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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 名シーン、名台詞のオンパレード、第45話。今の時代となっては、若い人から「これって2chのパロディ?」とか言われてもしょうがないレベルの内容になっております。こっちが先です。

 DIO様のお茶目っぷりがよく分かる今回のお話。正直、完全に舐めプ状態でふざけまくっているため、設定面を考えると色々おかしなシーンがてんこ盛りである。そして、1部ディオに比べて今回登場したDIOの尊大かつ不遜なことと言ったら。元々、ディオ・ブランドーという男は文武両道、知略も長ければ身体的にも優れたスポーツマンであった。それが吸血鬼の能力を手に入れ、敗北を知って謙虚さを学んだことにより、ジョナサン・ジョースターの最大のライバルたり得たのである。この「ディオという男の思慮の深さ」は6部でも少し垣間見ることが出来て、無敵を誇る「異能者」でありながら、どこかで人間味を残し、孤独に向き合いながら素直になれない「弱さ」を感じさせる、実に放っておけないダークヒーローなのである。

 しかし、3部DIOは全然違う。何しろ他の部と比べても圧倒的に図体がでかい。そりゃスポーツマンだとは言ったが、お前、生前(?)はそこまでムキムキじゃなかったはずだ。ザ・ワールドのごつさが更にそのでかさを強調しており、スタープラチナと肩を並べる「近距離パワー型」の完成形として存在感がある。そんな脳筋じみたステータスを手に入れてしまったものだから、DIO様ったら遊ぶ遊ぶ。ポルナレフ相手に無駄話していたのも、「ポルナレフが殺すには惜しい男だから」とは言っていたものの、多分遊びたかっただけだろう。何しろ唯一の身近な話し相手であるヴァニラアイスが死んでしまったのだ。出来ることなら自分のことを知っていて、ある程度対等に話せる茶飲み友達の1人も欲しい。プッチ神父はいるけど、太陽を浴びないようにアメリカまで会いに行くのは大変である。だからこそ「昔は肉の芽で操ってたけど、今のポルナレフなら強引に籠絡できないかなー」ってちょっと期待しちゃったんだと思う。100年前のディオの性格から考えると「一度は自分に牙を剥いて刃を向けた男」なんざ絶対部下に出来ない気もするのだが、この「マッチョDIO」さんは、ホルホースに余裕を見せたり、ポルナレフを駄目もとで勧誘してみたり、色々と人生を楽しむ術を心得たポジティブな性格のようなのである。

 そんなお茶目のおかげで生み出されたのが、いわゆる最も有名な「AAポルナレフ」である。はい、完璧でしたね。やっぱり小松氏の声であの台詞を読んでもらえると、「ついにここまで来たんだなぁ」と感慨深くなります。しかし、今回はいきなり冒頭からこの名台詞が飛び出して「いきなりクライマックスやんけ」と思ったが、そこからも名台詞が続く続く。今回だけでダイレクトな比喩表現が3つも4つも飛び出した。たまたま荒木先生の筆がのっていたのがこの時期なのだろうか。ジョジョ特有の文化である「たとえ話トーク」はこれ以前からたっぷり存在していたが、1つのエピソードでこれだけ大挙して押し寄せるのは、やはりクライマックスを迎えているせいなのか。まぁ、「みんなしてこんな状況でやたら冷静だな……」って思うだけだけども。ヌケサクが小便でズボンを汚し、ジジイは尻の穴につららを突っ込みながらコーラを飲んでげっぷをし、花京院はエンジン音を聞いて車の大きさを知る。こいつらの話法はやっぱりおかしいよな……。

 そんな、やたらに盛り上がるDIO様とジョースター御一行だったが、そこにこの作品最後の刺客、かの「史上もっとも有名な上院議員」(俺調べ)ウィルソン・フィリップスが現れる。主立った登場人物としては第3部最後の1人と言ってしまっていいだろう(「ファーストクラスのスチュワーデスみたいにディオに足を運ぶ女」をカウントすれば話は別だが)。そして、期待されていた上院議員のキャストは……チョーさん!!!! うわあっぁぁぁぁぁぁ! 完璧やこれ! すげぇ! これ以上無いくらいに完璧や! もう、持って生まれた上院議員体質だ!(なんやそれ) いやー、単に「それっぽいおっさんの声」だったら誰でも出来るんだろうけど、あの短い時間で乱高下するあのテンションを完璧にやりきれる役者は限られているだろう。もう、たった1話だけの登場のくせに、完璧に空気を持っていった。登場時の悠然とした紳士の顔、怒った時の権威を笠に着たうさんくさい様子、そしてDIO様にいじめられた後のボロボロの状態、3つとも完璧でしたね。個人的にすげぇな、って思ったのは、立て板に水で独白してくれる上院議員のプロフィール部分。単なる脳内独り言のくせに、ものすげぇ滑舌よく、早口でまくし立てていくの。あのスピードでめちゃめちゃ聞きやすいでしょ、これが年季ってやつなのよねぇ。実は個人的には上院議員については「飛田展男あたりがいいなー」って思ってたんだけど、考えてみれば飛田さんはすでにストレイツォで使ってたな。僅か1話のキャラのためにチョーさん使っちゃうかー。いや、玄田哲章も1話だけだったし、山口勝平に至っては台詞すらなかったけども。このキャスティングは目が覚める思いでしたわ。ちなみに余談だが、エジプトには上院とか下院は無いので、彼はおそらくアメリカ人であろう(名前からしてそりゃそうだが)。更に余談だが、過去の作品では、OVA版上院議員は滝口順平、最近のゲーム版では佐藤正治が担当したらしい。どの上院議員も全部容易に脳内再生出来るのが凄い。

