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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ウルトラハイパー無重力装置を担ぎ出していたら4部は一体どうなっていただろう、第27話。「いくらなんでも1話で全部やるのは無理やで」と思っていたが、幸いにして次のハイウェイスターとの分割になった。まぁ、これくらいの配分だったらギリギリ可能な尺かな。かなりツメツメだったのは間違いないんだけど。

 まず、序盤は「アイツにもお楽しみがいっぱい」のコーナーから。承太郎がSW財団の男から海辺のベンチで情報を受け取るのはジョセフ登場回からの流用、さらにそのままナレーションに接続するために小洒落たベンチセットにテーブルとラジオを追加。承太郎さん、あんなとこで何やってたんでしょうね……まぁ、そういう情報の受け渡し手順なんだろうけども。杜王町滞在中もヒトデかなんかの研究はやってるはずなので、案外海洋研究に精を出していたのかもしれません(あの格好で?!)。

 川尻家の事情については、深夜アニメらしいちょっとムーディーな雰囲気を交えつつだが、いかんせんしのぶの作画がまだ安定しない。襲われて以降は割とエロティックな雰囲気は出ていたのだが、そこにいたるまでの顔がなんか変。まーだ前回の作画ダメージ引きずってるみたいな。クライマックスに向けて、徐々に整えていってほしいもんだが。ちなみに、しのぶが「あぁ、背中のボタン外そうとしてくれたんだ」と勝手に解釈するのはオリジナル要素だよね。あそこで吉良の行動に理由をつけておかないと、そのまましのぶが盛って成人指定アニメになりかねないからな。さらに、そんな危険な状況から早人に繋ぐシーンは今回は無し。流石にあの台詞は今後の展開を考えると外せないだろうから、またしばらく後にもう1回出てくるのかな。「猫は吉良吉影が〜」のときにもう一回今回のシーンが出てくるのかな。早く早人がしゃべってるところが見たいですわ。ちなみに今回からオープニングも変更になり、映像はまさかの吉良メインである。しのぶも早人も大活躍で、印象的な「吉良に帽子を被せられる」演出も。ニヤッとさせられます。

 シーン変わって、仗助と億泰の仲良しコンビの道端での「未知との遭遇」。仗助は最初のうちは康一と登下校してた気がするのだが、多分康一は由花子に取られちゃったんだろうな。重ちーのときもそうだったけど、最近はもっぱら億泰とつるむことが多くなっている。途中でアイス買ったりなんだりしてるので下校シーンですかね。ミステリーサークルなんてのは当時の流行を思い出して何とも懐かしくなるセッティングだが、まさかそこから幕開ける物語が、ジョジョシリーズの中でも様々な憶測や意見が飛び交う問題作になるとは。結局、未起隆の能力についてははっきりした「答え」は出てないんだよね。仗助がわざわざCダイヤモンドを出して確認した通り、彼はスタンド使いではないのだが、「JOJO A GOGO」に掲載されてしまったために一応スタンド使い認定されている向きもあるし、ちゃんと名前も設定されている。まぁ、荒木先生自身が付けたことを忘れてしまうぐらいに適当な命名だったわけで、「アース・ウィンド・アンド・ファイヤー」は我々ジョジョファンの間では忘れられない名前になったわけだけども。確かに、この名前だったらまだ隕石落とすスタンドの方がそれっぽいよな。宇宙人の変身能力なのに「アース」ってどないやねん、って話だ。あ、ちなみに未起隆のCVは加瀬康之。ゲーム版だと大統領役をやってたのね。もし7部までいったらキャストは変更だ(何年後の話だ)。

 未起隆と仗助たちが繰り広げる一連の宇宙人コントは荒木先生の「なんか不思議展開」の真骨頂。普通はスタンドから攻撃を受けてるときなんかに使われる「何が起こっているか分からない」演出だが、こうして命の危険が無いときに使われると、素材との兼ね合いもあって星新一のショートショートみたいな味わいだな。「鞄からアイスクリーム」っていうさりげない「おかしさ」が、絵に描かれると何とも不気味に見えてくるっていう。まぁ、あのアイスクリームについても、謎は残ってるのだが。ちなみに、このシーンがアニメになった際の見どころは、「仗助と億泰はアイコンタクトだけでどんだけの情報交換が出来るやら」って部分。目の前に未起隆がいるので実際にはほとんど会話してないはずなのに、ツーカーで伝わっちゃう2人の関係性の深さが凄まじい。いや、億泰に実際どの程度伝わってたのかは定かじゃないけど。なんか、こうしてみるとジョジョ史上でも屈指の友情パワーだな、こいつら。考えてみりゃ「バディとして主人公と濃密に友情を交わした人間」って、シーザーとジャイロの2人くらいなんだよな。あとはせいぜいFFとかかな(グェスはなんか違う気がする)。男子高校生どうしってことで、この2人の友達感覚はとても良いものです。

 そして、アニメでの追加要素として「無情にもあの場から億泰が立ち去った様子」が追加。確かに、未起隆変身後に億泰はどうしたんだよ、ってのは原作では特に触れられてなかったのだが、彼はこの時点ではまだ未起隆の能力は認識しなかったわけだね(まぁ、後で使うことになるけど)。結果的に「オイシイ話」は仗助が勝手に考えて1人で独占することに。こいつの考え方もけっこうこすっからいし、すげぇ力を手に入れた割りにはショボいことしか考えないのよね。この辺もやっぱりアホな男子高校生の限界なのかも。まぁ、犯罪に走らないだけ良い奴なんだろうけども(賭博は犯罪です)。

 その後の未起隆との打ち合わせシーンは残念ながら諸々カット。「勢いよく着地する未起隆ダイス」は見てみたかったのでちょっと残念。あとカップに入れてシャカシャカして決めるシーンね。意味の分からないかっこよさがあったので出来たらカットして欲しくなかったんだけど、まぁ、実際意味無いからな、あれ。とにかく「しばらくトレーニングしたらちゃんと未起隆はダイスっぽく振る舞えるようになった」ってことで。あとジャスラックに許可取るのも面倒だったのか「買ってくるぞと勇ましく」もカットね。まぁ、高校生が知ってるのも変な話だし……あの世代で母子家庭の仗助がどういうルートであの曲を知ったのかは割と謎である(じいさんが歌ってたんだろうか)。うーん、やっぱりこうして並べて見ると色々と「やらしいイカサマVS根っからの性悪のチンチロ対決」というフレーバーを醸すためのあれこれはやっぱり削られてるかなぁ。こればかりは尺の問題がなぁ。

 次週でチンチロに決着が付いて、露伴が「だが断る」くらいまでかしら。個人的には、「あの2人がどこに向かうバスにのるんだよ」っていう原作最大の疑問を補足してくれるかどうかが気になります。

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 作画ェ……、第26話。いや、ちょっと待て、流石に、これは……。

 これまでも作画が怪しい回はあったが、全編通してここまでアウトだった回ってのは無かったんじゃないか。締めるとこはしっかり締めてくれてる印象だったのであまり心配してなかったのだが、2クール目の終わりでいよいよ限界を向かえたのか。うーむ、ソフト版での修正は必須やろなぁ。今回は動画の質もひどいもんなんだが、カットの繋ぎとかも不自然な部分が散見されて、全然コンテ側、スタッフ側の意図が実際の動画班に伝わってないみたいなんだよね。今回のエピソードは(毎回言ってる気もするが)実に4部らしい、色んな意味で無茶苦茶な話だし、ジョジョ史上でも屈指の訳分からんエクストリームシーンが見どころなわけで、一番「アニメの作りがいがある」お話だったんだ。例えばこれを「ワンパンマン」のマッドハウススタッフが作ったりしたら、ジャンケンで海を割り、大地が裂けるような演出だってあり得たかもしれない。このお話はそうしたこけおどしの馬鹿馬鹿しさが最大の勝負だったのに……本当に勿体ない。まー、今回はアニメの方は事故ったと思って諦めるしかないか。確かに完全独立の1話エピソードだからここだけぶっ壊れてもまわりの回に影響が出ないっていう意味では「犠牲にする」回としては正しいのかもしれないけどさぁ。

