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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 緊張感の落差がキツい、第4話。相変わらず無駄に春上さん大活躍なのがなー。完全にこの世界は原作と違って「5人でワンセット」になってるんだよなぁ。どうせだったら枝先ちゃんも入れてあげて。今回すごく似たような声の幼女だったらいたけども。

 しかし、いくら仲良しグループが和気藹々と雰囲気を和ませようとも、少しずつにじり寄ってくる不穏分子を排除するには至らない。夏の日の昼下がり、まるでニートのごとく暇をもてあましていた御坂に訪れる運命の出会いまでをたっぷりとした尺で繋いで見せた。これから始まる辛いお話が……いや、まだ来週あたりは緩いんだけどさ。御坂妹のあの性格って、美琴自身をトレスしてるはずがないわけで、テスタメントによる教育からもたらされているものなのだろうか……ツリーダイアグラムがどんな計算をしたのか知らんが、性格や挙動が違う時点で「御坂美琴の一万分の一」の存在にはならんよなぁ。あれをどれだけ虐殺したところで、世界に変化があるとはとても思えないのだが。あと、今更気付いた疑問としては、「何でシスターズは声が違うんだろう」というのがある。顔かたちが似てるってことは、当然骨格が似ていて声帯が似てるんだから、声は同じになるはずでは? 親兄弟レベルの近さでも声ってすごく似たようなものになるんだから、遺伝子レベルで同じ人間があれだけ違う声になることってあるんだろうか。謎だ。比べるなら、妹達よりもその次に放送される佐隈さんの方がよっぽど似てるよね。アニメシャワーは前半が「梶枠」で後半が「サトリナ枠」。いっそ出身地的には一応合致してたんだから、「むろみさん」にも出演してれば良かったのに。

 さておき、今回はそんな不穏な出会いまでの物語であり、少しずつ雲行きが怪しくなっていく学園都市の暗部がにじみ出している。普通に和やかな場面でもちょっとずつ雰囲気を変えてきていることが分かり、5人で団欒していたカフェでのトークなんかも、わざわざ日陰であることをことさら強調した独特のライティングになっている。いつも通りの風景のはずが、どこか影のある映像になっているのが印象深い。御坂本人が暑い夏の日差しの下でダラダラしているのに対し、妹の方は薄暗いラボの中で死へ向かって一直線に成長している、という構図も辛いものである。そういや、春上さんパートが入った分なのか、今回入るはずだった紅茶云々のくだり、カットだったなぁ。あの研究者のおねーさん2人はチョイ役のくせに不思議と印象に残るキャラだったから、もう少し見せてくれても良かったのに。キャストが沼倉愛美に金元寿子と無駄に贅沢だったのも謎だな。ひょっとしたら兼ね役で今後他のメインで絡んだりするのかしら。普通にフレンダとかはありそうではあるが。

 ちなみに、漫画版だと印象的だった「片付けておいてね」のあとのどす黒い表情もアニメだとあんまり表に出さずに終わってしまった。「それまで和やかにお茶の話とかをしていた普通っぽい研究所のおねーさんが、シスターズの死体を前にして突然薄気味悪い存在になる」っていうギャップが面白いところだったんだけど、あんまりやり過ぎると一気に暗くなるからアニメではその辺のテイストは省略されてしまったんだろうね。どっちにしろ、エンディングの映像が「妹とお茶の席を設けた御坂」っていう図なので、どこかしら寂しさがあるんだけどねぇ。


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 ホラーっすな、第3話。暗がりのラボの中で、しかも御坂の頭の中で進行していく「架空の」クローン実験のお話。オチがついてめでたしめでたし、と思いきや……というのはおっかない話では定番のセッティングですわな。事実関係を知っている状態で見ていても、なかなかおっかないものがあります。

 非常にゆっくりしたテンポで進んでいる。原作のエピソードだとかっちり1話分ずつの進行で、最近のアニメじゃなかなか許されないくらいの余裕である。ことシスターズ編はデリケートな問題を多分に孕んでおり、御坂の心情を追いかける上でこうしたジリジリした雰囲気は欠かせないので、こういう制作体制で作ってもらえることは恵まれているなぁ、と思える。ゆっくりしていると言っても別に退屈してるわけじゃないし、少しずつ明るみに出る学園都市暗部の闇についての重苦しさが、おちゃらけた雰囲気の上にのしかかってくるのが心地良い。ささきのぞみの御坂妹声は、一番最初に「禁書」で聞いたときには「あかんなぁ」と思っていたのであるが、こうして久しぶりに聞くと、無機質な感じが実は案外上手いこと出ているのではないかという気がしてくるのである。