 しかし、そんな無敵の上院議員も勝てないものが2つだけあった。1つはテレビの規制。そりゃまー、あのシーンはアニメで細部にこだわって描写! ってわけにはいかないかー。せめてちょっとでもいいから描いてほしかったけどなぁ。カメラを運転席に固定してオフ目で通行人の悲鳴だけのせるとかさ。いや、何やっても酷いことにはかわらんのだが……DIOの残虐性を出せる一番いいシーンなだけに残念。ちなみに、個人的に「人を轢いてもなんとも思わない大物」部門第2位は「海原雄山」である。

 上院議員が勝てないもの、それはやっぱりDIO様である。DIOの宣言する「駄目だ」の言い方が楽しそうで笑ってしまった。くそう、DIO様活き活きしてるなー。楽しそうだなー。最高にハイッ!ってやつだなー。来週はもっと活き活きしたDIO様と、次回予告が遺影にしか見えなかった彼の対決です。最近はすっかりコラ素材としてネタ扱いされている彼にも、アヴドゥルたち以上に男前な見せ場を期待しましょうね。

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 正式に告げられた仲間との別れ、第44話。ジョジョはこれまでのシリーズを通じてたくさんの「仲間との別れ」を経験してきた物語であるが、3部に入ってからの仲間は付き合ってきた時間が長いだけに、別れにはまた格別の寂寥感があるものだ。イギーの回想パートは不覚にもちょっとウルッと来てしまった。

 初の「その3」ということで、存分に悪辣さと強靱さを見せつけてくれたヴァニラアイス。今回はその「後片付け」だけであるが、ただでさえ壊れていた人格が、更に極まって完全にイカれてしまった後の猛々しさが強烈な後味を残す。ボロボロになっているのはポルナレフ側も同じなのだが、片やイギーとの別れでどんどん冷静に、正しい方向へ視線を向けているのに対し、血気冷めぬヴァニラアイスの方は、どんどんヒートアップして人ならざるものへと突き進む。穴だらけのヴァニラがうなり声を上げながら突っ込んでくるシーンは圧巻で、普段のように冷静沈着を旨とする速水キャラでは絶対聞くことの出来ない獣のようなうなり声、呼吸音は必聴。ポルナレフのいう通りに既に「人間をやめてしまっている」者の哀れな姿が、余すところ無く映し出されている。こうしてヴァニラアイスの存在感がいや増すに従い、対比的に描かれたイギーとの静かな別れのシーンも引き立つようになっている。イギーの「魂」云々についてはアニメオリジナルでモノローグを入れてもらっているが、別に説明がなくとも、イギーの生き様は充分に伝わってくるし、ポルナレフとの別れの切なさも充分に出ていたのではないだろうか。さりげない中にも確固たる演出意図の光る名シーンとなった。

 そこからは大きく2つのエピソードに繋がる。1つは、原作では1話分になる日本でのスージーQのお話。ホント、スージーQはチャーミングな女性であることがよく分かるお話ですよね。普段は単なる陽気なイタリアンばあちゃんなんだけど、締める所をビシッと締められるのはやっぱり年の功。ローゼスが年甲斐もなくオロオロしてるのとの対比で彼女の凛々しさがまた際だつのです。この1話のことまでちゃんと考えてスージーQに小島幸子をキャスティングしたのだとしたら、実に見事なセッティング。良い仕事見せてくれます。しかし、こんだけスージーQが信頼を置いている相手がジョセフってのがな。いや、確かにジョセフはいい男には違いないんだが……「絶対に期待を裏切らない」って言われてるけども……この数年後に修羅場のような夫婦喧嘩をすることになるんだよなぁ……。まぁ、「ジョセフならしょうがない」っていう意味では「期待は裏切ってない」と言えるのかもしれないけども。まぁ、数十年前にジョセフの墓石作らせちゃったコトに対するお返しだと思えば、ね。

 そしてもう一本は、ここでちょいと息抜きの意味があるのか、ヌケサクさんの大活躍のお話である。……こうしてみると、何で荒木先生がここでヌケサクを挟んだのかっていうのはよく分からないのだが……やっぱり「ザ・ワールド」の片鱗を承太郎たちに見せつけるための餌としての役割なのかねぇ。ヌケサクがいなかったらあそこで誰か犠牲になってたかもしれんわけだし(どう考えてもDIO様は遊んでるんだけどさ)。そういう意味ではヌケサクも割と大事な役割ではあるよな。あと、シリーズ中でもかなり貴重な、「複数の敵スタンド使いが一堂に会しているシーン」が描かれたワンカットもヌケサクの手柄か。ヌケサクを馬鹿にしているのはダービー・ケニーG、そしてヴァニラアイス。この3人が集まってる時点ですげぇ違和感。あと、原作絵でもそうだったんだけど、ケニーGってこのカットだと割と背が高い(というか普通のスタイル)なんだよね。一撃でやられたシーンだとアラビアファッツみたいなイメージだったけど、ダービーとかと大して変わらない身長なので、本当は割とスマートだったのかも。ちゃんと台詞ももらえたので、柳本淳一さんはめでたく2回分のギャラが貰えました。良かった良かった。ちなみに、ヌケサク役は「妖怪ウォッチ見てると色んなところから聞こえてくる声」でお馴染みの奈良徹。この人も声質が特徴的なのでなかなか主人公とかには抜擢されないけども、いわゆる「名脇役」タイプの人である。笑わせてもらったわ。ちなみに裏側の顔はCV山村響。つまり、ヌケサクは裏返すとプリキュア、表側だと(スイート)プリキュアの敵ってことになりますね。うん、どうでもいい。

 今回のゲストキャラの人たちは、アフレコ現場で生のあのポルナレフが聞けたのかなぁ。だとしたら羨ましいなぁ。あ、次回は更に大事なポルナレフが。今週わざわざ「階段を登って」なんて余計なフラグ立ててゾッとする気満々ですわ。