 しょうがないのでジャンケン小僧の話をしようか。「なりかけのスタンド使い」というテーマは3部まででは全く語られなかったものであり、三部でスタンド使い経験が一番浅かったのはおそらく(ホリィを除けば)承太郎だったろう(イレブンマンス!のマニッシュボーイとどっちが短いんだろう)。彼も「なんか悪霊が突然取り憑いて」くらいの感じでスタンドをマスターしていた。タイミングとしてはDIOの目覚めに呼応してジョースターの血統の身体が反応したせいだろう。そして、4部に入って矢の存在が明らかになったおかげで、「スタンド使いになる」という描写が初めてなされたのが、一応アンジェロのアクアネックレスということになるだろうか。さらに本格的に覚醒シーンが描かれたのが康一のエコーズで、彼の場合はいきなり実戦に投入されて試行錯誤で能力を見定めていった。

 面白いのは、「ジャンケン小僧」にはヘヴンズドアも見えなかったし、一切スタンドを使うという意志がなかったこと。最初に露伴がヘヴンズドアで読んだ時にそうした「意識」が無かったことは間違いなく、文面に表れたのは「ジャンケンがしたい」という欲求だけ。これが彼にとっての「唯一の魂の形」の表れだったというのは一体どういう事なのか、それはもう誰にも分からないが、とにかく彼の人生観を表した1つの形である。この少し後に、スタンドを意識せずにただただ「背中を見られたくない」という強迫観念だけを芽生えさせた乙雅三という事例もある。もしかしたら、魂の奥から表れる「ビジョン」を産みだすまでには、そうした「衝動」を経ることになるのかもしれない。そして、不幸な結末を向かえた乙雅三とは違い、ジャンケン小僧は見事ジャンケン欲求を満たし、勝利を収めたことで、スタンドの姿を発現させることに成功したのだ。ビジョンが表れた時点で、彼は自分のスタンドの能力を全て理解していた。このあたりも康一とは違うところだ。

 ボーイ・Ⅱ・マンの能力は結局この後一度も成就せずに終わったが、「他人のスタンドを奪ってしまう」というのは今にして思えばホワイトスネイクの原盤とも言える存在。「能力者の溶解」というホワイトスネイクの手順同様、こちらのスタンドも「ジャンケンで3回勝つ」というとんでもなく迂遠な方法を必要としているのは、あくまで彼の目的が「スタンドの強奪」ではなく「ジャンケン」の方にあるからだろう。スタンドを奪うのはあくまでも「ご褒美」であり、そうしてジャンケンを強いることが彼の本質なのだ。まぁ、相手からしたら別に挑発に乗らなければいいだけなので、知られてしまった時にこんなに弱いスタンドもないのだが。ただ、写真の親父が言っていた「ヘヴンズドアを奪ってしまえば無敵のスタンド」という感想が本当だとしたら、どんな状況でも、会わせ技でも、とにかく「ジャンケンで勝つ」という事実さえ存在すればいいということになり、途端にチート度合いが上がる。別にヘヴンズドアである必要はない。もしスタープラチナを奪えれば、スタプラで相手をボコボコにし、強迫してから八百長ジャンケンで勝ちまくればスタンド取り放題。全て同時にコントロール出来るとしたらホワイトスネイク以上の化け物能力ということに。ついでにスタンド使い本人もコントロール出来ちゃうので、ジャスティスとかサーフィスなんかも蹴散らせる。うーむ、少年の可能性は無限大だな。

 でもまぁ、実際はヘヴンズドアって露伴は画を描いて発動させる能力なんだよね。つまり、少年がもしあそこで露伴に勝っていたとしても、露伴レベルの画力を身につけなきゃ使いこなせなかったということで……。そのへんは終わった事なので考えないようにしよう。

 アニメとして見てると、(原作でも同じことは思ったが)露伴の勝ち方は随分無茶だよな。エクストリーム跳躍ジャンケンがあくまでマンガ上の演出だとしても、まだよちよち歩きも出来ない透明な赤ちゃんが子供の腕によじ登って指をグーにするのは無理がある。透明なだけで重量はあるんだから、やられてる方も間違いなく気付くし、そもそも赤ちゃんにそんな機動力はないわ。そして、どう見ても今回の位置関係・時間関係だと露伴が赤ん坊を捕まえて描き込みする時間もない。ま、その辺も勢いで押しきった露伴先生の勝ち。「透明になって」っていう命令が書き込めるってことは、静ジョースターは一応自分の意志でスタンドのオンオフが出来るんですかね。彼女が大きくなったらどんな女の子になるんでしょうか。まぁ、それを言い出したら「二度とジャンケンに勝てない」も絶対無理な命令なんだけどさ。

 あと、これは原作だとあんまり気にならなかった部分だけど、よくよく考えたらトラックのフロントガラスにポラロイドカメラの写真が1枚張り付いた程度では別に視界は遮られないな。ちょっとびびるくらいで、前方の障害物くらいは避けられそう。まぁ、その辺も露伴先生の強さという(略)

 とりあえず今回のお話はなるべく軽く切り上げましょう。次回は作画が戻ってるといいなぁ。エクストリームチンチロリン。

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 吉良の関係者大集合、第25話。こうしてみると、吉良吉影って男は限られた範囲内だったらかなり恵まれた人間関係の中で生活してるんだよなぁ。いや、同僚は知らんけど。性格に難ありなんて大家ぐらいのもんじゃん。個人的には、大家が家に上がった直後のニコニコ顔トーク部分が削られてるのはちょっと残念でした。

 川尻浩作、そして写真の親父の登場。構成としては「アトム・ハート・ファーザー」を挟んで吉良の事情が2パート描かれる形になっているが、面倒なのでまずは川尻家の方から。ヒロイン勢のパワーが高いことで有名な(?)4部だが、満を持してラストヒロイン、川尻しのぶの登場だ。CVは嶋村侑。なかなか渋いがいいところを持ってきた。あまり高すぎない音域で大人っぽさが出せるバランスだ。そして、今回ほとんどしゃべっていないので事実上キャストロールでの先行ネタバレみたいになったのが、息子である川尻早人のCV。こちらはなんと佐藤利奈! ありがてぇ! 早人は今後主人公クラスの大活躍になるので、今からこの少年の活躍っぷりが楽しみである。きっちりラストの盛り上がりも視野に入れてのキャスティングは嬉しいところだ。

 しかしまぁ、全体的に作画面がやや不安定、というか、しのぶの顔があんまり美人さんに見えなかったのはちょっと残念なところ。まぁ、原作でもしのぶは吉良に惹かれていくに連れてどんどん色っぽくなっていくのも事実なので、最初の方は単にムカつくだけの女だった気もするが。もうちょっとふっくら女性的な描写の方が後々まで期待感が募るので、登場回である今回ももう少し頑張って欲しかったところ。彼女の首筋がどれだけ艶めかしく描けるかで、今後の川尻家の行く末も変わってきますし(?)。考えてみると、この一家って野郎が無駄に風呂シーンが多いんだよな。今回もムキムキマッチョな吉良の入浴シーンはやたらに気合いの入った作画だった。ボディ自体は川尻のものではなく吉良のものなはずなのだが、あんだけ身体作りしてるのに駅前にスポーツジムに行くことを検討しなきゃいけなかったのか。カメユーデパートの日常業務ってどれだけ激務なんやろな……。

