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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 サブタイトルの示す通り、終始薄暗い中をさまよい歩く第21話。前回あたりから大きな動きは少なくなっているのだが、それは描かれるべき心情描写がどんどんややこしくなっているため。今週はどの「色」が塗り替えられることになるのか。

 ややこしいので、今週が終わった時点での各自の「知識」をまとめておこう。まず、意識的に「非日常」との接触を避け、事件との関わりを持とうとしなかったために最も「無知」なのが帝人。彼が知っている情報は「ダラーズの真実」「首無しライダーの正体」の2つ。知らないことは「罪歌の全て」と「黄巾族の正体」。その上で、最後に「黄巾族に園原が捕らえられたらしい」ことを知る。

 次は園原杏里。彼女の場合、罪歌の真実は全て知っており、決死の単独行によって、黄巾族を統べているのが親友の紀田であることも知ってしまった。そして、「そんな彼の行動原理が園原を襲った切り裂き魔であり、復讐のために黄巾族を使ってダラーズに攻勢をかけている」ことも知っている。知らない情報は「ダラーズとは何か」。

 最後に紀田。彼は切り裂き魔の正体を知らず、セルティと園原の突撃のおかげで「ダラーズと切り裂き魔は密接に関わっている」という(あながち間違っていないが)正しくない情報に従って行動している。そして臨也を通じて、また、ダラーズのリーダーが親友の帝人であると吹き込まれており、そこについての確認は取っていない。そして衝撃の事実として、黄巾族のメンバーに「催眠術」をかけた「謎の女」が、園原であるという疑いまで抱かなければいけなくなった。「園原=切り裂き魔(罪歌)」という事実には行き当たっていないが、「催眠術なんて世迷い言も、首無しライダーなら出来そうな気がする」→「首無しライダーは刀を振るった切り裂き魔と接点がある」→「首無しライダーはダラーズである」→「切り裂き魔もダラーズであり、催眠術を使う何者かもダラーズである可能性が高い」と、次第に「ダラーズ」「首無しライダー」「切り裂き魔」の3つが繋がりかけている。あぁややこしい。最大の不幸は、誰もが臨也の存在を意識しておらず、「自らの意志で行動している」と思い込んでいるところと、黄巾族に仕組まれたブルースクウェアという毒に気付いていないところだ。

 今週最も直接的な動きを見せたのは、園原だ。黄巾族の横暴を座視しているわけにもいかず、直接的な形で罪歌による干渉を始めている。黄巾族の中にも罪歌の子供が潜んでいるというのがポイントで、一種の後催眠暗示のようにして、黄巾族の暴力行為を止めるための防波堤を築く。一見すると、自分の正体もばれず、内部から抑止出来るナイスアイディアに見えるのだが、超常現象によって黄巾族の中に渦巻くフラストレーションが更に高まってしまうこと、そして何より、施術中に自分の姿を見られていたことがネック。本来ならば捉えどころのないはずの「罪歌」という存在が、ついに捕捉されてしまった。「無関心」を貫き続けた園原の日常が、自分を想う親友の干渉、そして自らの親友への干渉によって瓦解しかけているというのは皮肉な話。

 紀田は、今週もただただ流れにのまれる。「ダラーズ狩り」を止めることも出来ず、ついに積極的な罪歌の介入を呼び起こしてしまったのは彼の責任。さらに臨也の情報を手にしたにもかかわらず帝人に確認を取ることも出来ず、転がり落ちるだけの情勢を黙って見ているしかない。

 対照的に、見ているだけのポジションから具体的に動き出す決意をしたのが帝人。ダラーズの存在に疑問を隠せない彼だったが、門田と出会い、張間美香と出会い、「何かをしなければ」という義務感に駆られ、何とか活動を再開する。色が無いせいで奇妙な騒動に巻き込まれてしまった不幸なダラーズを、再び「色のない結束性」を元にした有るべき姿に戻すため、リーダーとして立ち上がる決意をする。ここからは、彼の得意の「情報戦」のフェーズになるのだろうか。

 三者三様、それぞれに努力はしているのだが、結局流れる方向は決まっているのがこの池袋。騒動の発端である「切り裂き魔」園原が黄巾族の手に落ちるとき、紀田は、園原は、帝人は、そして臨也は、誰のために、どのように動くのだろうか。

 もつれ合った状況だけに、各キャラクターは考えることが多すぎるので、その心情を全て追い切るのはなかなか大変な作業。個人的には帝人や紀田はまだ与えられた情報が「全てか、ゼロか」という状態なので楽なのだが、園原の行動原理を追い求めるのがなかなか大変。特に彼女の場合は「度の過ぎた客観」という属性も持っていたはずなので(最近はそれを発動しないが)、現時点で誰を思って行動しているのかを確定させにくい。今回久し振りに登場した張間美香はそれに比べて非常に分かりやすいメンタリティだったので、なんだかほっとしました。「愛する人を決して離すな」と力説する矢霧誠二君だが、あんたが言ってもいまいち説得力がないな。

 今回は池袋の街中にほとんど陽がささないというのが随分特徴的で、明るい画面でも、ほとんどが下校時刻の夕焼けに染まった寂れたビルの背景である。これは実にシンプルに、勢力を拡大して完全に「無色」を飲み込んでしまった黄巾族の「黄色」、そして、その「黄色」の内部から介入、浸食しようと試みた罪歌の「赤」が溶けあったもの。前回に引き続き、象徴的なカラーリングによる描写が見事でした。

 最後に1つ。ちゃんと教えたつもりで内緒話モードが全然設定出来てないという大ポカをやらかしてしまったセルティさん。もう、どこまでもドジっ子! 