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 イギーのしっぽ! 第43話。やっぱりイギーはオリジナル描写で恵まれておる。

 ヴァニラ決戦のメイン。全編通じて画が濃いし芝居が濃いし、もう何もかもがぎっちぎちである。ヴァニラ戦ってそれなりに長いイメージがあったのだけども、こうしてみるとやってることは割とシンプルなんだよな。1話で収められる部分も割とあって、ポルナレフの解説がいちいち忙しそうではあるんだけど、何とかこの尺にまとめきることが出来た。アヴドゥルの死からポルナレフの絶対絶命まで、ものすごい勢いで転がっていくので、もう死んだアヴドゥルを悲しんでいる暇も無いのである。

 その上でしっかりと演出されているのが、何と言ってもヴァニラアイスという強烈なキャラクターである。速水ヴォイスのおかげで騙されそうになるが、DIO様の臣下の中ではトップレベルのイカレ野郎であり、善とか悪とかいう次元を超越した、純粋な「敵」なのだ。これまでのキャラクターたちは多かれ少なかれ「自分のこと」を考えており、アレッシーとかホルホースみたいにそのイデオロギーが分かりやすいやつから、一見するとヴァニラアイスと同様にDIOに心酔しているように見えるンドゥールまで幅広い。しかし、そんなンドゥールの場合でも、「DIOは強いよ、心酔しちゃうんだよ、だって俺はそれが幸せだからね」という「個人」が見えていたのに、ヴァニラの場合、もう「DIOへの忠誠」以外の何もかもがかき消えてしまう。「忠誠」の高さゆえににじみ出てしまう「どす黒いクレヴァス」の描写が強烈で、今までで一番濃いデザインでのブチギレヴァニラさんは初見だったらトラウマもの。おかげでイギーに対する「ド畜生がッ」もやたらと長いこと続いてSAN値がガリガリ削られてしまう。イギー、あんだけやられてよく生きてたな……小型犬とは思えない生命力だが、ひょっとしたらスタンド使いになった時点で、精神エネルギーは普通の「イヌ」のそれを超越していたのかもしれません。もしくは「仲間を守るための根性」なのかな……。

 いつの世にも話題になるのは、ヴァニラアイスのグルグル戦術についてのお話である。そもそもクリームの性能ってのは現時点でも謎の部分が多く、「顔を出さないと視界が確認出来ない」という弱点があるらしいのだが、それ以前に「クリームの中に入ったヴァニラはどうなっているのか」っていうのも謎だし、「消えた瞬間は存在が無くなるのに、何故消えたままで物体を亜空間に送り込めるのか」っていうのも謎である。例えばポルナレフが斬り刻もうとして襲い掛かるシーンなんかで、クリームに飲み込まれたヴァニラはしゅるしゅると小さくなって消えていく。この「小さい状態」での「存在の無さ」はアヴドゥル戦で証明した通りだし、「足の下の溝」云々の時にも、一切まわりのものを飲み込む様子はなかった。つまり、意図的に存在を消そうと思えば本当に消してしまえるのは間違いない。しかし、その「見えない状態」のままで外界にちょっかいを出すコトができるのも間違いないわけで、この状態がいわゆる「無敵状態」である。おまけに空も飛べるみたいなので、移動にも不自由しない。マジで外界の様子が分からず、飛行可能だと重力の影響すら無視できそうなので、亜空間の中のヴァニラさんがどうやって方向を決めているのかは全くの謎だ。きっと自宅で何度も練習をしてコツを掴んで……って、練習繰り返すだけで世界がぶっ壊れる能力だよな。うっかり間違って地表の奥底とかに突っ込んで行ったらどうなってしまうのだろうか。

 まー、そんな謎な能力なので、ポルナレフの熱闘も苦戦する一方。あっという間に重傷を負い、死の間際ではあの有名な三択問題が出題されるに到る。建物の下ではYESとNOの二択、建物の上では理不尽かつ自分勝手な三択。変なところで連帯感の強い連中である。まぁ、答えは「③」なんですけども。ラストシーン、ヴァニラアイスが突っ込んできて「あばよ」するポルナレフのカットが無闇に盛り上がっていて「アニメ化してよかったなぁ」と思わせるだけの画になっています。まぁ、個人的にはやっぱり尻尾がピン! なんだけども。そこに到るまでの道程ではイギーが必死に逃げようとしていた、ってのはアニメオリジナルの解釈ではあるんだが(原作ではポルナレフの独白ばかりでイギーはほとんど注目されてないからね)、なかなか面白い演出になった。ここでポルナレフとイギーの友情は完成したんだなぁ。なんか改めてしみじみするわ。

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 うおぉぉぉん! 速水ヴァニラ!!! 第42話。 やっぱりこの声やで! 速水ヴァニラ最高や! プッチ神父がCMでジョージさんにスイッチしてたからもしかしたらとは思ってたけど、まさか叶うとは思ってなかった! 何回も書いてるけど、やっぱ個人的に一番ディープなジョジョ体験って格ゲーなんですよ(もちろん旧版な)。そしてその中で割と持ちキャラだったのです、ヴァニラアイス。熱心に基本技からのコンボ繋ぎとか練習したなぁ。ダッシュ大→ヒット確認からスタンド出現攻撃→ド畜生がッで出鼻を挫くのが好き。余談ですが、今でも朝の目覚ましアラームはヴァニラアイスのテーマだったりします。