 あんまり意味の無いこととは分かっていても、吉良の置かれている現在の絶望的な状況って、想像したことありません? リアルタイムで読んでいた幼い頃、私はこの状況を想像して恐れおののいた記憶がある。だって、突然顔を入れ替えて、何も知らない状況を何食わぬ顔で生きていかなきゃいけないわけでしょ? 今回は「金庫の鍵」なんて端的なツールでその「分からないコト」の恐怖が示されていたわけだが、そんな大ごとでなくとも日常のありとあらゆるものが「他人のもの」に入れ替わるなんて、普通の人間には対処不可能な出来事だ。いくらしのぶが浩作のことを嫌っていたとしても、好きな食べ物、嫌いな食べ物(シイタケ)のことくらいは知っているわけだし、朝起きて会社に行くまでのルーチンとか、ひょっとしたら靴下を右から履くか左から履くか、なんてことまで知っているかもしれない。川尻の勤め先くらいは財布の社員証を見れば行き先は分かるかもしれないが、その会社で彼が一体どんな役職についていて、どんな仕事を任されていたのか、ありとあらゆることが分からないのに、それを他人に聞くことが出来ないのだ。そんな状況、私なら一日と待たずに音を上げてしまうだろう。多少窮屈であってもそれをやり遂げてしまった吉良という男は、承太郎の言うように「才能に溢れた」一種の天才だったのは間違いないのだ。まぁ、いかに吉良とて完璧に川尻を演じられなかったからこそ、ほころびは出てくるわけだが……あれだって、実の息子が父親を疑いまくるっていう歪な川尻家の状況がなかったらどうなってたか分からないわけでなぁ。

 閑話休題。そんな川尻の家と同時進行で描かれた吉良家の様子。家のサイズを見ても分かる通り、吉良家はどうやら杜王町に古くから根ざした良い家柄であったようだ。親父がどんな職業だったのかは分からないが、写真の様子を見る限りではそれなりの収入はありそうだし、何よりも「過去にエンヤ婆と接触して矢を手に入れていた」っていう経歴がヤバい。ひょっとしたらエジプトに縁がある考古学者とか、貿易商とか、そういう仕事だったんだろうか。エンヤ婆にそこまで信頼されていたってことは、生前からかなりイカれていたのか、よっぽどカリスマ性のある人間だったのか、どっちだったのやら。ちなみにCVはなんと千葉繁。うわー。うわーーーー。親父と億泰が並んでしゃべってるだけでほのかにデストロンのにおいが感じられる気がしますね。ゲーム版なんかでは島田敏が担当していたらしいが、とにかく「なんかうるせぇ親父」枠なんだな。親父は玉美・間田パターンでどんどん頭身が小さくなっていくので、この千葉繁の愉快な演技がたまらないハマり方になっています。ある意味最強の親子やな。

 実際に写真の親父の能力は強い。一時のこととはいえ、仗助・承太郎の主人公コンビを手玉に取った存在だし、状況設定さえ間違わなければスタンド能力としては最強の部類。死神13やマンインザミラーもそうだが「自分のフィールドを作ってしまえる」能力ってのは何でもありのスタンドバトルでも無双の強さを誇る。ただ、「死神13」の場合は「起きる」という逃げ道があり、さらに本体が脆弱というあからさまな弱点があったし、マンインザミラーは「空間を作るのにほとんどのパワーを使ってしまっている」と本人が言っていたようにスタンド自体に何か特殊な攻撃方法があるわけではなかった。それに比べて、このアトムハートファーザーはやりたい放題だ。一度写真の空間内に捕縛してしまえば、基本的には自由意思で脱出できず、外界からの干渉も完全シャットアウト。空間内では親父に触れることすら出来ず、親父の方からの干渉はやりたい放題の一方通行。これまで息子の障害を葬ってきたという自信も宜なるかな、というチート性能だ。これが「父の愛」の成せる技だってんなら、吉良家の歪んだ家族愛に疑う余地はない。「本体を叩く」という定石を選択出来ない時点で「幽霊のスタンド使い」ってずるい存在なんだよな。今後もチープトリックやらノトーリアスB・I・Gやらといった「本体が死んでるスタンド」は登場するが(あと、五部のあの人も一応これに該当する)、「死んだ本人」がきっちり意思を持って攻撃してくる例は珍しい(リンプ・ビズキットがこれに該当するか?)。流石にチート過ぎたために今後「写真の親父」が直接攻めてこないのもお約束といえばお約束。まぁ、幽霊の状態だと屋外で「写真を撮って不意打ち」が出来なそうだし、かなり限られた状態での無敵なのは間違いないんだろうけど。

 親父との対戦では、相変わらず承太郎のクールさを見せつけられる形になっており、仗助君にいいところはない。強いてあげるなら、スタンド能力を把握した後すぐに億泰に「頼む!」と連携を申し出たあたりは2人の友情が確認出来る良いシーンといえるだろうか。無敵の再生能力と無敵の抹消能力を持つ2人のコンビだからこそ、こうして無茶苦茶な敵と戦わされる運命にあったと考えると、能力が強すぎるのも考えものだけど。勢いよく飛び込んでガラスぶっ壊す億泰さんには「落ち着け」と言ってあげたい。そういや今回何もせずに「閉所恐怖症気味」というどうでもいいパーソナルデータが明かされただけの康一だったが、なんか微妙に髪の毛が逆立ちっぱなしでしたね。由花子さんは彼氏があの髪型でいいんだろうか。

 「和箪笥の一番下の段に弓矢」という何ともシュールな情景から、矢だけを奪って親父が逃走。これにより、物語は後半の「なんかよく分からない連中が適当に襲い掛かってくる」展開に突入していく。矢に刺された人間は魂の形を反映してスタンド能力を得ていくわけだが、数々のガチンコ能力を展開していた3部と違い、今後登場するスタンドはどれもこれも、3部の道中でアヴドゥルやポルナレフに出会ったら瞬殺されるような癖の強いものばかり。やはり平和な杜王町の中で能力を発動させようにも、なかなか正面からの戦闘能力なんてものは発現しないものなんですかね。まぁ、今更素直なパワータイプをけしかけたとしても、承太郎たちに勝てるとは思えないので絡め手で正解だとは思うけども。「矢の意思」が物語をどこに向かわせるのか、今後も注目です。

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 ジョジョ史上、屈指の長さの1,2分間、第24話。しかし「最も長い1,2分」ではないのがポイント。多分、いつぞやの7秒とか3秒の方がもっと長いから。

 ちょっと驚いたが、シアーハートアタック戦は2話で収まった。原作の長さからすると3話分あるかと思ったのだが、考えてみりゃ、ずっと吉良が康一君相手に説教(?)垂れてるシーンが続くからアニメ的にはそんなに映える話じゃないんだな。なるべく要素をまとめたら、なんとか2話に収まった感じ。まぁ、それでも1,2分の出来事だと考えりゃ相当長いな。

 「悪役が逃げ切る」という衝撃の展開を見せた今回。ここまでガチンコで正面からぶつかっておいて、巨悪がのうのうと逃げ切ってしまうというのは当時は本当に驚いたものだ。「倒しきれずに痛み分け」みたいな展開なら他の少年漫画にもあったかもしれないが、今回の勝負に関しては、仗助&億泰コンビはピンピンしてる状態なわけで、吉良が一方的に敗北した形。それにもかかわらず、彼は手掛かりをほとんど残さずに消え失せ、置き土産として辻彩殺害までこなしていったのだ。ここまではっきりと「悪役の勝利」が描かれるというのもジャンプ漫画ではレアケースなのではなかろうか。また、こうして「逃げ切る」だけでも吉良にとっては「勝利」なのだと分かることも、この4部の特異さを表す事例の1つといえる。ジョジョの他の部を引き合いに出さずとも、野望大望を抱く悪役なんてものは、一度土がついて逃げ出してしまえば、色んな意味で「負け」なのだ。一発逆転するには、例えば息子に望みを託したピッコロ大魔王みたいな奇策に出るしかないだろう。もしくは1部ディオみたいに情けない姿をさらして雪辱に燃えるか、とにかく「負けた」ことは間違いなく読者に印象づけられる。しかし、吉良吉影という男はそうではない。彼の人生の目標はあくまで「静かに暮らしたい」であり、より正確に書くなら「人を殺しながら静かに暮らしたい」である。別にここで仗助たちをぶっ殺さずとも、自分の存在を抹消出来れば彼にとっては「勝ち」なのだ。涙ながらに生き延びることを宣言し、見事成し遂げた彼の偉業はまさに大勝利。ジョジョってのは不思議な作品で、こうして悪役側が実質的勝利を勝ち取るパターンってのも結構あるのよね(プッチ神父もある意味でジョースターの血統に完勝してるし)。