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 三つどもえの状態から、また一つ均衡が崩れていく第20話。もう、これから先は「臨也ってどれだけ不確定要素まで加味して読みきってんだよww」という突っ込みは無しにしますが、それにしても面白いように状況が悪化します。

 紀田がダラーズ軍団のところを訪ねるところから幕を開ける今回。なんとナレーションが湯馬崎・狩沢コンビということで、ずっとシリアス続きのはずなのに、どこかネジのはずれたような奇妙な浮遊感のあるシナリオ運びになってしまっているのは、やはりこのコンビの持つ実体のない存在感ゆえか。キャラのしゃべりとナレーションが被さって、どこまでがナレーションだか分からなくなるというのも、この作品では初めての体験でした。

 露西亜寿司で互いの情報と感情を交換する紀田と門田。この2人はきれいな相互理解が横たわっているため、会合には隠し事は存在していない。門田は園原の存在だけが未知の領域となっているわけだが、紀田自身も園原=罪歌という事実をしらないので、この2人の情報量ははっきり言って等価だろう。そんな不毛な「相談事」に繰り出さなければいけないあたり、臨也のシナリオの意地の悪さが確認出来る。

 この会談で浮き上がってくるのは、紀田を突き動かしている感情というものが、どこまで行っても「中学生の独りよがりのワガママ」であり、回りからすると迷惑なものでしかないという「弱さ」。過去のブルースクウェアの名前まで持ちだしてダラーズに揺さぶりをかけようとするが、あぶり出されたのは有益な情報などではなく、湯馬崎の怒り、狩沢の義憤。彼らは悪事を働きたくてダラーズになっているのでもないし、悪事に嫌気がさしたからブルースクウェアを抜けたわけでもない。独白で語られるように、彼らは日常と非日常の境目を自由に取っ払うことが可能な、この街で一番「強い」存在なのである。そんな彼らの価値観に照らし合わせれば、理不尽な過去の妄執と現在のワガママを重ね合わせて暴れる紀田は、ただの子供でしかない。代表の門田に突っかかり「彼らの領域」に不躾に踏み入ろうとする紀田に対し、湯馬崎はダイレクトな「怒り」をぶつけ、互いの「現実」を隔ててしまう。「切り裂き魔の事件は、三ヶ島沙樹が被害にあった過去の事件とは別の出来事である」と、彼らなりの手段で確認していると見てもいい。つまり、「クールになれ」という彼らなりのアドバイスだ。門田は門田で「やり合うなら相手になる」と正面から紀田を抑止しており、ダラーズ軍団の荒唐無稽ながらも一糸乱れぬ連繋がここで確認出来る。

 しかし、そう言われても紀田の「現実」は塗り替えられない。次第に携帯電話のボディにディスプレイなど、「黄色」の要素が色濃くなっていく紀田は、最も触れてはならぬ領域、折原臨也の居城へと足を運んでしまう。そこで得られた「事実」と「真実」と「現実」は、到底彼に受け入れられるようなものではなかった。

 次第に加速していく黄巾族の暴虐。ダラーズは駆逐され、それを黙って見ている帝人は、紀田の目からは少しずつ歪んで見え始める。そして、それを黙って見ている紀田を眺めるのは、これまた一方的に真実を見てしまった園原杏里……歪みきった3者関係に、歪みきった街の喧噪。果たして、解決策はあるのだろうか? 彼らが選ぶべき「現実」とは、何だろうか?

 ここ数話は息もつかせぬ程の密度で様々な事件がもつれ合っていく様子がすさまじい展開だったが、今回は「帝人の正体が紀田に伝わる」という以外は大きく事態が進展しないエピソード。そのため、序盤の露西亜寿司のシーンは極力動きの無い静かな画面構成になっており、紀田と門田という2つの「現実」のぶつかり合いの様子が紛れを含まずに刻まれていく。また、画面が静かだっただけに、「怒る湯馬崎」「語る狩沢」という2人の突拍子も無いキャラクター性がはっきりと前面化され、地味ながらも実にインパクトのあるシーンとなっている。

 そして、引き続きナレーションを続け、紀田の転がり落ちる原因となったこの街の全てを、フィギュア人形劇を交えて表現する2人もなかなか怖い。「面白ければ現実・興味がないなら非現実」と自由自在にシャットダウン出来ると嘯く2人と、不器用なまでに「見つめたくない現実」に抗う紀田の対比が痛々しい。臨也はまるで我が事のようにスルスルと紀田の内面を語って聞かせていたが、臨也にあっさりとすっぱ抜かれてしまうほどに、紀田の内面は脆く、あからさまである。しかし、そんな「単なる中学生のワガママ」の中に、臨也は「帝人の正体」というスパイスを流し込んだ。これにより、園原→紀田→帝人 という一方通行の情報開示が行われた3人の首領の関係にも大きな歪みが生じてしまった。いつも通りの下校シーンでは互いの視線のみでこの歪んだ関係性が表現されており、細かな帝人の反応を伺いながら冷たい視線を送り続ける紀田が、確実にこれまで通りの関係ではないことを示している。怖い怖い。

 今回、前半パートはほとんど動きが無く、後半もそこまで目立ったアクションがあったわけではないのだが、黄巾族の黄色、ブルースクウェアの青、罪歌の赤という3つのカラーリングのみを背景で際立たせたりする絶妙な色彩設定で、本来なら画面に全く現れないはずの「池袋の現在」が置換描写されているのには感心した。例えば、色を失ったモブの黄色い傘と青い傘が画面の両端に位置し、間に赤い煉瓦塀が置かれたカットなどは、「3つの力が相容れずに並立してしまっている」ことを端的に表すシーンとなっていた。このあたりの画面の含意が相変わらず見事である。

 さぁ、臨也の工作も少しずつ佳境には向かっている。一触即発、上がりきった怒りのエネルギーは、どこにどう流れ込んでいくのだろうか。刮目。 

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 回る、ねじれる、第19話。表に見えるは池袋の抗争、裏に蠢くは「神」の謀略。友を思う気持ちは、悪意に濁らされ、下へ、下へ。