 さておき、タイトルこそヴァニラメインだが、今回はダービー戦の決着からスタートしますよ。もう、転げ落ちるシーンしか残っていなかったのでダービーさんがくっそかわいそうでしたが、多分アニメ化して一番おいしい部分が増えたのってこのキャラなんじゃないでしょうかね(イギー除く)。今回残された部分はほぼ原作通りだったわけなんだけども、もう中の人が本当に楽しそうでね。実際に情感たっぷりでしゃべってもらうとよく分かるんだけど、コイツ……ほんと小物やな。なんでDIO様もこいつを手元に置いといたんだろうか。多分、登場時にみせた謎のスライドダッシュがコーラ取りに行かせるのにめっちゃ便利だったとか、そういうのだろう。もしくは、なんだかんだ言って英国貴族の家庭に憧れを持っちゃったDIO様が、在りし日のジョースター家なんかに思いを馳せるために「なんか執事っぽいの」を飼っておきたかったって可能性もある。まぁ、何にしたって単なるゲームオタクはあまり役に立たなかったわけだけど。

 アニメになって確認出来るもう1つの面白ポイントは、ジョセフの挙動である。花京院戦の時は有利にしろ不利にしろ恐ろしくやかましいおじいちゃんだったが、先週あれだけ叫んでいたのに、いざことが始まるとエラい静か。まー、やいやいガヤを入れながらじゃなかなか集中してコントロール出来ないだろうから(どう考えてもハーミットパープルってコントローラーのボタン押せる形状じゃないだろ)、ひたすら操作に集中してたんでしょうね。承太郎は「もう覚えた」けど、ジョセフの方は初体験……じゃなかったんだろうな。多分、アメリカの実家で日本のファミコン(?)取り寄せて遊んでたんだろうな。日本人は嫌いでもウォークマンは好きなジョセフのこと、きっと老後のたしなみとしてテレビゲームくらいプレイしてたに違いない。そんなことをおくびにも出さず承太郎に試合を任せたのは、やっぱりペテン師としての生まれもっての騙しのテクニックってことで。ジジイと孫とはいえ、きっちり血が繋がっている黄金の血脈であることが分かる良いお話である。まぁ、この後もっとはっきり血の運命を感じるシーンはあるけども。

 かわいそうなダービーさんはあえなくリタイヤですが、KOシーンも名場面として語り継がれているのだからそれでよいじゃないですか。今回同時に登場したケニーGに比べればなぁ。そういえばヴァニラ同様に(ある意味)注目されていたケニーGのキャストですが、柳田淳一という名前がクレジットされていました。えーと……誰だ……。調べてみるとアイムの若手、めっちゃモブ職人。一応これでジョジョのスタンド使い役としてデビュー出来たと考えれば……あれ、でもこれってもしかして今後起用されることがないってことなのかな? ……喜んでいいのか悪いのか。2週間後くらいに登場するヌケサク役も気になるところですね。

 そんな軽めのコントを終えて、あとはもう、悲壮なシリアス展開になだれ込む。壁の落書きはヴァニラのお茶目なのか、ヌケサクの悪戯なのか。よく分からないけど荒木流でお馴染みのホラー演出。ヴァニラの得体の知れない存在感がばっちりはまっているので、意味は分からんがおっかないシーンの代表格。リアルタイムで読んでいた時には、幼い頭でアヴドゥルの死はなかなか理解が及ばなかった気がします。「粉微塵になって死んだ」。このあっけなさがジョジョらしさではあるよなぁ。今後はもう二度とアヴドゥル(の実体)を見ることがないかと思うとやっぱりちょっと寂しいですね。その分、思い切り悪辣にヴァニラに暴れてもらうことにしましょう。ポルナレフも思い切りアツいところが見せられる最大の見せ場だ。やっぱりヴァニラ戦大好きなんじゃー。

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 野球回があるアニメは名作の法則、第41話。まぁ、嘘なんですけどね。でも「大正野球娘。」は名作。異論は認めない。

 さておき、前回のインパクトのおかげですっかり僕らのヒーローとして時の人となったダービーさんの2戦目です。花京院は開始直後にあっさりと退場させられてしまったために、前回のF-MEGAの盛り上がりはあっさりとリセットされた。いや、そりゃこのままずっとF-MEGAやられてもこまるんだけどさ。作画スタッフも疲れるだろうし。今度は一転、野球ゲームで勝負だよ。カセットの形を見る限りではどう考えてもファミコン。コントローラーのボタン数で百歩譲ってもスーファミレベルの世界(まぁ、連載当時の最新鋭技術であるが)で、あらゆる技術を超越したスーパーゲームの数々に、当時の僕らは心躍らせ……ずに「どないやねん」と思っていたもんですよ。「何のイカサマもない、世界中どこにでもありふれたゲーム機」のはずなのに、タッチペンで顔の描き込みが出来る機能を持っている恐ろしいゲームだ。いや、あの様子からするとゲーム機ではなくてディスプレイの方が超絶マシンなのかしら。まー、多分どっちでもないだろうから、普通に考えると「アトゥム神の能力」なんでしょうね。凄いよね、アトゥム。「相手の魂を掴んで奪い取れる」「相手の魂に直接質問できる」「ゲーム機に顔を描き込める」←NEW! ……なんだこの節操の無いスタンドは。

 いや、でも描き込み機能以外にもこの「Oh! THAT’S A BASEBALL」には数々のミラクルが搭載されている。まず、フルボイスだ。スーファミ当時にフルボイスってのは既に信じられない技術水準。多分、容量の関係でソフト自体も随分でかくなってるし、お値段も1万円越えの贅沢品だろう。更に、グラフィックが超絶クオリティ。特にホームランを打った時のカメラワークなど、臨場感を出すためのディティールは素晴らしく、ひょっとしたら現代のパワプロなんかも凌駕しちゃう可能性がある。あ、でも花火のグラはそこまで大したもんじゃないかった。バランス感覚がおかしい。

