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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 サブタイトルが一瞬「忍び寄る虚淵」に見えた第2話。忍び寄らずに堂々としててもええんやで。

 引き続き、新体制となった一係の内情について描いていく展開。そして、新しい脅威についても。前作の槙島は免罪体質という大きな武器を持つ「個」であり、そこから「群」に派生するためにはシンプルに破滅思想を説いて仲間を集めていた。しかし、あくまで彼はチェグソンや王陵璃華子といった「欲求の萌芽」を持つ人間の背中をそっと押す役割を務めていただけで、彼自身が凄まじい能力を持って影響を与えたというわけではない。静かなカリスマが、類い希なるセンスでもって、ちょっと世間からずれた人間に道を与えていただけである。しかし、どうも今度の敵キャラは様子が違うようだ。今回の被害者(加害者?)は、思想的にはそこまで「ズレた」キャラにはなっておらず、1期だったら1話目で不幸な最期を遂げたおっちゃんくらいのキャラだろう。大きな異常性から犯罪行為に突き動かされたわけではない。それにも関わらず、「色相が戻る」という不可解な現象を黒幕に与えられてしまったがために人生が歪んでしまった。そりゃそうだ。色相が人為的に変わるものであるなら、結局は槙島暴動の時と同じように治安そのものが成り立たなくなる。それがたった1人の人間に対してのものであっても、ゆるがせに出来ないはずのシビュラが成り立たなくなったとあれば、それはもう、立派なモラルハザードである。更に、今回は朱ちゃんの私室にまで乱入して「What Color?」の書き込みを残しており、犯人は公安と、ひいてはシビュラそのものと戦う気満々のようである。槙島はいわば「シビュラをおちょくる」のが目的の(最大規模での)「愉快犯」だったが、今回はもっとストレートなテロリストのようだ。さて、どうしたものか。いかに免罪体質で色相が濁らない朱ちゃんといえども、流石に自宅ストーカーまでされたらやばいんじゃなかろうか。うっかり煙草セラピーの量が増えちゃうレベルですよ。

 さて、その他、2期からの追加キャラについての描写もたくさん見られたので確認していこう。まず一係メンバーで一番影が薄いのが、元々ホロデザイナーだったという過去を持つらしい雛河。今のところ、「なんでそこにいるのか分からない」レベルの存在なのだが、少数精鋭の一係に抜擢されてるんだから、それなりに理由はあるのだろう。声とか。……流石に槙島さんとの関係は無いと思われるが……どういう含意があるんだろうか。シビュラシステムの正体を考えると、「槙島の何らかの情報」を移植した他人がいてもおかしくはない気もするが……単なるレッドヘリングなのか、意味があるのか。「ダンガンロンパ」における狛枝ポジションといえる。

 対照的に、この2話目で割と前に出てきたのが、CV藤原啓治の東金(とうがね)。こちらも一係に配属されたバックグラウンドは明かされていないが、今回の爆破事件の被害者との関連が触れられていた。正直、今回の事件そのものがずっと後を引くとは思えないのでバックグラウンドにはあまり伏線はなさそうなのだが、どちらかというと「デコイ相手に格闘訓練をする肉体派」「たばこを嗜む」というあたりが狡噛を思わせる配置になっているのがポイントだろう。彼との接点が増えるほど、朱ちゃんは狡噛のことを思い出しそう。煙草セラピーによって「煙草→狡噛の記憶」という接続を強化し、これによって「東金→煙草→狡噛」というつながりが生まれている。まぁ「似たキャラ」なんだからやっぱり最終的には白兵戦で狡噛とやり合うことになりそうな気はするんだけども。

 そして、新キャラじゃないけど今回めいっぱい可哀想だったのが二係の青柳さん。1期の頃から一係全体にも狡噛にも理解を示してくれたとてもいい人だったのに、今回はその狡噛も関わった縢失踪事件の時のように、部下1人が射殺、容疑者が執行官というどん底展開に。視聴者は事の顛末を見ているので何が起こったか知っているわけだが、直属の上司である彼女はまだなにも知らない(知ってたらそっちの方がショックかもしれないけど)。着実に「シビュラへの不審感」を募らせている最前線の人物であり、今回の黒幕の「シビュラとの戦い」ではこの人が重要な役割を担いそうである。

 あと、1期の頃からギノさんのメンタルケアを担当してくれていたセラピストのあんちゃんが今回再登場して思わせぶりな仕事をしていたのだが、彼にも何か裏があったりするんだろうか。1期の頃のお話では「単なるギノさんの相談役」だったのは間違いないと思うのだが……どうしてもCVのせいで疑ってしまうのは良くない傾向である。この世界でメンタルケアしてる連中って全員どこか胡散臭いからなぁ。

 あ、あといちいちイラッとする新人の霜月さんね。朱ちゃんサイドから見たらとてもとても迷惑で鬱陶しい奴なのだが、実際にシビュラ至上主義の公権力側から見たら(つまり一般的なこの世界の住人の目線で見たら)、彼女の方がいちいち正しいことを言っているのは間違いない。そして、上司だろうが先輩だろうが遠慮なく食ってかかる行動力も、ある意味では尊敬に値するものだ。ただ、結局は「まだまだ若いから……」というそれだけの話なのよね。ギノさんはこれだけ血気にはやって頭の固い彼女を見て、一体どんな気持ちでしょうね。六合塚さんの言っていた「経験による判断」って、ギノさんがかつて忌み嫌っていた父親の「デカの勘」ってやつなんだよなぁ。……ギノさん、このシリーズの最終回まで生きてるといいなぁ……。