 前回のエピソードで絶望的な方向へ転がりだした三大勢力の三つどもえの様相は、たった1つのチャットルームを起点として最悪の方向へと加速度をつける。臨也がチャットで操る情報はこれまでよりもかなり直接的なものになっており、「どこまで考えてるっていっても、流石にそんなにうまいこと3つの勢力を転がせねぇだろ」とあきれ果てるくらいに絶妙な采配に。帝人、紀田、園原という3人のトップが「何を知っていて」「何を知らないのか」という情報と、それに応じてどこを刺激すれば何が転がり出すかを操るさじ加減が神がかっており、まさに彼の事務所の謎のチェス盤のごとく。一大勢力のトップとは言っても3人ともあくまでただの高校生であり、その情報体系にはそれぞれ大きな穴がある。その穴をきれいにつなぎ止めることによって「火種」をガンガンに焚きつけていく様は、流石に胡散臭いとは思うが、あまりに出来すぎているのでついつい見入ってしまう。園原が紀田の異変に気付くことや、世話好きのセルティが見るに見かねて園原の救出に乗り込むことまで計画の中に入れているとは流石に思えないのだが、あまりにカチリとはまってしまったので、全てが臨也の手による効果のように見えてくるのだ。

 そして、こうした「穴」の空き方の描写が、これまた実によくできている。前回の感想で3つの勢力の基本には「弱さ」と「虚飾」があるという感想を書いたが、こうした各々の勢力の特徴というのは、今回もきれいに表れている。

 今回一番大胆に動いたのは、罪歌を操る園原であろう。病院での紀田の異変に気付き、チャットルームに恐る恐る入室して情報を求めるも、見事に臨也の策にはまり、2つのカラーギャングの抗争を止めようと足を踏み出す。しかし、そこで見たものは想定外の親友の姿。これまであくまで「客観」を貫き通してきた園原だったが、紀田の行動原理の中心に「自分を想って」というファクターがあることは理解出来たのだろう。これまで罪歌というテロリズムになり得る事態ですら「客観」で克服して来た園原だったが、自らが引き起こした事件に、自分のために敢えて身を投じた親友を見て、平静を保つことは出来なかった。「客観」「人を愛さない」という園原の「虚飾」ははがされ、そこには一人あてもなく怯える女子高生が残される。

 最初から自分の「弱さ」を認めている竜ヶ峰帝人はどうだろう。彼の持つ「虚飾」は数によるかりそめの力と、実体を持たないが故の存在可能性。だが、そんなダラーズの実態も、臨也には全てを知られてしまっている。次第に集まり始める黄巾族の敵意に対してダラーズは全く無力であり、実体が無いおかげで、セルティという象徴に向けられた悪意も、受け止めることは出来なくなる。拡散しているが故に決して無くならないというダラーズの強みは、具体的な悪意を前にした今となっては、「虚飾」としての機能を果たさない。今回、園原と別れて一人途方に暮れた帝人を突き動かしたのが、町ゆく人が「ダラーズが襲われたらしい」と囁く噂話である。実体無きダラーズという組織が帝人を誤った方向に動かし始めていることを象徴的に表すワンシーンだ。

 過去の罪に縛られ、贖罪のために戦う決心をした紀田正臣は、臨也の悪意を最も直接的な形で受け止める。黄巾族という存在自体が臨也の影を背負った集団であることに加え、その構成員にはかつてのブルースクウェアの芽まで植え付けられているという。紀田の抱えるものは、組織を組織として維持出来ず、過去の罪すら受け止められない、最もシンプルな「弱さ」。神のささやく情報でねじ曲げられた黄巾族の意思は、すでに紀田の「虚飾」の範囲を飛び越え、破滅への道を歩み出した。元々、黄巾族にはすがるべき縁もなく、一度紀田の手を離れてしまえば、止まる手段を持たないのだ。

 どうにも止まらない負のスパイラル。相変わらず、この筋立てにはビリビリきますわね。

 今回は、2話や13話などを担当した寺東克己氏によるコンテ。この人の担当回は、ナレーションによる説明の負荷が増えたり、意図的に時系列をいじってシナリオの「俯瞰要素」を高めたりと、メタレベルが他の回よりも上にあるような印象を受ける。今回もメインストーリーと一切関係ない葛原によるナレーションが重要な役割を果たしたり、紀田と園原の関係性を少しずつ時系列を遡って描いたりと、多少変則的な構成になっている。個人的には、もう少しナレーションに頼らずに画面でこのシナリオラインを補強してほしいとは思うのだが、流石に今回はシナリオの密度が濃すぎるだろうか。紀田を見る園原の思考なんかは、もう少しじっくり見せて欲しかったところだけど……

 ただ、今回は素直にうまいなぁと思える箇所もいくつかあって、1つ象徴的だったのは、多用された「反射光」の効果。例えば退院した園原を祝う紀田が三ヶ島沙樹の病室を仰ぐシーンでは、沙樹の病室は窓ガラスに反射する夕日のせいで室内が一切見えないようになっている。これは、紀田の思惑が一切沙樹に届いておらず、一方向的に沙樹の意思(つまり臨也の意思)が働きかけていることを表している。他にも、この「一方向性を示す逆光」は園原のメガネなどにも確認出来て、情報の多寡によってねじれきった現状を含みたっぷりに示唆している(もちろん、セルティによるメットなどの視界封鎖も端的な描写だ)。

 さて、今回はとにかく展開が早くてみっちりたっぷりだったが、今後もこのくらいのスピードでいくのでしょうか。どんどん作り手側の難度は上がっていくと思うのだが、もうここからクライマックスまでは一気に駆け抜けてしまってほしい。ほんとに期待してますんでね。 

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 クロスアウツしたドタチンがやけに格好いい第18話。いや、ドタチンは割といつでも格好いいな。