 そして、このゲームはどうやらかなり面白い野球ゲームのようなのだ。何しろ、一度もゲームをプレイしたことのない承太郎がジャガーズを一発で選択して攻撃力重視のチームであることを理解していた様子なので、おそらく相当な知名度のはず。もちろん、パワプロのように実在のチームデータがモデルになってるから、っていう理由じゃないぞ。何しろ4割バッターが2人いるチームだからな。さらに、「パッと見じゃ単なるやきうゲームじゃないか」と思われるかもしれないが、どうやらやり込み要素は多いらしい。何しろ、「対戦しようというと兄すら断る」という完全ソロプレイヤーのダービーさんが「最もやり込んでいる」ゲームだと自負しているのである。どういうことなの? ずっとCPU戦やってたの? 「CPU相手だとスタンド能力が使えないから難しいなぁ!」って言いながらひたすらトレーニング積んでたの? プニキ相手に10割目指すマゾゲーマーなの? オウカス相手に挫折せずに戦えたの? ダービーさん、実はものすごい努力家だったのではなかろうか……。

 そして、そんな心躍るゲーム内容ではあるのだが、やってることは単なる2択問題の繰り返し行程なので、ぶっちゃけそこまで盛り上がるもんではない。前回の白熱のレースのような動きもないし、プロの実況主であるジョセフさんがいなかったら視聴者数もあんまり稼げないコンテンツである。おじいちゃん、ほんとうるさい。あんだけ盛り上がって恥も外聞もなくテンションあげてるのに、来週白々しい顔で「ME?」とかいえるんだろうか? あのジジイ、本当の本当にペテン師やな……個人的に、ジョセフだったら中の人杉田バージョンでの実況も面白そうだな、とかも考えた。杉田のゲーム実況だと勝手に中村が寄ってきそう。「ソニックブームソニックブームソニックブームソニックブームソニックブームソニックブームウエサカカワイイソニックブームソニックブーム」。

 というわけで、今週は画面としてはやけに地味だったわけですが……一応、アニメオリジナル要素として「いちいち懇切丁寧に質問してYES-NOでコースを絞りにいく鬱陶しいダービーさん」が見られたので良しとしましょう。原作だとあのデッドボールのシーンがどう考えても理屈に合わなかったが、こんだけしつこくしゃべりまくるダービーならば一応のつじつまは合うようになったし。あと、もう1つオリジナル要素だったのは「弟にボコられるダービー兄の画」かね。なんかもう、本当にかわいそうだからやめたげてよ……。弟の方も、彼女を取られたのは自分がキモゲーマーだったから、っていうのにはやく気付くべき。

 ついに初の3話またぎかと思ったら、一応来週のサブタイトルはヴァニラアイスになっている。さて、ヴァニラアイスのCVは誰になるかなぁ。

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 久々に爆笑したな、第40話。今回、アニメ化で一番はっちゃけちゃった回といえるかもしれません。

 これまで「原作通りで原作以上」をモットーにしていた(と勝手に思っている)このアニメだが、今回は割と「何か原作と雰囲気が違う気がする」部分が多かった。その理由は大きく分けると2つある。1つは、ダービー(弟)というキャラクターが、こうして改めて見ると随分ヘンテコなキャラだったということだ。原作登場時には一切の疑問を差し挟まなかった(といえば嘘になるかもしれない)キャラクターだったのだが、冷静に考えるとコイツ、超ヘン。デザインがヘンってのもあるけど、立ち位置がヘン、能力がヘン、そしてテンションがヘン。言ってしまえば「ラス前の悪のり」以外のなにものでもないキャラクターなのである。荒木先生の独特すぎるイラストレーションは、この3部クライマックスでは1つの完成形を迎えており、このあたりの時期は荒木デザインと少年漫画的・劇画的なデザインの融和が非常に魅力的な絵柄。おかげでダービーさんは「アホなはずなのになんかイカす」という不思議な存在だったわけだ。しかし、アニメではこれまでも散々格好良い画は作られ続けていたので、そこに売り込みを集中するのは得策ではない。そこで登場したのが、今回の「アホさ加減にウェイトが置かれたダービー」である。なんかもう、いちいち表情がおかしい。これ、作画崩れって言われても文句言えないくらいのヘンテコっぷりである。いや、笑ってまうけども。

 何故ダービーはこんなにアニメオリジナルの愉快な表情が増えたのか。それは、やっぱり彼のスタンドがいちいちおかしくて、アニメで真面目に追いかけても馬鹿馬鹿しくなっちゃうっていう理由からだろう。大の大人が至極真面目にゲームで対決するという構図がそもそもおかしいし、冷静に見るとやっぱりダービーの設定した舞台設定ってシュール。最初のスタプラとの対決は「そこでボコボコにしちゃえば面倒無かったのに」という際どいものだし、ケニーGとのコンビネーションも、実際にどうなっているのかよく分からない状況設定は現在でもかなり疑問の余地の多いきわきわの設定だ。承太郎の右腕を人質に取ったとはいっても、はたしてそれにどれくらいの説得力があるかも怪しい。これらの「何とか無理矢理ゲームしてもらうための設定」は、原作ならば「クライマックスが近い謎の緊張感」で押し切れたわけだが、順を追って展開するアニメの場合にはどうしても違和感が先に立つ。もう、こうなったらシリアスムードで押すよりも「なんかコイツヘン」で押し切った方が楽なのであろう。おかげでダービーさんは「単にゲームやってると楽しそうな危ない大人」としての属性をパワーアップさせ、そのためにダービーズコレクションもイヌカレーを思わせるかのような実に気合いの入った特殊CG素材でもって贅沢に蠢くことに。いやー、気持ち悪い。タツヒコはオリジナルモーションでもって救いのない気持ち悪さで再現されてましたね。そうやなぁ、「生き人形を大事に取っておく趣味」って、やっぱり気持ち悪いもんなぁ。