 そして、何故かオリジナル要素として挟み込まれていたのが、初春たち3人のルームメイト軍団。どこをどう考えても一切必要のないシーンなのだが、私自身「今期は佐天さんたちに出番無いやんけ!」と叫んでいた身なので、挟まれるどうでもいい会話に文句を言うわけにもいかない。先週ついに能力に目覚めて(?!)有頂天だった佐天さんに、まさかの春上さんからの容赦無い鉄槌である。春上さん、あんた天然とかじゃなくて、単なる置き引きのレベルだと思うのだが、そこまで稼いでしまって良いんですかね……一応アニメになったら倫理的な問題から、佐天さんが一度たりとも自分で使うって言ってる描写が無いから、そのまま2人が拾ったカードは全部ジャッジメント預かりになったりするんだろうか。そう言えば、御坂がホテル借りたり服を買う時のお金も、原作だとたまたま持ってたマネーカードを使っちゃう描写があったけど、アニメではそうじゃなくて自腹で払ってたものね。流石にお嬢様が使い込みはまずいから……って、あいつ自販機に蹴り入れてジュースかっぱらうような奴だけどな(アニメだと一応100円玉飲まれたっていう台詞はあったんだっけ?)。

 次週ついに御坂と妹の邂逅。すっとぼけた妹たちとの掛け合いは今から楽しみだが、その後に待ち構えてる鬱展開を考えると気が重い。あのゲコ太(?)バッジのくだり、切ないのよねぇ。


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 佐天「マネーカードの臭いが分かるようになる能力かぁ……」第2話。もう、その能力を磨き上げていけばいいじゃない。ハーヴェストだって最強のスタンドになれたかもしれないんだから、金の亡者スキルだって磨けば光る。まぁ、学園都市の趣旨からして歓迎されるかどうかは知らんが。

 今回はちょっと予想外なくらいに原作に忠実に来ましたね。何が驚いたって、なんと1話分の尺で原作もきっちり1話分。そんなに密度の濃い話だとは思ってなかったのだが、アニメとして見ていても不思議とダレた感じはなく、しっかり1話分の内容になっていた。やっぱりレールガンはそのまんまでも面白いのかな。1話目で提示される謎としては魅力的だし、そこからみんなが知ってるシスターズ編に流れ込むことが分かっている分、緊張感が少しずつ高まっていく感じも良い。大きく何かが動くような作りではないが、このテンポは相変わらず安心感があります。まぁ、まだシリアスに突入してないから見やすかったっていうのはあるのかもしれないけども。ひょっとして、シスターズ編での佐天さんの活躍って今回が最後なのでは……あ、でも「御坂妹を見かける」っていうよく分からない伏線も張っていたので、ひょっとしたら何か絡んで来る手段があるのかもしれないな。ちょっとだけ期待しておこう。

 その他のパーツもおおよそ原作通りなので特に突っ込みどころは無し。一番気になったのは、こちらも一応オリジナル要素として登場していた固法先輩のことなのだが、本当に先輩はムサシノ牛乳を飲み過ぎてるんじゃないか、ってことくらいだ。昼に訪れた時点で500ミリ紙パックを飲み干すところで、更に夕食の買い出しで500追加。1日に1リットルの牛乳って、なかなか無いですよ。高校生の食事としては非常に健康的で良いと思うのだが、自活してる人間の食費としては、地味に牛乳のコストって高い気がする。まぁ、経済的に困ってない奴らが集まるトコだからなー。

 なんでそんな所帯じみたとこにばっかり目がいくのかは謎。他に目がいくところといえば、今回お披露目になったエンディングだろうか。相変わらずの長井さんらしい映像であったが、今回は本編の中身も考慮してか、いつもの白地ではなくてやや暗いトーンで彩られている。もちろん、ラストには反転していつも通りの明るいものになるのだが、ちょっと色味を変えるだけでも雰囲気がガラッと変わって新鮮だった。あと、歌ってるのがゆかちってのもなんか新鮮だった。こうして聞いてると、いっぱしのアーティストみたいに聞こえてくるから不思議なもんだな(雰囲気はね)。インデックスさん、出番あるんでしょうかね。


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なんかもう、とにかくなんだか最終話。これは……色んな意味でずるいなぁ。相変わらず悩ましいことやってくれるぜ、長井監督。