 そんなわけで、吉良というどぎついキャラの個性が存分に発揮されたナイスなお話。靴下のくだりなんかは本当に個性が際だっているが、こういうキャラを平気で作れちゃうのが荒木先生の怖いところでね。「爪を集める殺人鬼」ならまだ「異常者」の枠でおさまるから想像出来る気はするのだが(それでも充分気持ち悪いが)、「殺害前に靴下の裏表が気になって直してあげる殺人鬼」はなかなか出てこない。多分、荒木先生もうっかり靴下を裏返しのまま洗濯しちゃうのが我慢ならない質なんだろう。他にも、今回が「吉良吉影」としての活躍は(ほぼ)最後ってことで色々と愉快な言動が多く、冒頭のチンピラとの絡みとか、帝王ボイスでサラッと言っちゃう「チンポ」とかね。ちなみに、私はこの吉良さんの台詞のせいでジムとかに通うのが何となく嫌な人間になりました(まぁ、元から行く気無いけど)。それにしても、冒頭のチンピラ連中の言葉遣いとかもいちいち荒木節。荒木先生のこういう汚い言葉遣いってどこから出てくるんだろう。本人がしゃべてる様子からは想像も出来ないのが怖いよな。そして、あんだけチーマー然としたチンピラを描いておきながら、「仕事やめさせられて」とか言っちゃうセンスも斜め上。あいつら、最近までどんな仕事してた結果として、あんな時間にあんな格好で街中うろついてたんでしょうね……。

 スタンドバトルの方に目を向けてみよう。先週覚醒したエコーズAct.3だったが、ぶっちゃけ、あんまり強くない。固有能力が「重くする」だけなのに射程距離5メートルってあんまり長くないし。スタプラとかCダイヤモンドは1,2メートルって言われてるから、一応中距離と言えなくもないのか? でも、明らかに直接殴らないと3Freezeが使えないっぽいんだよな。「一度に重くできるのは1箇所だけです」って言ってるのに、最初に吉良が出てきたときに吉良を殴りに行ったのも不思議と言えば不思議。重力操作無しの単なるパンチでどうにかなると思って殴り込んだんだろうか。スタンドの形は魂の形というものの、チビのAct.3では康一同様に肉弾戦はなんとも頼りない。この後のAct.3の活躍って、役立ったのが1回だけ(VS ハイウェイスター)、能力使ってかえって失敗したことが2回(VSチープトリック、VS Gエクスペリエンス)、っていう情けない結果(いや、一応ジョルノ相手に役立ってはいるか)。うーむ、やっぱりAct2以前の方が強いな……。

 ただ、こうして康一君が手こずるのもしょうがないと言えばしょうがない。相手が「スタンドを2つ使える」ってのが最大のイレギュラーだからね。ややネタバレぎみだが、後々の展開で「吉良は爆弾を1つしか起動出来ない」という制約が明かされる。その割には今回の戦闘に関して言えば、どうもその制限はかかっていないようなのだが(SHアタックを出しっぱなしにしながら、チンピラの指を吹き飛ばしている)、あれってあくまで「第一の爆弾は1つしか起爆出来ない」ってことなんだろうか。そう考えると、やっぱりSHアタックって作中でも最強クラスの遠隔自動操縦だ。2つ以上の機能をここまで同時並行で使いこなしたスタンド使いって、他にいるだろうか? 一応ベイビィフェイスはこのカテゴリ? とにかく、多芸で多才な吉良さんの実力が遺憾なく発揮されたスタンドってことだね。まぁ、結局SHアタックは便利で強すぎるってことなのか、この後はもう使われなくなっちゃうんだけどね(第3の爆弾を編みだした時点で失われた可能性もあるかも)。

 すったもんだの末に吉良を撃退することに成功した承太郎・仗助チーム。その後の「吉良の手が逃げる」シーンの時間軸も色々不思議で、吉良の足が超速くてCダイヤモンドの修復がこのときだけやたら遅かったのだが、ひょっとしたら仗助が追跡出来るように修復のスピードを加減した結果なのだろうか。最終的には武器になるくらいに「修復の速さ」が強みなんだけどな。そして、とばっちりで登場から僅か数週間で殺されてしまう不遇の人、辻彩。彼女もかなり短時間で、脅され、彼の言うことをオーダー通りにこなしたあたりがなんとも不思議な時間軸だ。まぁ、吉良の方はシンデレラの能力を熟知していた、っていう設定にすればギリギリか? そして、我が心の拠り所、大原さやかキャラ遺影ヒストリーにまた新たな1ページが……。なんか、よく死ぬ声優(!?)ばっかり応援してる気がする。

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 アツい電気調理器へのネガキャン、第23話。「こんなんで美味しい料理なんて作れるのかァ〜!」とか言ってたので連載当時は「オイオイ、こんなひどいこと書いていいのかよ荒木先生」って思ってたのだが、あれから20年が経ち……、荒木先生、あんたの言うことはやっぱり正しいよ。使いにくいよ、アレ。まぁ、最先端の機器だったら随分使い勝手も改善されてるのかもしれないけどさ。

 シアーハートアタック戦の一本目。色々と衝撃的な展開がてんこ盛りで、リアルタイムで読んでた時にも大層ドキドキしたものだが、アニメ化された映像を見ているとあの当時と同じ気持ちもあり、全然関係無い気持ちもある。まず、同じ気持ちで言えば「承太郎、負けるのかよ〜!」という衝撃ね。かつて、あのDIOを相手にしてすら強さが揺らがなかった承太郎。そりゃ心臓を止めてまで戦ったのだから死闘だったのは事実なのだが、ラストバトルでは結局DIOを圧倒したのだし、「承太郎さんに任せておけば絶対に負けないぜ」という安心感は不動のものだった。さらに、この杜王町にはDIOのような化け物はいないはずなのだ。チート能力であるスタプラさえ使えば、常人レベルのスタンド使いなど屁みたいなもんである。しかし、このシアーハートアタックは違った。とにかく固い。ジョジョ史上ベスト5に入る圧倒的オラオラ数をたたき込むもせいぜい戦車(?)の履帯が外れる程度で、どこぞから「天下のクリスティ式なめんなよ!」という声が聞こえて来そうな余裕のドライブ感。そして死闘の果てについに爆弾が承太郎を捕らえ、承太郎さんは史上初の失神だ。あのホルホース・トラックアタックでさえ意識を失わなかった承太郎さんが、屈辱の初黒星を喫したのである(死神13戦はノーカンね)。

 しかしこのお話のすごいところは、完全敗北を喫したはずの承太郎が、別に格好悪くは見えないということ。「承太郎が負けたのは康一がヘマをやらかしたからですよ」というデザインになっており、「スタプラがあっても負ける理由」「負けてもしょうがない理由」がちゃんと用意されている。次週以降の反逆展開も含めて、別に承太郎の株は一切落ちていないのだ。世代を跨いで複数シリーズの主人公が共闘する作品において、この「承太郎の株の落ちない加減」は本当に見事(6部も同様)。

 しかし、今回見ていて1つ不思議だったのは、承太郎と康一のスタンド知識の差である。康一がポカをやらかしたのは、彼が「遠隔自動操縦」というスタンドのタイプを知らなかったから。そもそも彼がスタンドの強さと距離の関係を知っていたことも驚きではあるのだが、おそらく自分のスタンドやハーヴェストなどのタイプと、仗助らのスタンドを見比べて経験的に認識したものだろう。だとしたら、今まで遭遇したことがない遠隔自動操縦について知らないのはしょうがない。だがちょっと待て、それじゃ何故承太郎はその知識を持っていたのだろうか? これまでのシリーズに、承太郎が解説したような純粋な意味での遠隔自動操縦スタンドって、実は登場してないんだよね……。遠くから攻撃出来るスタンドはいくつかいたが、「恋人」はパワーがクッソ弱いだけだし、「ゲブ神」はンドゥールの超人的な聴覚によるサポートと、小回りの効くパワーによって実現したもの。「女教皇」もパワーに比例するようにしてちゃんと本体は近くにいた。つまり、承太郎も経験としては今回のSHアタックが初めての純正自動操縦スタンドなのだ。まぁ、SW財団との繋がりを密にしてDIOの後始末には奔走していたみたいだし、本編で描かれないところで色々とスタンド知識を蓄えていた可能性はあるのだけども。どこかに我々の知らない遠隔自動操縦スタンド使いがいるのかもしれません。