 そして、アニメオリジナル要素が増えた理由の2つ目は、この辺りからのシナリオ展開で各キャラの内面に切り込む描写が増えたことも理由かもしれない。具体的に言えば、今回は花京院のモノローグが非常に多いお話になっており、アニメにするのが大変なのである。漫画的にいうと1コマあたりのネームが非常に多いということで、常に画を動かさなきゃいけないアニメーションだとこれが想像以上に負担になるし、更に「台詞をしゃべる」ことはどう足掻いても時間を消費する作業になるので、アニメでは珍しく、いくつかのシーンがカットになって尺を詰める作業まで行われている。具体的には花京院がダービーに「勝ったらちゃんと言う通りになるのか」と問いかけた後のジョセフの台詞がカットされているし、ゲームに入った時の車輌選択コメントもカット。そこは聞いてみたかったのでちょっと残念(そのくせダービーのお誕生日はちゃんと分かるっていう)。この辺りの台詞の処理ってのはなかなか難しいものだが……それでもさ、いざゲームが始まっちゃうとクッソ面白いからどうでもいいんだよな。

 やっぱり「大真面目にF-zeroで命懸け勝負する大人」って面白いわ。そして、荒木先生の「ぶっちゃけテレビゲームってあんまり詳しくないし、そんなに興味ない」感満載のゲーム性が最高だ。当時の時点で「どないやねん!」の嵐だったが、実際に映像化されたときの「ゲーム化待った無し」感は半端無い。エフメガ、絶対発売されたらネットとかでフルボッコになるんだろうなぁ。いや、ここまでディティールにこだわってるなら神ゲー認定される可能性もあるけど。ちなみに、PS版ジョジョゲーではこのダービー戦は「素早く十字キーを入力する」っていう反射神経バトルになっており、しかもこのシステムで戦うラストバトルだったもんだから、割と難度が高かったんだよ。おかげで何度もミスってやり直したせいで花京院の台詞なんて全部覚えちゃうレベルでトラウマになっている。「フルスロットルでコーナー突入!」からの「だからこの花京院典明に!」(キー入力)「精神的動揺によるミスは!」(キー入力)「決して無いと思って頂こう!」(クリア)。大体最後の1個手前でミスるから「精神的動揺によるミスは!」→「ミスってダメージ」っていう展開ばっかりだった。おかげで俺の中で典明君最大の見せ場ってこの話なんだよな。正確に言うと次週冒頭になる部分なんだけども。トンネル出た直後に攻めに転じる花京院のドヤ顔ですね。典明、頑張れ。

 それにしても……今回は中の人たち楽しそうだよなぁ。運昇さん、ホントうるせぇ。こんなジジイが後ろで騒いでたらお孫さんもゲームに集中出来ないだろうに……このジョセフのテンションが楽しすぎるのが、次週のオチに密接に繋がるあたりが良いよね。花京院も楽しそうにしてるけど、クライマックスのキャノン砲の時のダービーとのコンビプレーは完全にアニメオリジナル。もう、典明君の自宅でずっと一緒にゲームやってたとしか思えない仲の良さ。

 あ、あとDIO様の囁き声。「もう、これは子安とおホモ……お友達になるしかないな」って思える最高のお誘い。やばい、ノンケじゃなくなる。しかし、そんな数々の名演を押しのけて、やっぱり今回は「テンションマックスになっちゃったダービーさん」を振り切った諏訪部だろうな。べーさん、楽しすぎるだろ。多分、これアフレコ現場めっちゃ盛り上がってたと思うぞ。シャバダドゥ。




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 全部大川さんに任せておけばいいっていう風潮、一理ない、第39話。いや、「思ったッ!」じゃねぇよ。そこは各々のキャラにしゃべらせたらええやないか。アヴドゥルの気持ちなんてせっかく完全オリジナル要素だったんだから……まぁ、あそこで改めてビシッとナレで締めることで緊迫感を出す狙いなんだろうけども。39話目ってことで3クール分終わった節目だしな。

 ペット・ショップ戦後半戦。ただ、振り返ってみると後半戦とは言っても実際の試合経過で見ると2/3くらいは既に終わっている状態で、残るところは水中での攻防だけだった。「あれ、これペットショップ戦だけじゃ尺余っちゃうんじゃ……」って思ってたら、割とあの手この手で尺伸ばしてきやがったな。中でも「イギーがSPW財団に捕まっちゃうまで」の回想シーンは完全オリジナル要素で、ニューヨークの町中でマジシャンズレッドを振り回してる危ないエジプト人の姿が史上初めて観測された。まぁ、一般人には見えないから別にいいんだろうけども、アメリカで暴れ、日本でも暴れ、アヴドゥルってけっこう色んなところで無茶やってるな。イギーもめっちゃ燃やされたり、茨で締められたり(推測)して檻の中に捕まっちゃって、その上でエジプトまで空輸されたんだから本当にいい迷惑だったろうな。……ただ、イギーの能力だったら檻くらい簡単にぶっ壊せるだろうし、アヴドゥル・ジョセフが日本やエジプトに旅立った後なら周りにいる財団職員は大体が一般人なわけで、逃げだそうと思えば逃げる機会はいくらでもあっただろう。それで逃げずに大人しくついてきたってことは……よっぽどコーヒー味のチューインガムが好きなんだろうなぁ。どれだけ大好きでも、その辺のお菓子屋を襲撃して強盗にならなかっただけ偉い。多分、人間との関係性の上で敵対しない程度の付き合い方も自己流でマスターしてるんだろうさ。今週のイギーを見れば、それくらいの賢さはあって当然だと思えるしね。