 正直言って、今回は中盤で「どないやねん」が先行した。周りの人間がものすごく頑張って道行きを示したにも関わらず、慌てて向かった先で電車に乗っていちゃついてる2人は、どっか間違ってる気がした。「そこまで必死に走ってローカル線かよ!」とね。まぁ、目的地が木崎湖だったとしたら、確かにかなり遠いみたいなんだけど。先週の一気呵成の流れがあの電車のシーンでせき止められたような気がして、どこか釈然としなかった。そして、いざ到着した「目的地」のシーン。まさかまさかの(とか言いながらどこかで身構えていた)ナレーション・井上喜久子おねーちゃん。さて、これをどう捉えるべきなのか。普通に考えれば、あの声の主、つまりイチカたちの祖先というのは、風見みずほ先生とは縁もゆかりもない。なにせみずほ先生はフツーに地球で所帯を持って草薙みずほとして暮らしていたわけだし、彼女の子孫がイチカたちってのはどう考えても時系列が合わない。ということは、イチカの言う祖先は「おねティ」とは関係無い。でも、どうしたってあの記憶がフラッシュバックしてしまうと、「どういうことだってばよ」となる。

 謎のハイパーロボを起動させた檸檬の存在も悩ましい。彼女は、簡単に言えば秘密組織のエージェント。何の気まぐれから海人たちに近づいたんだろう、ということを考えれば、当然イチカの存在をかぎつけただけ、ということになり、彼女のメタレベルともいえる様々な技能についても説明がついてしまう。そこに森野苺の存在は必要なくなった。しかし、彼女は苺「であってもいい」のである。彼女の冒頭の台詞は「初めて出会った宇宙人は私の親友なのよ」という台詞も、それがイチカであるともとれるし、全く別な宇宙人であるともとれる。つまり、風見みずほなのかもしれない。違うかもしれない。何とでもとれるようにかき混ぜてくれちゃって。何ともいやらしい脚本である。

 そんな諸々のガジェットに彩られたおかげで、最終話で見せた海人とイチカの恋の顛末は、多少焦点がぼけてしまった感は否めない。あれだけ頑張って探しに行った「約束の場所」は2人の関係に全く意味をなさなかったように見えたし、堅くちぎり合った直後の別れにも、どこかあっさりとした、後味の悪さが残る。「結局、若者達の努力は独りよがりの無駄骨だったんじゃないか」と、そんな印象が先に立つ。しかし、ラストの様々なシーンのモザイクを見ていくと、この「無駄骨」に価値を見いだすことこそが、今作の目的であったというテーマが浮き彫りになる。イチカの祖先が残した「記憶」というたった1つの「証」は、本人達にも意味をなさないはずだし、受け取ったイチカや海人にしたって、伝えられても仕方がない。しかし、「記憶に残ったこと」自体に価値を見いだすことも出来る。それが「起こった出来事」をいつまでも刻み続けるなら、そのこと自体に価値がある。時代は流れ、人は成長もするし、忘れもするけれど、海人たちが待っているのは、ずっとずっと「あの夏」であるのだ。「あの夏」を持ち続ければ、みんながそこで待ち続けることが出来るのだ。

 そんなテーマを振り返ってみれば、なるほど、海人のトレードマークであるビデオカメラというツールの効果がよく分かる。「記憶」を「記録」として残し続ける端的なツールであるビデオカメラが彼らの夏にどのような影響を及ぼしたかは、ラストシーンで檸檬に手渡されたふざけたフィルムを見れば分かるだろう。イチカは去り、思い出だけが残されたが、そこに映っているイチカは確実に真実であり、そこに刻まれた記録は在り続ける。海人・柑菜・哲朗・美桜、それぞれに同じフィルムでもみえる景色はきっと違う。4人が分かち合いながらも別々に抱え続ける「あの夏」は、フィルムの中でずっと待ち続けている。

 そして、最後の最後に1カットだけ写されるイチカの映像。これがまたずるい。ボリビアの民族衣装を身にまとったイチカのそのワンカットだけで、「夏の続き」が存在することをさりげなくアピールしてくるという、何とも底意地の悪い演出である。また、そこに繋がるまでのフィルムワークの中には、過去のエピソードで刻まれたシーン有り、長井監督お得意のオープニングからのバンク借用有りで、短い中にこの作品をぎゅっと詰め込み、一気に片付ける荒技を披露している。本当に、そつのない人だ。

 この作品は間違いなく終わったはずである。結論も出ているし、不思議なことに「全く分からないこと」は残っていないはず。その上で「まだ知りたいこと」もたくさん残っているのは、あくまでもこの作品が「あの夏」であるからだ。海人たち学生連中の人生は夏が終わった後もまだまだ続いており、その行く先を、視聴者は知る術は無い。学園祭に参加した後年の学生たちが、上映会のフィルムの中のイチカだけを見ることが出来るように、我々視聴者は、この12話の中に詰め込まれた海人たちの人生しか見ることが出来ない。逆に言えば、いつだって、この12話で彼らの夏を振り返ることが出来るわけだ。「あの夏で待ってる。」。なんとも気の利いた、もどかしさに満ちたタイトルではないか。

