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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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第3位 

‘05「かみちゅ!」 ’06BLACK LAGOON」 ‘07sola」 

’08「喰霊--」 ‘09「ささめきこと」 ’10「刀語」

‘11「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」 ’12「黄昏乙女×アムネジア」

’13「有頂天家族」

 いよいよベスト3であるが、ひとまずこれ。基本的に、アニメは尺が長ければ長いほどに「良い物」を作り出す土壌が広がって有利になるのだが、そんな中でズバッと13話、綺麗にまとめてくれた職人芸のこの作品を持ってきたい。

 既にこの作品の良さについては番組感想であらかた書いてしまったのでそちらを参照してもらうのが早いのだが、未だにちょいちょい思い出されるのは、なんといってもその独特の画面効果である。久米田絵のカクカクとシンプルなライン。普通に考えればギャグにしかならないそのデザインで、実際にやってることも「狸の化かし合い」なんだからそりゃギャグ(というか滑稽?)には違いないのだが、不思議とその画面からにじみ出てくるのが「人情味」であるのだ。人間以上に人間らしく、本当以上に本当のような狸たち。彼らの生き様は本当に「阿呆」であり、それこそギャグにもならないような人生であるのに、その端々にはどうにもならない哀愁があり、誰もが感じる愛着がある。あまりにあっぱれな死に様を見せつけた世紀の大狸、下鴨総一郎の生き様に始まり、その父を殺してしまった自責から世界を閉じた矢二郎の哀愁、したたかに生きながらも、どこか抜けていて憎めない矢三郎の小賢しさ。人を越えてしまったが故に、人になりきれずに流浪する弁天の寂寥に、ほんの少し描かれた夷川早雲の恋慕の情など、化け物たちのあれやこれが、どこまでいっても人間くさい。この絶妙な「近さ」こそが、この作品の最大の見どころだ。

 悲しいかな、こうした方向性の「渋い」アニメというのは、これだけの本数が製作されているご時世でもなかなか作られない。是非とも、このアニメを皮切りにして、「渋く」「温かく」「感じる」アニメがもっと出てくればと願っている。

 

 

準グランプリ

‘05「魔法少女リリカルなのはA’s」 ’06「コードギアス〜反逆のルルーシュ〜」

‘07CLANNAD」 ’08「コードギアス 反逆のルルーシュR2」 

‘09「獣の奏者エリン」 ’10STAR DRIVER 輝きのタクト」

‘11「花咲くいろは」 ’12「人類は衰退しました」

’13「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」

 こちらは「有頂天」とは全く逆方向に向かった、純正の「アニメらしいアニメ」である。こうしてみると「ギアス」「スタドラ」とやたらロボットアニメが毎年2位にランクインしてるのだが、1位じゃなくて2位にしてるのは、おそらく「俺、あんまりロボアニメの楽しみ方分からないんだよな」という負い目のせい。まぁ、スタドラがロボアニメなのかと言われるとはなはだ疑問ではあるが。

 さて、マジェプリについても基本的には番組感想で描いてしまっているのでそちらを参照(まぁ、上位に選出するアニメなんて大体そんなもんだ)。とにかく、毎週毎週飽きさせずにひたすら「マジェプリ流」とも言える阿漕過ぎる見せ場でガンガン引っ張り続けるサービス精神が素敵。今になってシナリオラインだけを思い出してみると思った以上に適当だしありきたりなストーリーだった気がするのだが、見ているときには本当にドはまりして毎週ドキドキしながら見ていた。これこそが正しい方向性の「深夜アニメ」である。どっかでも書いたけど、最終回近辺のシナリオなんて、「時間までに間に合え〜〜突撃〜〜」っていう展開を3回も天丼で繰り返すだけだったんだ。なのになんで面白くなってたんだ。

 こういう「なんでか分からないけどすげぇ盛り上がったもの」っていうのは、ホントに漠然と「やっぱりこのスタッフが凄かったんだなぁ」と思うしかない。元永慶太郎作品は当グランプリでは常連であり、今回で1位〜3位全て獲得したことになるのだから(自分の好みの偏りに)驚きだ。吉田玲子脚本っていうのも安心のブランドであるし、この作品で「オレンジのロボ作画」も注目を集められるようになった。動画工房の最近の躍進は言わずもがな。活き活きと脂ののったスタッフが、やりたいアニメを真正面からやって成功を収めたという、実にシンプルな構図ではないか。