 予告の通り、今回は紀田がメインの回想話。ただ、これまでずっと引っ張ってきた重要なファクターであるはずの三ヶ島沙樹との関係や、過去の罪などの重要な情報が、たった1話であっさりと描かれてしまったのはいささか拍子抜けである。紀田君の苦悩も分かるのだが、ダラーズと帝人の関係性はまるまる1クール分ひっぱるくらいの中身があり、罪歌と園原の関係性もここまで長々と見せてくれたのに、その2つの勢力と対立すべき黄巾族のエピソードが1話で終わってしまうと、何となく物足りない気はしてしまう。まぁ、そこまでバックボーンが無いっていうことなんだろうけどね。

 ただ、その「背景の薄さ」は、黄巾族という勢力の性格を端的に示していると言うことも出来る。3つの勢力と、それぞれのボスと呼べる3人の高校生のキャラクターを対比させていくことで、池袋に渦巻く三つどもえが面白い形で浮き上がってくる。今回のエピソードは、そうした「三者三様」の対比を浮かび上がらせる構図の取り方が、実に興味深かった。

 今回最も意外だったシーンは、多分ものすごく些細な場面なのだが、ブルースクウェアのリーダー(泉井というらしい)と紀田が電話で話し終わった後に、紀田が自分の携帯を投げつけるシーン。普通に考えるなら、開きっぱなしの携帯を叩きつければ、「ぐしゃっ」というのがおきまりの展開のはず。紀田がその後に臨也に助けを求めるというストーリーの進行上、携帯がそこで壊れるのはまずいのであるが、それならアニメ的な自然さを求める場合、携帯を投げるシーンはいらなかったようにも思える。

 しかし、紀田は携帯を投げ、その結果として携帯は壊れなかった。このワンシーンで痛切に感じ取れるのは、叩きつける力すら頼りない、紀田の「弱さ」そのものではないか。静雄やセルティ、臨也といった化け物クラスの「力」が蠢く池袋の中で、紀田は本当に弱い。一応罪歌・ダラーズという2大勢力に対抗するだけの「黄巾族」という力を手にしてはいるものの、本人が「俺たちはガキだ」と言っているように、その力に後ろ盾はないし、いざライバルに実力行使に出られると、大切な人を守るコトすら出来ない。走るだけ走りながら沙樹の救出を目の前にして足がすくんでしまったという消せない罪も、紀田の弱さを示す最も端的な部分。黄巾族という集団、力が表すものは、どうしようもない個人の「弱さ」と、それに目を向けたくないという後ろ向きな「虚飾」だ(それ故に臨也に利用されることになったわけだ)。

 対して、他の2つの勢力は違う。帝人は、ただ集まるだけで何も出来ないダラーズを「弱いものである」と認識しているし、実際に結束が最も緩く、集団としての「強さ」では最も劣るはずなのだが、矢霧製薬との戦いで見せた「数の強さ」は紛うことなきものであるし、帝人自身、その影響は自覚している。本来弱いはずの「集まるだけのモノ」が強さを持つという逆転構造こそが、ダラーズと帝人を象徴するものである。それは「弱さ」を自覚し、逆手に取ることによって得られる武器としての「虚飾」だ。

 そして、園原が持つものは、血脈という強い結束力を持ち、武力としても最も直接的な影響を持つ罪歌という力。その源となったのは、罪歌と相反し、どうしようもない弱さにうちひしがれた園原の人生観そのものであり、贄川春奈に語って聞かせた、依存するという「弱さ」の表れ。罪歌を支配するという行為こそが、園原の「弱さ」であり、愛するという本質的な力を否定する「虚飾」である。

 こうした、帝人と園原という2人の主要キャラの「弱さ」はこれまで存分に見せられていたのであるが、普段飄々としてつかみ所のない紀田の場合、その本質的な「弱さ」はこれまで見えていなかった。しかし、今回のエピソードを通して、最も弱いキャラクターであることが浮き彫りにされ、それだけに、今回の三つどもえの抗争に対する必死さも伝わってくる。ラストシーンで園原を追いかけるべく走り出した紀田が、過去に沙樹を助けにいかんと駆けだした情景にフィードバックするのはその表れであろう。「今回こそ立ち止まらずに済むのか」という、彼の内心の「怯え」の表出である。

 振り返ってみると、紀田は「黄巾族を抜ける」と宣言し、その決断をした自分に対して何か満足感が得られたように語っているが、彼の髪の毛やカバンの色など、意識してみれば全く黄巾族のしがらみから抜けられていないことが分かる。帝人という「日常」の体現者を呼び出したことも、その「逃げ」を端的に表す事実であろう。沙樹の病室を訪ねられるようにこそなっているが、彼女の台詞を最後まで聞けないのも、ふざけてお茶を濁すのも、彼の弱さ故。改めて、一貫したキャラクター描写と伏線の散らせ方を確認してみたい部分である。

 今回も色々と観るべき部分が多かったわけだが、個人的には「この作品の女どもは本当にキチガ○しかいねーのかよ」という感想が一番大きい。園原杏里・矢霧波江・張間美香・贄川春奈……ストーカーばっかじゃん。一番まともなのは狩沢さんじゃないですか?!