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何か便利な道具出してよ檸檬えもん! 第11話。檸檬先輩がいる時点で、地球人類が開発レベルFっていうのは嘘だと思うよ。

 さて、今回は最初に断っておくが、まず、序盤の展開で割と「醒めた」。いや、予想通りの展開になっているわけだし、これまでの流れから自然で盛り上がる展開になっていると思うんだけど、どうにもSF要素の設定部分で「どないやねん」な部分が多かったもので……許容情報のキャパを超えてしまったのだよ。まず、結局イチカはどの程度のことを「しでかして」しまったんだろう、という疑問が1つ。開発レベルFの人間と「連盟」の人間が接触することがそこまでの問題になるとするなら、どう見ても重要人物やお役人、特別な立場の人間には見えないイチカがへろへろと1人で地球にやってきた意味が分からない。辺境の地での行動がそこまでの問題になるというなら、イチカが単体で地球にやって来る時点で問題だろう。たとえるなら正式に国交のない国や非武装中立地帯、利権が微妙な国境地帯などにパスポートもビザも無しで乗り込んでくるようなもんだろう。それを認めておいて、いざトラブったら重罪人、っていう流れは流石にどうかと。

 そして、それを避けるためにイチカのおねーさんがやったこともなんだか不思議。肉親が救助班より先に駆けつけて行方不明者をピックアップしたからといって、そいつが遭難先で犯した罪がチャラになるわけでもないだろう。さっさと2人で海人のことを隠して逃げるんだとしたら、単に「何もなかった」と報告したら済む話。確かに事情聴取はあるかもしれないが、別に今生の別れというわけでもないだろう。多少往来に時間はかかるのかもしれないが、おねーちゃんが駆けつけたタイミングを考えれば、イチカのすむ星系と地球はさほど移動に時間を要しない。それなら、いったん連盟本部に戻って虚偽報告を残し、改めて後日地球を訪れればすむ話。今回の事件は「うっかり救難信号を無視して行方不明者扱いになったこと」と「地球人と接触してしまったこと」という全く別種の2つの問題が混ざっているわけで、まとめて処理しようとせず、1つずつ対応していけばイチカにも充分立ち回る余地は残されているはずなのだが。一度は「私が報告すれば済む話よね」と脳天気なことを言っていたイチカに「あなたなら意味が分かるでしょう」と真顔で諭しても、いまいち説得力は無いのです。

 そんなわけで、「急にイチカが帰らなければいけなくなった」理由がぴんと来ないせいで、「そのことに端を発した悲恋劇」にもちょっと没入しにくいのですわ。せっかく柑菜ちゃんが完全に捨て駒役を買って出てくれたというのに、その必死の努力が「意味のあるもの」なのかどうかが分からないので承服しかねるのです。いや、事情が細かく分からない人間ならばああいう行動に出るとは思うのだが、イチカの対応がなおざりなのがなぁ。これまでの物語はずっと「地球人男女5人の話」として綺麗にまとまっていたので1つ1つが心に響いたのだが、今回は唐突な設定面での齟齬が見え隠れしてしまったので、なんだかもやもやする、というのが正直なところなのです。

 でもまぁ、この作品にそんな細かいけちをつけてもしょうがないとは思うのだ。角を矯めて牛を殺すことになりかねない話で、「そんな部分は無視して青春の暑い夏を楽しめばいいじゃないの」という気持ちもある。自ら犠牲になってスクーターで飛び降りる哲朗とか、格好いいしね。あと、柑菜が本当に不憫。あらゆる出来事で彼女は望まざる方向に引っ張り込まれるよね。まさか哲朗があんなに簡単に賢者モードに移行するとはなぁ……これが美桜の執拗なロビー活動の効果か……うん、まぁ柑菜は海人に振られた時点で全てが終わってしまっているので哲朗がどうなろうと気にしないとは思うけどさ。でもなぁ、今回は「おねティ」の時の山田先生みたいなサブキャラのくっつき先がないんだよなぁ。本当に3年後にいい女になるまで独り身かなぁ……切ないね。

 そして、今回はなんと言っても大爆発した檸檬先輩のマルチっぷり。ハナはら「メタ視点でものが見られる便利すぎるキャラ」という配置ではあったのだが、ここまでやれると流石にギャグが過ぎる。いつ「私が宇宙人よ」っていうかはらはらしたわ。一通りの免許持ってるってことは……さて、いくつなんでしょう?