 で、そんな中でも今回一番気になったシーンは、やっぱり六合塚さんと会話した時の美佳ちゃんの表情だよね! なんでそんな簡単に頬を染めちゃうかな! そりゃ確かに弥生さんは美人だけども! 憧れるけども! この世界は百合ばっかりか! いや、レズばっかりか! 弥生さんは既に唐之杜さんのお手つきだから駄目だよ! まぁ、三人で組んずほぐれつなら大歓迎だけど。中の人的には、常守さんのところに飛び込みたいところなんだろうけどな。あと、尊敬すべきラジオの魔神(青柳さんの中の人)も同じ現場にいます。あやねるドッキドキやで。多分御前には乳もまれとるで。

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ホントに良い話だよなぁ、第9話。この作品は全然感想が書けてないんだけど、とにかく毎週同じように「イイ」としか言いようがなくて、記事立てが難しいのである。でも、今週は流石に上げる。

 クライマックスに向かって盛り上がり続ける本編。今回はスマイルVS真田、そしてペコの苦戦という2つのシーンがメインで描かれている。これまで存分に存在感を発揮してきた強烈なキャラクター・真田が、ほんの一瞬だけスマイルを攻め立ててるように見えながらも、結局全ては手の平の上、見る見るうちにへし折られて敗れ去る姿は圧巻だが、この試合はあくまで後半に見せる名シーンへの布石でしかないだろう。ここまで積み上げてきた真田という「餌」を前にしても一切揺らぐことのないスマイルの強さ、そして、血の通わぬ機械と恐れられるその脅威の精神性が真に迫る描写で補強されていく。

 対して、ペコの方は苦しい展開。孔を退治し、充分にスマイルと並び立つ権利を得たかと思われていたペコだったが、急成長の影にはその代償が残されていた。オーバーワークによる膝の故障は、ペコ本人以外ではオババしか気付いておらず、まさに影に悲哀を隠したヒーローのごとき存在となっている。そして、最後に待っているのは、限界を迎えたペコが、「スマイルが呼んでいる」のにこたえるために立ち上がるという、新たな旅立ちを描いたシーンだ。これまで再三描かれてきた「ヒーロー」としてのペコ、そんなペコによって開花した「笑顔の才能」を持つスマイル。どこかいびつながらも、互いに全てをわかり合っている親友2人。ペコは一時でもそんなスマイルを失望させてしまっていた自分を恥じ、今現在の「機械」としてのスマイルを「迎えに行く」責任を感じている。全身全霊をもって期待に応えるべく、身体にむち打って立ち上がる。その一言一言がズシリと重く、涙無しでは見られないシーンとなっている。

 正直、番組開始からしばらく、本当にペコはムカつく奴だと思っていた。原作を知らない私のような人間の中には、孔にボコボコにされたペコを見て「ざまぁみろ!」と思った人も多いのではなかろうか。そんなペコも、今ではすっかり主人公だ。やはりこの作品の主人公はペコだ。今回、大きく映し出されたペコの笑顔は、2人分の責任と夢を背負った立派な主人公のそれであった。掛け値無しに恰好よく、アツい。これだけ思われてるんだから、スマイルも幸せ者だよ。事ここに至って、オババの「愛してるぜ」も見事にキマっている。1つ1つのカットの重みが半端じゃないのです。

 あ、あと冒頭で海外武者修行から帰ってきたツダケンボイスのあの子は笑わせてもらった。結局あいつ、なんやねん。

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 おいぃ! 弥生ちゃんと唐之杜さん!!! 最終話。もう、色々と思い巡らしながら見てたのに、あの1カットで全部ぶっ飛んじゃったよぅ! なんと! 一係の! ナイスバディのおねぇさま2人が! 百合! ガチ百合! もう百合っていうかレズ! そういやそんな内容の同人誌もあった! もう、色々大変ダァ!

 さて、先んじて取り乱しておけば多分冷静になれるだろう。一体どういう締め方になるだろうと思っていたが、なるほど、ひとまずの落としどころはここだったか。まぁ、これまで冷静に追いかけていれば納得出来るくらいの無難なところだったのではなかろうか。唯一狡噛さんの行く末だけはちょっと引っかからないわけではないが……どうなんだろうね、狡噛さん。確かヘルメットに対する措置は既に施行されているはずなので、狡噛クラスの犯罪係数マックスな人間がその辺うろうろ出来る世界じゃないと思うんだけど。今回の件でガンガン罪状もたまってるわけだし、そもそも槙島殺害の実行犯をシビュラが見逃してくれるとも思えないのだが……うまいこと生きてるのかしらね。ま、槙島だって色んな犯罪者を子飼いにしてたんだから、多分裏ルートを利用すれば何かごまかす手段はあるのかもしれない。何よりも、狡噛さんが死んじゃうと万が一2期を作る時に勿体ないからね。今回の続き方だと一応2期も期待出来なくはないんだよね。「シビュラへの復讐」みたいなヤツ。まぁ、多分どうしようもないストーリーになるだろうけども。

 狡噛の末路を除くと、割とバランスの取れた着地の仕方だった気はする。槙島は当然のことながら狡噛の手で始末された。最後にほんのわずかだが2人きりで語らうチャンスを与えられ、結局槙島は最終的に狡噛の見立て通り、「孤独で寂しい人間」としての最期であった。あれだけ好き勝手やりながらも非常に哀れな最期を迎えるあたりは流石だが、今回の叙情的な描写を見るに、孤独だと思っていたこの世界で、最後に「よく似た存在」である狡噛に出会えたことは、彼にとって幸せだったのかもしれないとは思える。