 そして、そんな無敵のSHアタックを前にもう1つの事件が起こるのが康一君ということに。今回のお話のネタっぷりを加速させるムカデ屋での彼の奮戦。アニメで見ると色々と妙なところが見えてきて、まず、ムカデ屋の間取り、絶対変だよな。あれって吉良はどこから侵入してきてたんだろう。奥が住居スペースってことは、吉良は店先じゃなくてムカデ屋のおっさんのおうちから攻めてきたことになるな。表で承太郎たちの姿を確認してぐるっと回ったのかもしれないが。ムカデ屋のおっさんに家族が居なくて良かったよな(ひょっとしたら吉良に始末されたのかしら?)。 あと、ムカデ屋のおっさんが「熱い飲み物」を飲んでいたのに、台所のポットにお湯が入ってなかったのも謎ではある。最後のお湯を使い切ったんでしょうかね。コンロの上には鍋が1つ、ヤカンもないし、店舗スペースの方にお湯が無いのは確実(SHアタックが破壊してない)。どこでお湯を沸かしたのかが謎なのだ。うん、どうでもいいな。

 照明にコンロ、色々な家財道具で最強のスタンドと戦うあたりがいかにも4部らしいバトルだが、最終的には自分のスタンド能力で(一時的に)問題解決出来た康一。あの尻尾文字って、文字の時点で熱を持ったり衝撃を放ったりしてるんだろうか。まぁ、あくまで概念の形なので、康一が熱いと思えば熱いのだろう。「自動操縦の弱点を突く」というスタンドバトルのお約束は、この康一の思いつきから、脈々と受け継がれることになるんですね。そしてこのバトルも遠い異国の地、ブラック・サバス戦で活かされるわけだ。康一も色々苦労の多い人生だなー。

 新しいスタンドの概念を導入したことで、ついでに新しくなったエコーズ Act3。突如として全然関係無い能力になっちゃうという節操の無い成長過程は連載当時も違和感があったが、改めて見ると、マジでなんでこんな進化を経たのだろうか。この謎については未だに疑問は解決してないのだが……まぁ、元々康一が「音のスタンド」を覚醒させた意味も分からないしね。あくまでエコーズに与えられたテーマは「成長」であって、変化を続けること以外には制限が無いと考えるのが自然なのかもしれない。スタンドのサイズがほぼ康一の身長と同じになったこのAct3で一旦成長は終了だが、最後に辿り付いたこの「重力操作」こそが康一の本当の力ということか。ちなみに、このエコーズの成長が流石に強引だと思ったのか、今後登場する成長型スタンドは一応元の能力から関係のあるもので繋げるようには意識されているみたいですね(Gエクスペリエンスとか、タスクとか)。

 「自分から話しかけてくるスタンド」っていうのも言及していくと興味深いテーマで、スタンド自体にキャラクター性を持たせるようになる4部以降にこのタイプは増えていく。その最たるものがチープ・トリックだが、あそこまでひどくなくとも、愉快なセックスピストルズのような多重の自我を持つスタンド、ヨーヨーマッのようにスタンドの持つ性格自体が武器になっているもの、ドラゴンズドリームのようにまさかの中立性を保っちゃうスタンドなど、元々「能力バトル漫画の能力の可視化」でしかなかったスタンドが、ジョジョワールドを象徴する独自の存在に育って行く過程がここで確認出来る。エコーズがしゃべっているのはあくまで新しいスタンドのインストのためなのだが、「新しく生まれたスタンド」が能力者自身にも使い方が分からず、スタンド本人が教えてくれるってのも1つのパターンか。スパイスガールズみたいに一から十まで全部親切に説明してくれるもの、ポコロコの「ヘイ・ヤー」のようにしゃべることそのものが能力だったりするもの(ある意味、あいつ嘘つきだしな)まで。ちなみにスタンドは本来「魂の形」なので、別にスタンドがしゃべらずとも本能的に使い方が理解出来るのが理想。ジャンケン小僧なんかはその模範的な例ですね。

 なんか今週は色々面白いトピックがあったのでスタンド大全集みたいな話になってしまったが、とにかく、このバトルにはジョジョのジョジョらしさがガッと詰まったものになっているということだ。次週、カフェ店員さんをいじめてしまったひどい男、吉良吉影が通りがかりのチンピラに悪戯され、その腹いせに康一をボコボコにする(これまたある意味ジョジョらしい)展開が見もの。みんな、靴下の裏表は確認しろよ。

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 また一時間スペシャルだよ、第21,22話。こうして休止が挟まってもきちんと前後編で一挙放送になるのって、テレビ局も狙ってやってるんでしょうかね。まぁ、今回は23話以降も吉良スペシャルみたいになってるからここで切れても違和感はあるのだが。

 というわけで、吉良さん大暴れのお話を2話構成で。最近とみにコラ素材にも使用される「吉良の同僚」なんかも登場し、何とも不可解な盛り上がりを見せている。改めてあの同僚のシーンを見ると、アイツめちゃめちゃ変な奴だな。なんでわざわざ同僚の女の子に吉良の紹介してやってるんだよ。OLたちだって「お前どっから出てきた」「聞いてねぇよ」「知ってるよ」のオンパレードなのではなかろうか。

 さておき、今回のマッチメイクは吉良VS重ちーということになるわけだが、稀代の殺人鬼を相手にしているというのに、その対戦相手が重ちーということもあり、いかにも第4部らしい、絶妙なみみっちさの試合になっている。まぁ、ジョジョってのはどこの部でも「そんな細かいところで勝負が決まるのかよ」みたいな不思議なみみっちさが見どころではあるのだが、今回は特に一見するとアホなシチュエーションが多いので、命懸けのバトルのくせにコントみたいな趣がある。アニメではカットされてしまったが、吉良が必死に紙袋を釣り上げたときの「しまった! 何度も剥がしていたせいでシールの粘着力がっ!」みたいな「マジでどうでもいい命懸けの出来事」がいちいち楽しい。ちなみに、上の台詞は(おそらく吉良の抱いている緊迫感を削いでしまうだろうという理由から)カットされているが、その分原作には無かったヘンテコオリジナル台詞が追加されていたりもする。億泰と仗助の醤油・ソース談義とか。確かに、とんかつに醤油つけられたらとんかつソースの立つ瀬が無いな。

 改めてアニメで見ていて不思議だったのは、重ちーも含めて、仗助・億泰たちの学校生活の謎。この作品、男子高校生が主人公なのに学園生活はほとんど描かれないという、非常に不可解な設定になっている。もちろん学校の様子はちょいちょい出てくるのだが、テストがどうとか、体育祭がどうとか、そんなこたぁほとんど出てこない。おかげで仗助が普段どんな学園生活を送っているのかも完全に謎で、今回のお話はそんな謎の部分がちょっとだけ垣間見られるお話といえるのかもしれない。今回スポットが当たったのは「お昼ご飯」のお話。仗助って普段お昼は何を食べてるのか、って話だが、朋子がお弁当を作ってくれている感じもないので(彼女も勤め人だしね)、おそらくお小遣いをもらって外食のパターン。億泰はあの家庭なのだから当然外食なので、ひょっとしたら億泰に付き合う意味で一緒に外食にしているのかも。今回の台詞からすると、選択肢はパン屋のサンドイッチ、弁当屋の弁当、そして学食。学校の外を割とのんびりうろうろしていたが、昼休みは余裕があるのだろうか。いっぺん外に買い出しに出て学食に戻るとなると時間的にけっこう厳しい気もするのだが。学食がちょっと空いてから行く、みたいなパターンかな。