 そして、チームドタチンの格好良さも今回際立つ要素。ドタチンの男前っぷりは言うに及ばず、湯馬崎のぶっ飛んだ芯の通り方も、それを平気で後押し出来る狩沢さん達の奇妙な連帯感も、うじうじと悩むキャラクターの多いこの作品の中で、理屈抜きで楽しめる純粋な「格好良さ」だと思います。街頭のでかいディスプレイに「バッカーノ!」の映像を映したのも、ひょっとしたら彼らのオタクパワーかもしれませんぜ。 

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 ロリ園原さんがちょっと可愛い第17話。ボチボチ出回り始めているこの作品のエロ同人は、主に園原本ばかりです。波江さんや狩沢さんはなかなかスポットがあたりませんな。

 さておき、一応「罪歌編」とでもいうべきエピソードが収束する話数。それなりのクライマックスと言えるはずなのだが、毎回手放しで褒めている私にしては珍しく、ちょっと消化不良のエピソード。勿論罪歌を巡る諸々にはきちんと片が付いているとは思うのだが、その描き方がちょっと勿体なかった気がします。

 今回の1つ目のキーポイントは、大量の罪歌の子供(孫?)に取り囲まれた静雄の大活劇。セルティから秘密道具のパンチンググローブまでゲットし、愉快痛快に暴れ回る静雄ちゃん。ただ、いかんせんその描写に現実感がない。わき出すモブキャラたちを思い切りぶっ飛ばしたり、モブが集まりすぎて渦をなしたりする演出は、モブキャラから色を奪うという独自の演出を施している今作の「端役の処理」がきわまった形だと思うのだが、なんだかちょっと抽象化が強すぎて、これまでのような「嘘のような本当の話のような嘘」の雰囲気にそぐわない気がする。これまで静雄の暴れっぷりを描く際には、省略やデフォルメは介さず、極力プロップにまでこだわった「それらしさ」を演出していたように思う。ぶん投げる自販機や標識、ポストなんかがそうだし、嘘みたいにぶっ飛ぶ相手も、これまでは「色つき」の連中がほとんどだったため、どれだけみっともなく飛んでいくかがきちんと分かった。今回はそうした「飛ぶ側」に力点を置かない演出になっているわけだが、せっかく維持してきた非日常の象徴たる静雄の強さが、閾値を超えて単なるファンタジーになってしまったような気がする。あの演出の受け取り方は人それぞれだとは思うのだが、個人的にはきちんと千切っては投げ千切っては投げを描写してほしかったものだ。あと、片足あげてぐるぐる回る静雄は流石に適当すぎる。

 そしてもう1つのトピックスとなったのは、贄川春奈と園原が対峙する「罪歌親子対決」。前回までではなんだかよく分からなかった罪歌のステータスであったが、今回園原が懇切丁寧に説明してくれたおかげで、「愛が止まらない妖刀」+「決して人を愛せない女」=「普通の人」という等式は何とか理解出来た。園原が人格をロストした描写が少ないのでいささか不満ではあるのだが、一応の説明としては成立していたくらいか。結局春奈側の罪歌がどういう状態だったのかとか、色々と気になる要素もあるんだけどね。

 事件が収束するであろうことは、「親元となった罪歌が正体を現した」時点でわかりきっていたので、何となく気になったのは、その後日談の描き方。キャラクターのナレーションで様々な断片を繋いでいくのはこの作品の常套手段なわけだが、何で語り部が臨也だったのだろうか。彼が現段階でへらへらとバックボーンをしゃべり続けているのには、どこか釈然としないものがある。那須島のその後もあまりになおざりで、わざわざ臨也がしゃべるようなことでもないだろうし(そもそも臨也はどこまで自分で見ていたんだろう)。キャラ目線でことの顛末を紡ぐなら、もう少し現場で関わった連中の声が聞きたかったものである。

 まぁ、そんな不満がちょっとありながらも、事態が単純化される方向でまとまってくれたのはありがたい限り。ダラーズ創始者・竜ヶ峰帝人。罪歌の母親・園原杏里。そして黄巾族の将軍・紀田正臣。これまで必死で現場復帰を拒んでいた紀田だったが、「切り裂き魔事件はダラーズの仕業かもしれず、その切り裂き魔が大切な友人である園原を傷つけた」という動機で重い腰を上げたというのは、素直に感心する設定。園原は友達のことを思って罪歌事件の顛末を胸の内にしまっているというのに、親友二人は、そんな園原を大切に思うが故に、持っている「力」を動かし始めてしまっている。うわー、切ない。

 登場時は「普通の高校生連中の日常なんて見ててもつまらねーんだよ」と思っていた3人が、気付けば池袋の命運を左右する3つの勢力の頭目どうしになっていた。こういうセッティングは悔しいけどワクワクしますね。さぁ、三国志の始まりだ。狩沢さんと湯馬崎は、そろそろ電撃文庫以外のオタクトークもしろよ。ラノベだけでよくそんなに盛り上がれるな! 

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 とんだ連日連夜のヤンデレ劇場にわっふるが止まらない第16話。いやぁ、眼福(耳福?)ですな。それにしてもこの作品、ヤンデレっぽいのが多いな。

 前回罪歌に心を乗っ取られた贄川が暴れ回るところで終わったわけだが、暴れる贄川自体はものの数秒で片が付く。セルティが罪歌とおぼしき包丁を回収し、ダラーズ軍団からしたらこれで大団円。ただし、静雄だけは何かが引っかかると言い残し、憎き臨也にいちゃもんをつけに行きました。そういや、ダラーズの面々って、罪歌の騒動についてはどれくらい知っているんだろうか。贄川がぺしゃんこになったことで終了、みたいな雰囲気になってたところを見ると、単に贄川自身が切り裂き魔だっていうくらいの認識なのかな? ま、常に蚊帳の外で賑やかしをやっているだけの面々だからそれくらいでも構わないんだけどね。ただ、臨也と静雄にBL臭をかぎ取るなど、狩沢さんのセンスの悪さは相変わらずである。可哀想な子。

 今回、冒頭部分だけが少し変則構成になっており、贄川を廻っての事件は、新羅とセルティが事務所で振り返った回想シーンとして扱われている。この構成にどんな意味があったのかはよく分からないのだが、後日談として語るので新羅の事務所がメインステージになったことで、何となく「切り裂き魔の事件も解決しましたねー」みたいな空気を出すのが狙いだろうか。セルティと新羅の会話劇もすっかりお馴染みのものになっており、いちいち顔のない状態でリアクションを見せてくれるセルティが可愛らしい。新羅に「見てみな」と包丁を差し出された時に「実在しない」首のあたりに持ち上げて視線を送っていたので、どうやら彼女の「目」はあるべきところについているみたいだね。こういう細かいキャラ作りはいちいち好感が持てる。