 また、そんな槙島を巡っての狡噛と朱ちゃんの関係性の妙も良い。ドミネーターをパラライザーで固定していたのでてっきり朱ちゃんが狡噛を撃って槙島殺害を止める展開かと思っていたのだが、冒頭でドミネーターを狡噛にあっさり渡してしまったのは意外だった。なるほど、確かに彼が凶行に及ぶのを止める手段としてはなかなか面白い。一応実弾銃を狡噛から受け取ることで朱ちゃんも槙島に対して有効な武器を手に入れられたわけだし。まぁ、リボルバーに銃弾が1発しか残ってなかったのはどうかと思うけども。狡噛と再会した朱ちゃんの奮戦ぶりは実に甲斐甲斐しいもので、まずとにかく狡噛を止めるために、槙島を放っておいて狡噛をホールドアップさせた。彼女にとっての最大目標が槙島の打倒ではなく狡噛の安全確保であるということがよく分かるシーンだ。その後も2人で背中を任せながら進むシーンがあり、すっかり「相棒」としての存在価値が定着したことを示している。そして、そんな蜜月関係も、結局槙島を前にして終わりが来てしまうというはかなさ。黙々とリボルバーに弾を込めていく狡噛を見ているしかない朱ちゃんのシーンが何とも切なかった。

 結局、シビュラそのものを打倒することは叶わなかった。朱ちゃんは未だ狡噛の汚辱を雪げずにいるし、縢の仇も討っていない。しかし、あくまで彼女が守るべきものは法であり、その後ろにいる人間であるという。実に優等生的な答えだが、彼女のこれまでの人生行路を考えるならば、実に自然な回答である。狡噛の正義も認めるし、シビュラの持つ正義も理解する。だからこそ、彼女は狡噛の意志を継ぎながらも、シビュラと戦い続ける未来を選択した。シビュラの善い面と悪い面の全てを理解し、抗いながらそれを乗り越える未来を選択した。生中なことでは無いし、おそらく彼女1人ではどうしようもないのだろうが、彼女の望む世界のためにはそれが最善である。シビュラというシステムの特性を考えれば、現在の状態がまた1つがらりと変わる可能性もあるのだから、その未来に賭けて今はじっと使命を全うすることが彼女の仕事なのである。そう思えば、実は非常に適切な幕引きなのではなかろうか。

 最終回らしいエピローグパートでは、ギノさんもちゃんとおやっさんとの関係性に片を付けることが出来た。あの眼鏡にそんな意味があったんですね、イケメンなんだからもっと堂々としてればいいと思う。ぐるりと回って最終的に執行官になるというエンディングも、実に「それらしくて」憎い配置であろう(まぁ、彼のこれからの人生を考えるとあんまりテンションが上がらないが)。今後の一係には、よりにもよってあやねるボイスの新人管理官が入ってきた。なんかラブライブといいコレといい、「次世代」を託す声って佐倉綾音がデフォなのだろうか。ラストシーンを見ると執行官も追加人員が入ったみたいなので何ともいえないが、現在分かっている一係の面子は、管理官が朱ちゃんとあやねる。それに六合塚さんと唐之杜さん、そしてギノさん。おい! ギノさんハーレムやんけ! うらやましすぎるわ! でも残念、おねーさん方は! 百合! ガチ百合! っていうかレズビアン! (結局このオチ)


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 死ぬかぁ、死ぬよなぁ……第21話。不可避の死亡イベント、いいキャラだったからやっぱり切ないものがあります。

 ラストバトルフィールドに飛び込む狡噛と朱たち一団。一係はあれだけでかいヘリをかっ飛ばして来たはずなのに、公安局の他の部局からのサポートとかが一切無いのはちょっと不思議な気もするが、槙島があそこにいて国家転覆を企んでいるってのはまだ確証が無い段階だからサポートも依頼できないのかしら。もしくは既に局長から目を付けられているせいで、あんまり大きく動けないのかもしれない。朱ちゃんが手に入れたシビュラとの直接交渉権を使えば多少の増員は見込めた気もするんだけどね。代わりに朱が手に入れたのは、常時使えるパラライザーモードのドミネーター。このあたりのセッティングはなかなか面白いところで、この作品の最大の肝である「刑事」「犯罪者認定の元刑事」「犯罪者認定されない犯罪者」っていう三つ巴の設定が上手く活きている。朱ちゃんの最大目標はとにかく狡噛を救うこと。その時にあの殺戮マシーンドミネーターは使えないわけだが、うまいこと「槙島に使えないからなぁ」なんて揺さぶったおかげでパラライザーを手に入れた。考えてみればこの作品の第1話から「パラライザーで狡噛を撃つこと」がトレードマークみたいなものだったわけで、その辺のかみ合わせはよく考えられている。