 そして、そんな仗助達を誘った重ちーは、「中等部」の学生。そうか、原作読んでいて全然意識してなかったけど、仗助達の学校って中高一貫校なんだよな。制服のデザインは……わからんわ! こいつらカスタムしすぎだし、体型が違い過ぎるから同じ服なのかどうかも定かじゃないし……ただ、少なくともカスタムしてないであろう康一の学ランと重ちーの着てる服はどう見ても違うデザインなので、重ちーの方が中学の制服……なのかなぁ。変な作りだなぁ。ちなみに、仗助が特に説明もされなかったのにすぐに体育準備室にやってきたのは、当然彼が中等部の卒業生だからなんだろうな。億泰は転校生だから知らないはずだが、仗助が教えてくれたんだろう。そういえば重ちーの死亡シーンでは仗助と億泰は同じ教室にいたけど(シンデレラの回でもそうだったけど)、2人(+康一)って同じクラスなのかな? その割に億泰が初登場したときに「最近引っ越してきた」転校生のことを2人とも知らなかったんだよな。あの出会いのエピソードは億泰の登校前の話だったのかな。

 なんかどうでもいい気になるポイントがいくらでも出てくるが、ちゃんと少年漫画的ポイントを見ておくなら、何と言ってもキラークイーン初登場ですね。巷では「アニメの作画がメタメタ」ってんで不評だったみたいだが、元々キラークイーンって顔面がすごくのっぺりしてるから格好良く描くのが意外と難しいんだ。スタプラとかと違ってデザインもすごくシンプルで、ちょっとでもバランスが崩れると単なる変態半裸魔神に見える可能性が。やっぱり荒木デザインの格好良さとおかしさは紙一重だ。色合いがピンクなのもヘンテコさに拍車をかける要因なのかも。今回観ていてふと思ったのだが、あのデザインの自分のスタンドを見てキラー「クイーン」と名付けようと思った吉良のセンスってすげぇよな。まぁ、スタンド名って「魂の名前」なので、デザイン云々は関係無しに最初から決まってるっていう話もあるが。

 とにかく破壊と殺人だけに特化した、歴代でも屈指の凶暴性を誇るスタンド・キラークイーン。当然そんな奴を相手にハーヴェストでは敵うはずもなく(まぁ、戦い方次第だとは思うが)、重ちーは爆死。ラストの「ミツケ……タゾ」はなかなか悲壮感に溢れるシーンで良いものになっている。今までおそらく妙齢の女性ばかりが吉良に殺されていたのだろうが、突然男子中学生が飛んできて鈴美もびっくりしたんじゃなかろうか。あ、でもボーリングの爪切りの男みたいなのもいるから被害者が女性ばかりと限ったわけでもないのか。

 そして重ちーの死が明らかになり、世にも珍しい「街中のスタンド使い大集合」のシーン。原作ではこの話がシンデレラ回の前なので辻彩は集合場所にいなかったが、アニメオリジナルで彼女も召集されている。トニオまで駆り出されているのでほぼ全員集合のはずなのだが、間田にぶん殴られて入院していた玉美だけは参加していない(退院するまでもうちょっとかかりますね)。億泰の親父は一応元々スタンド使い(?)かもしれないので連れてきているようだが、わざわざあんなグロい生き物を街中に引っ張り出す必要があったんでしょうかね。町の人たちもよくスルー出来るよな。そういや、重ちーと吉良が学校内であれだけ派手にドンパチしてても学生の一人も通らなかったり、杜王町ってのは「普通の町」って言われてる割にはどっか不気味なところはあるよな。普通に考えたら、吉良は学内でうろつくだけでも大変だろうに。

 ま、そんなことは置いとくとして、「シンデレラ」のエピソードが前倒しになったため、「静かに暮らしたい」→「シアーハートアタック」と、休み無しに吉良の追撃エピソードが続く。このシアーハートアタック戦がアニメ的には2クール目の締め、山場ってことになるんでしょうかね。作中ではパイツァダストと同程度で一番長いパートなのでね。そういや「コッチヲ……ミロ」は個人的にはもうちょっと甲高い機械的な声をイメージしてたんですが、普通に同じ声でした。あと、たべっこ動物はちゃんとそのまま登場しましたね。販売元に許可とったってことなんだろうな。あんなどうでもいいシーンだし、殺された人が食ってたお菓子とか、メーカーにとっては宣伝になるかどうかも怪しいが。出来ればジョジョではそういうディティールは維持してほしいところだからありがたいですね。

 さて、ちょっと話数跨ぎになったが、ここからはシアーハートアタック戦でたっぷり3話分ってとこですかね。作中数少ない、スタープラチナが完全敗北した難敵、一体どんな戦いが待っているやら。ちなみにどうでも良い話ですが、今回登場した女子高生A・B・Cのキャストは、Aがジョジョのモブではお馴染み、木村珠莉、Bが「無名ちゃんの中の人」千本木彩花、そしてCが最近ちょいちょい名前を見かける桑原由気というラインナップ。モブにも色々気を遣う作品です。あと、吉良が新しい女の子に目を付けるシーン、喫茶店でダベる女性たちの後ろの眼鏡の男がやたら存在感を出していたのだが、あのモブは一体なんだったんだろう?

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 辻彩のCV! 繰り返す、辻彩のCV!!!! 第20話! 流石にそうくるとは思いませんやん?! もう、エステティシャンっていうか次元の魔女だよ。黄金の魔女だよ。逆理の裁者だよ!

 というわけで、能登VS大原という、わたくし的に一日の摂取量を確実に超えているオーバーカロリー過ぎるエピソードとなりました。俺が言うのもなんだけど、辻彩っていくつなんだよ、っていう。まぁ、ゲーム版のCVもミズハスだったことを考えれば年齢的にはそんなに変わらないわけだが(つうか年上)……。いやー、びっくりした。杜王町の女性、色々濃すぎる問題。まぁ、これ以上ないくらいに「魔法使い」だったので私としては大満足です。一瞬「登場シーンが少ないキャラに使われちゃったかー」と思ったが、冷静に考えると今後のジョジョにおいて、さぁやボイスがしっくりきてさらに大活躍するキャラってあんまり思い浮かばないしな。これは残された最大最後のヒロイン枠である川尻しのぶにも期待せざるを得ない。俺の脳髄を打ち抜くキャスティングが期待出来そうだぜ……。

 というわけで、由花子再登場のエピソード。原作とは順番を入れ替え、次回の吉良のお話よりも先に持って来ているのはバランス調整のためかな。2クール目の締めに何を持ってくるか、っていうのも問題になるしね。そんなお話を1本のショートエピソードとしてみると、誰が見ても明らかな「何とか詰め込んだ」展開である。オープンエンドは当然カット、エンディングもマジでギリギリまでお話を詰め込んで、四苦八苦しつつオチの部分まで滑り込ませるという、マジで一分一秒の勝負の話数であった。まー、流石に2話以上に分割するほどでもなし、なかなか苦しい判断ではあったのだろうが、幸い、展開自体にそこまで急いでいるという印象はない(知っている人間からすると「残り○分で終わるの?!」ってハラハラ見ることになったが)。おそらく種々の要素はカットになっているのだろうが、そこまで欠落を感じさせるものにはなっておらず、分かりやすいところでは由花子が30分のタイムリミットを破ってしまう具体的な情景描写はまるまるカットされているが(ひょっとしたらよく見たら時計は表示されてるのかな?)、あそこはどっちかっていうと原作の方が不自然だったからね。「いや、それだけの展開で30分はたたねぇだろ」みたいな。今回はそこら辺がぼんやりしているおかげで、「まぁ、何となく由花子が寝る前に約束を破ったんやろうなぁ」程度のものになっているのだ。