 しかし、今回の主人公は残念ながらセルティではない。1人目の主役は、罪歌に恋い焦がれられてしまったモテ期突入の静雄君。臨也の事務所に乗り込んでの2人の掛け合いは、「やっぱりお前らって仲がいいんじゃねぇの?」と勘ぐってしまうくらいにツーカーである。人間掘削機ばりのパワーを持つ静雄がイライラしてんのに触れてしまいそうな距離まで近づける臨也が凄い。罪歌の熱烈なラブコールに対して、ようやく自分の存在を認めることが出来たと大喜びの静雄だが、このあたりの心情はちょっと追い切れない部分か。これまで静雄がそこまでレゾンデートルに悩んでいたそぶりもないし、そこまで思慮深い人間という描写もあまり無かった。今回もあれこれ能書きはたれているが、単にムカついたから暴れたいだけなんじゃね? という気もする。ただ、このいちゃもんは、単に静雄がやたらセルティと相性がいいから気にくわないだけかもしれない。ツール無しで会話してる頻度が新羅よりも高い気がするのだが。

 そして今回初登場の、自称「罪歌の母」である贄川春奈。今回一番ビンビン来たのはこの春奈が園原と対峙する一連のシーンで、その奇妙な存在感がジワジワと恐怖を煽る。特に「あぁ、やっぱりアニメのキャラも瞬きしないと異様に見えるんだ」というのが分かったのは大きな収穫で、瞳孔まで全開にして眼を見開き、ピクリとも視線の動かない春奈の表情は、ネットでよく見る恐怖画像にも似た怖さがある。顔には引きつったような笑顔が張り付き、ただ得々と自らが見いだした「愛」を語る。己が目標の実現のためには父親にも平気で狂気を向け、恋愛対象であった那須島の些細な言動すらも、園原への殺意にすり替えてみせる。次第に募っていく異常な愛情と衝動。同じような歪曲した恋愛感情を持つ張間美香とはまた違った恐ろしさがある。

 そして、そんな異様な春奈を目の前にしているからこそ、園原杏里もまたその異常性が際立つ。「いつも通り、自分と関係ないと思えばいい」と判断し、積極的に外界との「関係性」を絶つ園原。これまで彼女がちらつかせていた「どこかおかしいものの片鱗」が、再びここで垣間見える。自分に対して明らかな殺意を見せている他者が目の前にいるというのに、一度思考を切り離すだけで、彼女の目には客観的な世界が映る。まるで自分自身も他者であるかのように、振り上げられたナイフに抵抗すら見せない。そんな彼女の口から語られるのは、「依存することの辛さ」である。依存して生きることがどれだけ辛く、どれほどのものを犠牲にしているか。園原杏里の人生には、依存を強制されたが故の苦悩が伴っていたという。

 そんな彼女の「依存」の本質は、その身に宿した「罪歌の親」。決意を宿して見開いた彼女の目には、誰よりも鮮やかな「赤」が灯っている……さて、もうこのあたりになると正直よく分かりません。結局、新羅が語っていた罪歌の本質というのはどこまで真実なのか。罪歌をもった園原は、何を失い、どんな人生を強要されていたのか。そして、贄川春奈との決着は?!

 本当に息つく間もない展開で、毎週たまらないものがあります。まぁ、今回提示された「依存することに心砕く少女」とか、「愛が広がって結果的に人類を愛し、人類を傷つける妖刀」とかいった設定は流石に言葉遊びのレベルで、実際にキャラとして見れば不自然極まりないのだが、脇の方からこれを固められてしまっているために、何となく納得させられてしまうのが恐ろしい。メインテーマとして最初から大上段に振りかざさない群像劇のスタイルが、こうした少々無茶な設定をも覆い隠す、手頃な隠れ蓑として機能しているわけだ。やっぱりずるい構成だなぁ……もちろん、その分成立させるのにものすごい労力がかかっているわけだけれど。

 今回の素敵ポイントは、当然のことながら春奈役の中原麻衣さんです。「刀語」に続いてのまさかの二夜連続の中原劇場。本当にキャラへの没入の度合いが半端じゃない。沢城・中原と並ぶと当代きっての実力者コンビと言ってしまっても良いと思います。花澤香菜も、さっさとこのステージへあがってこい。 

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 「あぁ、今回はそっちの大塚さんか……」と微妙に納得してしまった第15話。森厳は出てこなかったけど代わりにヤクザもんの組長が頑張ってました。池袋はヤクザとかチンピラがいちいちキャラ立ってて面白いなぁ。「ゼロ何個だよ! あぁん?!」って、そんな丁寧な突っ込みいれるヤンキー見たことねぇよ。

 今回の主人公は、池袋最強というよく分からないカテゴリを探し求める事件記者、贄川。そう言えばかなり序盤で登場してたような気もするのだが、すっかりご無沙汰だったので完全に忘れていた。どうやらあの一件でちょっと取材は中止していたみたいだが、池袋も一段落し、新たな火種が燃え始めているということで、久方ぶりの登場となったようだ。

 彼が求めるのは、池袋最強、平和島静雄についての情報。一度こっぴどい目に合わされているので直接本人にインタビューが出来ず、何故かロシア寿司からスタートしてヤクザの事務所、臨也の事務所、そしてセルティへと、この街に蜘蛛の糸のごとく張り巡らされた情報と人間関係のネットワークを渡り歩いていく。視聴者からすると特に新しい情報が増えるわけではないのだが、こうして外部から来た視点で改めて池袋の人間関係を見せられることにより、様々な感情の機微を確認出来るようになっている。

