているかららしいのだが……それなら分裂しちゃいかんのでは? という気もするけど、まぁ、そういう能力なんだからしょうがない。剣の達人と言われてはいたが、通常モードでは割とぼんやりした性格らしい。クラゲやらちょうちょやら、そういう自然の生き物を愛でて遊ぶのが宝石たちの数少ない「娯楽」なのかもなあ、ということがわかったが、ひょっとしたら楽しいのはアメシストだけかもしれないのでその辺は不明。そして、それなりの実力とそれなりの硬度を有しながらも、登場した1話目であっさりと月人の餌食に。もう、フォスったらとんだ疫病神。まぁ、月人も色々と攻め方を工夫してるってことなんでしょうかね(数千年も変わらなかったくせに)。

 アメシストが今後どうなるかってのはさほど問題ではない。過去にも連れ去られた宝石はたくさんいるという話だし、今更1人(2人?)減ったところで宝石たちの生活は大きく変わることはないだろう。ただ、目の前でパートナーを犠牲にしてしまったフォスだけは違うかもしれない。自分の不甲斐なさをこれ以上ない形で叩きつけられた不幸なニート体質主人公。どこかで一念発起しないと、ちょっと主人公としては情けないぞ。それにしても「職場」とか「ヤブ」とか時々世界観にそぐわない妙な語彙が飛び出す奴である。口の悪さや皮肉の捻り方ってフォスの特殊能力なんでしょうかね?

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