 個人的にもうちょっと追加で描写してほしいな、と思ったのは、シンデレラのスタンド能力。2度目に由花子に施術して全身をいじるくだり、原作だとありとあらゆる部分がカシャンカシャンと次のカートリッジに入れ替わるような演出になっており、アニメで一斉に見せられたら割と見応えのあるパートだったと思うのだが、残念ながら1枚絵で処理されてしまった。他にも、最終問題の眼のプレートはもうちょっと部屋いっぱいに飛び回っていたような印象があるのだが、まぁ、その辺は尺やリソースの問題と割り切るしかないだろう。お話としては問題無く成立するしね。やたらとミュシャのイメージで辻彩を飾っていたのは、止め絵にしてもインパクトが維持出来るっていう演出的な都合なんじゃなかろうか。

 逆に、原作では見られなかったがアニメになったおかげで描き込まれた部分もある。これは他のお話でも言えることだが、原作ではあまり細かく描写されないぽっと出のスタンドも、ちゃんと全身の造形を考えて画面上に乗せる必要がある関係上、下半身部分がはっきりしていなかった「シンデレラ」の全身像がきちんと描かれ、どういうモーションで宙を動いているのかが描き込まれていた。「こんなファンシーなピンクなんや……」っていうのは驚いたけどスタンドの色がおかしいのは毎度のことだし、確かにエステ専門スタンドならあんな色合いもアリなのかも。登場シーンの少なさではパールジャムの次くらいに不遇のスタンドなので、今回しっかり活躍が見られたのはよかったんじゃなかろうか。ほんと、この町には「お仕事スタンド」がたくさんいて面白いよなぁ。だって、「シンデレラ」の能力って、言ってしまえば「HUNTER×HUNTER」ならビスケの念能力みたいなもんだろ? 少年漫画ではどう頑張っても活躍出来ない類のもののはずなのに……この能力がなぁ……(嘆息)。

 あと、細かいところだったけどツボだったのが、康一が仗助・億泰に相談したとき、びっくりした仗助が窓から落ちそうになったところで慌ててCダイヤモンドで捕まってたところ。アニメオリジナルでああいう小ネタを入れてくるのは面白い。そして、あの相談するシーンは演出次第ではカットされたり、短くなってもおかしくないパートだったと思うのだが、男子高校生3人組の仲の良さ由花子との関係性を示すためにちゃんと削らずに入れてくれてるのも嬉しいところだね。「やっぱり泣いちゃう億泰は削れません」みたいな編成会議があったんでしょうかね。もう、トニオのせいで億泰の涙腺はガバガバよ……。

 さぁ、ジョジョにしては珍しく艶っぽかったり、色っぽかったりするシーンの多かった今回のお話。一応はサービス回(?)とも言えるわけだが、いよいよ次回は物語が加速していくぞ。注目のポイントは、「サンジェルマンのサンドイッチが美味しそうに見えるかどうか」。まぁ、多分この作画のデザイン性だと、美味そうには見えないんじゃないかな……。

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 2話連続で第18,19話。関西は放送スケジュールの関係で一週休みで2話一挙放送。ま、わざわざ2つに分ける必要も無いのでまとめていきましょう。これでもし2話またぎの後編→前編みたいな構成だったら面倒なところだったぞ。

 ある意味で4部の立役者と言えなくもない重ちーの登場回。彼がいなければこの町の殺人鬼は決して退治されることはなかったわけで、言わば町の英雄とも言える存在だ。まぁ、登場1話目を見る限りでは全くそんな風には見えないけどな……。気にしていたCVはめでたくゲーム版からそのままの山口勝平。これで一応、彼はストレングスのフォーエバーに続いて2人目(?)のスタンド使い。公式のアニメシリーズでスタンド使いを2人掛け持ちしたのってこれが初めてじゃないですかね? まぁ、あの猿については「役をやった」と言えるのかどうか微妙なところではあるのだが……。億泰役の髙木渉に続いて2人目の続投ということで、重ちーと勝平ちゃんがどれだけはまっていたかがよく分かると言うもんだ。まぁ、こんだけ小猿じみた中学生を(しかもこんなクッソきもくて憎たらしい小僧を)完璧に再現出来るおっさんなんて、声優業界広しと言えども男・勝平くらいのものだろう。

 今回のテーマは友情と打算(?)。そして、今回展開される友情物語のどす黒くて汚ねーこと。1部、2部、3部と見事な男同士の友情を描いた生粋の「少年漫画的」作品であるジョジョだが、事ここに至って、高校生と中学生の、金の力だけで結びついた薄汚い友情物語は乾いた笑いを引き起こす。まー、基本的に重ちーがあまりにダークサイドなせいだが。原作版でも充分に「こいつムカつくな」っていう雰囲気は出ていたのだが、アニメ版ではなんだか執拗にキモさが増していたのでムカつき度合いも3割増し。やっぱりあの頭の突起物はアニメで実際に見せられると違和感以外の何ものでもないな。だらしない口元の感じなんかも「馬鹿だけど小狡い」という、荒木作品の悪役としては実は珍しいタイプの造形がよく出ており、たっぷり2話を使ってボコボコにする展開は爽快そのもの……でもないんだよな。結局「高校生がよってたかって中学生をぶん殴る図」だからな。重ちーが悪役に徹して本当にムカつくキャラになってくれたおかげで成立しているお話である。まぁ、こんだけ貶めてはいるけども、ちゃんと次の登場では重ちーも「格好良い少年」になれるあたりがすごいところだけどね。そう考えると、玉美や間田みたいな単なる小者キャラで終わらずに活躍してみせた重ちーって異端なキャラなのかもしれない。

 ついでに異端といえば、彼の持つスタンドであるハーヴェストもかなり独特。「群体」のスタンドは「バッド・カンパニー」を皮切りにここから色々と登場することになるが、数多ある「群体」のなかでも一つの完成形といえるのがこのハーヴェストなのではなかろうか。バッドカンパニーは群れとは言ってもあくまで「軍隊」という1つの概念の具現化であり、1つ1つの歩兵にそこまで存在感があるわけではなかった。その後ろにある「司令官」形兆の1つの人格が軍全体を統制していたわけだし。その他にも、例えば「メタリカ」なんかも群体には違いないのだがあまり「数が多い」ことには着目されなかったし、「パールジャム」に至っては何がどうなってるのかもよく分かってない。そんな中、ちゃんと1体1体が生きている(?)実感を持ち、さらに「数が多い」というその1点だけを武器にして戦えるというハーヴェストは非常に面白い素材である。量の多さを使っての攻撃、移動、そして集金。こうしたアイディアがあって初めて活躍出来るのだから、本当にアイディア次第でいくらでもデザイン出来るスタンドという存在そのものの可能性を見せているとも言える。

 だってさ、作中で仗助も言ってたけど、普通はこんなこと考えないでしょ。確かに「世界中の人間から1円ずつもらえば……」みたいな空想ってのはよく聞くし、ひょっとしたら「世界中の自販機の下の金を集めれば……」っていう考えだって多少妄想することはあるかもしれないが、それを、漫画のネタにして能力として描くなんて、普通の発想では出てこない。絶対に形にしようと思わない。しかし、それを面白おかしく描いてしまうからこそのジョジョである。こうした「日常の本当にどうでもいいこと」を大げさに仕立て上げる技量も、4部という「日常編」を盛り上げたポイントの1つと言えるだろう。同じようなことは終盤のスタンドラッシュにも表れており、「鉄塔ってなんかアスレチックみたいで楽しそうだよな」という男の子の空想から生まれたスーパーフライ、「今日は一日背中を見られないように生活しなきゃ死ぬ」という、横断歩道の白黒渡りみたいなルールを実現させたチープトリックなど、「よくそんなもんで少年漫画が描けるな」という感心は4部の真骨頂といえる。