 そんな賢いイギー。しかしペットショップの圧倒的能力でもって前足を切断されてしまい、恨み骨髄ながらも防戦一方。あの下水道からどうやって湖の底に逃げたのかよく分からないとか、いつの間にか自力で包帯グルグルまきにしてることなんかは気にしないことにして、最後はいかにも動物らしい力業の勝負になった。この辺りもいかにも荒木先生が考えそうなことで、どれだけスタンドが使えたとしても、やっぱり動物は動物らしく戦わないと面白味がないし、絵的にも映えない。そこで決着のシーンはイギーが「噛み付く」ことはほぼ決まってたんじゃなかろうか。まー、機動力が使えない近接戦闘になったら、いくらハヤブサといっても犬とタイマン張れるとは思えないものな。いや、水中どころか地面にまで潜れるペットショップに不可能は無い気もするが……結局アイツの知性ってどれくらいのものだったんだろう。イギーと違って何を考えているかは1つも分からない奴だったので、どこまでが本能で、どこからが思考なのかは分からずじまいでした。多分、この試合で荒木先生がやりたかったのは「ターミネーター的な追跡者」(和月的表現)だったんじゃなかろうか。だからこその、クライマックスでのあのドッキリシーンよ。子供の頃にリアルタイムであの登場シーンを見て、マジでびびってた記憶がありますもの。鳥にトラウマ抱いてもおかしくないレベル。

 そんなこんなで何とか「門番」を倒したイギーは、SPW財団によって緊急治療をしてもらい、ついに最後のチケットをゲット。典明君も復帰してフルメンバー揃い踏みである(花京院の登場シーン、わざわざイギーと別々の方向から登場する意味は全くないのだが、多分花京院がみんなを驚かせようと思ってあんな訳の分からない位置取りにしたんだろう)。そして、出迎えに現れるのはダービー・ザ・プレイヤーことテレンス・T・ダービー。CVはゲームからの引き継ぎでやっぱりべーさん。お兄ちゃんの方はキャスト変わったけど、弟の方はあのCMのインパクトのおかげか、そのまんまできましたね。しかし、あのダービーのホバー走りって一体どうやってたんだろう。来週の「突然穴の中に引きずり込む」もどうやってたか分からないんだけど、ティナー・サックスをうまいこと使ってそういう風に見せてるのかな?

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 30分大体福圓先生のターン、第38話。何が笑えるって、今回よりによって承太郎に台詞ねぇんだよな。小野Dクレジットされてない。毎週キープされてるはずだが、この回のアフレコには顔出してたんでしょうかね。

 さぁ、貴重な貴重なイギーのお話がようやくやってきた。これまで随分待たされたねイギー。その分、アニメ視聴者に忘れられないよう、さりげなくアニメオリジナルで書き足されてたねイギー。そうして引っ張ってきたことの結果が、今回ようやく半分くらいは満たされたわけだ。ここまでちゃらんぽらんな生き方で何となく旅行についてきただけだってのに、随分と波乱の人生だよなぁ。それでも流石に突然エジプトの砂漠に放り出されちゃ生きていけないってんで、仕方なくジョースター御一行についてくるしかないっていう。考えてみると、これって立派な動物虐待なような気がする。まぁ、しょうがない。基本的に荒木先生って動物には優しくないからなぁ……(今回の犬で最後だと思うなよ。このあとしばらくしたら猫がもう1匹何の脈絡もなく殺されるからな)。

 さて、今回のアニメでも割と上手いこと処理されていたが、原作漫画でも感心したこのあたりで一番テクニカルな部分は、「イギーがしゃべり出すまでの推移」である。流石にアニメの場合、これまでひたすらうめき声ばかりを上げていた福圓先生が突然のイケボでしゃべり出すのでちょっと目立ってしまうが、原作漫画の方では、この「犬の発話」についてはものすごく自然に漫画的表現として推移している。例によって手元に原作が無いのでうろ覚えの記憶で書くが、イギーはこれまで一度たりとも自分の内面をモノローグでしゃべっていなかったはず。唯一活躍の機会があったンドゥール戦は承太郎目線だったし、アヌビス神とのくだりとか、ボインゴ撃退時とかも、あくまで外面上は「単なる犬」だった。それが、今回は流石にお話の展開上、彼にもしゃべってもらわなければいけない。そこでまず、彼の「心の中の声」から話し始める。具体的には確かアニメと同じタイミング。ペットショップに見つかったあたりで、ふきだしではなく、モノローグ風の描写でイギーの内面が描かれる。全て心の中の声なので、実際には音声に出していないのである。

 しかし、犬好きの少年を救出して「見捨てるわけにはいかねーぜっ」のあたりから少しずつ変化し、その後、ペットショップとの対決時には、いつの間にか「ふきだし上の台詞」に置き換わるのである。この3段階の変化がものすごく自然で、読者は漫画を読んでいても、「あれ? そういえばいつの間にかイギーが普通にしゃべってる!」と驚くことになるわけである。実はこのサプライズはアニメでも多少活かされており、最初に声を出し始めるところは大川さんのナレーションによる「イギーは考える!」がきっかけなので割とはっきりしているが、そこからいつの間にか、イギーの台詞がモノローグ扱いではなくて、きっちりした台詞に入れ替わるタイミングで、なんと犬の口とのリップシンクが取られているのである。おそらくこれは、「原作でもイギーがふきだしでしゃべりはじめた」タイミングに合わせてあるんじゃないかな。すげぇ細かいところだけど、僅かに2週間だけの貴重な体験なので、じっくりと噛みしめて台詞の1つ1つを味わいましょう(ペットショップ戦が終わると、イギーは(吠えたりはするけど)もう二度としゃべりません。イギーが作った何かはしゃべります)。