 それにしても2期はまだかのう。

 

 

グランプリ

‘05「ぱにぽにだっしゅ」 ’06「うたわれるもの」

‘07「電脳コイル」 ’08SOUL EATER」 

‘09「空中ブランコ」 ’10「けいおん!!」

‘11「へうげもの」 ’12「ヨルムンガンド PERFECT ORDER

’13「凪のあすから」

 というわけで、無事に放送が終わったのでこのグランプリを発表することが出来ました。今年度はベスト3のうち2本がP.A.Works作品という実に偏った結果になってしまったが、それも致し方ない。やっぱりP.A.のセンスが私の求めているアニメに一番フィットしているのだもの。

 感想書いた直後なので、細かい選定理由はそちらを読んでもらうのが一番手っ取り早い。とにかく欠点が無い。ドラマとして素晴らしい、そして何よりアニメーションとして素晴らしい。やはり考えに考え抜かれたアニメーションの画面を見ていると、時間の経つのを忘れてしまう。ことさらに「青い」この世界は目にも優しいし、どこかノスタルジックな風景がただ心をざわめかせるだけじゃなくて安らぎすら与えてくれていた。P.A.Worksには、今後もこの方向性を突き詰めて新たな世界構築を目指して欲しい。

 

 

 

 

 

<サブタイトル部門>

 各話単位の部門。毎年断っていることだが、極力「第1話」と「最終話」は選考から外している。特に最終話を入れてしまうと本当に難しくてね。でも、今年は特に印象深い最終話が多かったな……。

 さて、そんなわけで1本ずつ見ていくことにするが、軽めのものだと、たとえば「はたらく魔王さま!」第9話「勇者、修羅場を経験する」。「はまおう」は割と全話安定してるので1話ピックアップするのが難しいのだが、9話は鈴乃ちゃんがいよいよ正体を現して勇者たちに絡んでくる話数で、魔王が構築しているハーレムの完成形が見える賑やかな話数。このアニメはヒロイン勢がみっともない顔をさらしているのを観るのが楽しいお話でしたね。同じような軽めのハーレムテイストが近いのは「ウィッチクラフトワークス」第4話「多華宮君といじわるな妹」。妹ちゃん初登場エピソードながら、巨大きぐるみのプロレスなどのダイナミックバトルも楽しめる、今作の良さがぎゅっと詰まった良エピソードである。多少毛色は違うが「中二病でも恋がしたい!戀」は賑やかさで言えばやはり森×凸回だ。具体的には4話「無垢なる…生徒会長選挙」と8話「偽りの…精霊聖母」。やっぱり凸守の素直バージョンの破壊力は桁違いやで。

 いっそもっとギャグに振ったらどんなお話が出てくるかというと、直近で超弩級のインパクトを残したのは「のうりん」第8話「クッキングババ」。千和の過剰摂取と濫用にご注意下さい。個人的な思い入れがやたら強いのは「わたモテ」8話「モテないし、見栄を張る」。何しろ実在の(?)Magicのカードが登場したエピソードである。Wizards社は著作権関係で訴えてもいいレベル。ちなみに、ファンデッキながらも割と真面目な黒単を組んでいたもこっちには、「イカサマするくらいなら大人しく人脈張ってドロー増やせ」と説教したいね。そして微妙な作品なのに何故かやたらツボったのが「帰宅部活動記録」の9である。具体的にはしりとりバトルの回。単なるしりとりがあそこまで馬鹿馬鹿しく恰好いい対決になるのは予想外であった。あの後、試しに仲間内で「NGワードしりとり」を実施したものの、当然決着などつくわけもなく延々3時間しりとりし続けたのも良い思い出。あとはギャグとして突き抜けてたエピソードというと「境界の彼方」第6話「ショッキングピンク」でしょうね……まぁ、正直あの回しか覚えてないくらいの違和感とインパクトでした。未来ちゃん可愛いのになぁ。