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本当に色々なものがまぶしく映る、第10話。まっすぐだなぁ、青春だなぁ。残されたと思った不良債権、残してもいいと思っていた青春の苦みが、なんと一気に消化されたのです。これだけまっすぐな人間が集まった物語というのも、希有な存在なのではないでしょうか。

 女の子はずるい。すっかり海人との関係性を固めてしまったイチカは、もうなりふり構わないラブラブ状態。これまでの態度からすると微妙なラインではあるが、彼女の場合は地球人(日本人)が持つような気恥ずかしさみたいなものはあまり持ち合わせていないようで、「ラブラブして良い」という大義名分が出来たら、今までの先輩風はほとんど吹かせなくなり、徹底的にくっつき回る性質。「くっついてるのが好き」とか言われて、断れる男なんかいるわけない。たとえ真夏の縁側でシーツにくるまろうとも、そのじっとりと密着する体温を楽しむのが人間というものだ。こういう状態をシンプルな日本語で表現すると、「たまらん」。くそう、必要以上に眼鏡かちゃかちゃさせやがって。

 女の子は強い。先週の柑菜も思いきった行動に出たものだが、今週の美桜も実にしたたかで、難局に向き合うだけの強さを持っていた。未だうじうじと悩み続けていた哲朗に火をつけたのは美桜だった。「自分は力を得て告白を済ませた」と哲朗に詰め寄り、宙ぶらりんな彼の背中をドンと押す発言をしたのは彼女なのだ。好意を寄せている男に突きつけるにはつらい言葉であったろう。「哲朗は映画撮影に柑菜を誘っておきながら、同時にイチカも招き入れた。お前の本心は、一体どこにあるのか」と、一番触れられたくない、哲朗の弱くて膿んだ部分を的確に責め立てる。「いつものようにはぐらかし続けていても、動かなければ何も生まれない」と説き諭す。この世界では、動き出すのはいつも女の子からだ。哲朗と柑菜のあのシーンにも控えていた「したたかな」美桜は、打算以上に、彼のなすべきことと、自分のなすべきことを知っていたに違いない。

 女の子は健気だ。つながりゆく思慕の連鎖が、哲朗を経由して柑菜をはじき飛ばす。「今まで通りに戻ろう」と自己をすり減らしていた柑菜に向けて、哲朗がようやく本心を明かし、「自分が観たい柑菜」を訴えた。柑菜自身にとって、これほど混乱する状況もないだろう。自分だけだと思っていたたった一本のベクトルに、まだ続きがあったのだ。しかし、長年のつきあいがある「幼なじみ」のこと。哲朗が一番伝えたいことはきちんと理解出来た。谷川柑菜はよく走る娘だ。先週も走った、その前の週も走った。そして今週も、息を切らして走る走る。しかし、その表情は晴れ晴れとしたものだった。「思いを伝えること」。それを果たさなければ、谷川柑菜は卑怯者のままで終わっていたのかもしれない。しかし、最後の一押しで、彼女は自分を完全に取り戻すことが出来た。答えの分かっている一方的な告白。それでも、それは必要なこと。迷いなく自分に気持ちをぶつけた柑菜を見て、海人も充分にその気持ちを受け止めることが出来た。そこには、迷いも同情も憐憫もない、まっすぐな信頼関係があるだけだ。

 全てのベクトルの終着点は海人であるが、その海人は、ストッパーとしての役割を果たす無類の強さを持った。最後に柑菜の言葉を一部も漏らさずに受け止めたし、電話口での哲朗の台詞も、迷いなく返している。他の面々が懊悩している中にいて、彼の存在だけは少し浮いてしまうくらいに強すぎる。そして、その特異さ故に、今回はなんだか「主人公」では無いな、という感じがした。この作品の主人公は、あくまで無様に悩んで困って嫌悪している、柑菜や哲朗たちなんだろう。何とも不思議な構造である。もちろん、まだ海人とイチカの間には、最後の一悶着が残っている。現れた「お姉ちゃん」は別れの印。永遠が続かないこの世界で、彼らは次なる困難にどう立ち向かうのか。「主人公」としての最後の一働きを、残り2話に期待したい。

 今回はもう、哲朗と柑菜でおなかいっぱいだ。柑菜は強くて、哲朗は弱い。結局、一番ジクジクと思い悩み、卑怯なことをしていたのは哲朗だった。しかし、この作品の場合、最終的にその弱さは自分自身で受け止めなければいけないものになっており、哲朗の足に出来た怪我は、自分の行為がダイレクトに跳ね返ってきた「痛み」の象徴である。みんなの家に並ぶ沖縄での記念写真が、各々の家庭で全く別な意味を持っているのも面白く、柑菜の見る記念写真が「悲しい記憶」であったなら、哲朗の家にあるのは「罪の証」「途切れた現実」。陽光の下の笑顔があの時点では何の意味も持たない「未解決な事象」であることは、隣に並んだ真奈美さんの結婚記念の写真が物語っている。姉は結果を残し、既にたどり着いた物語の答え。哲朗の写真は、未だその途上である。