 さて、そんなイギーと対峙するのは、多分「イギーと戦うなら、どうせだったらわくわく動物対決にしましょう」というアイディアで生まれたと思われる意外なキャラクター、ペットショップ。こいつの凄いところは、イギーと違って結局最後まで一言たりとも人語は話さないところ。こんなでたらめな作品なのに、荒木先生はそこだけは頑なに守り抜いており、「ストレングス」の猿だって言葉は発しなかったし、将来的に登場するネズミのスタンド使いも一度だってしゃべったりはせずに、あくまで「野生の能力の延長線」でギリギリ処理出来るレベルに落とし込んである(ペットショップは明らかに逸脱してるだろ、という突っ込みは抜きにして)。「しゃべって人と意志を通わせ合う動物」なんてファンタジーは許してくれないのがジョジョの世界なのである。あ、動物と植物の複合体とかも出てくるけども……まぁ、そこはそれだ。カーズだって生物学的位相なんてわからんのだから似たようなものよ。

 そんなペットショップさんも、歴代スタンド使いの中では謎多き人物(鳥物)。どこで生まれてどこで育ったのか、いつスタンドが発現したのか、どこでDIOに出会ったのか、何故DIOに忠誠を誓うことになるのか、何一つ分かっていない。しょうがないじゃない、鳥だもの。多分誰かに餌をもらう必要なんかは無いだろうし、ずっとエジプトで生活してるんだとしたら寒さに困ることもなさそう(そもそもアイツ寒さに強そう)なので、別に飼い主などいなくても独立独歩で生きていけると思うのだが……やっぱりエンヤ婆が矢を使ったのか? いや、いくらあのババアでもハヤブサを矢で射抜けるとは思えないな。多分生得的なヤツだろう。だとするとDIO様が直接どっかで捕まえてきたのかしら。100年前には犬っころ蹴飛ばして友達と喧嘩してたDIO様も、今では鳥を飼えるくらいに精神的に成長したのね……。

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 次回予告のイギーの声でなんかもう今週のお話はどうでもよくなった、第37話。なるほど、あんな風になるわけか……素敵な犬やん。

 ホルホース退場編。原作当時から色々と突っ込み待ちのエピソードだったわけだが、アニメで観てもやっぱりわけわかんねぇな。個人的には先週から楽しみだった「ポルナレフにくしゃみぶっかけられた承太郎の困り顔」がばっちり再現されていたのでそこだけでも満足なんですが、ホルホースがこうして訳の分からない運命に必死に抗っている姿はなかなかに哀愁を誘うものがありますな。多分、短い間に色んなことが起こりすぎたせいで「皇帝」のコントロールが効かなかったんだろうなぁ……まぁ、それにしたってあの軌道から帰ってくるのはおかしいと思うけどさ。漫画の場合、「ひょっとして(どう見てもそうは見えないけども)高楼に当たった弾丸が勢いそのままに跳ね返ってきたっていう描写なのかな?」って思ってたこともあったけど、アニメで観たら普通にギューンって曲がってるよな。あれなんなんだろ。考えてみりゃ皇帝って銃と弾丸が一体になったスタンドだとすると、あの弾丸は普段どこに消えるんだろう。一度発射した弾丸が好きな軌道でナンボでも動かせるなら、あんまり連射する意味もないだろうし、やっぱりハンター×ハンターでいうところの放出系みたいに、一辺ぶっ放した弾丸は「スタンドエネルギー」として消えてしまうのかしら。エメラルドスプラッシュとかと同じ原理。だんだん皇帝のオリジナルのうまみってのが感じられなくなってきたな。

 あ、ホルホースの偉いところ、あった。それは「チャリオツすら上回る超スピード」。すげぇよ、どう考えても得手じゃないはずの超近距離の対決で、「突き詰めれば速さ以外に取り柄がない」くらいのチャリオツを相手に、「俺の方が速い!」ってんで競り勝ったんだから。チャリオツのスピードだったら、ホルホースが必死で銃を構えてようがなんだろうが、それを上回るスピードで「そこ以外を切り刻むッ!」とかも出来ただろうに。それをさせないってことは、ホルホースが引き金を引く速さはチャリオツを上回るってことである。すげぇ。チャリオツより速いスタンドって、シリーズ通して何体くらいあるんでしょうね(まぁ、レッチリ(とサバイバー)は間違いなく速いだろう)。

 多分、こんなよく分からない壮絶な試合になったのも、やっぱり予言を信じて「鼻の穴に指つっこみーの」をやったおかげなんでしょうね。ポルナレフもあれのおかげで混乱して精神エネルギーであるスタンドを上手く使いこなせなくなったってことで。代わりにポルナレフは新たな能力「べろが矢印」を取得。原作通りだけどアニメでやれるとホント酷くて笑うわ。あのシーン、別にベロつかわないで指させばよかったんじゃないか、ってのは内緒な。もしくは「ホルホースに見えない角度でスタンド出して後ろから殴る」とかも忘れよう。人間、焦ると訳の分からないことをやるものなんだよ。

 一番のポイントとなる「予言の答え」については、「跳ねた泥水」にどういう意味があったのか、ってのが議論の残る部分。一応個人的には「うおぉ〜ん、脳天をぶち抜いたぞ!」までが「ホルホースの脳天」(もしくは漫画の承太郎の脳天)で、「額のど真ん中に命中だぁ〜」が「承太郎の額(ただし泥水)」って解釈だったんだけど、これ、別に泥水のくだりは無くても成立するな。全部「ホルホースの」で構わないから。単なる皮肉として入れたネタなのか、それとも「ホルホースは九死に一生を得たので、実際はど真ん中には当たってません」ってことだったのか。ま、あんまり深く考える部分じゃないわな。

 個人的にひでえと思ったのは、「ホルホースが急にいなくなった」っていうシチュエーションを気にせず立ち去るジョセフたち。いや、明らかに暗殺向きの能力者なんだから、突然消えたらもっと警戒しろよ。もう、ここから二度とジョセフたちがホルホースのことを思い出すことは無いのです……。

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