 流石にギャグばかりだと偏るのでシリアスな方にも目を向けると、まず思い出されるのは「超次元ゲイムネプテューヌ」第10話「忘却の戦線」。ぴーしぇちゃんが記憶を取り戻さないままで元の世界へと旅立ってしまう泣きのエピソードだが、こんな作品のくせに見事なまでに泣かせにきたストレートな演出が印象深い。ぴーしぇちゃんが最後にたった一言漏らした「ねぷてぬ……」と、そこから繋がるエンディングテーマ「糸」が、切ない中でもさわやかな後味を残す。同様のさわやかな後味では、「猫物語(白)」第5話「つばさタイガー其ノ伍」が思い起こされる。羽川翼の恋の終わり、彼女の中に居た「虎」が「猫」との関係性を清算して消えていくことで、彼女と戦場ヶ原さんの友情も確固たるものとして完成するのが実に良い。逆にどうしようもない残酷さに打ち震えるのは「蒼き鋼のアルペジオ」第10話「その身を捧ぐ」。絶対絶命の窮地で迷い無くその身を差し出したタカオの献身が切なく胸を打つのと同時に、コンゴウさんがあまりに残酷なアドミラリティコードの真実を突きつけられて崩壊する様子が容赦無い。コンゴウさんが残りの2話で修羅モードになる過程も鬼気迫っていてたまらんものがある。そして、シリアスなのかどうかすら判断出来なかった衝撃の転換エピソードといえば、サムライフラメンコ第7話「チェンジ・ザ・ワールド」。つまりはギロチンゴリラ回であるが、この時の視聴者全員の「どうしてこうなった……」という絶望感は唯一無二のものであった。ちなみにサムメンコは17話「最強総理」を選出するっていうアイディアもあったのだが、流石に自重した。あと、個人的に印象深かったエピソードとしては「とある科学の超電磁砲S」第6話「あたし…みんなのこと見えてるから」がある。「超電磁砲」の2期目のターニングポイントとなる大事な話数だが、原作ではキリングマシンのごとく暴れることになる御坂に、アニメならではの「繋がり」を残すオリジナル要素である。サブタイトルが1期23話「いま、あなたの目には何が見えていますか?」へのアンサーとなっているのが心憎い。

 さぁ、そろそろ最終選考組に移ろう。まず、素直に盛り上がるクライマックスエピソードで、しかも最終話じゃないっていう条件を加えると出てくるのが「キルラキル」第23話「イミテイション・ゴールド」。余計な縛りが無い分、ひょっとしたら最終話よりも盛り上がっていたかもしれない。やっぱり世界は蟇×マコですな。同様に苛烈な盛り上がりでいうなら、「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」からは第8話「ケレス大戦」。毎回がクライマックスな作品ではあったが、初期の残念ファイブの残念さを大胆に残しつつ、少しずつ覚醒していく重要なミッションであるこの話数は、騒がしさと格好良さという2つの要素が一番綺麗に複合されていたと思う。そして同じく元永慶太郎監督作品で刺激が強かったのは「デート・ア・ライブ」第9話「狂乱の悪夢」。いわゆる狂三ちゃん大フィーバー回であり、この作品が隠し持っていた独特の狂気が思う存分炸裂したインパクト充分の一本。インパクト勝負でいうならば、忘れちゃいけない「ファンタジスタドール」第4話「じめじめしめじ 残念王子の逆襲?」。もう、馬鹿。ほんと馬鹿。

 とてつもないヤラカシ感が漂うのは、「世界征服〜謀略のズヴィズダー」3話「煙に巻いて去りぬ」。嫌煙家の意見を250%増しではき出しちゃった問題作。でも、ヴィニエイラ様に言われちゃしょうがない。そして「しょうがない」レベルでは奇跡的だったのが「聖闘士星矢Ω」第92話「星矢の本心!偽りからの帰還!」。うぉぉぉ! 星矢! ぶっちゃけ過ぎだ! でもみんなそれが聞きたかったんだ! 2年間の集大成は、主人公のやんちゃさでありました。「見たい」レベルで肩を並べた「うぉぉぉ!」作品としては「戦姫絶唱シンフォギアG」第4話「あたしの帰る場所」が。 クリスぅぅぅぅ!