 例えばサイモンの片言ニホンゴが怪しい、というのは既に周知のことだが(静雄との喧嘩シーンで流暢な日本語をしゃべっていたし、そもそもナレーションもやっている)、それを再び第3者の目から見せることで、サイモンの胡散臭さが久し振りに匂い立ってくる。そして臨也の語る静雄像。彼は「しずちゃんの情報なんて自分だけが知っているだけでいい」とねじれた愛情と苦手意識を久し振りに露わにしている。あれだけ裏で暗躍している臨也が自分の口からはっきりと「苦手だ」と言っているのだから、やはり静雄の持つポテンシャルは相当なものだ。

 そして個人的に大満足の、「静雄に対する憧れを語ってみせるセルティ」。いや、あんたの方がよっぽどミラクルなのだが……なんだか恋する乙女のように無駄にテンション高めで静雄についての情報を語る(打ち込む)セルティを見ていると、彼女が新羅以外に唯一心を許している静雄の人の良さがうかがい知れるというものだ。ついでにセルティが色々なトラウマを抱えまくっているのもなんか面白い。いや、あんたも物の怪だろうが。リトルグレイがなんぼのもんじゃい。

 そうした情報を集めてはみるものの、贄川の目的はいまいち充足しない。そして、突如襲い来る切り裂き魔の恐怖。妖刀罪歌は、アヌビス神のごとくあっさりと贄川を乗っ取ってしまった。

 さて、ここからがややこしい。今回、罪歌に支配された(と思われる)贄川は、ただ一心に園原を追う。彼女を追跡する理由は、前回の女子高生襲撃で目撃されたから? いや、でもそれなら現場で斬ってるよな。彼女を付け狙うのには、贄川の娘、春菜の一件も関わっている? 春菜を退学に追い込んでしまったのは園原にちょっかいを出す教師、那須島…… 果たして園原の襲撃は罪歌の意志? それとも贄川のねじれた願望? うーむ、現時点ではさっぱり分かりません。娘のことを思いながら凶行に走ってしまう贄川の姿が、哀れな力ちゃんボイスと相まって凄く切ないことだけは確かです。あと、ドタチンの「轢け」っていうのが無駄に格好良かった。

 他にも分からなかったのは、今回の学生3人組のやりとりが、前回と全く同じだったわけだが、アレって前回の回想? でも、「ルート3点」のやりとりのシーンで贄川が赤い眼で張り付いてたよね。既にこないだの時点ではりついてたってこと? どのタイミングで襲われて、どのタイミングで園原に照準を絞ったんだろう。……なんか分からないことが多いな。もう一回視聴しないと拾い切れてないのかも。我ながら察しが悪いものだとは思う。あのヒントだけで「よつばと」はわからねぇよ……

 さらに謎だったのは、園原に声をかけた警察官の存在。声が明らかにナニでしたし、「葛原さん」って呼ばれてたよね。でも、どう見てもあの葛原さんじゃないよね。……こち亀の本田状態? うーむ、変人しかいないのか、この街は。

 今回最大の萌えポイントは、殺したくてジタバタしながらバイクを揺する静雄ちゃんです。死ななくても殺せるのは大したもんだと思います。 

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 ドジっ子セルティ、ドジっ子セルティ! 大事なことは2回言う第14話。セルティが人間味を増していくにつれて、「あぁ、あんな親子に拾われなければなぁ」としみじみ思ってしまう。

 切り裂き魔事件が波紋を起こす中で、大きな進展があったのは岸谷家のリビング。扱いづらい父親森厳を相手に新羅夫婦があれやこれやと手をこまねいていると、ぽろりと転がる意外な真実。セルティはその一言を追究するために森厳に詰め寄るも、飄々とした中に図太さとしたたかさを兼ね備えた親父は、使い古された小技を駆使して逃げ切ってしまう。

 森厳の向かった先は臨也の事務所で、彼や矢霧波江との間の過去の密約を臭わせる。「首」を廻る岸谷・矢霧・折原という三角形。森厳の所属する組織の狙いは、デュラハンの謎の解明だが、それを知りながらも臨也は独自の道を突き進む。闘争が起これば、ヴァルキリーとしてのデュラハンが覚醒する。そのために池袋を抗争状態に持ち込むのが彼の当面の狙い。火種はダラーズと黄巾族。そしてトリガーは切り裂き魔?

 切り裂き魔の事件で回りを騒がせるのは、学園トリオもまた同じ。園原は次第に事件の中核へと吸い込まれていき、最後には「罪歌」に出会ってしまう。そんな園原の窮状を帝人から漏れ聞いたのは、全ての中心に位置するセルティ。彼女も臨也から罪歌の情報を手に入れ、それを調べる過程で、今度は新羅から衝撃の事実を伝えられてしまう。魂を断ち切る妖刀と、それによって断ち切られた首と身体。結局、池袋で起こる全ての事件は、「首」に向かって突き進むしかないのか。

 ややこしかった構図が、最終的には臨也を頂点として別な思惑を孕む森厳を加えた「チーム・人非人」と、あくまで真実と首を求めるセルティ・帝人のグループという風に大別されてきている。この分類だと、ダラーズは基本的に帝人側になるし、当然紀田だって帝人サイド。今週の怒りっぷりを見れば、静雄だってセルティに力を貸してくれるだろう。これまで登場したキャラクターの多くは、「正義」側である。対して確実に「人非人」側にいるのは、臨也・森厳コンビとそれに振り回される矢霧波江。今のところ利害関係こそ無いが、矢霧誠二もそちら側が近いだろうか。また、今回は登場しなかったが、セルティを目の仇にする白バイ警官葛原あたりは「正義」側にとって面倒な存在となりそうだ。