 電話口の海人の意志を込めた返答を聞いて、哲朗は自らの行いを清算するに至った。そして、哲朗の勇気が、柑菜に最後の仕事をさせることにつながった。先週は哲朗が柑菜の顔を必死に持ち上げて前に向けようとし、今週は哲朗が柑菜の頭を押さえてくしゃくしゃにしている。哲朗の願いは、もう「前を見ろ」なんてきれい事じゃなくなった。もうこれからは「俺を見ろ」でいいのだから。哲朗の全てを受け止めた柑菜は、彼女らしい憎まれ口を叩きながらも、最後には「ありがとう」を残して去った。本当に、優しくて、強い子供たちである。

 そして、女の子は怖い。……檸檬先輩、いくら何でも気配消しすぎです。そして、そんなものを用意周到に用意しないで下さい。いつ買っておいたんだよ。っつうか、買ったんなら単品じゃなくて箱で渡せよ。残りはどうする気だ。

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切ないたまらないやるせない、第9話。駄目だった、マジ泣きしてしまった。最近歳をとって涙腺がどんどん弱くなってるんだけど……堪えられないのは仕方ないなぁ。これで長井作品は4作連続で泣かされているんだが……なんなのさ、この人。

 盛大な片思い一方通行が見どころの本作。とどのつまりほとんどの人間が報われない恋愛をしていることになるわけだが、そんな中でも一番切ないのは、やっぱり柑菜だった。周りのほとんどの人間にバレバレの彼女の思いは、ようやく本人もはっきりとその実態を把握するに至った。自分は海人が好き。しかし、イチカも海人が好き。そして、海人はイチカが好き。これまでも少しずつ伝わってきていたその現状が、哲朗がたまたま眺めていたフィルムの切れ端や、雨の日の海人の行動などから、嫌でも形を持ち始める。すべてを理解した時、柑菜はこれまで自分が溜め込んできた「嫌な自分」を精算するかのように、今作で最も潔く、最もつらい選択をする。早朝の海人宅の前で行われた柑菜とイチカの問答は、見ていて胸が締め付けられるような辛さを持っていた。

 柑菜は下を向いている。普段はまっすぐな視線を向ける彼女がうつむくのは、受け入れたくない現実に直面した時だ。彼女はポケットに手を入れる。普段そんなポーズをとったことなどないのに、このときだけは、両の拳を握って隠さずにいられなかった。拳が語る気持ちを見せたくない、自分の「本当」を見せたくない、そんな気持ちで必死にイチカと向き合うのだ。当然、そんな付け焼き刃の虚勢がいつまでも保つはずがない。気持ちを隠すことはもうたくさんなのだ。ぼろぼろと気持ちがこぼれ続けるのに、彼女は最後まで海人を思いやり、その結果イチカも思いやった。自分の気持ちを犠牲にして、2人の幸せのために背中を押した。握りしめていた拳が胸の前に握られ、その姿はまるで祈っているかのようだった。

 彼女は俯き、彼女は泣きじゃくる。そんなときには、必ず哲朗がいるのだ。以前も似たようなシチュエーションで現れた彼は、柑菜の前にいた。横にいた。今回は、彼は後ろに立った。泣きじゃくる柑菜の顔を見ずにすむように。泣きじゃくる柑菜の顔をあげさせ、前を向かせるために。そんな哲朗の献身を見て、一人顔を伏せ続ける美桜は、一体何を思うだろう。

 本当に、こういうシーンの作り方は圧倒的。柑菜がイチカに会うために玄関に立っているのを見ただけで、もう「やめて!」と叫びたくなるようなどうしようもない気持ちになる。このどうしようもない気持ちは、多分今作のキャラクターたちがみんないい人達ばかりだからだ。押しつけがましくない主人公の海人もそうだが、基本的に、みんな幸せになってほしいキャラばかり。だからこそ、今回の柑菜の選択はありがたくもあり、やるせなくもあり。どうやらイチカと海人の関係性はこれで決定的なものになると思われるが、残りの3人の処理をどのように行うのか。残り数話の風呂敷のたたみ方に注目したい。