 さぁ、これらのエピソードを抑えて上位3つに選ぶのは……あ、「DD北斗の拳」第8話「健やか!健康人生!!トキさんの場合」っていうのが、なんだかんだで最終候補まで残っていたのはどうかと思いました。でも、腰砕けるくらい笑ってしまったんだよ。ずるかったよ。

 

 

第3位

‘05 「魔法少女リリカルなのはA’s」第4話「新たなる力、起動なの!」

‘06 「×××HOLiC」 17話「ジショウ」

‘07 「ARIA The ORIGINATION」 第9話「そのオレンジの風につつまれて…」

‘08 「かんなぎ」 第七幕「キューティー大ピンチ! 激辛ひつまぶしの逆襲(後篇)」 

‘09 「獣の奏者エリン」 第48話「リョザの夜明け」

‘10 「侵略!イカ娘」 第5話Cパート「飼わなイカ?

‘11 「ベン・トー」 #10それは昔祖母の家で食べた温かで優しい味わい。心にも体にも優しい和の料理。梅とちりめんじゃこご飯と季節の野菜たっぷりの煮物弁当 480kcal

’12「戦国コレクション」 COLLECTION-19 「Vengeful Fang-IS

’13「ワルキューレロマンツェ」 第7話 「風車の下で」 

 あ、ごめんなさい。石投げないで……。でも、今期のギャグの中から一本選べって言われると、これが一番狂ってたと思うんだよね。良くも悪くも。いや、悪くも悪くも。

 エロ馬鹿作品ってのは、どこまで真剣にエロく出来るか、っていう勝負とどこまで馬鹿馬鹿しくエロく出来るか、っていう勝負があると思うのだが、この作品の馬鹿さは、舞台設定がこれ以上無いくらいに真面目だから(本人たちの中ではね)、とても引き立つ。そしてこの最大限の馬鹿エピソードである7話は、中心にいるのが真面目一辺倒のスィーリア先輩だったから病巣が深い。「風車小屋」なんてのは中世やヨーロッパを舞台にしたときの雰囲気を醸し出す良い舞台装置のはずなのに、今作の魔の手に落ちてしまうと、謎のトラップ満載のピタゴラ装置に変貌してしまうのである。こういうアニメ作ってるときの脚本家の脳内とか企画会議とかって、一体どうなってるんでしょうね。愛すべき、今期一番の馬鹿に幸あれ。

 

 

 

第2位

‘05 「かみちゅ!」 第11回「夢色のメッセージ」

‘06 「BLACK LAGOON」 #15「Swan Song at Dawn

‘07 「らき☆すた」 22話「ここにある彼方」

‘08 「とらドラ!」 16話「踏み出す一歩」

‘09 「とある科学の超電磁砲」23話「いま、あなたの目には何が見えていますか?

’10 「けいおん!!」 #20「またまた学園祭!

’11 「BLOOD-C」 第11話「たれをかも

’12 「中二病でも恋がしたい!」 EpisodeXI 「片翼の堕天使

’13「げんしけん二代目」 第11話 「いい最終回だった」 

 嗚呼! 斑目よ! どうして君は斑目なのか!! 斑目よぅ……。

 最終回と題されているが最終回じゃないこのエピソード。本当に切ない。ボロボロ泣ける。ただ、このお話で泣ける人間は、やっぱり斑目に近いメンタリティでないと駄目なのかもしれない。狭い部室の中、憧れのあの人と2人きりの極限状態で最後の最後まで男になれない斑目の辛さ。こればかりはどうしようもない。20年以上、彼はそうして生きてきたのだし、今更生き様を変える事など出来ない。勇気を出しても見返りなど無いと分かっていればなおさらのことだ。しかし、春日部咲という女は、そんなどうしようもない駄目人間を前にしても、きちんと1人の男として扱ってくれたし、彼のことを思って涙まで流してくれた。本当に、本当に良い女なんだ。斑目に救いがあるとするなら、それは、彼の女性を見る目だけは間違っていなかったと言うことなんだ。