 とはいっても、現状「正義」側の方が駒は多い。そこで、状況をより混迷させる目的で投入されたのが「罪歌」というわけだ。臨也がどの程度噛んでいるのかは確定していないが、森厳がいうには臨也は積極的に池袋をかき回そうとしており、ダラーズ・黄巾族抗争にゴーサインをかけるであろう罪歌の存在に関わっていないはずはない。そして、その矛先が園原に向けられているという状況がきな臭いわけだ。まだ残っているパーツもいくつか存在しているので、なにかもう一悶着はありそうですな。

 キャラクターの特性を理解した後なので1クール目で感じた「ややこしさ」とは違った状態だが、現状は現状でやっぱりややこしい。デュラハン以外にも「妖刀」なんて妙な存在も登場してきたし、それを臨也が最低限存在しているものとして動いているのも計りがたい部分。この世界のオカルトはどこまでを素直に受け止めたらいいものやら。冷静な目でみりゃ、カラーギャングだって嘘くさいわけだしなぁ。しばらくは黙って見ていましょうかね。

 個人的には、セルティがかわい過ぎるので不満はありません。トークのやりとりを見ていると、どうやら新羅以外に森厳ともツーカーな部分があるみたいだが、やっぱり彼女はドジっ子な上に、不幸属性なのだ。強く生きて欲しいわ。いや、生きてるかどうか知らんけど。恥ずかしがって「ボフッ」ってなって部屋中真っ黒けにするセルティが素敵。あと、今まで気付かなかったのだが、波江さんの乳がでかい。 

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 オープンエンドも変わり、心機一転の第13話。どうしても「前の曲の方がいいな」と思ってしまうのだが、これって聞いてるうちに慣れてくるもんなんだよね。

 とはいえ、この作品の場合、オープニングが変わったことの意味は小さくない。これまで登場していなかったキャラクターが、乱入し始めたことが分かるからだ。今回登場しただけでも、過去に1度だけ登場した新羅の父親、岸谷森厳、ちょっと危ない白バイ警官、葛原金之助、静雄のマネージャーの田中トムと、などの名前が確認出来る。これらの人物が関わる部分で、また新たな物語が紡がれていくということになるのだろう。

 もちろん、だからといってこれまでのキャラクターがないがしろになるということではない。相変わらずテキトーな雰囲気を醸し出すダラーズ軍団は元気だし、静雄とトムはいつも通りに目的も見えずにぼんやりと歩いて街を眺めている。前回の失態で地位を失ったであろう矢霧波江は臨也のところに「秘書」として詰めているみたいだし、その臨也もまた何か企んで池袋をうろついている。サイモンは彼の企みにどの程度関わっているやら。

 そして、今回は色んなところでいちゃいちゃしている奴らが多いのが特徴。はた迷惑なカップルだった張間美香・矢霧誠二コンビは、学校でも人目を憚らぬいちゃつきっぷり。そりゃぁ紀田でなくても嘆きたくもなる。そしてなんと言っても、我らがセルティ・ストゥルルソン。前回の騒動ですっかりメジャーになり、あまり都市伝説としての迫力はなくなってしまった彼女だが、ついに真っ向から勝負を仕掛けてくる男が登場した。白バイ警官葛原は何ともレトロな格好をしたイカれた男だが、肝っ玉だけはホンモノらしい。セルティの妖術に臆することなく、「法規をなめんな」と一喝してみせる。藤原啓治のやんちゃパワー全開で、短い登場シーンながらも、強烈なインパクトを叩きつけてくれるナイスガイだ。

 視聴者にとっても鮮烈な登場となった葛原は、セルティにとっては子供に対するなまはげのごとく。あんなに露骨に怯えて謝り続けるセルティは……もう可愛くてしょうがない。みんな、警官には気をつけような。あと、新羅がうらやましすぎるな。顔のない女性とのピロートークは色々とハードルが高そうだ。そして、そんな新羅も困惑気味なのが、更にエキセントリックな親父、森厳の帰還。過去話だけで登場したので鬼籍に入っているのかと思っていたが、見たところ髪の色も黒々と、随分元気な御仁のよう。トビ気味の発想やどこか間抜けな振る舞いは、セルティでなくとも尻込みする部分。これまた大塚明夫さんが普段はあまり聞かないようなすっとぼけたキャラクターをばっちり作り上げてくれている。新キャラがどれも魅力的ってのは、ずるいことこの上ない。

 しかし、どうやら今後の本命は、どうやら高校生トリオの中にある模様。「黄巾族」と呼ばれるカラーギャングの動向が気になるのは、ダラーズ創設者である田中太郎こと帝人と(チャットの声が分かりやすくなって助かる!)、どうやら昔1枚噛んでいたらしい紀田。普段の振る舞いからは何故彼が黄巾族を抜けたのか(というかそもそも何故参加していたのか)が想像しにくいのだが、彼には彼なりの世界がある模様。まだ掘り下げる余地のあるキャラクターらしい。

 そしてなんと言っても、「切り裂き魔」事件の渦中にあるのは、今回ナレーションを務めた園原杏里。彼女の目下の悩みは「自分の居場所」らしいのだが、そんな居場所を問い詰める柄の悪い女性達が、彼女の目の前で「切り裂き魔」の被害に。果たして何が起こるのか……ほら、もう楽しみで仕方ない。

 「ダラーズ」「首無しライダー」という2つの都市伝説は既に解決しており、今後の焦点はとりあえず「切り裂き魔」、そしておそらく、臨也が企むセルティの首を廻る一件ももう一悶着あるだろう。目下の心配は、ダラーズのタネが割れた後の帝人が主人公っぽい行動に出られるかどうかだが……まぁ、個人的にはセルティが頑張ってくれりゃいいや。

 そうそう、エンディングアニメも変わってるわけだが、これまで通りのキャラクター勢揃いの中に、なんだか見えにくい連中が結構いるのが気になるところ。今後絡んでくるファクターなんでしょうか。まぁ、個人的にはチームドタチンの仲の良さの方が気になりますけど。あいつら自由だなぁ。 

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