 同様になかなか上手いと思ったのは、ラストステージを彩る舞台設定の絡み方。狡噛はセキュリティがあるとそもそも入れない(周りに人がいないからヘルメットも役に立たない)。だからセキュリティを止めてもらうために朱ちゃんに直接申し出て電源供給と一緒に止めてもらっちゃうという。槙島の足止めと狡噛の突入の理由付けが同時に成されるのに加えて、電源が遮断されてサポートもなくなるおかげで、周りの余計な要素(それこそシビュラとか)に邪魔される心配もなくなるという。ただ、電源の停止は更に朱ちゃんを中央管制室に導く要因ともなったわけだが、そこからの槙島と狡噛の行動はよく分からなかったんだけどね。朱ちゃんは管制室に入った後、「何か見落としていて、2人の見ている正解は他にある」と悩んでいたが、結局その「正解」って何だったんだろう。「犯人は逃げるものと信じている公安局を、槙島が待ち伏せして返り討ちにすること」だったのだろうか。この場合、槙島は1人で不特定多数の局員を相手取らなければいけないことになるのだが、彼はそこまでの覚悟があったというのか(実際、2人までなら完封してるわけだが)。そして、もしそれが正解だったとして、じゃぁそれを「予測していた」と思われる狡噛はどこで何をしていたのか。登場のタイミングからして、槙島のしかけたトラップの作動音で現場に駆けつけたようなのだが、それまでの時間、彼はどこで何をしていたのだろうか。てんで見当違いのところを見ていたとしたら、朱ちゃんもちょっと先輩を買いかぶりすぎていたようだ。

 狡噛がぐずぐずしていたせいで、犠牲になったのはとっつぁんとギノさんである。ただでさえ最近朱ちゃんの様子がおかしくて気が気でなかったギノさんは、色々と考えなきゃいけないことが多すぎて、あっさりと槙島のトラップにかかってしまった。おかげで事実上人質を取られた状態のおやっさんは、為す術もなく槙島に敗北することに。急展開過ぎるのでなんだか情けない死に方をしたかのようにも見えるが、ここはむしろ、槙島の手練手管を褒めるべきなのだろう。狡噛以外の警察には一切興味が無いらしく、やることは全て直球勝負で殺しに来ている。朱ちゃんが言っていたように、「ホシはことがばれて阻止されたら真っ先に逃げるもの」という先入観を逆手に取り、余裕を持って2人を返り討ちにすることが出来たのだ。確かにギノさんは不注意かもしれないが、それを責めるのも酷というもの。おやっさんは甘ちゃんかもしれないが、彼の情を考えればやむを得ない。何から何まで槙島の思惑通りである。おやっさんの退場はほぼ予測出来ていたものだが、最終的に「シビュラにとらわれず、あくまで人としての善悪を判断するカビの生えた古い人間の死に方」というものが見せられたのだから満足だろう。これまでどうしようもなく下り坂しか見えていなかったギノさんも、最終回以降には父親の遺志を継いで改めて前を向くフラグにもなったのだし。

 そして、いよいよ残されたのは朱ちゃんの最終判断。槙島はまず間違いなく駆逐されることになるだろう。いくら強くとも、狡噛&常守というタッグには一度敗北しているのだし、今回はパラライザーという武器もある。槙島が倒れることで一応の大団円が形作られるのは間違いなかろう。しかし、問題はその後の狡噛の処遇、そしてシビュラ自体と向き合う決着だ。残った時間を考えると、少なくともシビュラそのものを打開するのは無理だろう。しかし、このまま朱ちゃんがシビュラの守り手になるのもどうにもすっきりしない。果たしてどのような落とし前を付けてくれるのか。不安半分、期待半分で待ちましょう。


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 朱ちゃん急成長、第20話。きっちりクライマックスに向けての盛り上がりが出来ておる。そして、CV日高のり子のドミネーターの存在感。このためのキャスティングだろうなぁ。局長が出てこないのはちょっと寂しいぞ。

 もちろん、クライマックスに至る大きな流れの中にはよく分からない突っ込みどころも満載。今回は大きく2つの「どないやねん」が含まれており、1つは「槙島さんも狡噛さんも優秀過ぎやろ」という身も蓋もない突っ込み。槙島さんは、前回狡噛が見つけた2chの書き込みを見たのかどうか定かでないが、とにかく「愉快なバイオテロ」計画を実行に移すことに決めたわけだ。そこから全くブランクを空けず、一応指名手配を受けている身の上にも関わらず、あっという間にこの国の中枢である食糧供給の要に肉薄している。免罪体質のおかげでサイマティックスキャンこそすり抜けられるが、初期の事件の時にはフツーに顔写真の映像データから足がつかめたわけで、その辺をのらりくらりと歩くことは流石に出来ないはず。その状態の逃走犯があっさり調べられるレベルの情報で、まさかのクリティカルヒットである。まぁ、シビュラの統制下の世界はバイオテロとか企もうとした瞬間に犯罪係数が上がってアウトらしいので、槙島みたいな存在は完全スルーなのかもしれないが……流石に自由過ぎる。それを追いかける狡噛さんも同じようなエスパーぶりで、きっちり槙島を追尾しつつ、後からくる一係のためにヒントまで残す親切心。狡噛さんの推理力が神がかりすぎてて怖い。外を出歩くときはヘルメットを常用してるわけで、いくらなんでも不信過ぎる気がするんだけどね。システムの隙間をついた相手に対しては本当に脆い社会である。