 こういう作劇があるからこその水島作品なんだなぁ、というのが改めて思い出される、本当にじっとりと肌に張り付くようなドラマ作り。動かず、音もなく、ただ空気だけが変わっていくことを感じさせる場面作りは、7年前にこの部門で選出した「×××HOliC」の17話に似ている。アニメーションというのは何も動かすだけが能じゃないということストレートに見せる演出。こういうのも上手いよなぁ。

 

 

 

第1位

‘05 「フタコイオルタナティブ」1話「コロッケとヘリと地下ボクシングと私」

‘06 「涼宮ハルヒの憂鬱」 12話「ライブアライブ」

‘07 「CLANNAD」 第9回「夢の最後まで」

‘08 「喰霊--」 第9話「罪螺旋-つみのらせん-

‘09 「CANAAN」 第11話 「彼女添

‘10 「探偵オペラミルキィホームズ」 第4話「バリツの秘密

‘11 「花咲くいろは」 第十七話「プール・オン・ザ・ヒル

’12 「スマイルプリキュア!」 第23話「ピエーロ復活! プリキュア絶対絶命!!

’13「有頂天家族」 第六話「紅葉狩り

 数々の名エピソードがしのぎを削る中、私の今年1年の思い出の中で1つ頭抜けていたのがこのお話。「語り」の妙においては、やはり本職の小説家が産みだした世界に一日の長がある。

 「有頂天家族」はわずか13話の中にぎっしりと中身が詰め込まれているので、どのエピソードを1つ選ぶかと言われると至極悩ましい。終盤の盛り上がりも見事なものだし、お母ちゃんが可愛らしい第2話、海星にスポットが当たる9話なども捨てがたい。だが、最後まで候補に残ったのは、下鴨総一郎の見事な引き様に涙を禁じ得ない第8話と、この6話だった。悩みに悩んだが、どちらの方が複合的にこの作品の持つ良さを引き出しているかを考え、こちらに軍配をあげる。

 この6話には、この作品の持つ全てが詰まっている。弁天という女の魅力に始まり、それを追いかけることで感じられる彼女の孤独、淀川先生の木訥な人柄と、彼の持つ奇妙な人生観。彼の回想から漏れ出る総一郎という人物像に、期せずしてそれを受け取ってしまった矢三郎の困惑と、全てを飲み込んだ上での対人関係のおかしさ。どこをとっても不可解であり、全てこの「有頂天」の世界でなければ生まれてこなかったものだ。これだけ珍妙な人間関係がズラリと並び、およそ理解の及ばぬような思いが巡っているというのに、不思議とそこには共感が生まれ、曰く言い難い近しさ、「やむにやまれぬ」感覚が沸き立つ。1つ1つの台詞に全て意味があり、全ての言葉が、発言者の心を映す鏡となる。言葉と言葉の関係性が、これ以上無いほどに肉薄した人と人との繋がりを感じさせる。

 こうした密接な「繋がり」を演出するのが、P.A.Worksの誇る極めつけのアニメーションであるわけだ。京都の繁華街の数メートル上には寂れた天上世界が広がっており、およそ夢や空想とはほど遠いはずの世界が、実際には誰も見たことの無いような「非現実」であり、そこから「誰もが見たことのあるはずのものだが、実際にはあり得ない」という不可解な屋上庭園の紅葉に繋がる。一面赤で彩られた世界は不思議と柔和で、弁天という魔性の女がふいと消え去るのにこれ以上のロケーションもない。後光に包まれた弁天が消え去ると、後に残されたのは一匹の狸と冴えないおっさんのみ。この2人のみすぼらしいはずの会話が、不思議と1つ1つ染みいるのである。全てはこの世界の理を伝えるための演出であるが、こんなにも荒唐無稽で、なおかつどうでもいい世界が、何故こんなに真に迫って感じられるのだろうか。

 そうして広がった幻想世界を締めくくるのが、小さく暗い井戸の底。矢二郎と矢三郎の会話もまたジワリと染みこんでくる見事なものだが、そこに弁天が降りたってポロリと心を漏らす。ここまでの一区切りで、このエピソードが完成をみる。本当にどこをとっても一切無駄なシーンの無い神がかったシナリオラインであるし、それを見事に彩ったアニメーションとしての完成度は何ものにも代え難い。

 本当に、ただお見事の一言のみ。

 

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