 今回は柑菜のシーンばかりで頭がいっぱいになって他の要素がみな吹き飛んでしまったのだが、冒頭、いきなりイチカが自分の正体を明かすに至ったのにはちょっと驚いた。「おねティ」の時とはずいぶん違う流れである。無粋とは知りつつも、改めて「おねティ」の構造と比較しての視聴もしてみたいところ。でないと檸檬の動向についても言及できない気もする。檸檬はイチカの正体を「知っていた」し、彼女がおもしろ半分に見える茶々を入れて若者達を引っかき回すのは、「走り続けてほしい」と願っているが故。彼女は何よりも「停滞すること」を危惧している。一体、何故なのだろうね。でも、実際に今作の若者達はほとんど「停滞」せずに、良くも悪くも走り続けているようにみえる。その辺が今作のコンセプトなのかもしれない。

 あとはまぁ……友人宅に泊まりに来ても裸族は裸族。タオルケットの中がどんな状態だったのか、すげぇ気になる。柑菜ももう慣れてるのかな。

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毎日あうたびにパンツをはいているかどうかを報告するという高度なプレイ、第8話。奥手の裸族が一気に変態系にパワーアップしてる気がします。

 さて、お話はわかりやすいわりに要素が込み入っていて面倒くさいこの作品、今回までの流れで各人の気持ちがどのように動いているのかを整理しておこう。まっすぐな気持ちを持っているのは主に2人。見るべきものが海人以外にいないイチカ先輩と、見るべきものが哲朗しかいない美桜である。イチカは、気づけば「放っておいたら沖縄のあのシーンは危なかった」と振り返るくらいには、海人に惹かれてしまっている。最初のうちは物珍しさや申し訳なさなどを伴った微妙な「同居人」としての感情だったものが、沖縄でのどたばたを経て確実に形になりつつある。同様に、沖縄で気持ちに整理がついたのが美桜。現時点ではっきりと告白したのは美桜だけであり、柑菜との関係で多少の申し訳なさもありつつも、哲朗との関係性を深めようという意志は明確であり、柑菜にしても「哲朗のことが好き」なわけではないので、友情を損なうことなく、哲朗にさえアピールし続ければ大願は成就されるのである。

 そして、その次のレベルにいるのが男2人。この2人も微妙にレベルが異なっており、「一応柑菜が自分に視線を送っていることはなんとなく知っているけど、自身のイチカに対する気持ちもはっきりと意識できている」のが海人。ウェイトが逆になっていて「一応自分がどうしようもなく柑菜を好いていることは知っているけど、美桜が自分に気持ちを寄せていることもはっきり知ってしまった」のが哲朗。今回の焦点は、この男2人の針がどちらに振れるか、というお話。

 こうしてまとめてみると、柑菜のポジションというのは本当に恵まれない。イチカは柑菜の気持ちを知っているのに最終的に海人を引き寄せてしまっているし、美桜は柑菜に気持ちを寄せていたはずの哲朗をひっくり返そうとしている。一直線上に表記すると「イチカ←→海人←→柑菜←哲朗←→美桜」というラインになり、実は中心にいるのは柑菜なのである。そして、2人の女友達により、左右両方から男を引っぱがされている状態なのだ。悪意ある行動じゃないのでどうしようもないのだが、こうして事実だけを見せられると何ともやるせない。

 そして、そんなややこしい状態に相変わらずメスを入れ続ける超越者である檸檬。哲朗の兄、真奈美とも面識があったらしく、夏祭りにかこつけて再びの揺さぶりをかけにくる(夏祭りと肝試しってあんまり関係ない気がするけど……)。真奈美さんが「あんたまだ高校生やってるの?」と聞いているところを見ると、やはり檸檬はただの高校3年生ではないようだ。檸檬は真奈美のことを「先輩」と呼んでおり、真奈美はまだ20代だろうから、一時持ち上げた「檸檬=森野苺」説はちょっと無理があるかもしれないが、それでも4年以上高校に在籍していなければ先の発言は出てこないだろう。多分、停滞してんだろうなぁ。

 檸檬がメタ視点を導入する人物であるとするなら、今回の肝試しのチーム分けにも確実に彼女の意志が介入しているだろう。つまり、哲朗×美桜と海人×柑菜という組み合わせが、今回事件を起こす重要な組み合わせだったということだ。哲朗組は話が早い。冒頭、海人宅のシーンでも如実に分かることだが、沖縄での告白を受けて以来、哲朗は美桜のことをかなり強く意識するようになっているし、まんざらでもない様子を見せている。そして今回のトラブルである。現時点ではまだはっきりとはいえないが、哲朗の気持ちがくるりと向きを変える可能性も充分あるだろう。ただ、一応フォローしておくと、今回やたらフィーチャーされていた要素として、「哲朗が柑菜の頭をなでる」というシーンも多かったのが気になる点。同じタイミングで美桜が髪を切ってアピールしており、今回は「髪」という要素が各人の関係性をつなぐツールとして機能していたように見える。「頭をなでる」「髪をさわられる」という関係性は「近しさ」を表示する要素としては割と意味が深いものだし、「幼なじみからの無垢な結びつき」を表示しているとも見ることが出来る。美桜が思うよりも、哲朗と柑菜の結びつきは強いのかもしれない。