 そして、今回ついに朱ちゃんに明かされたシビュラの真実。こちらも、視聴者としては既に知っている事実ではあったはずだが、改めて知らされると、分かる部分と分からない部分が出てくる。「集合意志による、善悪を超えたシステムの完成形」という理念は理解出来る。倫理的な問題はさておくとして、縢を始末した流れや、朱に協力を求めるといったアクションについても、なるほど合理的な「判断の1つ」として納得出来るだろう(シビュラの理念からすると「たった1つの正解」ではなく、あくまで集合意志の導き出した「有意な答えの1つ」として、である)。システム全体の最大欲求は既に「個」の存在を逸脱した「システムとしての昇華」にあるわけで、そこには敵対すべき意志はなく、あくまで「シビュラの理念に賛同出来るか否か」という単純な二元論になることもある意味当然である。その上で唯一分からないのは、シビュラがあそこまで無理をして槙島に拘泥する理由である。今回は朱ちゃんの強迫もあり、ついには「槙島を確保すること」が「狡噛を駆逐すること」にすら優先した。確かに「システムを逸脱する因子ならば管理側に取り込んでしまえばいい」という解決策は一案だと思うのだが、それこそ無理に「取り込む」ことにこだわるのではなく、無理だと判断し、利害の多寡を計ったのなら、さっさと処分してしまうことも選択肢としてはありうると思うのだが。「異端を組み込めば更にシステムの完成度が増す」という発想は分かるし、実際、たとえば槙島を先んじて取り込んでおけば今回のバイオテロも未然に想像出来て、食い止めることが出来たかもしれない。そう考えれば説得力もあるのだが、あくまでそれは大量に集められた集団意識の1つの誤差に過ぎない。そうした微細な因子にまで徹底的にこだわるのだとしたら、どうもシビュラというシステムにはまだ穴が多いようである。

 まとめると、現時点での最大の疑問は「シビュラが槙島に対してどのような認識を持っているのか」というただ一点。狡噛さんの冷遇との対比で槙島わっしょいっぷりが半端ないので、そこさえもう少し理解が及べば、現在のシナリオラインはすっきりするだろう。そして、現時点ではそうしたもやもやも抱えながら、やはりメインヒロイン朱ちゃんの成長と存在感には素直に感心もしているのである。今回は回想シーンで旧友のゆきちゃんとの記憶、縢との記憶、そして槙島との仮想対話と、3つのステージを経験していた。順に「シビュラに憧れ、その支配下にありながら甘受していたもの」、「シビュラを忌避し、憎みながらもその支配下から逃れられなかったもの」、そして「シビュラの影響を受けず、現在も抗い続けるもの」という3つの立場との対話である。朱自身は「シビュラの影響を受けないが、その恩恵を甘受し続けているもの」ということで、3人のどの立場とも違う。当然、一番立場が近いのは槙島である。免罪体質という特権を持ち、更にシビュラの真実を打ち明けられた朱は、今や槙島と同じ行動に出るだけの権利を得た。その上で、槙島はシビュラに対して「疎外感」を持っていたが、朱は過去の友人達との思い出の中に「安心感」を持っている。奇しくも、今回シビュラが看過した通りに「感情では憎んでも、理性ではシビュラを認めている」という状況そのものである。ここから朱ちゃんが独自の立ち位置を見いだし、槙島のように刹那的な「反シビュラ」に賛同せずとも、独自の視点から更にシビュラに対抗できる手段を見いだせれば完璧である。

 そうなると、やはり最も大事なのは狡噛の存在ということになる。常守朱というキャラクターの面白いところは、メインとなる2人の男性主人公のそれぞれの映し身として機能している部分なのだ。元々「狡噛と槙島は似ている」と言われていたわけだが、朱はその2人の最も「異なる部分」をそれぞれに有している。槙島との接点は今回仮想対話ではっきりと提示されている通り、シビュラに対しての特権的地位という部分が共通する。狡噛との接点は、捜査官としての「天性」と、感情に重きを置き、旧時代然とした行動理念を捨てずにいる部分が共通する。つまり、2人の主人公の特性を併せ持ったハイブリッドとして、最終的に「常守朱」が完成することでこの物語はフィナーレを迎えることが想像出来る。果たしてどのような幕引きになるのか、今からドキドキしてしかたない。

 どんどんかっこよくなる朱ちゃんを見ていると、花澤さんのお仕事はとても恵まれた良い役だなぁ、としみじみ思うのである。ギノさん、完全に噛ませポジションに落ち着いたけど、ここからもうひとがんばりして欲しいもんだぜ。


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 槙島さん愛されすぎワロタ19話。ご本人は一切登場してないはずなのに、勝手に妄想の中でしゃべらされてバーチャル槙島さんまで登場する始末。もう完全に狡噛さんとは相思相愛の仲ですわ。オムライスがやたら美味そうだったのも気になる。

 前回も衝撃展開だったが、クライマックスに向けて実に様々なファクターが大きく動き続けている。やはり、巨悪としての対立構図が「VS槙島」と「VSシビュラ」という2極を持つのが、この作品の最大の見どころであり、今後の処理が難しい捻りどころでもある。現時点ではどう考えてもシビュラの方が「巨悪」であるが、それを断じようにも、「シビュラが悪だ」とすると「それに対立していた槙島には酌量の余地がある」という文法になってしまうのでしっくり来ない。確かに槙島にも理のある部分はあろうが、やはり本作の前半で延々繰り返していた凶悪犯罪のことを考えると、彼は「悪」以外のなにものでもない。2つの「悪」をうまいこと処理する幕引きがあるものだろうか。まぁ、脚本家のことを考えれば、全部が全部勧善懲悪的な終わり方をするとは思わないけれども。今回、狡噛が先生と2人で槙島についてのイメトレ(妄想ともいう)を繰り返しているうちに、「槙島さんって、免罪体質に気付いた時にむしろ寂しかったのかもしれませんね」みたいな話になり、どっちかというといじめられっ子側に回されてたのがなんだかおかしかった。槙島さんがあれだけ悪ぶって格好付けてるのに、「あー、可哀想な子だったんだな……」とか思われたら、なんか不憫だよ。