 そんな珍妙な相手を前にして正々堂々(?)戦うのが仗助と億泰の2人なわけだが、今回のエピソード、この2人の謎の連帯感というか、完璧なコンビネーションを見せるお話としてもなかなか魅力的。ぶっちゃけ、原作を読んでるときはあんまりそういう視点は無かったのだが、アニメではいちいち仗助が億泰の傷を治す描写が入っていたりして、「こいつら、仲良すぎるだろ」という印象がかなり強まった。考えてみりゃジョジョってのは友情物語が不可欠の漫画だけど、命懸けのバトルが少ないこの4部においては、仗助にとって億泰って本当に貴重な戦友なんだよなぁ。お互いに相手のいいところ、悪いところも全部知ってるし、「田舎の高校生らしい」目線での不可思議な友情形成はどこか異質なんだけどすごく身近で、何とも可愛らしい。仗助って別に頭の良いキャラじゃないんだけど、億泰が自他共に認める馬鹿だから上下関係無しに互いをリスペクト出来る関係性になってるのが良いよね。ここで友情パワーを溜めておくことで、ラストバトルのあのシーンも際だつことになるしね。

 さて、一応ちょっとした要素ではあるが、今週、康一が億泰に声をかけようとしてやめる、という描写があり、次回のエピソードへの伏線(?)となっている。まだストーキングしてますよ、由花子さん。次回は4部では(というか6部を除くジョジョという作品全体においては)非常に貴重な、女と女の対決になります。能登ボイスの由花子に対抗出来る辻綾は、果たして誰が出てくるでしょう。

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 怪談話を聞いて露伴に飛びついちゃう康一君がちょっと可愛い、第17話。露伴も露伴で「ちゃん」づけで呼ばれて「馴れ馴れしい女だ……」とか愚痴ってたけど、まぁ、肩口にでっかく「露」って刺繍されたシャツ着てるヤツはあんまり立派な大人とはみなされないよね……。

 いよいよ杜王町の闇が垣間見えるようになり、4部の全貌が明らかになるエピソード。正直、連載当時は「なんで突然幽霊とか出てきたんだ? スタンドバトルと関係無いやんけ」ってんでいまいち話の意図が理解出来てなかったんだけど(実際、この間数週間はバトルしてないし)、鈴美の存在が無ければ4部は成立しないわけで、2部で言うならカーズたちが目覚めたのと同じくらい重要な展開である。まぁ、子供はいちいち全体の構成なんて認識してないからね。

 さて、そうは言っても、やはり突然「幽霊」という存在が登場するのは大人になった今でも面食らう部分はある。ここまで、「ジョジョの奇妙な冒険」という作品では「死の間際のなんかすごいエネルギー」的なものは時たま現れていたが、少年漫画の中でも「死」を逃げずに正面から扱う作品なので、死んだ者が蘇ってくることはほとんど無いし、スタンドや波紋という「特別」を際だたせるため、幽霊という曖昧な存在は認められてこなかった。しかし、今回のラスボスである吉良の場合、どうしても「死者からの告発」という形での問題提起が必要だった。一応、「行方不明者の数が全国平均の8倍」という数字があるようなので、突然承太郎がそれに気付いて「こいつァ妙だぜ」ってな展開も不可能ではないが、仗助が今回話している通り、承太郎にはそんなことをする理由が無いのである。ましてや普通の高校生である仗助や康一が巨悪と対峙する理由なんてあるわけもない。となると、暗躍を旨とする吉良と接点を持つには、「何らかの生命の危機から巨悪が見える」では足らず、「すでに失われた命から巨悪が見える」必要があるのだ。ちなみに、この「幽霊」という存在は「意志の力」を描く物語性との親和性が高かったようで、4部でも「敵も幽霊のメッセンジャーがいないと不公平」という平等意識からか(?)幽霊VS幽霊みたいなマッチメイクになるし、5部までいっちゃうと幽霊がスタンドだったり、幽霊がスタンド使いだったり、もうエラい事になる。6部ではそのものずばり「幽霊を使うスタンド」やら「幽霊じゃないけどゾンビを使うスタンド」まで出てくるしなぁ。

 さておき、そんな幽霊からの伝言を伝えるメッセンジャーとして選ばれたのは、高校生ではなくて社会人の岸部露伴。彼が最初からこの役割を与えられるために登場したキャラなのかどうかは分からない。いや、多分登場時のキャラから考えると、多分トニオや音石なんかと同じレベルでの「生活の一部に紛れ込んだスタンド使い」の1人として創造されたと考えるのが自然だろう。それどころか、仗助からボコられたシーンからすると、下手したら玉美、間田レベルの扱いだった可能性すらある。しかし、実際に動かしてみると思いの外使いやすく、能力も鈴美との接触に向いたものだった(普通、何の前提条件もなしに幽霊を信じろと言われても無理な話だが、ヘヴンズドアーのおかげで「鈴美が嘘を言っていない」ことが裏付けられるために導入しやすくなる)。誂えたようにピタリとストーリー進行にはまった露伴は、多少のご都合主義を伴いながらも、気付けば「鈴美の幼馴染み」という形で物語に深く関わることになるのだ。この後も彼は取材能力を活かして様々な情報を提供するメッセンジャーとして活躍してくれるが、当然、最後を決めるのはジョースターの血統でなければならないため、最終決戦には関わらないというスタンスになるわけだ(まぁ、ある意味人質みたいな扱いではあるが)。

 こうして、「殺人鬼の被害者」「露伴のおねーちゃん」「街の誇りを守る者」と様々な属性を保持した杉本麗美というキャラが登場する。CVは飯屋こと原紗友里。映像化された鈴美は髪の毛ピンクになってるし、ジョジョキャラの中でもトップクラスに萌えヒロイン度数が高いため、アイドルボイスの飯屋もなんとなくそれっぽい収まり方になってる。まつげ長いし、細かい表情が可愛いし、全シリーズを通してもジョジョでここまでド直球のヒロインってほとんどいないんだよな。大体、「ジョジョシリーズのヒロイン」の話題になると鈴美の対抗馬になりうるのってルーシー・スティールくらいなのよね。今後康穂がどれくらい頑張れるかでもまた変わってくるかもしれないけど。

 鈴美の話は、実はなんか変な気もするんだよな。「魂がのぼっていく姿をたくさん見ている」という話に関しては、今後実際にそのシーンが見られるので納得いくのだが、何故彼女が「全国平均の8倍」なんて具体的な数値を知っているのかは謎である。生前にそんな知識を蓄えたはずがないし、そもそも生前だったらまだ数が違うだろうし。まー、表通りのオーソンで立ち読みしてる客の週刊誌をのぞき見るくらいは出来るのかな。実際、この後で露伴が調べてた写真をのぞき見るシーンもあるし。もう1つの謎は、「同じ傷を持った被害者達」という彼女の台詞。吉良の行動パターンからすると、杉本家惨殺事件以降、彼はスタンド能力によって死体を消し飛ばしているはずで、「鈴美と同じ傷」を持ってる被害者って基本的にいないはずなんだよね。まぁ、ここは鈴美が露伴達を分かりやすく脅かすためにちょっと話を盛ったってことで。実際、それ以外の被害者がみんな「同じ死に方」しているのは事実なんだし。

 さぁ、そんな諸々大変だった今回のお話は、オープンエンドも全部カットしてたっぷりCパートまで。ちょいとスカシた左ハンドルの車に乗った吉良吉影その人の登場である。残念ながらこちらもCVは変更になってしまったが、小山力也に代わり、なんと森川智之が登場。ゲーム版では5部のラスボスであるディアボロ役で出てたわけですが、ちょいと早いご登場となった。小山版の吉良はねちねちした感じが実によろしかったが、こちらの吉良は理知的でジェントルな感じが強調される印象かな。どちらでも文句はないが、「勃起……しちゃいましてね」は多分森川版の方が熟練の技が光る気がする。いや、帝王ってそういう仕事でしょ? しかしこうしてみると、キャスト変更が無かったのっていまのところ億泰だけなのか……どんだけはまり役だったんだ。現状、杜王町でジョニーとディアボロが戦うっていうかなりカオスなキャスティングやな。

 さて、来週は重ちーの登場。彼のキャストは変わってるかな? どうかな? 変わるとしたら誰だろう。パッと浮かんだ選択肢に「奈良徹」とか「矢部雅史」とかがある。さぁ、どうなる。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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