 そして、そんな微妙な揺れ方を見せる哲朗サイドとは対照的に、今回あまりにはっきりと気持ちの力が現れたのが、海人サイドである。肝試しを理由にいちゃいちゃ、というのは定番メニューであるはずだが、海人はイチカの悲鳴を聞くやいなや柑菜を放り出して駆け出すという、実に残忍非道な行動に出てしまっている。その意味は明々白々であり、海人自身は意識せずとも、実際に袖にされた柑菜や、それを目撃した哲朗・美桜には深く印象づけられたことだろう。もちろん、その後の救護艇との白熱バトルシーンで、海人の思いの強さは視聴者側にも充分伝わってくる。連盟から派遣された「味方」が凶悪な妨害役になってしまうというのは妙なシチュエーションだが、イチカの「異物」としての存在感が際だつことになり、この一件でついに海人はイチカの深い部分にまで立ち入ることになる。

 結局、イチカの目的が分からないうちは十全に理解しながらの視聴は出来ないわけだが、いよいよ核心に踏み込んできたこの展開、次回は何が飛び出すのだろう。とりあえず、先輩の背中のチャックを開けてくれるのが一番しゅてきだと思います。

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さらば沖縄第7話。すっごく動いたみたいに見えるエピソードなんだけど、結局この作品のゴールは非常に軽いのです。これはこれで。

 乱入コンビは樹下さんと有沢さんという。かやのんの方が樹下さん、ゆかちの方が有沢さん。共通点を探すなら、どちらも狂言回しという名の接着剤だったということ。樹下さんは思っていた以上に良い子。傷心旅行の身の上で海人に助けを求めてみたものの、その場にイチカがいるということを理解して、しずかに身を引くことを選択した。先週から続いた場面は、本当に取り乱した上でのうっかりシーンだったわけだ。そして、一時的に異物が紛れ込んだことにより、イチカはよりはっきりと自分の気持ちと向き合うきっかけが出来た。もちろん、沖縄に来るまでのあれこれでそのあたりの感情は自他共に認めるものになっていたはずなのだが、イチカに足りないのは切迫感。唯一のライバルと思われる柑菜があの体たらくでは、「別に無理せんでも」という気になるのも仕方ないだろう。そうでなくても、イチカはいつしか旅立つことが決まっているともいう。自分の未来を理由にして感情に蓋をしていたとしても仕方ない。しかし、樹下さんの存在が、彼女のそんな停滞感をそぎ落とし、非常に直接的なアプローチが発生するまでに距離を縮めさせた。

 そして有沢さんが強引に引き起こしたのは、美桜の裸族カミングアウト事件。今回最大の事件となったこの馬鹿馬鹿しくも魅力的なイベントだが、考えてみりゃ、確かに彼女は自宅のシーンだととんでもない格好をしていることが多かった。どうでもいい視聴者サービスなのかと思っていたが、まさかこんなところでシナリオに絡んでくるとは。今まで単なる当て馬だと思っていたのだけど、これで美桜もずいぶんキャラが立ってきた。少なくとも、勢い任せのゆかちキャラ程度ならばはね飛ばせるくらいに。「本物の天然はずるい」ってのは真理だなぁ。弱みを武器にして攻めてくるっていうのは、本当にたちが悪い。

 ただ、ぎりぎりのタイミングまでは、「美桜は単なる困った裸族キャラでしかなく、哲朗は相変わらずのスルースキルで美桜の気持ちに気づかずすり抜けるんじゃなかろうか」と思っていたのだが、勢い任せで告白までいっちゃったんですよ。そして、哲朗の方もまんざらでもない。血気盛んな青少年が、丸裸の女性を見て黙ってられるわけもないし、あんな相談を持ちかけられた上で特別な感情を持つなっていう方が無理だしなぁ……でもさ、哲朗も言うに事欠いて「困ったら相談しろ」ってね。「ちゃんと俺たちがフォローするから」って。パンツはき忘れた女子が出てきてどうサポートするってんだよ。替えのパンツをみんなでキープでもしとくのか。

 ま、そんな細かいことはどうでもいいのだけど……柑菜ちゃんがなぁ。今回は2対2の構図がはっきりしてたから、余った「2人だけの女子会面子」の寂しさが……幸せになれるのか、なれないのか……

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