 しかしまぁ、今回の立ち振る舞いを見る限り、狡噛さんは槙島への手を緩めるつもりはなさそうである。自分の手で「殺す」と明言しているわけだし、どれだけ槙島に感情移入したとしても、彼の中での「悪」は動くまい。問題は、このあと槙島が打ち出す大きな一手(この流れだと、本当に食糧供給の方にアタックしてくるんだろう)が、シビュラの崩壊にどの程度荷担してくるかだ。「槙島さんが何かやらかす」→「狡噛さんがそれを見届けながらもぶっ殺す」→「私は出来ることをやって満足したから、あとは好きにしろといって槙島退場」→「ラストバトルは狡噛を中心とした色相濁りまくりの反シビュラ対、免罪体質朱ちゃんを取り込んじゃったシビュラ側」というのが大まかな流れになるんだろうか。もちろん、朱ちゃんはそのままシビュラに飲み込まれるようなことは無いと思うけども。

 むしろ、朱ちゃんは主人公補正があるので、このまま単純に手駒として丸め込まれるはずがなく、最終的には狡噛さんと対面して撃つだの撃たないのと、ちょっとしたメロドラマを繰り広げることは確定している。問題になるのは、今回完全に見捨てられてしまったギノさんであろう。一番の常識人、一番の苦労人であるギノさんがどんどん窮地に追いやられていくのを見るのは非常に辛い。なんだか「グレンラガン」の3部を見ていてどんどん追い詰められるロシウを見ている時と似たような気分だ。「何も間違ってないのに! 絶対この人が一番正しいこと言ってるのに!」というやきもき感。ギノさんの場合もロシウと同じように、マイペースでかっとぶカミナ(狡噛さん)、無自覚のくせにどんどん主人公体質で上に行っちゃうシモン(朱ちゃん)、その他、訳知り顔の旧知のキタンなど(おやっさん)に囲まれているので、作品世界の内外で風当たりが強いというのが可哀想。頑張れギノさん。一人で死亡フラグ立ててる場合じゃない。

 さて、次週は朱ちゃんがどう動くかですよね。まぁ、槙島に振られた局長(シビュラ)が、同じ免罪体質の朱ちゃんに粉をかけるのはある意味当然の流れなのかもしれない。今回の局長は、中に入っているのがいつもの人と違ったのか、ギノさんの直談判に対してものすごく素っ気なかったのが笑えた。最近の榊原良子の仕事は楽しいものが多くて良いよね。ちなみに今週一番面白かったシーンは、狡噛が最後にバイクに乗って颯爽と旅立つシーン。すげぇ自然にヘルメットを被るのだが、当然、被ってるのは例のアレである。そのヘルメット、前方視界は大丈夫なのか?


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 噂の作画崩壊回、第18話。確かにアレな内容だったが、ぶっちゃけそこまで騒ぐようなものでもないけどね。あんまりキャラクターデザイン自体がこのみじゃないってのもあるけど、そこまで1枚絵で見せるような作品でも無いし、もともと朱ちゃんの顔って書くのが難しい絵だったし。まぁ、どっちかっていうと中割すっ飛ばしたような動画、動きが明らかにおかしい動画の方が問題なんでしょうね。「足を撃ってくれた」ってあとから言われてるのに、実際の狙撃シーンはどう見ても上半身を撃たれたようにしか見えないとか。個人的には、あんまりスタッフの方からこういうことを前もって言っちゃうのはよろしくない気がするけどね。「ひどいと思うなら出すなよ」って言われるのはわかりきってるんだからさ。

 さて、そんな画の話を無視すれば、話は大きく転換期を迎えて盛り上がっている。ホントにいいところなんだよ。狡噛は狡噛で自分の人生を定め、それを周りの仲間達が完璧にサポートしてくれている。朱ちゃんの心情を思うとなかなか切ないものだが、そんなたまった感情がグッと前に出るエンディングの演出なんかめちゃくちゃ恰好良かった。普通の作画で放送してればかなりの良回になったことだろう。今後の展開を想像すると朱ちゃんと狡噛が再会しないはずはないので(その時に最終的に狡噛が生きてられるかは分からないけど)、今回はあくまで一時の別れのシーンといえるわけだが、この別れが第1話の出会いのシーンと絶妙な重なりを見せているのが心憎い。狡噛は1話で朱ちゃんに狙撃されることで彼女の未熟さと、監視官としての特別な素養を理解した。そんな彼女が一人前に成長し、立派にベストを尽くせることを、再び彼女に狙撃されることで理解することが出来たわけだ。なんだか「女に撃たれまくってる相棒」って考えると情けない気もするが、命懸けの2人の関係性は良い熱量を持っている。それにしても、狙撃シーンの朱ちゃんは本当に凛々しかった。ギノさんが押し寄せてくる想定外の事態に完全にテンパってしまっていたおかげで、その対比が良く映える。

 あとは、狡噛の周りの仲間達のナイスサポートがグッと来ますわな。唐之杜さんのどこまでも蓮っ葉でイカシた別れの台詞とか、おやっさんの実は一番具体的でありがたいサポートとか。ここに縢もいてくれたら、彼はどんな言葉を狡噛に贈ったんだろう。あとは完全に追い詰められたギノさんが今後どういう動きを見せるかによって一係の存在感が決まってくると思うが……流石に今回の顛末を見たら、ギノさんも諦めざるをえないんじゃなかろうか。今までだったらギリギリ「法の秩序のためのやむを得ない行動」として納得も出来たかもしれないが、今回の局長の行動はどう考えても説明がつかないものだった。ドミネーターの異常についても誰も説明出来ず、シビュラ=局長の構図があまりにも自明。じっとしてられるわけがないよなぁ……どうなるかしら。現時点では、主人公狡噛の敵キャラはやはり槙島である。そうなるとシビュラの不正をただす仕事は朱ちゃんの側に回ってきているように見えるが、彼女には明確に「シビュラと対峙する」という姿勢がない。やっぱり局長が調子に乗って縢の話とかポロッとしちゃうのかもしれない。現時点での局長は相変わらず恰好いいままなので、槙島を立てるためにあんまり間抜けな方向には走らないでほしいもんである。

 そういや余談だが、今回狡噛が使ってヘルメットって、あくまで「周りの人間の色相をコピーする」能力なんだよね。管理局内とか、早朝に彼が外に出たときとか、周りに誰もいなかった気がするのだが……ちゃんと機能したんだろうか。


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 格闘戦でバックドロップ使うやつ初めて見たわ、第16話。今まで基本的にエントリー立ててなかった作品だけど、今回かなり面白かったので書いてみようと思った。今期ノイタミナ枠は2作品ともじわじわ面白さが増していると思うのだが、関西は放送が遅いのが口惜しいね。

 1つのクライマックスとなる狡噛と槙島の直接対決。シーン自体は第1話冒頭で既に一度流れていたものであるが、あのシーンに繋がるまでの流れがこういうものだったのか、ということが分かるとまた味わい深い。普通ならばこうしたクライマックスってのは1クール目の終わりか最後の最後に持ってくることが多い気がするのだが、今作の場合は16話で頂上決戦というのがなかなか読めない。今後の話数でどのように折り合いを付けていくことになるのだろうか。

 正直、流石に前回の展開はどないやねんと思う部分が多かった。確かにヘルメットによるシビュラの崩壊からの混乱というのは必然であると思うのだが、そこに至るまでの流れが性急すぎるように感じられた。ヘルメット集団が暴れ出すタイミングと、それに対応して市民が逆上し、攻勢に出る反応が早い。おそらく脚本家がそのシナリオを書いた背景には「施錠することすら必要無く、シビュラによって全ての悪人が排除された世界」という時代背景があり、市民心情を考えれば、「今まで一切悪人がいなかった世界に、突如として不特定多数の危険要素が現れた」という状態は、想像以上にストレスがかかるものだったということがあるだろう。単に「自分が狙われるかもしれない」という危険だけならば人口比を考えれば普通は杞憂レベルのはずなのだが(東京の総人口に対するヘルメットの人数は、どう考えたって大暴動にまで発展する数ではないだろう)、この世界で面倒なのは、「ひょっとしたら襲われるかもしれない」と考えて怯えるだけでも、色相が濁ってしまうという部分にある。人々は「色相が濁ってしまう危険」に非常に敏感で、そこに更に「なんだか不安定なシビュラ」という要素まで絡んでしまえば、確かに何が起こっても不思議ではない。不思議ではないのだが、そこまで特異な世界であるという認識が未だ視聴している私の中に確立されているとは言い難く、どうしても突飛な印象を受けてしまうことになったのだと思う。

 しかしまぁ、「感覚的に不自然であること」と「シナリオ上成立していること」は分けて考えるべきかもしれない。今回のクライマックスシーンを見る限り、あくまでこの作品の本質はそうした「不自然で容認しがたいシビュラというシステム」自体の存在価値をねじ曲げるところにあるわけで、前回の暴動パートはあくまで槙島のプランでは前哨戦。今回のための撒き餌だと思えば大して気にもならないというわけだ。タワー内部を二手に分かれて進行する狡噛隊と縢のそれぞれの戦い、独特の方向性で見せるアクションシーン、そしてラストのどんでん返しの衝撃。今作の抱えていたあれこれが一気に表出したエピソードになっている。

 今回で見納めとなってしまった縢君の活躍は1つの見どころ。まぁ、実際には相手の雑兵をばったばったとなぎ倒すシーンはカットされてしまったのでどうやって彼が最深部までたどり着いたのかはよく分からなかったりするのだが、チェグソンとの通信機越しの対話や、最後に局長と対峙した時の捨て台詞なんかは、いかにも彼らしいはすっぱな物言いがちょっと寂しくもあり、「あっけない」最期を飾るのに相応しい。犯人側と話を合わせてる時には「こいつ、このまま裏切ったら笑えるな」とか思っていたが、意外にあっさり「コウちゃんが大事だからそんなことしないよ」と友情パワーを見せつけてくれたのが憎らしくて良い。出来ることなら彼の活躍ももうちょっと見てみたかったところであるが、「捨て駒」としての最期としては悪くない扱いだろう。

 また、仲良く2人で塔を登る朱ちゃんと狡噛のコンビネーションも面白い。「ヘルメット被れば相手のヘルメットを無効化出来るぜ(ドヤァ)」→「被り損でしたね」の流れとか、強い口調での「これは命令です」とか、いつの間にやら朱ちゃんが立派に監視官として狡噛と関係性を築けているのが微笑ましい。狡噛さんも、ドミネーターが使えないという逆境をものともせずに千切っては投げ、千切っては投げの大活躍。まぁ、流石に連戦後の槙島戦はフルボッコだったわけだが、そこに期待するのは流石に酷ってもんだろう。朱ちゃんの活躍の場を作ってくれたことを考えれば非常に空気を読んだ立ち回りである。最後の最後で、きちんと「槙島を殺せ」と正しい(と思われる)判断もしており、ハードボイルドな格好良さは維持したままである。朱ちゃんがグッと堪えて最終的に手錠を取り出すところも良いシーンである。まぁ、流石にあのでかいヘルメットで殴殺してたら、いくら朱ちゃんでも色相濁りまくるだろうよ。

 そういえば、今回登ってたノナタワーの様子とか、最後に縢たちがたどり着いてたメインシステムの部屋とかが何かと印象が被る気がしたのだが、多分劇場版「BLOOD-C」のラストステージだ。あのときも小夜ちゃんが「組織のトップが実は敵側だった」という真実を突きつけられて絶望するのが、やたら白くて光量の多い塔の最上部だった(今回は最深部だけど)。そういや監督が一緒なのだよ。まぁ、たまたまだけども。また救えない日々が戻ってくるのか。余談だが、今回の狡噛さんと槙島の出会い頭の会話パターンは、日常会話で凄く応用が利きそうだから覚えておこうと思った。↓使用例

「いちからか? いちからせつめいしないとだめか?」

「悪いが、俺は誰かがあずまきよひこを引用したら、用心すべきだとかなり前に学んでいる」

「もしも君があずまんがを引用したら、同じ言葉を返しただろう」

 あ、意外と応用効かない。


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 無事に幕引き、最終話。始まる時には「8話ってどないやねん」と思っていたものだけど、案外身の丈にあったちょうど良い話数だったのかもね。

 崩壊するストレングスと、そのために入れ替わりを強要されてしまうユウ。「現実は怖い」と叫び続けるユウに、ストレングスは大丈夫だと力強く声をかける。そして、ブラックロックシューターはマトとの直接対決に挑む。内的世界のさらに内部、というよく分からないフィールドで対峙した2人は、「他人を傷つけることなんて出来ない」というマトが一方的に嬲られる展開に。破壊衝動だけが一人歩きするブラックロックシューターは、宿主だってお構いなしだ。最終的には、キン肉マンやらなんやらでもお約束の「俺たちがここにいるぜ!」エンドへのルートを突き進み、これまで倒してきた色とりどりの少女たちがマトに助力することで、彼女はブラックロックシューターを打倒することに成功した。

 ただ、事ここに及んで分からなくなっているのが、結局「異世界」とは何だったのか、という部分だ。元々は「現実で苦しむ少女達の代わりに、異世界の少女が戦うことで心の痛みを軽減する」という設定。これに、さらに「異世界で少女が死ぬことで、現実世界の苦しみ=こだわり・愛着が喪失する」、という設定もあり、ブラックロックシューターは、これまで幾人もの少女の愛情を砕いてきた。さて、今回壊されてしまったのはそんな現実世界に現出したイレギュラーであるストレングス。彼女の場合、ユウ本人が異世界に溶け込んでしまっていたため、彼女の破壊による「喪失」現象は起こっていない(まぁ、最後に再生していたためかもしれないが)。

 だが、もう1人壊されそうになったことも忘れてはいけない。マトと、ブラックロックシューター本人だ。マトが壊されそうになったことは、おそらくブラックロックシューターにはさして問題ではないのだろう。「異世界の少女が消えたら現実に影響が出る」ことは分かっているが、「現実のよりしろが消えたら異世界の少女がどうなるか」は言及されておらず、彼女にとってマトは必要な存在ではないからだ。しかし、マトにとっては逆のはず。ブラックロックシューターが死ねば、彼女の中で何かが失われるはずであり、彼女はその理屈を知っていると思うのだが、それでも彼女は対決に挑んだのだ。結果的に、彼女から失われたものは1つだけある。それが「他人を傷つけてまで交わりたくない」という気持ちである。

 このことは、なんだか綺麗にまとまっているようにもみえるのだが、初期の設定からするとどこか捻れてしまっている。彼女の「他人を傷つけるなんて」という思いが、異世界に少女を生み出すほどの「苦しみ」として描出されていなかったためだ。しかし、こうして最終話の1シーンとして描かれると、この捻れも最初からあったかのような気がしてくるのでずるい。最終的に、「マトたちの世界」に他の少女達が流れ込み、全ての色が混じり合うこと自体が、マトの拒否し続けてきた「痛みを伴うつながり」を表しており、実際にはブラックロックシューターを打ち砕かずとも、マトの痛みは切り開かれていたのだ。ひょっとしたら、最後に彼女が特大戦隊バズーカみたいなやつでブラックロックシューターを吹き飛ばす以前から、彼女は消え去っていたのかもしれない。

 最終的に、ブラックロックシューターが打ち砕いた全ての「思い」は戻り、彼女たちの言う「喪失」すら一時的な現象として片付けられるに至って、全てが幻想だったような気もしてくる。あくまで「異世界」の理はサヤちゃんやストレングスたちが作り上げたもので、絶対的なものではなかったのだ。そこに現れたブラックロックシューターが、その「理」すらぶち壊して去っていったとしても不思議ではなかろう。

 現時点でのまとめは、これくらいかな。色々と考える余地が残っているけれど、楽しい作品でした。

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